ユリウス王物語

ユリウスのプロフィール(初期)

年齢:32
性別:男!
身長:206
体重:108
スリーサイズ:教えない!
種族:かろうじて人間!
職業:フルプレートウォーリア(傭兵隊長)
属性:なし!
性格:剛毅
利き手:右
魔法:使えんが武器が魔法武器!
特技:マカベウスクラッシャ
装備品:巨大なハルバード
所持品:さまざま
髪の毛の色、長さ:茶色で癖があり長め
容姿の特徴・風貌:筋肉の塊のような肉体
趣味:体の鍛錬、配下の鍛錬、女遊び
将来の夢(目標):自分の国を作る
簡単なキャラ解説:巨体を持つウォーリア。 傭兵隊長をしているが、
         冒険者をやったりと自由。

ユリウスのプロフィール(大王)

年齢:53
性別:男!
身長:206
体重:111
スリーサイズ:教えない!
種族:かろうじて人間!
職業:国王
属性:なし!
性格:剛毅で大胆で卑猥で残虐、しかし優しい部分あり
利き手:右
魔法:使えんが武器が魔法武器!
特技:マカベウスクラッシャ
装備品:巨大な大剣
所持品:王冠風の兜などさまざま
髪の毛の色、長さ:白髪交じりの茶色で癖がある
容姿の特徴・風貌:筋肉の塊のような鋼の肉体
趣味:体の鍛錬、配下の鍛錬、女遊び
将来の夢(目標):リフティスを強国にして後継者を育成
簡単なキャラ解説:巨体を持つ国王。 リフティス周辺を統一したが、国力・人材・将来に悩んでいる。


◆◆水の街リフティス◆◆【ファンタジー】

http://kanae.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1436599197/

リフティス編 第一部

1 :名無しになりきれ:2015/07/11(土) 16:19:57.04 0ここは水の街リフティス…

物語が始まる…

2 :名無しになりきれ:2015/07/11(土) 16:43:17.75 0そして終わる・・・

3 :名無しになりきれ:2015/07/11(土) 18:48:42.90 0【キャラ紹介テンプレ】

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
スリーサイズ:
種族:
職業:
属性:
性格:
利き手:
魔法:
特技:
装備品:
所持品:
髪の毛の色、長さ:
容姿の特徴・風貌:
趣味:
将来の夢(目標):
簡単なキャラ解説:

4 :名無しになりきれ:2015/07/11(土) 19:16:28.32 0TRPG系?

5 :名無しになりきれ:2015/07/12(日) 07:51:56.68 0何年か前に水の都エルトゥームってスレがあったがそっちも立て逃げだったな
懐かしい

6 :チェルシエル ◆1i7gre/Coc :2015/07/13(月) 01:10:36.43 0名前:チェルシエル・ザ・デスペルタドール
年齢:8歳 ※人間年齢換算で20代半ば
性別:女
身長:172cm
体重:57kg
スリーサイズ:86・60・89
種族:亜人・獣系<メタリエス)
職業:混成亜人連合国家アジンボーン特戦隊武官
属性:地
性格:他人に厳しく自分にも厳しいがどこか抜けている
利き手:左
魔法:回復魔法のみ
特技:槍もしくは棍を使わせれば特戦隊随一(それ以外の武器は何を持ってもダメ)、野戦料理
装備品:背丈より長い棍、耐水性素材のマフラーと腰布、丈の短い上下の肌着、金属製の小手と具足
所持品:作戦通知書
髪の毛の色、長さ:琥珀色、腰に届く程度
容姿の特徴・風貌:髪質はボサボサ、頭に山羊よりも大きめの白い角、動きやすさ重視の肌の露出の多い服装
趣味:動物の捕獲
将来の夢(目標):世界平和
簡単なキャラ解説:亜人の女。山羊を祖とするメタリエスは辺境に引き篭っている種族で
体が丈夫・成長が早い分短命だという。武官を務め、兵を率いているが経験は浅く
今のところ戦闘面以外ではお世辞にも優秀とは言えない。なお、名前はコードネーム。

7 :チェルシエル ◆1i7gre/Coc :2015/07/13(月) 01:17:37.57 0水の街リフティスの全住人に告ぐ!
これよりこの街は亜人連合国家アジンボーンの支配下に置かれることとなるっ!
文句がある奴は今すぐ前に出てこい!

‥‥と言っておけばいいんだったな
さて、これからが大変だぞぉ‥‥


9 :チェルシエル ◆1i7gre/Coc :2015/07/13(月) 12:58:26.86 0エピソード 1: 水は冷たいうちに汲め


東側には深緑の木々に囲まれた美しい湖畔が望め、西側には大陸の最北端と最南端を結ぶ
長大な河が流れる街、リフティス。
左を見ても右を見ても豊かな水資源が潤沢にあるこの街の住人は皆が平等に働き、対等の立場で
生きており、不義や不和といったものとはまるで無縁な日々を過ごしていた。
リフティスの完全平和が続くこと二百五十年、その安穏の刻は今後も続いていくかと思われたが
そうでもなかった。

突如、街に武装した百名程の亜人の兵士が現れると、住人達にリフティスを亜人連合国家の
傘下として組み込むと宣言したのである。
聞き慣れない亜人連合国家なる集団とは何なのか?今日までどこの国家にも属せず、中立の立場に
あったリフティスが何ゆえ外からの支配を受けなければならないのか?
事態をまるで飲み込めていない住人達は、亜人兵のリーダー格の女チェルシエルに問いかけた。
そこでようやく、街の外‥すなわち、世界が今どのような状況であるのかを知る事となった。

下克上の時代―――――それが、知らない間に訪れていた現在の世界の姿だった。
不況の波が押し寄せてきた事で雇用形態に変化が生じたのだが、これが起因となって種族間の
確執が表面化してしまい、各地で人間、亜人、魔獣の抗争へと発展したのだ。
複数の亜人の部族が集まり、結成された亜人連合国家アジンボーンもまた、人間による人間の為の
社会が確立された昨今の世に異を唱える者達だという。
これからも変わらない日々をこの街と共に過ごしたいと願うリフティスの住人達の思惑をよそに、世界は
争いのなかった水の街をも巻き込み、どこへ向かおうとしているのか‥
初めて、将来に不安を抱いた人々は今日も自分に任された仕事をこなす事だけをまず考えた。

10 :チェルシエル ◆1i7gre/Coc :2015/07/13(月) 13:12:14.22 0>>8
むっ、お前は移住してきた住人のようだなっ!
この街にいる住人はみな大切な労働力である!
困った事があれば聞いてやるぞっ
‥エルトゥームとやらがどんな場所かは知らんぞ‥そこも狙えばうまみがありそうなところなのか
それよりも今を心配しないとは余裕があるものだなっ
前向きなのはいい事だと私も思うぞ!

11 :名無しになりきれ:2015/07/13(月) 15:54:53.87 0良いね!
新キャラクターの登場も期待

12 :和包和尚:2015/07/13(月) 16:52:56.60 0はははは、今日は旨そうな水饅頭を手に入れたわ。
これを…キョロキョロ

ふぅ、これであの忌々しい小坊主どもに見つかる心配も無い。
湖畔の水に埋めたのじゃ、明日の茶の子時にはキンキンに冷えておろう。

13 :名無しになりきれ:2015/07/14(火) 00:06:01.80 0氷に見えた
水か

14 :名無しになりきれ:2015/07/14(火) 01:31:15.40 0暑いわーこんな日は裸で泳がないと

(女性が全裸で泳いでいる)

15 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/07/14(火) 19:47:59.70 0名前: ユリウス・マカベウス・グレゴリオ・メロス4世
年齢:32
性別:男!
身長:206
体重:108
スリーサイズ:教えない!
種族:かろうじて人間!
職業:フルプレートウォーリア(傭兵隊長)
属性:なし!
性格:剛毅
利き手:右
魔法:使えんが武器が魔法武器!
特技:マカベウスクラッシャ
装備品:巨大なハルバード
所持品:さまざま
髪の毛の色、長さ:茶色で癖があり長め
容姿の特徴・風貌:筋肉の塊のような肉体
趣味:体の鍛錬、配下の鍛錬、女遊び
将来の夢(目標):自分の国を作る
簡単なキャラ解説:巨体を持つウォーリア。 傭兵隊長をしているが、
         冒険者をやったりと自由。

16 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/07/14(火) 19:57:02.96 0東側には深緑の木々に囲まれた美しい湖畔が望め、西側には大陸の最北端と最南端を結ぶ
長大な河が流れる街、リフティス。

ところが、突如数百の亜人たちによって街は支配されてしまった。
このあたりは背景にも原因がある。

現在、この世界は北の北方民族と南の帝国が勢力を拡大している。
「北方か、帝国か」という格言が中央諸国でささやかれているさなか、
この地域は大河のお陰もあって、北の北方民族、南の帝国からの攻勢から
微妙にずれており、ひっそりと繁盛してきていた。

そしてかつてあったエルフ帝国が、海をわたり湖をわたって各地に植民地を作っていた時代があったが、
その名残がこの地域にも残っており、リフティスは比較的亜人に対して理解が高かった。
結果、一部の屈強な亜人たちの制服を甘んじて受けることとなった。

「うぅぅ、ダルいな」
この巨体を持つ男は、たまたま傭兵として宿泊していたに過ぎないが、
この街がそのような事態に陥っていることを理解するには数日を要した。
「打ち負かした男は手下に、女は自分の兵にする」を生きがいとし、
常に人生をエンジョイしてきた彼だが、今は仲間がいなかった。
川で沐浴をし、女(>>14)を抱くと、さっさと酒場の方に引き上げていった。
「暑過ぎる…」

この後、リフティス有志同盟による「アジンボーン阻止戦」が開始されることを、
ユリウスはまだしる由もなかった。

17 :名無しになりきれ:2015/07/16(木) 08:22:23.01 0期待

18 :>>14の女:2015/07/16(木) 15:25:51.19 0うっ…ふっ……う、う…

あの人に犯されたなんて…いえない…

泳いでただけ…なのに

19 :名無しになりきれ:2015/07/16(木) 18:06:13.38 0多少治安が悪いのもここの良さだよな
>>19なら>>14の女がユリウスの子を孕む

20 :名無しになりきれ:2015/07/20(月) 17:01:46.63 0名前:ダム=ハント
年齢:不詳(外見は20代半ばくらい)
性別:男
身長:160㎝
体重:67kg
スリーサイズ:野郎に聞くか?
種族:犬型の亜人
職業:普段は小物雑貨屋の店主、その実はリフティス有志同盟の一員
属性:火
性格:怠惰でいい加減だが、情に厚い一面もある
利き手:左
魔法:補助魔法が得意、攻撃魔法は得意ではないが様々な道具に属性魔法の付与が可能
特技:様々な功夫に造詣が深く、特に軽功を得意としている
装備品:動きやすいごく普通の服装、各種暗器
所持品:その都度、色々なアイテムを持ち歩いている
髪の毛の色、長さ:黒髪で首くらいまでの長さ
容姿の特徴・風貌:顔は人間型、口元はやや犬っぽい。金色の瞳を持つ。顔にいくつか傷がある為、それなりに戦歴はある模様。
趣味:寝ること、珍しいアイテムを集めること
将来の夢(目標):基本的には争いに巻き込まれない平和な町を望んでいる、あとは世界中の珍しいアイテムを集めたい
簡単なキャラ解説:素性は不明、5年ほど前にリフティスに流れ着いた、基本的には穏健派に属している。
亜人連合国家アジンボーンに対しては不信感を抱いているが、
リフティス有志同盟のやり方にも疑問があり、彼我の戦力差を鑑みて危機感を募らせてもいる。

21 :ダム ◆UoK5MXTTnk :2015/07/20(月) 17:06:39.28 0「まずいな」

リフティスの表通りから一歩外れた場所にある小さな雑貨屋で、店主の男が一人つぶやいた。
ここ最近流れ込んできたアジンボーンの連中に町はすっかり牛耳られつつある。
それに対する反発もまた次第に大きくなっていることは、男にも十分理解できていた。

「はて、俺にどこまでできることやら」

武力による衝突も時間の問題であり、交渉の余地がない以上、せめてその衝突による被害を少なくしたい。
それが男の偽らざる心理であった。


29 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/07/24(金) 23:56:33.25 0次の日の昼のことだった。
ユリウスは酒場の上にある宿の大部屋を取り、まるで日課でもあるように
郊外の川岸に向かった。
そこで巨大ハルバードを一振り、二振りと素振りする。
ギチギチ、ガチガチとユリウスの鍛え上げられた肉体が軋んでいった。
そのときである。

「ドドドドド…」
「お…?」
亜人国家のアジンボーン部隊が次々と、リフティスの街へとおしかけていった。
グレイトホーンと呼ばれる巨獣に跨る騎兵に、歩兵も合わせ、総勢500はいると思われる。

「しまった!」
ユリウスはそのうちの一部隊に発見されてしまった。巨体では無理もない。
亜人の騎兵はまたたくまにユリウスに肉薄し、斧を一振りした。
「ぬぉぉぉ!」
その瞬間、ユリウスのハルバードは亜人の上半身を吹き飛ばしていた。
ドドドド、と立て続けに亜人部隊がユリウスのもとに押し寄せる。
ドッ…  ドシュッ…
一体ずつ確実に、ユリウスのハルバードが亜人を裁断していく。
突き刺すというより膨大な圧力の衝撃はで鎧ごと吹き飛ばす感じだ。
ある亜人は首を飛ばされ、ある亜人は原から臓腑を撒きちらし…
やがて、ユリウスのハルバードが亜人の体に深々と突き刺さり、抜くのに手間取る。

「ぐぉっ!」
亜人の矢が、槍が、プレートをしていないユリウスを傷つけ、瞬く間に追い込まれた。
丁度そのとき雨が降ってきた。
ここリフティスの気候は季節雨なのだ。

「今だ!」
大雨に紛れ込むようにして、亜人を2名ほどグレイトホーンごと屠ると、その影に隠れるようにして
建物の影を縫うように逃げだした。

「追え!」と言った亜人たちも、ユリウス一人には興味がないのか、もしくは本隊から離れすぎたのか、
早々に別の部隊の方へと向かっていった。
この日傷だらけになったユリウスは十数人の亜人を殺害し、そのまま街へと戻った。
そして舞台は夜の酒場へと移る…

30 :名無しになりきれ:2015/07/26(日) 15:33:28.30 0これ期待だな

31 :ダム ◆UoK5MXTTnk :2015/07/26(日) 23:47:09.26 0水の都リフティスが数百年にわたって守り続けてきた平穏と独立性は、
亜人国家アジンボーンによる突然の襲来により失われた。
夜の帳が下り、いつもならば時間帯に相応しい賑いを見せる一軒の酒場も、
お通夜といって差し支えない程に暗く沈んだ有様である。

今はまだ混乱と焦燥と不安で心を満たされた住民たちが酒を酌み交わしているが、
いずれこの酒場にも支配者面した亜人がやって来ることは時間の問題だろう。

その酒場のカウンター席の隅で、他の客の視線をチクチクと浴びながらグラスを傾ける男が一人。
表から一つ外れた裏通りで雑貨屋を営む亜人、ダム=ハントである。
視線を向けられる理由はいたってシンプルで、彼が素性の不明な亜人だからに他ならない。
数年前にフラっと現れて、気が付いたら雑貨屋の主人になっていた。
冷静に考えれば不気味なことこの上ない身の上である。未だにもって絡まれないのは幸運と言って良かった。

そんな彼に常と変らぬ態度を向けるのは、この場においては店主一人である。

「ウチは定食屋じゃねえ、って何度言えばお前さん理解するんだ?」
「少なくとも、俺の舌があんたの腕に飽きるまでは、ないな」

やや呆れ気味にアイスバインにザワークラウトとマッシュポテトを盛りつけた皿を差し出すが、
それに対するダムの返答もいつもと変わらぬものだった。

「で、どうなんだ?お前さんが例の連中のスパイで、占領の手引きをしたってもっぱらの噂(>>25)らしいが」
「不愉快なデマだ、だいいちそういうマメな仕事は俺の範疇じゃない」

食事を続けながら、にべもなく言ってのける。実際彼はこの件に関しては無実である。
そもそも彼は亜人による連合国家であるアジンボーンに対して不信感を抱いている。

”亜人の、亜人による、亜人のための国家”

そういえば聞こえは良い、だが”すべての亜人にとっての理想郷”がそうそう簡単に作り上げられる筈もない。
人間の作った国家にも、いくらでも問題を抱えている以上、アジンボーンとて例外ではいのだから。
その歪さが彼には酷く信用できないものに見えたのだ。

現に彼は日中押し入ってきたアジンボーンの兵士を始末している。
争いを嫌う穏健なタイプではあるが、礼儀を知らない無法者に情け容赦をかけるほど慈悲深くもなかった。


35 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/07/31(金) 20:05:47.98 0酒場に着いたユリウスは、二階にある特大の部屋を確保すると、
酒をかっ食らい女を貪るために酒場のある一階へと降りていった。
ユリウスはそれなりに金は持っている。伊達に危ない橋を渡ってはいない訳だ。

まずは端の席でチビチビとやっていたが、ただでさえ大きな肉体に巨大な獲物を持っている
訳だから、周囲は引く。ユリウスの席の近くはすっかり人が遠のいた。
今日の客は10数人程度だ。人間が中心だがエルフなどの姿もある。
アジンボーンの連中は、優先順位として
亜人>オーク>エルフ>人間 というピラミッド型の上下制度を敷いている。
リフティスにも緩やかながら、この制度が定着しつつあった。
今、酒場で大きな顔をしているのはエルフの男どもが中心と思われた。

少し離れた席で、酒場の主人と亜人風の男が何やら話しているようだ。
聞き耳を立てたが、この店でただ一人のウェイトレスが料理を運んできたため、かき消された。
ふと、この女を今晩は買おうか、と注意を引かれる。そのときだった。

「おう、俺だ! さっさと席を作れや」
入ってきたのは亜人の男たちだった。3人が重武装をしている。
さらに、後ろからエルフの女も1人現れた。こちらは丸腰だった。囚われているのだろう。
「おら、どけどけ、酒と飯を用意しろ。半額でな」
あっという間に客が御代をテーブルに置いて逃げていく。
残りの客は5人ほどだ。

36 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/07/31(金) 20:23:08.84 0ふと、ガラの悪い亜人と目が合った。
一瞬だったが、すぐに目をそらし、亜人たちはまずウェイトレスに絡む。
「おい、ねーちゃん。ちょっとこっち来い!酒をつげや」

問答無用で亜人はウェイトレスの両肩を掴み、衣服を破る。
「きゃあ!」
「ちょ!ちょっとやめてくれ… その子は貧しい家から働きに来ててな…」
ウェイトレスが素肌を隠し、酒場の店主が止めに入る。
「うるせえ!」
亜人が斧の柄で主人を突き飛ばす。主人は吹っ飛んで床に倒れた。骨が折れたかもしれない。
そのときだった。

「おう、ちょっといいか?」
「ん?」
ユリウスが亜人の腕を捻る。
「グェェエ!!」
亜人の片腕の骨ががコキャリと折れる。それも片手でだ。
亜人が暴れ、やがてユリウスは武装した亜人3人と女エルフによって武器を突きつけられた。
このエルフも丸腰と見せかけて武器を持っていたのだ。
「野郎… 殺す! コロス!! 殺せェ!!」
まず背後の亜人がユリウスを大剣で狙う。その瞬間…
その亜人の首はユリウスのハルバードによって吹き飛ばされていた!
「ディエゴ!ディエゴが殺られた!!」
その返す刀でエルフの女の投げナイフを弾き飛ばし、
次に前の2人から来る斧と槍の攻撃をガントレットで受ける。
そして槍を持った男を叩き潰し、鎧ごと吹き飛ばすと、そのまま斧を持った最初に絡んだ亜人の獲物をへし折った。
「ギィェェェェ!!!!」
エルフの女がボウガンを構え、撃とうとしてくるところをユリウスは飛びついた。
「ギャアア!!」
「ひぃいいいいい!!」
しまった!と思ったときには最初の亜人は酒場から逃げ出していた。
皆殺しにしようというユリウスの目論見は残念ながら難しそうだ。
腕を折られているとはいえ、仲間を呼んでくるに違いない。

ユリウスは自暴自棄とばかりにエルフ女の獲物を落とし、力ずくでねじ伏せ、
馬乗りになって服を破り犯した。
エルフの女は既に裸に近い格好をしていたため、あっという間に餌食になった。
女が力尽きて倒れ、本人も行為に満足すると、ユリウスは酒を求めた。
「近いうちに敵がくる。それまでに精力をつけさせてくれ」

37 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/07/31(金) 20:31:13.53 0助けてもらったウェイトレスはユリウスに心酔し、尚も欲望さめやらぬユリウスに尽くした。
短時間のうちにエルフ女と人間のウェイトレスがユリウスに屈服した。
エルフの女は相当に亜人にやりこめられてきたようだ。
もしかしたら腹の中には亜人の仔がいるかもしれない。

「お前らは俺の兵にする。武装は俺が決める。お前らは俺を守れ。俺も必ずお前らを守る」
酒場の主人はウェイトレスに酒場での仕事も兼任させるということでしぶしぶ納得した。
また、亜人を追い払うという共通の敵を作ることで、この酒場自体を拠点とすることを約束した。

「俺も協力するぜ」
それらを見ていた二人組の冒険者たちも、この流れに乗ったようだ。

「ところで…」
ユリウスは怪しげな亜人風の男、ダムに声をかけた。
「お前は亜人どもの味方か?それとも俺たちの味方か?
今の俺は寛容だ、加わるのが嫌なら逃げた方がいいぞ
ここはこれから俺の城になる。お前にも自分の好きなことをさせてやる」
女二人を従えながら、ユリウスが言った。

38 : ◆2CuhqF3bRI :2015/07/31(金) 20:47:27.02 0犯すのかい?

39 :ダム ◆UoK5MXTTnk :2015/08/01(土) 00:44:44.28 0ダムが店主の料理に舌鼓を打っていると、その余韻を乱すような談笑がその耳に飛び込んでくる。
どうやらエルフの男たちのグループらしい、上機嫌で酒を景気よく飲み干す様子は、今や珍しい後継ではなくなっていた。
常連客の彼にとってあまり気分のいいものではないが、この店も段々、アジンボーンの流儀に染まりつつある。
亜人に属しながら隅で大人しく飲み食いしているダムは、別の意味で浮いていた。

「いい気なもんだ…っ!?」

そんな呟きを舌で転がしながら彼が並々ならぬ気配を察して振り向けば、そこには筋骨隆々とした大男が二階から降りてくるところだった。
背丈は七尺、目方はおよそ三十貫、ダムは比較的小柄な方ではあるが、それを差し引いても男のマッシブさは際立っている。
風貌はいかにも歴戦の勇者といった面持で、その背に負うたハルバードもまた大層な業物だろう。

「おう、俺だ!さっさと席を作れや」

男、ユリウスについてダムが思いを巡らす前に、下品なダミ声が彼の耳に突き刺さる。
重武装の亜人が3人、おそらくはアジンボーンの警邏部隊であろうか?
若いエルフの女をまるで従者のように従え、扉は蹴りながら入店し、ドスを利かせながら我が物顔で闊歩する。
その様子に店内にいた客は次々と蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。

「(黙って飲めないもんかね?酒がまずくなるってもんだ)」
「おら、どけどけ、酒と飯を用意しろ。半額でな」

その言動の粗暴さに不愉快にはなったが、彼は本質的にトラブルは好まない。
連中がただ飲み食いをするだけならば関わり合いになるつもりはなかった。だが

「きゃあ!」
「ちょ!ちょっとやめてくれ… その子は貧しい家から働きに来ててな…」
「うるせえ!」

亜人達はウェイトレスに狼藉を働き、止めに入った店主まで獲物で突き飛ばす有様だった。
流石に限度を超えている、制裁やむなしと立ち上がろうとしたその時───

「おう、ちょっといいか?」

先ほどの大男、ユリウスが止めに入り、狼藉者を”赤子の腕を捻る”ようにねじ伏せてみせた。
ダムの見立てる限り、エルフを含めて4人がかりでも軽くしとめてみせるだけの力量差がありそうだ。

40 :ダム ◆UoK5MXTTnk :2015/08/01(土) 00:45:47.40 0ならば自分が割って入るのも無粋、とばかりに突き飛ばされた店主の様子を見舞うことにした。

「おい、大丈夫か旦那」
「…う、うぅぅ」

強く突かれたのだろう、骨が折れているようだ。咄嗟に応急処置を施しながらユリウスの立ち回りをつぶさに見物する。
亜人達とて、決して素人ではない。有り余る膂力とそれ相応の技量と経験は有しているだろうが、
ユリウスの前では児戯に等しかったようだ。みるも無残な屍があっという間に二つ・・・
と、ここで最初に腕を捻られた亜人が逃走を図る、おそらく応援を呼ぶつもりだろう。

「面倒なことになったな」

と、彼がつぶやくよりも早くユリウスはエルフを相手に濡れ場を展開していた。
ことが終わると、こともなげに酒を要求するのを目の当たりにし、ダムも呆れた。

「(おいおい、そっちの方も早業かいな)」

ついでに、助けたウェイトレスの心まで魅了し、第2ラウンドを開始するあたり流石としか言いようがない。
それも終えると、衣服を改め、店主や残された客に対して張りのある声で高らかに宣言する。

「前らは俺の兵にする。武装は俺が決める。お前らは俺を守れ。俺も必ずお前らを守る」
「俺も協力するぜ」

文句をいいかけた店主に対しても、言葉を尽くして納得させ、さらにはこの場に居合わせた冒険者すら味方につけた。
単なる力任せではないその手腕は称賛に値する、とはいえ

「(随分と思い切ったことを!)」

亜人を斬って捨てた以上、引くに引けないのは十分わかりきったことではあるが、
たった今、この酒場を拠点としてアジンボーンに反旗を翻すと堂々と言ってのけたのだ。
ダムの視点からすれば、男はかなりの無茶を言っている。警邏どころか本体が大挙して押し寄せかねない。

「ところで…」

そんなダムの懸念を知るでもなく、二人の女を従えたユリウスは彼に矛先を向けてきた。

「お前は亜人どもの味方か?それとも俺たちの味方か?
今の俺は寛容だ、加わるのが嫌なら逃げた方がいいぞ
ここはこれから俺の城になる。お前にも自分の好きなことをさせてやる」

あれこれ考えている間に、どうやら自分もまきこまれたらしい。
自らの間の悪さに苦笑しながら、抵抗する意思はないことをジェスチャーで示しつつ、

「やれやれ、ま、俺も連中は嫌いだし、あんたが無茶を言い出さなきゃ、酒の一杯でも奢りたいところだった。
 その無茶に巻き込まれるのは本意じゃないが、この店には愛着もある。手を貸すさ。俺のできる範囲でな」

苦笑しながら、まだ封の空いていないもう一本の白を差し出した。

41 :名無しになりきれ:2015/08/01(土) 23:27:19.56 0俺マンセーの臭い文章だなw

42 :名無しになりきれ:2015/08/02(日) 00:48:26.15 0あとは亜人側がどう動くかだな

43 :名無しになりきれ:2015/08/03(月) 14:06:37.72 0期待するしかないな

44 :名無しになりきれ:2015/08/04(火) 11:08:14.87 0街で戦争が起こるのかなあ。。


(水路で舟をこぐ住民が不安そうに話している)

45 :名無しになりきれ:2015/08/05(水) 00:10:44.89 0リフティスの治安が悪化しつつある
教会のリフティス支部も動きそうだ

46 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/05(水) 20:06:39.98 0「やれやれ、ま、俺も連中は嫌いだし、あんたが無茶を言い出さなきゃ、酒の一杯でも奢りたいところだった。
 その無茶に巻き込まれるのは本意じゃないが、この店には愛着もある。手を貸すさ。俺のできる範囲でな」
「助かる」
ユリウスは名を名乗ると、ダムのワインを受け取り、一気に飲み干した。

「これからここを俺の城にする。まずは準備だ」

ユリウスは酒場の要塞化を提唱した。
敵の増援が来るまでにできる限り普通の酒場に見せかけたまま、防衛に適した場所にするのだ。
この酒場は幸運にも二方向を水路に囲まれており、入り口は一箇所だ。

幸運にも冒険者風の男は一人は鍛冶屋、もう一人は肉屋だった。
肉屋にはまず、亜人たちの死骸を切り刻み、水路に流れやすいように投棄してもらう。

「お前らの武装は俺が決める」
エルフ女は布の薄い服を着ていたが、器用にもユリウスはサイズを測り、
要所を防護するビキニアーマー風の服を鍛冶屋に仕立ててもらった。
勿論材料は先ほど殺した亜人どもの持ち物全てだ。
武器は弓をさらに強化してもらった。
ウェイトレスはそのまま酒場に入ってもらうため、多少露出度を上げ、
内側に鉄板を入れるような形になった。武器は隠しナイフ。
二人ともかなりスタイルが良いので、目のやり場に困る。

「ダム、お前は兵力を集めておいてくれ。酒場に常駐する奴じゃなくていい。外から
援軍として通じてくれれば大丈夫だ」
ダムには人脈を使って、食料や人材の確保について説いた。
「お前らは今のうちに屋根や壁を固めておいてくれ。屋根は武装するぞ」

店主、鍛冶屋、肉屋にそう言うとユリウスは、二階へと向かった。
「これから女二人を鍛える。敵が来たらすぐに通報してくれ」
自分の兵は、自分で鍛えなくては気がすまないのだ。

47 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/05(水) 20:33:26.23 0「まずお前、人を殺ったことはあるか?」
エルフ女にユリウスが尋ねる。肯定したようだ。
実際、彼女はここに来るさいに民間人を数人殺害している。

「それじゃ、たっぷり鍛えてやる。まずはナイフを持ってかかって来い」
ユリウスは鎧とハルバードを置くと、裸に下着一枚の格好になった。
攻撃は以外に素早く、ユリウスの指導も入りさらに激しくなってくる。
「では、こうされたらどうする?」
ユリウスはナイフを無理やり掴むと、そのままエルフ女の体を捕らえた。
ユリウスの手から血が出るが、大した怪我にはなっていないようだ。

あっという間にユリウスにより、エルフ女は慰みものになった。装備がそうし易くできているのだ。
いつでも行為に至れるように。男女の獣のような声が交錯する。
ユリウスの筋肉の塊のような肉体が前に動くと、甲高い声とともにエルフ女の大きな乳房が揺れた。
一通りの行為が終わると、エルフ女は床へと倒れこんだ。満足げな顔をしている。

「おっと、部屋を汚しすぎんようにしないとな。お前もいくぞ」
ウェイトレスは人を殺した経験がないらしい。そこでユリウスは護身用の構えや
心がけを教えた。一通り終わると、早くもユリウスはウェイトレスを抱いた。
彼女もそれを心なしか期待していたようだ。喘ぎ声が二階に混じり合う。
ユリウスが下から突き上げると、女は声を上げ乳房を振り乱しながら涎を垂らした。
「おぉぉ・・・」
絶頂を迎えると尚も有り余ったユリウスの飛沫が勢い良く飛び散った。

一瞬だけ余韻に浸ったユリウスだが、気を取り直して鎧を身につけると、
ハルバードを持って完成した屋根を見にいった。なかなかの出来だ。
ここには視界が良く、射撃の能力を持つエルフ女を配置しよう。
投石機や、火薬なども必要になる。忙しくなりそうだ。

「助かる。このまま頼むぞ。俺らのリフティスを取り戻すからな」
3人に多少の報酬を与え、ダムの帰りを待った。

リフティスの街が、徐々に戦乱の兆しを見せはじめていく。

48 :名無しになりきれ:2015/08/05(水) 23:24:16.63 0戦乱の予感

49 :名無しになりきれ:2015/08/06(木) 18:01:05.29 0伝説扉を開けたな

50 :ダム ◆UoK5MXTTnk :2015/08/06(木) 19:59:24.72 0ダムとユリウスがお互いに名乗りあい、片方がワイン一瓶を開けると再び場の空気が引き締まる。

「これからここを俺の城にする。まずは準備だ」

地図を広げながら、理路整然と説明するユリウスの言葉───酒場の要塞化計画に耳を傾ける。
両方向を水路に囲まれた独特の立地条件を考えれば、防衛するポイントは一か所しかない入口に絞られるだろう。

「問題は、包囲されて日干しにされた時のことだな」

数の上ではアジンボーン側が圧倒的に優位であり、もし仮に攻めあぐねたことで寄せ手が人道の仮面をかなぐり捨てれば
他にも悪辣な手段を講じてくることはいくらでもありえる話だ。

「ダム、お前は兵力を集めておいてくれ。酒場に常駐する奴じゃなくていい。
 外から援軍として通じてくれれば大丈夫だ」
「わかった」

無論それも想定の範囲内、ユリウスから依頼を受けたダムは、人材と物資を確保すべく早速行動を開始する。
酒場を出ると、人目のない場所に移動し懐から取り出した小さな笛を吹いた。
深夜の時間帯に笛を吹く、本来なら近所迷惑な事案になるところだが………


周囲に音が鳴り響くことはなかった──ただしそれは、常人の可聴範囲での話である。
仮に聞きとれるだけの耳を持っていても、知らぬ者であれば風の音と誤認して聞き過ごしただろう。
その風の金切り声につられるように、ぞろぞろと集まる影が複数───

「来なすったな」
「やれやれ、無茶を言いなさる」
「急な呼び出しだねぇ…決起のときでもきたってのかい?」

ダムの呼びかけに応じて集まったのは、酒場の常連でもあり、近辺で大小問わず商いを行う者たち。
その面子の顔をよく見れば、人間もオークも、エルフも亜人も一様に混じっていた。
まさにリフティスの”これまでの歩み”を象徴するような面子であった。

「で、ダムの旦那ぁ、何があったか説明はしてもらえるんスよね?」
「無論だ」

一番若くて威勢のいい若者の問いかけに応じ、ダムは今夜起こった出来事を包み隠さず話し、その上で改めて協力を要請した。
人員や物資の支援、アジンボーンを相手に戦いを挑む以上、手をこまねいて相手の襲来を待つ道理は無かった。

「しかし、随分と思い切ったことをなさるねぇ」
「そのユリウスとかいう男、本当に信用に足る男かい?」

疑問や懸念の声が上がるのは当然でもあった。それでもダムは言葉を尽くし集まった一同を説得する。

「皆の懸念は良くわかる、だが今は一つの目的のために、どうかを貸してほしい」
「わーったよ、旦那の頼みとあっちゃ断れない。その男の野心とやらに一口噛んでみようじゃないか」
「ありがとう…感謝する」

一人一人の手を握って謝意を伝える。今のダムにとって、これが精いっぱいの感謝の証であった。

51 :名無しになりきれ:2015/08/07(金) 12:26:39.59 0亜人側の容赦ない増援に期待

52 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/07(金) 20:29:31.53 0朝から昼にかけて、どうやらダムがあちこちで同士を募っていたようだ。
酒場の周辺の空気が明らかに一変しつつある。
リフティス同志同盟は徐々に形になってきているのだ。

酒場は通常営業、ダムの仲間たちの影響もあり、大繁盛し、
昼にも関わらず酒場創始以来の大繁盛となった。
すっかり酒場は外からでは分からない程度に要塞化され、
鍛冶屋は屋根の隙間から偵察を行った。敵と思われる動きはない。

ダム、肉屋は自由行動だ。基本、ユリウスは男には行動の自由をある程度保証している。
肉屋に関しては普通に実家の肉屋で仕事をしていた。
この間に有志がさらに増え、大工、水夫、猟師、吟遊詩人の男たちが協力を申し出た。

ユリウスはというと、二階の大部屋で寝ていた。
ユリウスは食うこと、寝ること、抱くことに関しては超一流なのだ。
であるからして、睡眠も短時間で充分に取れる。
横にエルフ女とウェイトレスをはべらせながら寝ている。夕方からは
酒場で彼女は仕事に出る予定だ。
二人ともユリウスの肉体に寄り添うようにしている。雌としての本能が強い雄に守られることを
求めているのかもしれない。

やがて夜が来て、、ウェイトレスはユリウスに一度抱かれたあと酒場に出て、鍛冶屋は家に帰り眠りについた。
夜も更け、ユリウスは武器や防具の手入れなどをしていたが、突如エルフ女を呼ぶと、
屋上の見張りに立たせた。
すると、街に変化が訪れた。

53 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/07(金) 20:52:58.37 0ゆっくりと、明らかにプロの足取りでそれらは姿を現した。
水路の向こう側だ。
まだ酒場は開いており、喧騒が聞こえてくる。
酒場側におかしな様子はない。

暗い、水路の向こう側から何かが動いている。ユリウスには見えないが、
エルフ女の話だと、あれはエルフの精霊力のものだという。
エルフの男が2名、偵察に現れたのだ。
「待て」
こちらは屋根に隠れているので、精霊力はほぼ見えないと言っていい。
一方で向こう側は丸見えだ。とはいっても人間たちから見れば闇にしか見えないが。
射抜こうとするエルフ女を止め、こちらから見やすい位置に来たところで命令する。
「ーーー撃て」
括り付けられていた弓から矢が放たれ、エルフの男は突如首を撃たれ倒れた。
さらにもう一本の弓からももう一人のエルフ男に向けて放たれる。
二人とも倒れたのを確認すると、念のためそのまま数本をトドメとばかりに打ち込ませた。
これで偵察は全滅したはずだ。

「よし、手はず通りにしろ」
エルフ女は矢をつがえると、次々にエルフの死体の近くに何かの袋を飛ばした。
それらが付近に散らばる。今朝、ダムたちが調達したものだ。

しばらく時間を置いて、わらわらと亜人を中心とする集団が集まってきた。
10人以上はいるだろう。女もいる。恐らく報復の本隊と思われる。
ときおり驚きの声や、悲鳴のような声が聞こえるが、それらは酒場からは聞こえない程度のものだ。
ある程度亜人どもがエルフの死体に集まってきたのを確認する。
「今だ、やれ」

エルフ女が火矢を放つと、それは水路の向こうに着弾し、突如周囲を巻き込んで爆発した。
時間が経つほど威力が高まる強力な火薬だ。
この爆発で先ほどの集団の半数以上が即死し、絶叫や悲鳴が響き渡った。
逃亡する連中にさらに矢が浴びせられる。残念ながら数人は逃がした。

ユリウスとエルフ女はお互い手を取り合いタッチすると、屋根の下に降り、
そのままエルフ女を抱き下ろし挿入した。
一階では酒場の歓喜の声、二階では男女の歓喜の声がリフティスの夜に響く。
この日、結局亜人たちは攻めては来なかった。

一方、教会―

一人の若い女が、酒場へと向かっていた。
教会、リフティス支部のシスターであった。
大柄な体躯をした彼女は、若いながらも剛のもので知られ、そのへんの男なら三、四人は相手できるとのことだった。
その彼女が、昨日ダムが噂した酒場へと派遣されてくることになった。
聖魔法とロッドで武装した彼女は神に祈ると、閉店前の酒場へと向かっていった。

54 :ダム ◆UoK5MXTTnk :2015/08/07(金) 21:56:49.48 0「随分賑わったじゃねぇか、かつてないほどの大繁盛だ」
「素直に喜んでいいのか、今後のことを心配していいのかわからねぇな」

真昼間から大勢の客でごった返す酒場で、ダムは店主と談笑を交わす。
今やこの酒場はリフティス同志同盟のアジトと言って差し支えなかった。

この酒場にいる者は皆、大なり小なりアジンボーンに対する反感と不満をくすぶらせていた連中である。
人種も性別も年齢も職業も様々であり、すでに酒が入って出来上がっている輩もいた。

「リフティス万歳!」
「万歳!俺たちは本来自由だ!アジンボーンの連中が何だってんだ!」

そんな中で、必ずしも状況に酔わない者もいる。

「で、御大将は姿を見せませんけど?」

商人の一人で、木材を商う大店の女将が声を上げる。ユリウスが2階で寝ていることを承知の上で皮肉っているのだ。
いきなり町にやってきて、騒ぎを起こしただけでなく、そのまま挙兵反乱という大それた展開になったのだから、
女将ように愚痴や嫌味を口にする者があらわれるのも無理からぬところではあったが、そこはダムが諌める。

「寝るのも、旦那の仕事のうちだ」

ユリウスは指揮官である。指揮官の職務の一つは良く食い、良く寝ることにある。
何故ならそれが戦場において万全の体調と判断力を維持するために必要不可欠なことだからだ。

「(並の神経だったら、この状況下でここまで堂々と食っちゃ寝はできん筈…やはりあの男、桁が違うな)」

故にダムはユリウスを評価する。それは彼もまた市制の人間とは違う生き方を知っていたからに他ならない。

55 :ダム ◆UoK5MXTTnk :2015/08/07(金) 21:57:51.93 0無論、懸念はある。召集に応じた人員や物資、ユリウスの武勇、自らの経験と技量……
小規模の部隊ならいくらでも無力化できるだけの材料と自負くらいは持ち合わせている。

とはいえ、大規模の軍団に押し寄せられでもしたら目も当てられない。
向こうはその気になればえげつないほどの増援を呼び寄せることが可能なのだ。今と同じやり方では必ずどこかで詰む。

幸い、彼は直接的な依頼は受けてはいない。故にこそフリーハンドの自由裁量で動きたいように動けている。
特に最近は通常手に入りにくい武器弾薬の収集や、流言飛語の散布を念入りに行っていた。
この店に寄ったのは休憩ついでであり、ものの数分もすれば再び行動する腹積もりである。

「そういや、旦那がユリウスに渡したあの袋の中身はなんだい?」
「あててみな♪」

店主の問いかけを、上機嫌ではぐらかす。

「サーモバリック的なものですか?」
「うんにゃ、そんな可愛げのあるもんじゃない…もっとえげつない魔法じかけの代物さ」

会話に参加した年若い職人の問いかけにも直接的な答えは言わない。
ダムが用意した爆弾は、爆風でも高い殺傷力を誇るが、軽傷で済んだ者も次第に気化毒が全身に回るだろう。
それもただちにではなく、逃げおおせて味方の陣地に辿り着いてから、さながら伝染病のようにゆっくりと周囲を蝕んでいく。
取扱い注意どころの騒ぎではない、ゆえに口に出すのも憚られる。

「ま、なんにせよそろそろ教会も動くだろう。すべてはリフティスの自由と平和のために…だ」

グラスを空にすると、彼は店を後にした───明日の勝利のために。

56 :名無しになりきれ:2015/08/08(土) 06:43:29.38 Oユリウスはなんでいちいち女抱くの?依存性なの?

57 :名無しになりきれ:2015/08/08(土) 09:19:48.81 0本能に忠実だから
てか荒くれ男なら普通にそうなるだろ
強い雄の象徴みたいなもんだろ
お前チンポついてんか?

58 : ◆2CuhqF3bRI :2015/08/08(土) 11:30:27.87 0>>57
君、かわうぃ~ねぇ!

59 :名無しになりきれ:2015/08/08(土) 14:19:44.00 O女抱く事でしか男らしさを表現できないんだろうな

60 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/08(土) 17:20:38.98 0その頃、夜は深く、既に酒場は閉店していたが、明かりが灯っていた。
客は殆どいない。店主が食器を洗い、まだ数名の客が残っていたが、
閑散としていた。

ユリウスは例の爆薬の威力が高かったことを未だに考えており、テーブルの酒やご馳走を
かっ食らいながら、膝の上にウェイトレスを向かい合わせに座らせ、抱いていた。
ダムの帰りが遅い。それを待っていたのだ。
喘ぎ声と唸り声がときおり漏れる。

そのとき、突然扉が開き、中から大柄な若い女―― 教会のシスターが入ってきた。
「ユリウスという男はいるだろうか?話があるんだが、え…!」
入るなり、大柄な男、ユリウスの痴態に驚くが、店主が無愛想にも紹介すると、辛うじて向き合った。

「見りゃ分かるだろ、俺は忙しーの! それともお前も入る?あ、入れるか?」
酒をさらに含ませた明らかに酔ったユリウスは、緊張感の無い声で答えた。
「折り入った話だ。ちょっと時間を取れないか?」
シスターがロッドに力をこめると、手やロッドから光が出た。緊張があたりに走る。
「…あぁ」

ゴトリ、とユリウスの肉体から離れたウェイトレスが床に倒れ伏す。
彼の長大な逸物が左右に揺れるが、用意していた腰布ですぐに覆い隠した。
「良いだろう、二階で話をする」

二階にはエルフ女がいたが、すぐに用事があるということで酒場の方に降りていってもらった。
部屋の中はユリウスとシスターの二人だけだ。
シスターの講釈が始まる。

― 教会リフティス支部の情報によると、亜人によるアジンボーンが近いうちに本格的に行われる。
アジンボーンとは、短期間で輸送部隊を送り込み、街を一気に制圧し、亜人の住民を入れて人間ら旧勢力を一気に駆逐するという
いわゆる電撃作戦だ。
既に街には亜人による拠点ができており、一部の亜人は懐柔として街に繰り出している。
つい最近、ユリウスというリフティス側指導者が名前を挙げたと聞いて、教会側はアジンボーン阻止を本格的に企画した。
ユリウスらには、教会と協力して、亜人を迎え撃ってほしい。
今後合流の輸送部隊が現れると聞いている。よってそのタイミングを見て二手に分けて攻撃をしかける。
教会が合図したら、駐留中の亜人軍をユリウスやダムが率いるリフティス同志同盟が攻撃し、
敵の輸送部隊本隊を孤立させ、それを本部から精鋭を入れた教会軍が叩き潰す。
今回はその同盟の話だ、ということだ。

ユリウスは、直感的に思った。
これは俺らが利用されて、教会側は亜人の輸送物資を独り占めしようとしてるのではないかと。
「んー、話が長いな。断る」
「何故だ?」
「だってお前ら俺らを利用しようとしてるだけじゃねえか。リフティス舐めんな」
ユリウスはいかにも自分がリフティス愛に満ちているといった答え方をした。
シスターの顔がみるみる険しくなる。

61 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/08(土) 17:50:45.98 0「条件を行ってみろ、さもなければ教会もリフティス同志同盟を敵とみなす」
「あぁー、お前がさ… 俺に屈服して「兵」にでもなれ。それなら話は聞いてやるよ」
「教会に楯突こうというのか?!」

シスターは怒りを露にし、ロッドを手にした。それに対してユリウスは素早く後ろにあるハルバードに向かった。
シスターの一撃を、辛うじてそれで受ける。
「先にやったのはお前だ。何をされても文句は言うな」
酔いで顔を赤くしたユリウスは、いきり立ってハルバードをシスターに向かって振り下ろした。
そのときだった。

「ぐぁぁ… ぁ…」
ユリウスはまず、シスターのロッドが光るのを見た。これが聖魔法だ。
シスターは僅かに体を捩ると、攻撃をいなし、さらに光の玉をユリウスのハルバードにぶつけたのだ。
ハルバードからユリウスの体へと、電撃のような痛みが走る。それも強い光とともに。
「ぐぐぐ…」
ハルバードを落とし、ユリウスは光によって束縛された。筋肉がビクビクと痙攣していく。

「降参すれば命だけは助けてやる」
シスターのロッドによる攻撃が一撃、一撃とユリウスの体に刻まれる。凄まじい打撲だ。
並みの兵士なら一撃で死亡しているだろう。
何発が当てられたか、やがてユリウスは筋肉達磨のような体を蹲らせ、床に倒れた。
ときおりビク、ビクと痙攣している。
「死にはしなかったか…」

シスターは倒れたユリウスの体をひきずると、紐を使い、柱へと縛りつけようとした。そのときである。

「なっ!」
ユリウスが飛びついてきた。やはり、彼の体力は桁違いのものがあった。
戦慣れしたシスターは辛うじてロッドを手にし、再び聖魔法を放つ。
「う、あぁぁぁ…」
なんと、ユリウスはロッドにしがみついていたのだ。シスターの肉体にも痺れが走る。
たまらずシスターはロッドを落とした。
そのまま殴りあいになった。弱ったユリウスと、大柄なシスターとの肉弾戦は多少は続いたが、
ユリウスがシスターの体を捉えると、あとは一方的な展開となった。

「うっ! うっ! うっ!」
首を絞め、一瞬気が緩んだ隙に肩をつかまれ、大柄なシスターの腹へと、ユリウスの拳が一撃、一撃と入っていく。
数発の後、ユリウスが蹴り飛ばすと、弱ったシスターは壁際へと吹き飛ばされていった。
「ごほっ…!」
このときのシスターのユリウスを見上げる目は、絶望に満ちていたことだろう。
どういう目に遭うかは、女なら誰でも知っていることだった。
「殺せ!」
この言葉にユリウスは獣のような唸り声で答えた。シスターの服を破り裸にすると、
腰に巻かれていた貞操帯を両腕で砕いた。その破片がシスターとユリウスを傷つけ血を流させるのもお構いなく、
ユリウスは獣のような目と手つきでシスターを汚していった。

その陵辱は絶え間なく続いた。普段から女を抱くときは形相が変わるユリウスも、
これほどまでに興奮することはなかったのだろう。処女を散らされ、最高の肉体に抱かれるシスターの顔もさりながら、
ユリウスの表情もまた、恍惚に満ち溢れたものだった。鍛えられた大柄な体躯、巨大な乳房、官能的な腰周りは、
完全に男に抱かれる女のためのそれとなっていった。教義ですら忘れるほど、頭がおかしくなっていった。
その声は1階にいた数人にも伝わり、部屋には近づいたが、あまりの空気に扉を開けることはできなかったという。

これ以上にない快楽を貪り、欲望をほぼ出しつくしたユリウスは、僅かに体をひくつかせるシスターの姿をようやく捉えた。
これで「兵」が一人増えた。しかしリフティス全体で見れば、とんでもないことをしてしまったのかもしれない。
まだ彼女が正気を取り戻すには時間がかりそうだ。とりあえず簡単な服を着せて横に寝かせ、酒場の方に降りることにした。

62 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/08(土) 18:26:50.07 0「兵」が一人増えた。その事を説明するのに決して時間はかからなかったが、
教会の鍵を握る重要人物として、エルフ女とウェイトレスは最初は多少は警戒していた。
だが、初めて就寝を共にするようになり、多少は慣れたのだろう。
シスターの装備は上はビキニ状だが、下は教会らしい腰布で要所には程度金属も使われている。

結局、教会との約束は、「教会が駐留部隊を攻撃し、同時に同士同盟が輸送部隊を襲う」ということで決着がついた。
シスターが話をつけてくれたらしい。彼女がこちらで寝泊りをすることも承諾したようだ。
実際、教会にとってはリフティスの民間戦力は頼りなのだろう。
この日の昼も、比較的酒場は繁盛していた。
ただし、「後ろの水路付近が臭い」「あのへんで沢山人が死んだようだ」との噂はあったが。

やがて、夕方頃、一人の男が入ってきた。亜人のようだ。
ユリウスは昼頃まで3人の女と充実した行為に及び、睡眠についていたが、
この男の様子が尋常でないのを見て、鍛冶屋の男がユリウスを呼びにきた。

寝ぼけ眼で降りてきたユリウスが見たのは、火傷に苦しむ男の姿だった。
顔にはイボのようなものができており、通常ではないと思われる。
吟遊詩人の男のテーブルに着席していた。
「俺はリフティスが好きだった。だが、突然人間に襲われてさ、
これ毒なんだよな… 火傷したと思ったら毒が回ってきやがって…ゲホゲホ…」
そのような内容を話し、店主もそれに相槌をうち、同情しているようだった。

ユリウスは直感した。こいつはやばい。鍛冶屋をこっそりと呼びつけ、2階のメンバーと
残りのメンバーに配置に付くように知らせた。

やがて夜が来た。この酒場にも徐々に客が増え、いつもの姿を見せた、そのときだった。
地元民を名乗る亜人の男は酒が回ったのか、突如高らかに叫びだした。
「お前等なんだよ!ここさえ無ければ、俺らは幸せだったんだ!」
突如、亜人の男は剣を振り上げ、目の前にいた吟遊詩人の男を刺し殺した。
「ギャァァアア!!!」
その途端蜂起するように、他のテーブルでも、一人の男が周囲の客を襲い始めた。
ユリウスのハルバードが吟遊詩人を殺した男を分断する。

ゴォーン!! ゴォーン!!

鐘が鳴った。これも酒場の防衛システムの一つだ。
水夫の男が敵の集団を確認し、知らせたのだ。
正面と、水路の向こう側から、亜人どもが凄い勢いで突っ込んでくる。
あの夜に負傷した、もっと多くの亜人たちが、何らかの怪我を負っていた。全員必死の形相だ。
合計50人以上はいると思われる。

「ウワァァア!」「ギャァァァ!」
シスターが1階に下りて駆けつけ、とりあえず酒場内の敵は始末したようだ。

ユリウス、シスターを主軸とした数名の前線は、酒場の唯一の入り口を死守し、
残りのメンバーは酒場の中、要塞化された2階、屋上へと配置についた。

屋上ではエルフ女を中心としたボウガン部隊が配置され、確実な索敵をもって
水路の向こう、及び入り口に近づく敵部隊を次々に射殺していった。
屋根では水夫らが火薬瓶を投げ、投石を行い、敵の侵入を拒む。
2階からも容赦ない弓や投石が続いた。当然、敵も屋根や2階に投石や弓、爆薬での攻撃をしてきている。
1階では店主とウェイトレスが、一般客を避難誘導し、その間にウェイトレスは
客に紛れ込んだ敵を1名ナイフで仕留めた。

最も激しい戦いになったのは入り口だ。
フル装備をしたユリウスのハルバードが次々と敵を分断していく。
それでも打撲傷を負い、他の者も弓矢や槍、敵の火薬の餌食になったが、
最初は威勢よくかかってきていた敵も、徐々に間を取るようになり、
攻撃は弱まっていった。

63 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/08(土) 18:37:48.16 0「残党狩りだ!」
敵の方が明らかに数が少ないと悟ったユリウスは、味方へと檄を飛ばしたが、
敵は狂ったような目を向けてこちらに襲ってくる。
不思議と逃げる敵は一人もいなかった。

ある敵と目が合った。彼は最初にユリウスに腕を捻られた亜人の男だった。
「ヌォォォォォ!!!」
片手で鉄球を振り回すその男は、ユリウスの懐に入り、ハルバードにより首を飛ばされたにも関わらず、
ユリウスの腹に一撃を浴びせた。

バァァァン!!
鉄球が砕けて弾け、その衝撃はユリウスの鎧を曲げ、身体に相当の衝撃を与えた。
飛び散った棘はユリウスの顔にも突き刺さった。
「ぐぉ…」
それでも顔から血を流しながらユリウスは戦い続け、気が付くと目の前には
死体の山ができていた。
実にユリウスだけで30人以上を葬り、合計で100人程度の敵亜人が死亡した。

「オォォォオオオオオ!!!!」
酒場は歓喜に沸いたが、吟遊詩人を含め数名の死者を出しており、
埋葬と後片付け、壊れた酒場の修復に多くの手間を費やすこととなった。
シスター、エルフ女も負傷したようだった。

この戦いは、「水際亭の戦い」と言われ、このような酒場での戦いでは
後の歴史でも記録的な大惨事として伝えられたという。

ユリウスは仲間を多く失ったことを悲しみ、一杯の酒を飲むと、とりあえず2階で眠りについた。
3人の「兵」たちもユリウスと自分の傷を癒し、寄り添って眠った。
他の仲間は帰ったり残って修復を続けたりと様々だったが、店主だけはずっと
修理をしながら酒場の行く末を案じていた。

85 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/11(火) 17:59:23.20 0アジンボーン対策は予定通り行われた。

教会側からの通報を受けて、街の有志連合とリフティス側に寝返った人間以外の混成部隊と
教会の軍は合わせて1000人以上にも膨れあがった。

まずは輸送部隊ーアジンボーン部隊ーが現れるのを待ち、教会の部隊が
亜人部隊の総合拠点を狙う。そこに亜人が意を殺がれている間に、
輸送部隊を片っ端から潰していくのだ。

シスターら教会側は、増援も入れて優れた組織力をもって亜人相手に強固に抵抗した。
ユリウスは、次から次へと現れる敵兵を向かえ撃った。
亜人大敗北の報を聞いており、さらに不意打ちを受けて相手は士気が低い。
まずグレイトホーンを操る騎馬部隊を一人また一人と確実に屠っていった。
周囲のリフティス兵たちも、ユリウスやダムたち酒場勢が集めた武器を持って勇敢に戦った。
20人、50人と本来非戦闘部隊の連中を叩き斬っているうちに腕がなまってきた。

そのとき、向こうから精鋭らしき遊撃部隊がリフティス軍を圧倒して迫ってきた。
その部隊はメタリエスと言われる山羊風の亜人で、率いているのはチェルシエルという女だった。
敵も女が多いようだ。
「怯むな!」
ユリウスは前線指揮を執り、そのままメタリエスの遊撃部隊に向けて突っ込んでいった。
チェルシエルら複数と対峙する。
「マカベウスクラッシャ…」
テンションの低い声とともに振り下ろされたハルバードはメタリエス兵たちを次々に両断し、
あたりに血しぶきが上がる。チェルシエルも装備を粉々にされ、慢心創痍でユリウスを睨み付けた。

酒場の方では有翼部隊とリフティスの屋根からの弓兵による応戦が繰り広げられており、
指揮のまるで執れていないアジンボーンの輸送隊が次々打ち落とされ撤退していった。
すっかり亜人の輸送部隊はユリウスらリフティス勢に包囲され、戦意を失っている。

ユリウスは瀕死のチェルシエルの首を掴むと、高らかに宣言した。
「これより残党狩りをする! 降伏する奴は命だけは助けてやる。抵抗すれば殺す。以上だ!」

それでも抵抗する亜人は叩き殺され、ついに降伏が決まった。
ユリウスはチェルシエルを後ろから犯しながら、指示を出した。
「若い女はこっちに連れてこい。こっちでパーッとやろうや。
男は脚を一本切って、逃がしてやれ。無抵抗の老人や子供はそのまま解放しろ」

チェルシエルはそのまま死亡し討ち取られ、ユリウスは仲間たちとともに野戦場で複数の亜人の女を犯した。
犯した亜人はそのまま解放し、逃げ帰りたくない者にはリフティスへの居住権を与えた。

意気揚々としたユリウスはそのままリフティスの街中へと凱旋し、
街中で大いに戦勝パーティーが行われた。リフティスはアジンボーンを阻止し、亜人をついに打ち破ったのだ。

ユリウスは酒場でも祝杯を上げ、そのまま2階でシスターやエルフ女、ウェイトレスと
激しく交わり楽しむと、ぐっすりと眠りについた。

86 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/11(火) 18:20:07.39 0ユリウスは次の日、教会に挨拶に行くついでに城を建てる準備をはじめた。
荒らされた旧市街は丁度良いことに城を建てるだけのスペースと立地を備えている。
教会ではシスターが正式にユリウスの直属として認められ、
教会が今後もリフティス有志連合、すなわち今後の独立国家リフティスへと協力する方針を聞いた。

リフティスでは商店がいつぶりかは分からないが、盛況していた。
戦勝パーティーのようなものがずっと続いていたのだ。
水の豊かな水路の街は、これから隆盛を極める兆しを見せていた。


酒場に戻ると、ユリウスはとんでもない事を知らされた。
シスターが死んでいるというのだ。

二階の大部屋に上がると、シスターは全裸の肢体のまま、口と首から血を流して倒れていた。
慌ててユリウスが駆け寄る。殆ど抵抗できずに毒を飲まされ、首を切られて殺されているようだ。
店主やウェイトレス、他の人間に聞いても知らないという。
そういえばある人物の姿が見えない。エルフの女だ。

しばらくするとエルフの女が戻ってきた。
エルフ女はユリウスに詰め寄られると、シスターを殺害したことを泣きながら白状した。

殺し方は至って簡単で、ユリウスが部屋を出た後に、熟睡したシスターに前にダムが調達した毒の余りを口にぶち込み、
ぐったりとしたところを首を一刺しして止めを刺したという。
理由は、このまま行けば強靭で権力のあるシスターがユリウスとより親密になり、
自分の存在価値は無いものになってしまうという懸念からだった。できるだけユリウスを独占したかったのだ。
エルフ女の腹の中には、亜人の仔がいる。一方で、シスターはユリウスの子を孕んでいる可能性がある。
危険な存在になる前に、消してしまいたかった、というのだ。

ユリウスはまず、エルフ女の首を絞めて殺そうとした。周囲も誰も止めようとしなかった。
しかし、思いとどまった。逃げずに正直に打ち明けてくれたのが嬉しかったのだろう。
「俺の奴隷になる覚悟があるなら連れていく。自分の腹の仔は自分で何とかしろ。
覚悟がないなら、リフティスから永久に追放する」

エルフ女はユリウスについて行く道を選んだ。
ユリウスは装備や道具を持って酒場を出た。城を目指すためだ。まずは近くの小屋に住まう。
酒場のウェイトレスや店主たちとは一時の別れとなった。
今後彼女は、ユリウスが何をしようが、どんな女を抱こうが、誰を殺そうが、
黙って付いていき、ユリウスの命令には絶対に従うと、そう誓った。

ユリウスが城の建設拠点へと着いた。
近くにはこの前の戦いでリフティスに移ることになった亜人の女たちが住んでいる地域がある。
きっと何とかなるはずだ。
この戦いで100人以上を殺し、手を汚してきたユリウスは、教会ではなく、
城の方向を向いて跪き、祈った。

きっとこの街は何とかなる。それが「水の街・リフティス」なのだから。


  ― -  END  -  ―

87 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/11(火) 18:21:02.21 0ユリウスのメモ:

   つ <続き書きたい方どうぞ>

99 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/15(土) 18:05:05.41 0おまけ
~ 後日談 ~

「おぉぉ、おっ、おっ、おぉぉ・・・」
ユリウスは自分の城―マカベウス城― の最上部にて、街を見下ろすベランダにて、
エルフ女を抱いていた。お互いに一糸纏わぬ姿だ。否、厳密にはエルフ女には首輪と鎖が付けられていた。
ユリウスが左手で腰を抱き、右手でエルフ女の乳房を握ると、巨大なそれは形を変え、母乳が飛び出した。
腰をグラインドさせるたびにジャラジャラと、金属音が鳴る。下に見える城下町はまだ明るい。

あのアジンボーンから5年の月日が流れた。リフティスはすっかりまとまり、
ユリウスを国王とするリフティス王国として独立した。
エルフ女は今でも奴隷として、裸で城の最上フロアでユリウスに仕えている。
見た目の美しさが変わらないのは、さすがエルフと言うべきだろう。
意外に活躍したのは、あの亜人を捕まえるときに逃していた連中だった。
男、若い女、年寄りと子供… ユリウスは亜人の住民部隊がこれで全員だと思っていたのだ。
忘れていた存在は「おばちゃん」であった。
亜人のおばちゃん達は、それはもう自由にリフティスの街中に浸透していった。
基本的に彼女たちは働き者で、商売の知識も豊富なものがおり、
地元のおばちゃんたちと「オバチャンボーン」と言われ伝説となるプロジェクトを生み出し、
一気にリフティスは交易拠点となるほど優れた商業の街となった。
街は豊かになり、外交も上手く進んだ。
軍事力もユリウスを中心に強化され、外敵が侵入してきたときはことごとく兵を率いて打ち破った。

エルフ女はあのあとすぐに、腹が大きくなり、亜人の血の混じった子を3人産んだ。
2人は男の子で1人は女の子だった。
これでエルフ女は生殖機能を失い、子供が作れない身体になった。

さらに、その後酒場では、ウェイトレスがユリウスの子を産むことになった。
男の子で、密かにマリウスと名付けられた。国王であるユリウスとの関係は伏せられることとなり、
あの当時は欲望と流血で塗れた酒場の2階の大部屋で子育てをすることになった。
マリウスが生まれた後も、ユリウスはウェイトレスを孕ませ、2人目の女の子を産ませ、ユリエルと名付けた。
これでユリウスが度々「お忍び」として酒場に入り浸ることにもなった。

ユリウスの子孫は、厳密にはこの限りではない。>>14など、何らかの形で子を孕み、出産することになった女は複数いた。
近所にできた王立養成所にもそういった子供たちがいた。アジンボーンのときにユリウスらによってできた子たちを、
街では「ユリウスチルドレン」と呼んだ。彼らは亜人との血が混じっており、特にメタリウスとのハーフは屈強として大事に育てられた。
将来の精鋭兵力となるのだ。
そこでの教官の一人として、彼らに武芸を教えるのもユリウスの趣味の一つだった。
エルフ女の子供たちもそこで生活することとなった。

ユリウスの今後の展望としては、酒場にいるマリウスらが大きくなったら、
ウェイトレスを正式に王妃として迎え入れ、マリウスやユリエルのことを公開するつもりだ。
そのときは酒場を解体して記念館とし、店主やそこで世話になった連中を要職につける予定だ。

100 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/15(土) 18:35:14.41 0ユリウスの一日は、まず朝起きたらエルフ女を抱き、作ってもらった飯を食らう。
そして水を浴び少し休憩を取って準備運動を行う。
体が充分出来上がったら、養成所や兵舎に行って彼らを鍛える。
勿論、ストレス発散に多少乱暴になったり、時には過って殺してしまうこともある。
その後は城下町をぶらつき、繁栄した商店街を見回り、昼飯をかっ食らう。
そして適度なところで女を見つけて抱き、再び湖岸の方で鍛錬を行う。
この場合自分のお気に入りなどを連れて鍛えることもある。
そして日が暮れる前には酒場に入る。そしてウェイトレス、マリウスとユリエルに会う。
家族サービスという訳だ。
夜は当然、そのまま下の酒場で好きなだけ飲み食いをする。
このときにたまたま居た女に手を出すことも茶飯事だ。
そう考えるとユリウスの血を引く子供たちの数は、実は三桁はくだらないのかもしれない。
酒場からは城に直行し、酒を飲み、街を見下ろしながらエルフ女を抱き、そして眠りにつく訳だ。

ユリウスは全てが満たされていた。
国を作るという夢も実現し、あらゆる欲望の限りを尽くしている。
実はエルフ女の娘も、血が繋がっていないということで、既に肉体関係を持っている。
亜人の子は成長が著しい。特にエルフの血を引いていることもあり、その娘は美しかった。
娘もまた、ユリウスに絶対的な忠誠心を持っていた。
リフティスの軍事力は上がる一方だ。もしかしたら生きている間に外の国家を侵略するということもあるかもしれない。
そう思うとニヤリ、と笑みが漏れてくるのだった。



……
ユリウスは腰を振り続けていた。
彼の今日の表情には、まるで笑みがない。
ただ一点だけを、彼は見つめていた――酒場の方向だ。
「お、おぉ・・・ うぉぉ・・・」
ユリウスが突然体位を変え、左手でエルフ女の腰に手を回し、右手で首に手をやった。
エルフ女が目を見開いた。ユリウスは今日起こった出来事を全て知っていたのだ。
ウェイトレス、マリウス、ユリエル、そしてエルフ女の娘…
その四人は全て、首を刃物ないし矢で突き刺され、殺されていたのだ――!

やはりこの女とは最初から関わるべきではなかった…!
もしくはあの時、さっさと殺すべきだった。
この女は、「全く奴隷になどなっていなかった」のだ…

エルフ女が動かなくなり、やがてあまりの力に首から頭が外れた。
死後硬直によって結合部が締まり、ユリウスが射精すると同時にそれは崩れ落ちた。
残りの飛沫が城のベランダから飛び出し、それは夜のリフティスの闇へと消えていった。

全裸のユリウスは膝をついて崩れおち、頭を抱えてうずくまった。
自分は文字通り、「裸の王様」だったのだ。

夜明け前、ユリウスはここに来た時の装備と貴重品、金銀財宝を最低限持ち、
最上階の見張りの兵たちを気絶させると、そのまま下へと続く非常梯子を降り、
そのまま闇に紛れて街の秘密の抜け道を通って、リフティスを脱出し、美しき水の街に別れを告げた。

リフティス王国はこれより、共和国への道を辿ることとなる。
それはまた後の話。

101 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/08/15(土) 18:36:23.90 0ユリウスのメモ:

 つ<これで本当にユリウス編は -完- になるよ! 続き書きたい方どぞ!>
  

リフティス編 第二部

109 :◇ここまでの水の街リフティス◇:2015/08/19(水) 18:58:40.47 0自然が豊富、水も澄んでる、人もいい人ばかりで恵まれた平和を謳歌し続けること250年の水の街リフティス。
何事もないまま平和251周年目を迎えると思われていたその時、亜人連合国家アジンボーンの襲来に見舞われた。
突如亜人達の支配下に置かれ、安穏しか知らないリフティスの住人達は今まで目を向けてこなかった
外界の状況を知らされる。(>>9

世界を取り巻く大不況の嵐をきっかけとして各地で種族間抗争が表面化する一方で北の部族と南の帝国が
覇権を握らんと勢力拡大に乗り出しているという、まさに戦乱の世が訪れていた。
アジンボーンもまた、対立する人間と戦う為に動き出した野心ある者達であった。
町の歴史的背景から他種族に対しても隔心を持たないリフティス住人はアジンボーンを拒否しなかったが
それがアジンボーン占拠事件後も街に種族の優劣意識と種族カースト制度を根差す事となる。(>>16

日に日に街中での亜人の専横が目立ち始める中、リフティス住人の全員がアジンボーンの支配下に
置かれたままの現況を黙って見過ごしている訳ではなかった。(>>21
一部の住人達は亜人に迎合する素振りを見せながら、秘密裏にリフティス有志同盟を結成し
着々とアジンボーンの排除計画を進めていたのである。
それと並行するように、アジンボーンとの敵対を身をもって明らかした街の宿に宿泊中の傭兵ユリウス(>>29)と
雑貨屋経営者の亜人ダム(>>31)を巻き込み、事態は動き始める。

酒場で亜人兵を軽々と退けたユリウスは冒険者やエルフの女性を配下に置くと、ダムと酒場の主人ら
現地での協力者も得て、酒場をアジンボーンと本格的に戦う為の簡易拠点に仕立て上げた。(>>40
ダムの仲間集めと物資調達も迅速に行われ、ニ日もしない内にリフティス有志同盟は形となり
ユリウスとダムの二名を首魁とした小規模な武装組織はここに発足する。(>>52
しかし、アジンボーン側の動きも速かった。
酒場近辺での異変を察知し、まず偵察兵を送り込んだ。
偵察兵が倒れるなり、敵性戦力が酒場近辺に潜んでいると確信すると更に小隊を差し向ける。
これも難なく退けたリフティス有志同盟は、一時ながらも勝利の歓声に沸いたのだった。(>>53

110 :◇ここまでの水の街リフティス◇:2015/08/19(水) 19:04:44.30 0初戦勝利の翌日、閉店前の酒場へリフティス支部の教会のシスターが訪ねてきた。
彼女は近々アジンボーンの軍勢が攻めてくるという情報を齎すと同時に、リフティス有志同盟と
教会本部が有する軍閥との共同戦線を申し入れてきたのである。(>>60
リフティス有志同盟は教会軍の兵力を加えて、遂にアジンボーンに正面から拮抗しうる戦力を得る。
水際亭の戦い(>>63)から程なくして発動されたリフティス有志同盟と教会の連合軍隊による
アジンボーン討伐作戦は成功、大勝利を収めた。
亜人の侵略から始まった、水の街の中の半月にも満たない短期戦争。
後にアジンボーン占拠事件と呼ばれる戦いはかくして終息を迎えたのだった。(>>85

アジンボーン占拠事件から五年後。(>>99~)
水の街リフティスは英雄ユリウスを国王に祭り上げ、独立国家リフティス王国として歩み始めていた。
が、その矢先。
突然の王の失踪とその関係者の死亡という謎を残し、傭兵から王に成り上がった
欲望の豪傑ユリウスの物語は幕を閉じる。現在でもこの一件については
アジンボーン武官チェルシエルもしくは教会のシスターの呪い説、ユリウスに嫉妬した男の陰謀説
行方の知れなくなっているダムが国家転覆を企むクーデターの首謀者で、愛人や娘を殺害した為
報復に出かけた説など現在でも信憑性があるのかないのか分からない、様々な噂が
主のいなくなったリフティス王国領内で囁かれているという。

111 :名無しになりきれ:2015/08/20(木) 00:26:29.30 0歴史の復習いいゾーこれ

112 :名無しになりきれ:2015/08/20(木) 05:32:01.46 0gj!!
見易くてありがたい

113 :名無しになりきれ:2015/08/20(木) 08:15:12.65 0二章はほのぼのした状態から頼む

114 :名無しになりきれ:2015/08/20(木) 16:23:37.06 0ほのぼのレ

115 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/21(金) 21:10:13.40 0名前:リック・クロイドン
年齢:28歳
性別:男
身長:171cm
体重:60kg
スリーサイズ:痩せてはいるがそれなりに引き締まった体型
種族:人間
職業:武器屋
属性:無いと思われる
性格:飄々としていて諦観的
利き手:右
魔法:炎の魔法が少し使える
特技:武器を鍛える
髪の色、長さ:黒で適度に長い
容姿の特徴・風貌:どこか影のある青年
趣味:歴史の勉強
将来の夢(目標):リフティスを栄えさせること
簡単なキャラ解説:かつてのリフティスの自警団員で武器屋。比較的人種間の対立には関与しなかった。
その後は武器屋を続けながらも、マカベウス城兵士を経て、ユリウス失踪後は解雇されて現在は武器屋を細々と営んでいる。
父を先の戦争で失い、妹をユリウスに襲われた経験を持つ。

116 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/21(金) 21:31:14.63 0ここはリフティス。平穏な水の街。

アジンボーン撃退から5年、そして国王ユリウスの謎の失踪からさらに5年が経った。
つまりユリウスがここを訪れてから10年が経過したということになる。
ユリウスの失踪後、領主の家系が実権を殆ど持たなくなっていたこの街の権力は、教会が掌握してしまった。
城はある程度の捜索がなされ、あっという間に教会の大聖堂へと建て替えられた。

そして、周囲の大国の影響を免れた湖岸の各都市との間に都市同盟を結ばれている。
ユリウスが専制政治を行っていた頃は栄えた交易も、教会の検閲により比較的衰退し、
リックの家も徐々に貧しい暮らしになっていった。
傭兵や冒険者になろうとも何度も考えた。

「それじゃミリア、俺は店に戻るからな」
武器屋はどうしても閉めることができない故に、妹家族に顔を見せるのは決まって早朝だ。
「ありがとう兄さん、頑張ってね」「リックおじさん、頑張って!」
妹はこの街に来たばかりの頃、川で泳いでいたところをユリウスに襲われた。
そのときに出来た子が、隣にいる娘、セティだということだ。もう9歳になる。

妹、ミリアはもう26歳だ。あの時、実はミリアには恋人がおり、来年には結婚する予定だった。
それを崩したのはユリウスという男だった。リックはユリウスを憎んではいるが、ミリアによれば、
今でも自分にとっての旦那はユリウスであり、セティの父親はユリウスだという。
リックはもうこのあたりの感覚に関しては諦めに似た感情があった。

リック自身についてもそうだ。父たちが伝承した武器屋はしばらく継ぐ必要はなかったが、
結果的に戦争により跡を継がざるを得なくなり、さらに魔法の才能も中途半端で終わり、
自警団のようなことをしていたらユリウスが城を作ったので兵士になり、かと思えば
突然ユリウスがいなくなって解雇。もう訳がわからない。
自身の色恋沙汰にすら興味が無くなりつつある。

今は図書館で本を読むのが趣味だ。とはいえ、教会の間接的な管理を受けている図書館は決して蔵書には恵まれていない。
しかし、元々インテリだったリックにとってはこれが数少ない楽しみだった。

リックは必ず4日に1回は店を閉め、リフティスを楽しむ。
今日も水路は光が反射して美しい。湖が見え、まさに水の都を極めている。
少し寂れた商店街も、これまた粋なものだ。
水路沿いにある図書館も、良い感じに古めかしく、実に良い一日が過ごせた。
この日はリフティスの軍事侵攻の歴史についていくつか研究を進めた。
ついでに大分弱くなりつつある魔力を何とかしようと、魔法の研究もした。
図書館が締まると、リックはあの場所へと向かう。
「新水際亭」だ。石碑の建つこの酒場は、今ではリフティス民の楽園だ。
今夜もきっと楽しい仲間が迎えてくれる。そう期待しながら扉を開けた。

117 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/21(金) 21:34:37.51 0【リフティスの街の仲間募集中。どんどんどうぞ!】

118 :名無しになりきれ:2015/08/22(土) 15:41:58.60 0そのうち支援しに来る

待て、しかして希望せよ!

119 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/08/22(土) 15:57:35.69 0名前:オグリット・コールマン
年齢:25
性別:女
身長:186cm
体重:82kg
スリーサイズ:112・63・106
種族:亜人と人間の混血
職業:傭兵・料理人
属性:土
性格:快活にして妖艶
利き手:右
魔法:使えないが、魔道具を起動させることは可能
特技:脳天唐竹割(文字通り)
装備品:強化の魔法の掛けられた規格外の大剣・棘付きの鉄球をいくつか・ビキニアーマーに手甲
所持品:調理道具一式・旅道具・食材(干物や燻製など)
髪の毛の色、長さ:亜麻色の髪を腰まで伸ばしている
容姿の特徴・風貌:かなりの美貌であるが、額に生えた短い一本角が目立つ。筋骨逞しく、それでいて魅力的な肢体。
趣味:料理作り・酒飲み・そして暴れること
将来の夢(目標):金を貯めて、いずれは料亭の主人になること。
簡単なキャラ解説:亜人の中でも上位種である鬼人との混血、そのため人並外れた筋力を持つ。
 流れ者であり、戦地では傭兵として、そうでない土地では料理人として腕を振るっている。
 難しいことは考えない主義なので、リフティスの歴史や世情には全く興味がない。

120 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/08/22(土) 15:58:49.62 0「ここがリフティスかい? 良さそうな街じゃないかい。来て正解さね」

長旅を経てリフティスにたどり着いた背の高い女オグリットは、船着場の前で歓声を上げた。
ここまでは北の山を越え、川を船で下りたどり着いた。そのために手持ちの財産は乏しい。
ようやくリフティスに辿り着いたからには、まずは職探しから始めねばならない。
傭兵の登録所があればそこで手続きを済ませ、特に急ぎの仕事がなければ酒場などで料理人として雇って貰わねば。
いかにも重そうなリュックと大剣を軽々と背負い歩きながら、街の様子を見て回る。
きな臭さはあまりないが、大して繁栄はしていない街のようだ。これは職探しに苦労するかも知れない。

「おい兄さん。ちょっと尋ねるけど、ここいらで流行りの料亭か酒場はないかい?」

そんな感じに何人かに訊ねた結果、新水際亭なる酒場を紹介された。
どうやらこの辺では一番うまい酒を出してくれる店らしく、ファンも多いのだとか。
オグリットの料理の腕前は伊達ではない。各地を巡り歩いて様々な料理を学び、自分なりにアレンジも加えている。
金になる珍しい食材も持ち歩いているので、どんな環境でもとりあえず料理することは可能だったりする。
だが、露店を開いて料理を振舞うのは効率が悪い。腕のいい店に雇われるのが一番良いのだ。

そんな訳でその日の夕暮れ時、オグリットは新水際亭に辿り着いた。
暮れなずむ街、夕日が水路や湖に反射して美しい情景を描き出している。
そんな水路の際に建てられている新水際亭は、反射する光に揺らめいて見えた。
店は当然開いているようなので、とりあえず扉を開けて中を覗き込む。
まだ早い時間なので客入りはぼちぼちと言ったところだ。しかし、この時間ですら人が入っているなら夜は込み合う事だろう。

「どうも、何かきついのを一杯貰えるかい?」

そう言って、カウンター席に陣取る。料理人としての営業の前に、この店の味を知っておく必要がある。
前評判は聞いているが、頼りになるのは己の舌だ。酒はうまいが料理の不味い店だってある。
職探しの一環ではあるが、料理修行もしたいのでうまい料理を出す店で働きたいのである。
酒とお通しが出されたタイミングで、魚の香草焼きを注文する。それから豆のスープも。
出されたお通しは芋の煮たものだった。単純な料理ではあるが、だからこそ腕前が試される。

「ふむ、うまいな! おやっさん、これの出汁は鶏ガラだけじゃないね? 魚かい?」

そう言って、出された料理を褒め称える。なるほど、水の都だから魚料理が多いのか。
新鮮な魚が手に入るなら、料理のバリエーションも独特のものになるだろう。良い勉強になりそうだ。
芋に舌鼓を打ちながら、酒を二杯ほど飲んだ頃に香草焼きが出た。さて、これは期待が出来る。
焼きたての魚(知らない魚だ)はふっくらと仕上がり湯気を立て、香草の香りが鼻をくすぐる。
香草は見知ったものであるが、その配合も実に良い。魚の臭みを消し、同時に食欲もそそるのだ。
一口食べて、思わず口から歓声が漏れる。酒を勢い良く呷り落ち着くと、再び魚を口にした。

「なぁ、この魚は実にうまいね。焼き加減が絶妙だよ、いや勉強になった」

この店ならば腕を振るってみたい。料理人にそう決心させる一皿であった。
とりあえず傭兵は置いといて、この店に雇って貰おう。宿も近いし好都合だ。
ついでに仕入れている酒も悪くない種類ばかりだ。酒飲みとしては嬉しい店である。
今はこれから忙しくなる時間だし、店が落ち着くまで客として待つとする。それまでは飲んだくれよう。
そう決めた時だった。扉のベルが鳴る音になぜか気を惹かれて振り向くと、一人の男が入店するところだった。
これと言って特徴はないが、どこか影のある雰囲気が気を惹いたのか。とにかく、何故か気に入った。

「やぁそこの兄さん、せっかくだしあたしと飲まないかい?」

何がせっかくなのかは全くの不明であるが、とりあえずオグリットはそう言って誘った。
酒場での一夜の出会いもまた良いものだ。亜人混じりで警戒されることもあるが、オグリットはそれを差し引いても余りある美人なのだ。
こうして酒場で声を掛けたり掛けられたりすることも良くあるし、一晩を共にすることだってある。
もっとも、並外れた筋力と体力があるため、大抵の男は朝まで持たず先に参ってしまうのであるが。
ちなみに、オグリットは酒場でよく腕相撲をする。美女が相手だからと盛り上がるのだが、今のところ無敗なのだ。
態の良い小遣い稼ぎになるため、なかなかやめられない「遊び」だったりする。ちなみに餌は自らの体である。

121 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/22(土) 17:43:36.53 0新水際亭は、外から見た感じはいつも通りだった。
かつてはここが閉店寸前になったと言われている。リフティス史でも未曾有の殺しがあったからだ。
この周辺には沢山の無名墓があり、おびただしい数の霊がいるとの噂が絶えない。
それでも人がいるのは、ここの店主の腕が良いからに違いないのだ。
今日はやたら威勢の良い女の声が聞こえる。

中に入ると、やたらと身体の大きな女が楽しそうに飲みながら店主と話をしていた。
店主の表情は、やはりリックと同じく影があることが多い中、今日は楽しそうだった。
女と目が合ったが、今日は辛うじて貸して貰った本もある。特に気にすることはない。
リックは店主に目配せすると、奥の席に腰掛けようとする。そのときだった。

「やぁそこの兄さん、せっかくだしあたしと飲まないかい?」

女が声をかけ、近づいてきた。まずは警戒を強め後ずさった。
女が亜人のハーフだと分かったからだ。
「ユリウスチルドレン」と呼ばれている奴らがいる。かつての紛争での遺産のようなものだ。
今は9歳になる亜人のハーフである。
ハーフは成長が著しい。特にユリウスの血を引いていると身体も大きく、女でも目の前にいるような奴も珍しくない。

女を上から下までまじまじと見た。そしてリックは気付いた。こいつは間違いなく「ユリウスチルドレン」ではない、と。
顔に刻まれた人生経験のようなものが物語っている。ガキではない。恐らくリックと同じぐらいの年代だろう。
それも表情の朗らかさからして、余所者の可能性が高い。
「分かった、そうしよう。今日は良い収穫もあったところだ」

リックは自分の名前と職業を紹介した。
この女は分かりやすい性格だ、とリックは思った。とりあえず、腕力と料理には自信があるようだった。
酒が回ると当然、リックも楽しくなってくる。まずは商売上、営業文句からだ。

「あんたは確かに大きい。良い武具も持ってる。だが、俺の店を舐めるな。そういう連中を相手にモノ作ってんだ」
リフティスは亜人が多い街だ。特に大柄な住人が増えると、その分色々なサイズの武器防具が必要になる。
明日の朝はまた店を開店することになる。この女には是非とも店に足を運んでもらい、商売をするのだ。

女はこの店の料理人になりたい、と話した。それを聞いたときはまず一笑した。
明らかに戦士タイプの人物がこの時世、何を夢のようなことを言ってるんだ、と。
だが、この街の活気が弱ってきていることも事実、教会によって交易は制限され、思想の統制もされている。
こいつは明るそうな奴だ。

「それに、俺だって…」
リック自信も色々な夢を見ては諦めてきた人物だ。もう30歳も近い。
夢を追うこの女の姿勢に、興味を持ったことは事実だ。
「まぁ、良いんじゃないかな。ところで…」

リックは2階を指した、奥に古ぼけた階段がある。
「ここの2階は宿になっているらしいが、ここで昔あった事件について知りたいか?」
リックは大事そうに本を取り出した。図書館の館長から特別に借りたものだ。
”リフティス水麗都市伝説”
この本はフィクション風になっているが、よく調べてみると事実でもある。
今リックが一番ハマっているものだ。

122 :名無しになりきれ:2015/08/22(土) 20:08:00.46 0住んでみたい度No.1目指せ

123 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/08/23(日) 00:20:34.83 0>「分かった、そうしよう。今日は良い収穫もあったところだ」

最初こそ警戒されたものの、男は朗らかに笑って同席を許してくれた。
旅をしていれば怖がられる事も多い。特にこんな立派過ぎる体躯では、相手を圧倒してしまうからだ。
流れ者で、亜人の血を引く女。扱いが悪いのは致し方のないことである。
それでもこの街では、オグリットは悪目立ちすることはなかった。亜人が多いのだ。
交易を主とする土地では流れ者が定着する事も多いが、この街の亜人の数は少し意外だった。
この街では過去に何かあったのだろうか? いや、大して興味はない。

リックと名乗った男は、この街で武器屋を営んでいるらしい。
傭兵を生業としているからには、多少武器には興味がある。この大剣だって使い込んだものだ。
並外れた腕力を持つが故に、普通の武器ではすぐに使い潰してしまう。
この大剣は普通盾などに使われる強化の呪文を刻み込み、耐久度を上げた特注品だ。
まぁ荒っぽい使い方をしているので、この剣もいつまでもつか分からないが。

>「あんたは確かに大きい。良い武具も持ってる。だが、俺の店を舐めるな。そういう連中を相手にモノ作ってんだ」

「へぇ、なら明日にでも店を覗かせて貰うよ。良い武器はあるに越したことはないさね」

しばらくまともに働いていないため、大した買い物は出来そうにはないが。
とりあえず傭兵でも賞金稼ぎでも料亭のバイトでも、金になる仕事が必要になるだろう。
それにしても、リックの店では超重量級の武器は扱っているのだろうか?
剣でも棍棒でも良い、並外れた腕力を生かすには重い武器が最も求められるのだ。
現在使用している大剣は特注品であるから、これに見合う武器はないかも知れない。
重く丈夫で長持ちする武器となると、探すだけ無駄……特注したほうが早い。

ところで、オグリットの夢は料亭を持つことである。そのために料理修行にも励んでいるし、お金も貯めている。
傭兵職はあくまで金策に過ぎない。料理人として生きる事こそオグリットの夢なのだ。
そんな夢をリックに語ったところ、一笑に付されてしまった。それほど似合わない夢だろうか?
確かにオグリットの体は戦闘に特化したものであるし、幾たびの戦場も巡っている。
一騎当千の実力はあれど、それで名を上げることには全く興味はない。まぁ、戦いは嫌いではないが。

>「それに、俺だって…」

言葉を濁すリックを、オグリットは首を傾げて見つめる。彼にも夢はあるのだろうか?
ああ、夢破れた者はこういう目をするんだった。オグリットはそう思い出した。
戦場で知り合い友となった者が、戦いの途中で片足を失う大怪我をした。その者の目に似ていたのだ。
彼は武勲を挙げ、いずれ将軍や戦士長にでものし上がるつもりでいたのだ。
だが足を失ってしまっては、戦うどころか普通の生活すら難しくなるだろう。
オグリットはそんな彼を見送る事くらいしか出来なかった、それを今も悔やんでいる。

>「まぁ、良いんじゃないかな。ところで…」
>「ここの2階は宿になっているらしいが、ここで昔あった事件について知りたいか?」

「事件? 肴になるなら聞いてもいいさね。どんな話なんだい?」

オグリットはかつてこの地で起こった戦乱を知らない。ユリウスという男にも興味はない。
店の外に墓標があったが、それに祈るつもりも義理もない。死んだ者に用はないのだ。
しかし、これから語られる物語はオグリットの血を沸かすだろう。英雄譚は嫌いではない。
彼女は根っからの戦士だ。熱い戦いこそがその胸に火を灯し、戦場で生き残る事だけで満たされるのだから。

「ところで、この辺で傭兵の仕事はないのかい? 何か良い情報があれば買うさね」

124 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/23(日) 13:53:27.19 0「へぇ、なら明日にでも店を覗かせて貰うよ。良い武器はあるに越したことはないさね」

どうやら話が弾んだらしい。女―オグリットは武器屋に立ち寄ってくれそうだ。
より緊張がほぐれる。
武器を良く見てみると、確かに普通の戦士ではまともに扱うこともできなさそうだ。
これは手入れに時間がかかる。その分、リックとしては長いメンテナンス期間を得て、
その分高い報酬を得られる訳だ。オグリットがどれだけの予算なのかは不明だが。
もちろん、このクラスの大きさの新しい武器も在庫もあれば作るだけの材料も揃ってはいる。

「事件? 肴になるなら聞いてもいいさね。どんな話なんだい?
この辺で傭兵の仕事はないのかい? 何か良い情報があれば買うさね」
オグリットが訊ねる。とりあえず地元の人間としてはこの女には長く居ついて貰った方が良いだろう。
悪い奴ではなさそうだ。お互い酒がだいぶ入ってそう思った。

「まずここの2階が宿になっている…前は大部屋だったが、今は個室になって泊まりやすくなった。
そこそこ安いぞ。ここに泊まってマスターと店員になれるか交渉してみたらどうだ?気に入られてそうだしな。
勿論、料理だけじゃなくてウェイトレスもやらされるだろうが、な。
傭兵関係の話も、ここには傭兵や冒険者も集まる。そのうち良い話にあり付けるだろうよ」

そこまで言うと、リックは2階への入り口を指差し、本を開いた。
「あんた、ユリウスって男は知ってるか?」
リックは顔を少ししかめながら訊ねた。あまりあの男の話はしたくない。

「ここの2階は元々大部屋だった。そこをユリウス…要はかつてここで王様になった奴さ。
そいつが貸しきってこの酒場に住みついたって訳だ。」

本にはかつての「水際亭」の間取りなどが記載されている。別の客を相手している店主に聞こえないように、
声を少しひそめた。その部分の文書を読みながらリックは説明を続ける。

「当時…そうだな、10年前だ。その頃はアジンボーンでこの街は荒れていた。酒場でも女の売り買いがされていた。
そこに現れたのがユリウスだった。奴がこの酒場でならず者を懲らしめて、まるで亭主のように居座ってたんだ。
あれは獣…いや、バケモノだった。並みの男じゃ10人かかっても敵わないだろうな。
気に入らない亜人を殺し、女たちを屈服させては2階で好き放題やってたそうだ。
当時教会には女の神官であんたぐらいの剛の者がいたんだが、そいつもやられちまった。
俺も実物を見たが、俺の頭二つ分ぐらいでかくて、おまけに全身鎧に馬鹿でかいハルバードだ。
この文章にユリウスの強さが書かれてるが…あんたなら勝てるか?それとも、屈服しちまうのかい?」

文章を指しながらオグリットに説明する。そこにはユリウスのことが、まるで鬼のように書かれ、
また女をあっという間に手篭めにしてしまう好色ぶりも極端に書かれていた。

125 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/23(日) 13:54:02.61 0なお、リフティスでは教会がユリウスは死亡したことにしており、街の住人の多くもあの暴君が
突然居なくなったことから、大半は死亡説を信じている。しかし、この酒場のかつての常連たちは
それを否定する者が多い。
そして、リックは説明を続けた。
自分の妹が通りがかったユリウスに捕まり犯され、子供を産んで娘がもう9歳になること。
武器屋を何度か訪れた(女神官を伴って来たこともあった)が、何度もユリウスを殺そうと思い、
結局できなかったこと。今でも妹がユリウスの帰りを待っていること。
話しているうちにリックはだいぶ怒りを押し殺したような声になってきた。

「あぁ、そういや2階で起こったことだが、女神官やユリウスの隠し子たちが相次いで殺されたらしい。
これがユリウス失踪とほぼ同時に起こっている。この著者はユリウスが殺したということで結論付けている。
俺もそれに同感するね。もし来ることがあれば、次こそは仕留めたいもんだな」

オグリットの表情を眺めながら、思い出したようにリックが言う。
「はは、そうだな。仕事といったら、ユリウスの始末依頼…かな…」

ガラリ、と酒場の扉が開く。
そのとき、亜人ハーフたちの一団が酒場へとやってきた。
若い連中だ。きっと「チルドレン」だろう。ガキのくせに酒も大好きな困った連中だ。
そいつらを率いている奴は亜人そのものだった。片足を義足にしている。
歴史に詳しいリックは、そいつがユリウスらとの戦いで斬られたものだろう。

「そこのお二人さん、ちょっとどいてくれや。そこ、俺らの特等席なんでよ」
男たちがリックとオグリットに掴みかかり、無理やり席を移動させようとする。
わざわざ席が空いているのにこういうことをするのが、連中のいつものストレス解消法なのだ。
リックは黙って立ち上がると、オグリットの手を引いてさっさと席を移ろうとした。

126 :名無しになりきれ:2015/08/23(日) 15:36:36.66 0そろそろ敵側も欲しいよなあ

127 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/08/23(日) 21:46:07.19 0オグリットは時々本を見つめながらのリックの話に、黙って酒を飲み聞いていた。
確かに興味深い話ではある。難しい話は嫌いだが、こういった話は好きなのだ。
戦士から王にまで上り詰め、そして失踪した男。どこまでが真実なのだろう。
死体が上がっていない以上、死んだとは限らない。しかし、そんな男が目立たず生きていけるだろうか?

「ユリウス、ねぇ。結構な豪傑がいたものさね。まぁ手篭めにされるかはともかく、会ってみたいものさね」

そう言ってから、店主に酒の追加を頼む。もうかなり飲んでいるが、全く酔う様子がない。
話を進めていくうちに、話の内容はリックの家庭の話に、そして表情はより暗いものになってゆく。
妹と9歳の子供、そして結局ユリウスに復讐を果たせなかった事。なるほど、それが彼の影なのか。
酒を持ってきた店主が口を挟む。この街には、ユリウスチルドレンと呼ばれる子供たちがいるらしい。
亜人混じり、人の子、種族こそ違えどユリウスの撒いた子供たちだ。もっとも、亜人混じりならすでに成人しているが。
そんな連中が、早くも街の治安を脅かしているらしい。全くもって迷惑な話である。

>「はは、そうだな。仕事といったら、ユリウスの始末依頼…かな…」

「死人は始末出来ないさね。まぁ生きていたとしても、果たしてどこまで流れたのやら」

どんな理由で失踪したにせよ、生きているなら街を離れたことだろう。しかも5年も前の話だ。
何らかの事情でリフティスへ舞い戻ってくる可能性もあるが、そうでなければ見つけることは不可能だ。
しかし、そんな男がまだ生きているのなら一戦手合わせしてみたい、そう思った。
一口に亜人と言っても色々種類がいる訳だが、オグリットの血脈である鬼人の気性はとても荒い。
戦闘能力も他の亜人に比べ群を抜いている上に、とても戦いを好む一族なのだ。
そんな血を引くオグリットであるから、力は強いし喧嘩っ早い性質だったりする。

そのとき、新しい客の一団が入ってきた。しかしどうにもガラが悪そうだ。
入ってきたのは亜人の男ばかり、しかも成長はしているが実年齢はガキばかりである。
どうにもきな臭い連中だ。徒党を組んでいい気になっている連中なんて、目障りなだけだ。

>「そこのお二人さん、ちょっとどいてくれや。そこ、俺らの特等席なんでよ」

なるほど、そういう手合いか。ならばこちらも容赦はいらないとオグリットは思う。
手を引いて席を移動しようとするリックの手からするりと抜けて、オグリットは亜人混じりの手を取った。

「なぁ坊や、目上の人には敬意を払えって教わってないのかえ?」

そう言って、握っていた手を文字通り「握り潰した」。
まるで飲料水のペットボトルのようにひしゃげた手を振り回し、悶絶する男。
絶叫しながらひっくり返った男の口に勢いよくかかとを突っ込んで黙らせ、オグリットは言い放った。

「ここじゃ店の迷惑になるさね。お姉さんが店の外でいくらでも相手になるけど?」

そう言って、誘うように腰を振りながら店を出るオグリット。ちなみに彼女の大剣は席に置いたままだ。
一瞬あっけに取られていた一団だが、すぐに正気を取り戻すと怒号を上げて店を飛び出した。

……そして三分後、艶やかな顔をしてオグリットは戻ってきた。無傷である。
その手甲が血で濡れていることから、戦いの壮絶さは十分に伝わるだろう。
やられた連中はまとめて道の隅に積み上げられており、完全にゴミ扱いとされていた。

「いやー、体を動かすっていいさね! のど渇いちゃった、おやっさんもう一杯!」

そして何事もなかったかのように再び酒を飲み始めるオグリット。
体を動かす事で酒がいい感じに回ったのであろう、ご機嫌な様子だ。

「驚いたかい? あたしの生まれた里ではこのくらい戦えなきゃ生きていけなかったからね、腕は確かさね。
 ああ、もちろん全員生きてるから安心し。この程度で殺すほど鬼でもないさね」

ただし、全員打撲と複雑骨折、あるいは粉砕骨折で当分は動けないだろう。
しかしむしろその程度で済んで感謝すべきかも知れない。オグリットの本気はこんなものではないのだから。

128 :名無しになりきれ:2015/08/24(月) 00:58:37.79 0魚人姫伝説

129 :名無しになりきれ:2015/08/24(月) 12:10:05.12 0トバには人魚がいるよな

130 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/24(月) 20:07:40.84 0>「なぁ坊や、目上の人には敬意を払えって教わってないのかえ?」

リックが席を立とうとするや否や、ユリウスチルドレンの一人の腕が捻じ曲げられているところだった。
どうやらオグリットはかなり気丈な性格らしい。

>「ここじゃ店の迷惑になるさね。お姉さんが店の外でいくらでも相手になるけど?」
一団を外で相手にするらしい。いわゆる「表へ出ろ」というやつだ。
連中には一回り体の作りが大きなチルドレンがいる。恐らくユリウスの血が混じっているのだろう。
大剣は酒場の中だ。こんな奴らを素手で相手にするというのか…?

>「いやー、体を動かすっていいさね! のど渇いちゃった、おやっさんもう一杯!」
あっという間の出来事だった。一人も戻って来ないということは、恐らく全員のされたのだろう。
オグリットのスタイルの良さからは見当もつかない強さがあるのだと、今良く分かった。

「すごいな、あんた… しかしあいつらをやって大丈夫なのか? 報復されるぞ」
リックがオグリットに離れるように勧めたのは、連中だけではなく、連中に関わるとまずい、という意味だった。
ユリウスチルドレンを含む亜人の一団は、教会にも雇われていると言われる。
つまり教会、ここの領主に逆らうも同罪なのだ。
マスターに関しては、何かのトラウマを再発したかのように暗い表情で頭を抱えている。

しかし、
「ヒャハァァア! すっげえネエちゃんがいたもんだぜ!」
店内はそんな二人の表情を吹き飛ばすような熱気で高揚した。恐らく常連客にとっても
連中は邪魔だったのだろう。

リックとしても、正直なところ連中は鬱陶しかった。連中が歌いだす「トバの人魚伝説」などを
聞いているうちに、どうでも良くなってきた。しかし、そのとき外が騒がしくなった。

「キャァァァ!」
「ギーエンが殺された!まさかあいつ、殺した…のか?!」
外が騒がしい。どうやら先ほどオグリットが片付けた連中に死人が出たようだ。
ギャラリーが大勢いたためか、大騒ぎになっている。

そんな喧騒を無視するかのように扉が開き、一人の若い男が入ってきた。
茶色のフードで頭を覆った、痩せ型の青年だ。リックは彼が図書館によく居た若者、セイルだと気付いた。
「セイルか…お、おう、外が騒がしいみたいだな」
なるべくオグリットを視界から遠ざけるように反応した。悪いタイミングだ。

「やぁリックさん。なんか外が騒がしいみたいだね。ところで…」
勝手に近くに腰掛け、リックが開いていた本を指差す。
「その本、間違ってるよ。殺したのはユリウスじゃない。教会の連中さ。
僕知ってるよ。これは教会が歴史を捻じ曲げるために作ったんだ」

リックはオグリットに、青年の名前だけを紹介した。図書館での知り合いだが、彼の話を鵜呑みにするな、とも。
セイルの母親と妹はユリウス失踪時に死体で発見され、唯一の兄弟だった弟も教会によって投獄され処刑されたとの噂だ。
彼はエルフと亜人とのハーフなのだが、この事は面倒なのでオグリットには黙っておくことにした。
「今ちょっと取り込み中だ。議論はまた後にしよう、セイル」

亜人ハーフたちは死体を運んで引き上げたようだが、やがて、数人の野次馬が入ってきた。
「まさかあの大女、殺しちまったのか?」「やべえぞ!ありゃ教会の兵士だ!」

最悪の事態になりそうだ、とリックは思った。
ヘタをすれば教会の連中がここを探りに来る。
「彼女は殺してない。他に見てる奴がいるはずだ。なぁ?」
リックはオグリットを庇うようにして訊ねた。どうも流れが不自然だ。

そのとき、セイルがそっと席を立ち、カウンターにあるナッツを手に取った。
「ちょっと用事があるんでね。これ良い豆だね、少しいただいていくよ」
彼は金を払うと、さっさと酒場の扉の外へと出ていった。

131 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/08/24(月) 22:05:44.74 0>「すごいな、あんた… しかしあいつらをやって大丈夫なのか? 報復されるぞ」

「いいのいいの、どうせ流れ者だしいざとなれば逃げれば済むさね」

オグリットは酒を口にしながら手を振る。あんな雑魚が束になろうと関係はないのだ。
それに、たかが女一人に伸されたと知れれば、彼らの沽券とて問題になる。
死人でも出ない限り問題にはならないだろうと言う確証が彼女にはあった。
もちろん急所は外したし、そもそも武器などは一切使用していない。本当に手加減したのだ。
賑やかな時間の酒場前、ギャラリーも十分に居たため騒ぎにはならないだろう。

>「ヒャハァァア! すっげえネエちゃんがいたもんだぜ!」

「ありがとさん! おや、酒をおごってくれるのかい? 嬉しいねぇ」

周囲の歓声に、いつの間にか新水際亭の中はちょっとした盛り上がりを見せていた。
浴びせられる周囲の声に、オグリットはご機嫌な様子だ。ニコニコと手など振っている。
しかし、店の外ではひと騒動起きているようだった。

>「キャァァァ!」
>「ギーエンが殺された!まさかあいつ、殺した…のか?!」

おかしな話である。あれだけ手加減したのに死人が出たと言うのはどうにも変だ。

「あたしは殺してないさね。これはずらかったほうが良いか……」

そのとき、喧騒を他所に店に入ってきた青年がリックに声を掛けてきた。
セイルという男はどうやらリックの持つ本が気に入らない様子だ。難しい話は良く分からないが。
話を鵜呑みにするなとは言われたが、彼が何を言っているのかすらよく分からない。
先ほどユリウスという男の話に関係あるようだが……まぁ、忘れよう。
それにしても騒がしい、店に野次馬も入ってきた。

>「まさかあの大女、殺しちまったのか?」「やべえぞ!ありゃ教会の兵士だ!」

「こりゃ不味いさね。ここで面倒をかける訳にもいかないし、あたしはずらかるさね。
 ああ、明日にでも店は覗かして貰うよ。じゃあまた明日、よろしく!」

そう言って代金をテーブルに置き(少し少ない額である)剣を担いで逃げる支度を始めた。

132 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/25(火) 07:23:30.30 0>「あたしは殺してないさね。これはずらかったほうが良いか……」

オグリットがやはり、殺しの件を否定する。先ほどの表情からしてやってないのは明らかだろう。
そうすると…

>「こりゃ不味いさね。ここで面倒をかける訳にもいかないし、あたしはずらかるさね。
 ああ、明日にでも店は覗かして貰うよ。じゃあまた明日、よろしく!」
「あぁ、俺も出る」

ずらかる支度を始めるオグリットを先回りするようにして、リックは素早く立ち上がった。
「ってことで行くとするか。明日も早いからな。明日は是非来てくれ。またどこかで落ち着いて飲もう」
さっさと代金を置くと、オグリットよりも早く店を出た。装備が無い分身軽なのだ。

店の明かりに照らされ、恐らく倒れたハーフたちが居たところに血糊がついていた。
そこを炎の感知魔法で当たってみる。
・・・・・・・・
「!あぁ、これか」
ナイフでも針でもないような、金属片が、酒場の壁に刺さっていた。その下にも数本ある。
その周りには血がべっとりと付いている。結構な出血量だ。エルフの精霊魔法か何かだそう。
セイルは、連中がやられるところを見ていて、一瞬の隙に留めを刺したのだ。

出て行こうと扉から現れたオグリットの耳元に放しかけ、壁の金属片を指差す。
「ほら、あそこだ。やっぱりあんたはやっちゃいない。殺ったのはさっきの男だ」

このまま一緒に街を歩き続けるのは危険だろう。ここで別れることにした。
「メリビア通りにある『クロイドン』ってのが俺の店だ。じゃあまた明日な。気をつけろよ」

オグリットの手を優しく握ると、そのまま反対方向に向かった。
二人で行動していると余計に怪しまれると思ったからだ。彼女がこのまま街を立ち去るとしてもいい。一晩の出会いなのだから。
追ってらしき者はこちらには来なかったが、どうやらオグリットの後をつける男が酒場から数人出てきた。
さっきの件でゆすりでもするつもりだろうか。

徐々に早足になり、急に暗い町並みになった。水路が緩やかに流れ、波の音が聞こえる。
そのままメリビア通りの方に向かうと、無事に誰も待つことのない店へと戻り、眠りについた。
明日は少し早く起きて、開店してから品物の手入れを始める予定だ。
リフティスで貴重な友達が増えたのだから。

133 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/08/25(火) 20:53:05.18 0立て掛けておいた大剣を担ぎ、思い出したように鞄をあさりマントを取り出す。
防水仕様のフード付きマントだ。これを羽織っていれば、まず女には見られないだろう。
先に店を出たリックの後を追って店を出ると、彼は何やら魔法による探知を行っていた。
人間族はエルフにこそ劣るものの、そこそこの魔法の才がある……らしい。
亜人は種族によって魔法の才能は大きく差異が見られるため、魔法職の者は少ない。
かく言うオグリットも、魔道具の起動を行うだけの魔力はあれど、魔法を扱う才能には欠けていた。

>「!あぁ、これか」
リックの指し示した先を見ると、壁に金属片のようなものが刺さっていた。
こういった武器とは異なるものは、魔法でそこら辺から剥ぎ取ったり、魔力で生成したりするものが多い。
投げるのに向いている形とも思えないので、おそらく魔法で生成後そのまま射出したのだろう。
こういった気付かれない攻撃魔法は比較的高位の魔法だ。人間でも熟練の魔導師クラス、あるいはエルフ族だろうか。

>「ほら、あそこだ。やっぱりあんたはやっちゃいない。殺ったのはさっきの男だ」

さっきの男? ああ、セイルと名乗ったさっきの。面倒な相手だと言うことは間違いなさそうだ。
現場には十分な証拠も残っているし、探知魔法や「過去視」の魔眼持ちならば、状況はたやすく読み取れるはずだ。
罪は晴れるだろうが、その前に捕まると色々厄介だ。ここは逃げの一手に専念しよう。
とりあえずリックと一緒に店を出てしまったが、迷惑を掛けるからと別れる。

>「メリビア通りにある『クロイドン』ってのが俺の店だ。じゃあまた明日な。気をつけろよ」

「分かったさね。そっちこそ夜道には気をつけるんだよ!」

そういい残すと、オグリットはあえて暗い路地へ向かって進む。
店から数人の追っ手が付いている事にはとっくに気付いている。
倒しても良いが、面倒なので追っ手を撒く事にしようと判断した。
裏路地の角を曲がったところで大きく跳躍、更に壁を蹴って連続三角飛びの要領で屋根まで駆け上がる。
屋根から屋根へ飛び移り、そのまま器用に宿の窓から借りた部屋に侵入した。
こんな事もあろうかと窓の大きい二階の部屋を取るのは常套手段だ。逃げるのにも向いている。
昔から喧嘩っ早く目立つので、追われたりするのには慣れているのだ。

134 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/08/25(火) 20:53:47.12 0「さて、少し早いけどもう休むさね」

そう呟くと、服を脱ぎ捨てベッドに横になった。と、その前に一旦立ち上がりドアに簡単なトラップを仕掛けておく。
閃光と煙幕で賊の視界を奪うための罠である。鼻が利く相手でも安心だろう。
さて、と改めてベッドに横になり、明日のことを考える。
とりあえずリックの店には行くとして……長期旅行になる行商の護衛任務の仕事でも取るか。
本当は料理人としての仕事が欲しかったところだが、贅沢は言えない立場だ。
それともリックに協力を仰いでセイルとか言った男でもふん捕まえるか?
まぁ明日の様子を見てから決めよう。そう考え、オグリットは眠りについた。

翌朝、早い時間に起き宿の主人に驚かれ(いないかと思われた)、がっつりと朝食にありつく。
そのまま身支度を済ませると、宿を引き払い街へと繰り出した。
リフティスの街は以前より活気がないらしいとは言え、朝市で多くの人間や亜人でごった返している。
一応マントは羽織っているが、人ごみの中で発見される心配はまずないだろう。
途中道を尋ね(更に買い食いした)目的であるクロイドンに赴く。
店はちょうどオープンしたところらしい。まぁ、朝市に間に合わせる必要もないのだろう。

「リック、いるかい? 約束通り武器を見に来てやったさね」

そう言って店に入る。中は所狭しと武器が並べられており、いかにも武器屋という感じだ。
見たところ、亜人用の武器や僧侶のための武器もある。そういえば、この街は教会が実権を握っていたんだっけか。
僧侶と言う連中はどうやら戒律で刃物を避けるらしい。打撃系の武器しか使えないのだとか。
それはそれで剣士より鍛えられるし殺傷力も高いのだが、何故刃物を避けるのかオグリットには理解出来ない。
打撃系の武器と言えば、オグリットが腰から鎖で下げている鉄球もそのうちに入るのだろうか?
大きさはソフトボール程度、重さは軽く5㎏を越えるそれらは、振り回して使うのではなく投擲用だったりする。
剛力を誇るオグリットにしかまともに扱える者はいるまい。普通投げるのはナイフ程度だ。

「そうそう、手甲がちょっと歪んじまったから直せるかい? 新調しても構わないさね」

新調するなら丈夫なものが欲しい。ちょっと拳で地面に大穴を開けた程度で壊れて貰っては困るのだ。
本来防具であるそれも、オグリットにとっては立派な武器である。主に喧嘩用の。
ところでオグリットの戦闘スタイルは肉弾戦のため、魔法攻撃には相性が悪い。
本来なら対魔法用の防具のひとつもあれば良いのだが、高価で手が出せないのだ。
お金が無い訳ではない。将来のために貯金しているので贅沢は出来ないだけで。
買おうと思えば立派なフルプレートでも買えるが、貯金に手を出す訳には行かないのである。

「ところで、奴は教会に関わりでもあるのかい? 何故一杯食わされたか、さっぱり分からないさね」

敵がいるなら早いうちに潰して行こう、がオグリットのモットーである。しかし、今回は敵の正体が見えない。
敵の目的を理解し先回りして動かなければ、全ては後手後手になってしまうだろう。
教会の亜人を殺し、その罪を流れ者に擦り付ける。考えられるのは内部犯という可能性だった。

135 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/26(水) 07:33:46.99 0リックは裸で居眠りをしていた。
二日酔いで、オープンしたはいいが、客が来そうにないので、寝ぼけ眼で辛うじて
奥の椅子でうつらうつらとしていのだった。

>「リック、いるかい? 約束通り武器を見に来てやったさね」
>「そうそう、手甲がちょっと歪んじまったから直せるかい? 新調しても構わないさね」

オグリットが一通り店の中を覗いてから、ようやく寝ぼけながら目を覚ました。
「あ、あぁ…げっ!」
リックは自分が裸になっているのに気付くと、布を掛けなおし、慌てて立ち上がった。
「お、おう、来てたのか! ちょっと待ってくれ、着替えてくる」

奥の部屋に行くと、とりあえず下だけでもと適当なズボンを着用した。
リフティスには全裸で寝る習慣のある者が多い。彼の妹もそうだった。

オグリットから昨日の事件についての真相を聞く。
彼女はある程度の友人だ。多少のことは話しても大丈夫だろう。
「って、ことだ。教会に弟を少なくとも殺されている
まぁ、昨日のは間違いなくあいつだ。陰気臭い奴だよ」
母親がユリウスと深い関係にあり、ユリウス失踪時に母と妹が殺害され、
また、弟が後に教会に捕まって殺されたことから、教会を彼は疑っている、と話した。
近頃は似たような変死事件も多い。セイルの疑いもあるが、教会側もそれに便乗しているのか、
はたまた第三者なのか、教会関係者以外も変死体で見つかっている。

136 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/26(水) 07:34:17.81 0「まぁ、そんなところだ。俺もあんたもあの酒場にはもう行かない方が良いかもしれないな」
そんな事を話していると、恐らく昨日の一団の一部と思われる若い亜人ハーフの集団が、血気盛んに歩いていた。
朝から気を張っているようで、周囲もすっかり怯えている。あっという間に通り過ぎていった。

オグリットから欲しいものと予算について聞いた。
手甲をとりあえず新調したいのと、防具も欲しいということだった。
「分かった。あんたなら安くしてやっても大丈夫だ。今後のことも心配だから、防具も用意したいところだな。
失礼、と言うと、まずはオグリットの手甲を外し、合いそうなもののモデルを探す。
オグリットが持っているものよりも重厚なものはないようだ。これはオーダーメイドにするしかない。

次に鎧だ。巻き尺を持って細かい部分まで調べる。立ち上がり、オグリットの胸や腰の装備を確かめる。
思った以上にオグリットは体が大きく、スタイルが良い。予想以上の色香に、一瞬たじろいだ。
なかなか冷静にはなれなかったが、ふと思い出した人間がいた。
あれは教会の女戦士だった。ユリウスに寄り添うようにしており、リックの店を利用したことがあった。
やや、鼻の下を伸ばしていたリックだったが、急に思いつめたような表情に変わる。

「大体の予算はつかめてきた。まぁ、ちょっと露出が多いからな。なるべく覆うようにしよう。
魔法防御を強化することも考えると、多少高くつくかもしれないが、手持ちでやってみるよ」
今度は腰周りを測っていく。予想以上に丸みのある腰だった。
傍から見ればリックがオグリットに抱きついているように見えるかもしれない。

そのとき、突然店の扉が開く。
「兄さん! あっ…」 「げっ!!」
妹のミリアとその娘、セティだった。
「兄さん、その人、新しい彼女さん?」

「なわけねえだろ!客だよ、客!」
ミリアに弁解する。セティもまた、後ろの方で恥ずかしそうにしていた。
「あぁ、紹介する。こっちが例の…じゃなかった。妹のミリアと姪のセティだ」

ミリアは食事を置くと、さっさと帰っていった。
セティはというと、今日は稽古までまだ時間があるのか、まだ店内をうろうろしている。
9歳とはいえ、ユリウスの娘ということにもなる。ミリアとほぼ体格も変わらず、かなり育ちが良い。

「なぁ、今日は良いのか? 今は街も危ないから、余計なところはうろつくな」
リックはこの姪が苦手だった。もちろん、ユリウスの娘だからだ。
普段もなるべく可愛がっている振りだけして、適当にあしらっている。冷たくしているのには気付かれていないつもりだ。
セティはまだ帰る気がないようだ。

「あ、すまん。とりあえず予算はこんなところだが、どうだろう?それにしてもこんなの何に使うんだ?」
オグリットに軽く計算した金額を見せた。
手甲一式と、打撃用の大型鉄球、ブレストプレートと肩、腰のアーマー、膝当てなどだ。

152 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/08/27(木) 00:27:42.91 0>「って、ことだ。教会に弟を少なくとも殺されている
>まぁ、昨日のは間違いなくあいつだ。陰気臭い奴だよ」

少なくともリック曰く、今回の事件の犯人はセイルらしい。
教会の連中に個人的な恨みを持つ者の犯行と考えれば、つじつまも合う。
しかし検死すればすぐに分かるような方法で殺す辺り、捕まらない自信でもあるのだろうか?
あるいは自暴自棄になっているのか……その辺は興味はないが、とにかく迷惑な話だとオグリットは思う。

リックと装備について話しているうちに、いつの間にか手甲だけでなくその他の装備も揃えることになっていた。
そんなつもりはなかったのだが……まぁ情報を教えてくれた恩もある。せっかくだし新調しよう。
安くしてくれるなら「お礼」が必要だろうか? 店を見るに独り身らしいし。
そんなことを考えていると、リックが採寸をしたいと申し出た。
オグリットは鬼人の中では群を抜いて小柄だが、それでも人間の女よりは大きめだ。
胸なども少し……いやかなり大きいので、今まではビキニアーマーで済ませていた。
要は「当たらなければどうということはない」の精神である。それに軽装にだって利点はあるのだ。

>「大体の予算はつかめてきた。まぁ、ちょっと露出が多いからな。なるべく覆うようにしよう。
>魔法防御を強化することも考えると、多少高くつくかもしれないが、手持ちでやってみるよ」

「いやいや、魔法防御のほうは適当でも構わないさね。避ければいい話だし」

並の人間では避けられない高速で飛来する魔法も、オグリットならば見切ることも出来る。
身体能力に秀でた亜人種ならではの戦闘を得意とするのだ。この程度出来ないはずもない。
それにしてもリックはオグリットの肢体に見蕩れているのだろうか? なんだか動きがぎこちない。
そう思いながら腰を測らせていると、思いもしない来客が訪れた。

>「兄さん! あっ…」 「げっ!!」
>「兄さん、その人、新しい彼女さん?」
>「なわけねえだろ!客だよ、客!」

可愛らしい二人の少女、どことなくリックの面影が感じられる。
反応からするに客ではないらしい。となると答えは……。

>「あぁ、紹介する。こっちが例の…じゃなかった。妹のミリアと姪のセティだ」

案の定だ。どうやらリックに食事を届けに来たらしい。
妹の方はすぐに帰ったが、姪の方はしばらく居付くようだ。ちょっと邪魔に感じる。
リックも態度にはほとんど出さないが、この姪のことが苦手なようだ。

>「あ、すまん。とりあえず予算はこんなところだが、どうだろう?それにしてもこんなの何に使うんだ?」

「ああ、ご苦労さん。これかい? あたしの腕力ならボール代わりになるのさね。ところで……」

リックの手を取り、店の裏手に引っ張り込んだ。セティからは見えない位置である。
そのまま壁ドンの姿勢を取ると、リックの耳元で囁いた。

「……おまけしてくれたお礼、欲しくないかい……?」

囁きながら胸を押し付け、下腹部をそっと撫でる。
オグリットは自分が女性として魅力的であることを十分に理解している。
女にとって美貌は武器だ。男を堕とし、傀儡にもすることだって出来る。
彼女はそこまですることはないが、リックにちょっとした夢を見せるくらいは出来るのだ。


154 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/28(金) 07:29:12.81 0>「ああ、ご苦労さん。これかい? あたしの腕力ならボール代わりになるのさね。
なるほど、こんなのが投擲武器になるなら、当然当てられた相手は重装備でも顔を潰す力ぐらいはあるだろう。

「ところで……おまけしてくれたお礼、欲しくないかい……?」 」
まだセティが店内にいるときである。
オグリットが突然迫り、リックの体が壁に当たるや、胸を押し付けてきた。
背丈にも差があるからかなりの迫力になる。アーマーから乳肉が触れた。
さらに、その手は薄いズボンしか履いていない股間へと伸びる。
美貌とスタイルの良さは充分に意識していたが、ここまでくると理性がまずかった。
多少は溜まっているものもあったし、惹きつけられるものもある。
しかし、オグリットもまた、もの欲しそうな表情だった。こういうのもこれが初めてではないはずだ。

「…ちょっと、待ってくれ」
股間に伸びる手を取り、オグリットの腰に手をやると、リックは早歩きで、
まずはセティを追い払うことにした。

「なぁ!帰れっつってんだろ!明日でもじっくり見に来るといいから、今日は子供は帰れ」
子供は、といってもユリウスの娘。ほぼ大人の女に見えるぐらいの外見だが、セティはリックに持ち上げられ、
しぶしぶ外に追い出されていった。持ち上げると、上半身裸のリックにも筋肉が意外にあるのが分かる。

そして、さっさと『本日は臨時休業』の看板を出し、鍵をかけた。
「とりあえず、こっちに案内する。狭いけどな」
リックはオグリットを自分の離れ、つまり家へと案内した。意外に片付いている。
とはいっても、ベッド以外には本や武具など、必要最低限のものしかないが。
離れの部屋に鍵をかけると、ズボンを脱いでベッドに腰かけ、オグリットを隣に案内した。

「お礼だが、俺は遠慮しない性格なんでね、さっそく頂こう。どうせならお前さんにも
満足してもらいたい。職人なんでね。手は抜きたくないからな」
オグリットが下腹部をそっと撫でる。リックのそれは外見からは想像できないほど逞しくなっていた。

「欲しいならくれてやる、ってのが俺のモットーなんだ。武具はあれ以上負けられないけどね」
オグリットの肩を抱き、武具を優しく外していく。このあたりは得意だった。
「今日はとりあえず休業だ。まだ昼だからゆっくりできるだろうが、今夜は宿が心配なら、ここを使ってもいい。
明日以降は店は開けるが、ここは何日かなら使うといいさ。俺はあんたの装備のこともあるし、店で寝るからな。
それに話も聞きたい。ここには水も酒も食料もある。まぁ、とりあえず今は楽しもうか…」

リックがオグリットの唇をそっと奪った。長くなりそうだ。


158 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/08/28(金) 21:26:08.33 0>「…ちょっと、待ってくれ」

誘惑に抗われたとも思ったが、どうやら店先で遊んでいるセティを追い出しに掛かるようだ。
妹の娘だと言っていたか、そうは見えないがまだ9歳だとか。ユリウス遺伝子恐るべし。
セティを追い払ったリックは店仕舞いをしてしまう。あまり時間をかけるつもりもなかったのだが。

>「とりあえず、こっちに案内する。狭いけどな」

案内された家は意外にも小奇麗だった。というより、物が極端に少ないのだ。
それに、キッチンは使い込まれた様子はない。おそらく自炊などほとんどしないのだろう。
用心なことに部屋にも鍵をかけ、裸になったリックはベッドへオグリットを連れ込む。

>「お礼だが、俺は遠慮しない性格なんでね、さっそく頂こう。どうせならお前さんにも
>満足してもらいたい。職人なんでね。手は抜きたくないからな」

「へぇ、あたしを満足させてくれるのかい? その言葉、きっと後悔するさね。ふふっ」

そう笑いながらリックの下腹部を撫でる。意外と逞しい、これは本気になっても良いかも知れない。
角こそ生えてはいるが、オグリットは上玉の美人と言って差し支えない。
その美貌を武器に男を誘惑したのはいつの頃からだったか……とにかく男慣れしているのだ。
その勘が告げるのは、リックも意外と女慣れしているということ。鎧を脱がすのも上手だ。
オグリットの肢体があらわになる。驚くほど発育した体は、思わず触れたくなる妖艶さを放つ。

>「今日はとりあえず休業だ。まだ昼だからゆっくりできるだろうが、今夜は宿が心配なら、ここを使ってもいい。
>明日以降は店は開けるが、ここは何日かなら使うといいさ。俺はあんたの装備のこともあるし、店で寝るからな。
>それに話も聞きたい。ここには水も酒も食料もある。まぁ、とりあえず今は楽しもうか…」

「それは嬉しいさね。なら礼は弾むから、何日か身を隠すのに使わせて貰うさね。宿はバレやすいし」

流れ者の犯罪者を捕まえるなら、まずは宿を探すのが定石だ。この街は宿も多いが、探せないほどの数ではない。
しばらく身を隠す必要のあるオグリットにとっては、願ってもない提案だった。
そんなことを思っていると、リックがオグリットの唇にそっとキスをする。
オグリットはそのまま流れに身を任せ、リックの体にしなだれかかった。

行為は何時間に及んだだろう? オグリットが少しばかり満足して身を起こすと、外はもう夕闇の気配を漂わせていた。
鬼人の性欲はとんでもなく強い。はっきり言って並みの人間相手では身がもたないだろう。
事実ベッドに横たわるリックは「絞り尽くされて」そのまま意識を失っていた。
オグリットとしてはもう少し付き合って欲しかったところだが、このままでは腹上死しかねない。
まぁリックが満足してくれたなら?オグリットとしても問題はない。さて、キッチンでも借りよう。

リックが寝ているうちに、オグリットはキッチンを借りて夕食を作っていた。
本日のメニューは朝市で買った魚のフライをメインに、刻んだ干肉を和えたサラダ、簡単なスープなどだ。
方々を巡って料理修行をしてきたオグリットだ。その腕前は一流のそれに匹敵する。
この地方の料理に関してはあまり知識がないため郷土の味は再現出来ないのがちょっとだけ不安だが、不味いと言うことはないだろう。
リックも魚を揚げる芳香を嗅げばそのうち目覚めるはずである。起き上がれるかは別として。


162 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/29(土) 12:37:07.93 0>「それは嬉しいさね。なら礼は弾むから、何日か身を隠すのに使わせて貰うさね。宿はバレやすいし」
オグリットがリックに体にしなだれかかる。
二人とも生まれたままの姿、オグリットの巨大な乳房がリックの体に当たりバウンドし、
そして同時に雌のフェロモンがリックを惑わす。

リックはオグリットの体を、普段の鍛治場では見せないような丁寧な手つきで愛撫していった。
乳房をゆっくりと揉みしだいていく。手には収まりきれない。艶のある声が上がり、さらにリックを興奮させていく。
巨体を支え、充分な前戯が終わると、やがてオグリットからのしかかり、リックの上へと覆いかぶさってきた。
「おぉぉおう…!」
挿入されたときの快感は、その巨体からは予想だにつかないものだった。やはり鬼人族の血が混じっているためだろう。
人間のそれとは格の違う締め付けが襲う。
リックの上で腰を振るオグリット。その腰は意外に細く、全体のスタイルは圧巻である。
その姿を下から見上げると、豊かかつ引き締まった腰つきの上で巨大な球体がぶるんぶるんと揺れていた。
それを右手で掴み、左手で腰を掴むと、リックも負けじと腰を突き上げていった。部屋の中に男女の声が響く。

体勢を維持してしばらく時間が経つと、今度はリックが上半身を起こし、オグリットの体を支えるようにして
抱きすくめた。丁度正面から抱き合う形になる。当然胸合わせになり、乳房はリックに押し当てられた。
「ぬおぉぉ!」
オグリットの体重を支えながら腰を振る。決して屈強な体型ではないが、普段鍛治仕事をしているので、彼女ぐらいの体重ならいけるのだ。
腰を一心不乱に振っていると、オグリットが突如としてビクリと体を仰け反らせた。
「くっ、あぁぁ…」
リックの下腹部は急激に不思議な力によって締め付けられ、我慢していたものが堰を切ったように飛び出し、それがオグリットの腹を満たす。
オグリットが抱きついてきた。彼女の方が頭が上になるが、それに応じ、リックもまた彼女を抱き、キスをする。
さて、少し休憩をと思ったが、引き抜いた後も、既にオグリットは下腹部へと手を伸ばしてきていた。どうやら休む隙もないらしい。
鬼人族の性欲の強さが恐ろしいほど分かった。そして、気が付くとリックは興奮し、再び硬さを取り戻していた…

行為は数時間にも及んだはずだ。もう何年ぶりにもなるが、女を抱くと大抵相手が参ってしまうほど、リックはスタミナがあったが、
それでもオグリットは獣のような声で、リックを欲しがるのだった。
体位を何度何度もも変えながら、リックはただ極上の女体を抱く快感に酔いしれていた。
オグリットをうつ伏せにさせて後ろから突いているときだった。彼女が尻を突き出すと、何度目だろう。
急激に快感が襲い、突然頭がぼうっとしてきた。

夢のようなものを見ていた。幻覚と言ったほうが良いのかもしれない。
それはリックが、ユリウスの視点になって、妹のミリアを犯しているところだった。
そこでは自分の体格は信じられないほど大きかった。まるで筋肉が歩いているようなものだ。
当時16歳だったミリアはまるで子供のように小さく見える。ミリアは水浴びをしていた。水路の中での出来事だ。
あれだけの体格差だ。凄く痛そうだった。股間から血を流し、「痛い、やめて」と叫ぶミリアを、ユリウスは突いていた。
リックはその顔を見て腰を止めた。自分がとんでもない事をしている罪悪感にかられた。
そのとき、オグリット、いやミリアが腰を自ら振り、締め付けてきたのである。
ユリウスがミリアの腹に欲望を吐き出す。(やめろ!やめてくれ!)そこでリックは我に返った。

「どうしたの?」
呆然とするリックに、オグリットが声をかける。「いや…」オグリットから引き抜くと、リックは押し黙った。
今のを話したところで、きっと彼女は興ざめするに違いない。他人の家庭の事情など知っても何も良いことはない。
仰向けで言葉を発しないリックの下腹部にオグリットが触れると、まだそれは硬さを取り戻した。
オグリットが上に圧し掛かる。そしてどちらからともなく腰を振った。
数えていないが、10回近くは発射したはずだ。リックの体が悲鳴をあげていた。
これで最後とばかりに、両手で大きな尻をがっちり掴み、下から魔力の篭った強烈な突きをオグリットに浴びせた。
オグリットが歓喜の表情をして、舌を出し、涎を垂らしている。まぁ、俺にしては上出来だろう。
そして、今度はリックの強烈な突きでオグリットが仰け反りリックと同時に絶頂を迎え、
腹に種を受けたオグリットがリックにしなだれかかると同時にリックの意識は薄れ、そのまま眠りへと落ちていった。

163 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/29(土) 13:02:54.45 0リックは夢を見ていた。

あの頃、俺は父を失い、妹のミリアと二人で過ごしていた。妹は体が弱かったので、
この地域の慣わしで、よく水路で水浴びをしていた。こうすると体が強くなると言われていた。
毎日鍛治職人の家に修行として夜まで通い、僅かな賃金でこき使われていた。
貧しいながらも、幸せな毎日だった。

ある日帰ると、ミリアが泣いていた。
「鎧の大男」に襲われたというのだ。股間からの血は、まだ止まらないようだった。
俺もミリアと一緒に泣いた。男についての情報を調べはじめたのはこの時からだ。
「俺が必ずそいつを殺してやるから」 ミリアにいつもそう言っていた。

一年後、ミリアはセティを産んだ。大男がユリウスという最近国を作った男だという事も分かっていた。
家が貧しいので、働きながら育てるのは難しく、教会に預けることになった。
はじめはミリアも襲った男の子供ということでセティに愛情は弱かったが、やがて
会いに行くたびに愛情は強くなっていった。そして、母娘の仲のみならず、
ミリアはユリウスという男に対し、何らかの感情を持っていたようだ。

教会にはリックもセティを引き取りに通うことになり、そのとき、セイルの存在を知った。
母親はエルフだということだ。
一年後には、教会の精鋭として育てられることが既に決まっていたようだ。

そして、五年前にユリウスが失踪したときは、ミリアは酷く悲しんだ。
リックはもはや自分の存在価値が分からなくなり、家を離れ、父がかつて鍛治屋をしていた土地に
店を建てることにした。そう、ユリウスが全てぶち壊しにしたのだ。

リックは眠りに落ちたまま、歯軋りをした。そう、ああなる前に、「良い歳で水浴びなんてやめろ」と
言っておけば…

魚の匂いがする。ここは水の街だ。いや、これは魚料理の匂いか。
目を覚ますと、自分のベッドの上だった。まだ夜のようだった。
リックが昼からの出来事を思い出すまでに、十秒は時間を要した。

魚料理の良い匂い、そして野菜のような香りもする。
ここの所まともに料理を置いていないシンプルなテーブルの上には、
リフティスのご馳走が並んでいた。
「オグリット、お前がそれを作ったのか…?あっ…」

下を見ると、リックは全裸だった。そういえば「そんなこと」があった後だったのだ。
水で体を拭き、着替える。腰には思ったほど痛みは感じないが、下腹部の付け根のあたりがひどく痛い。
腰は普段から使っているが、重力が集中したその部分だけは鍛えられていなかったようだ。
「良い料理人になれるんじゃないか?さっそく頂いて、精をつけないとな」

まだ夜は長い。酒でも飲みながら今までのことと、これからの事について、
語り明かしたいところだった。心強い相方ができたのだから。
「さて、オグリット。食いながらで良いが、身の上話でも聞かせてくれないか?
俺にも話したいことが沢山ある」
そう言いながら二人分のグラスに酒を注いだ。

164 :名無しになりきれ:2015/08/29(土) 14:41:52.38 0良いぞ~これ

抜ける

165 :名無しになりきれ:2015/08/29(土) 19:58:21.01 0これさ
妊娠するんじゃない?

166 :名無しになりきれ:2015/08/29(土) 22:38:12.41 0確実だろうね

167 :名無しになりきれ:2015/08/29(土) 23:38:41.70 0相変わらずの自演に泣いた
つまらんけどゴミはゴミなりに頑張れよ

168 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/08/30(日) 00:49:12.10 0料理が出来上がろうかと言うところで、リックはようやく起き出して来た。
あれだけ行為を繰り返したと言うのに起きて来られると言う事は、かなりのスタミナがあるのだろう。
その体力に少々驚きながら、オグリットはリックに声を掛ける。

「ようやく起きたかい、飯は出来てるさね」

歯軋りをしてうなされていたことはあえて問わない。
どこか陰のある面持ちは、それだけつらい事もあったのだろうと思えるからだ。
それにオグリットでは、リックの力になることは出来ない。
料理と戦闘しか出来ない女が、一体何の役に立つというのか。

>「オグリット、お前がそれを作ったのか…?あっ…」

裸で起き出して来たことを恥じたらしい。可愛い奴め、とオグリットは微笑んだ。
身支度をするリックを横目に食卓を整える。キッチンの隅で見かけた安酒も添えて。
ちなみに今のオグリットはすっかり身を清め、ついでに寝巻きに着替えている。
他人の家だろうと泊まるからにはとリラックス、少々図々しい性格なのかも知れない。

>「良い料理人になれるんじゃないか?さっそく頂いて、精をつけないとな」

「朝市で刃魚のいいのが手に入ったから、フライにしてみた。味は保障するさね」

網を切ることで有名な刃魚は、一本釣りでしか入手する事が出来ない。
生息域がとても限られているため、注意すれば網を切られることはない。
それ故に刃魚の生息域には漁師はあまり近づかず、市場に上ることは少ないのだ。
少々骨が多く調理が面倒ではあるが、ふっくらとした白身は非常に美味である。
他にもこの地方特産の水耕栽培で作られた野菜は、新鮮さからサラダ仕立てだ。
ドレッシングに絡めた干し肉は北の山で捕まえた大角鹿のもの。
山越えの際に狩り、保存用に加工したものだ。あっさりとした肉質である。
スープは簡素なものだが、刃魚のあらで出汁をとったもの。濃厚な味付けだ。
それに軽く炙った黒パン。ディナーとしては豪華に仕上がっている。

>「さて、オグリット。食いながらで良いが、身の上話でも聞かせてくれないか?
>俺にも話したいことが沢山ある」

そう言って酒を勧めるリック。それを受け取って、オグリットは小さくため息をついた。

「あたしの生い立ちかい? あたしはずっと東の山奥、鬼人の集落の出身さね。
 鬼人は知ってるかい? 亜人のなかでも希少種で、男ばかりの種族なんだ。
 だから男達は女を攫い子を作る。あたいの母親も、そうやって連れて来られた人間だ。
 あたいは珍しい女の鬼人だからね、それはもう大切に育てられたさ。
 でも、13になれば子供を作れるようになる。村の男共はそれを待っていたのさね。
 だからあたしは、13の誕生日を目前に単身村を逃げ出した。母親は既に死んでいたしね。
 一人で遠く離れた人間の街まで逃げて逃げて、ある宿屋の主人に拾われた。
 料理はそこで学んだのさね。それで料理に興味を持って、放浪の旅で料理修行をしてるわけだ」

そこまで一息に語って、オグリットは酒を大きく呷った。こんな話、もうずいぶんしていない。

「こんな話を聞いてどう思う? 哀れかい? 無意味かい? あたしにとっても意味は無いさね」

グラスを揺すりながら、呟くように問いかけた。こんな話意味があるものか、と思いながら。
酒を注ぎ足し、リックにも勧める。

「セイルって言ったっけ? あの男の話を聞かせて欲しいさね。
 あたしを罠に嵌めた奴だからね、仕返しのひとつもしてやらにゃ。
 この街に住みづらくなったのもあの男が悪いせいだから、一発殴ってやるさね」

169 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/30(日) 15:13:45.81 0「うん、美味い!」
こういう料理を食べたのは何年ぶりだろう。
少し前ならリフティスにも優秀な料理人はいたかもしれないが、
今では地元の料理をこのように作れる店はもう存在しないかもしれない。それほどだった。

刃魚をチョイスしたのもそうだが、鹿肉は恐らく彼女自身が持っていたものだろう。
スープにしても簡単にできる出汁ではない。
「オグリットはきっと良い嫁さんになるよ。もぐもぐ」
特に何も考えず、酒を飲みながら、料理に食らいついていった。
あっという間に二人での食事は終わった。腹が空いていたし味が良かったからだ。

リックはオグリットの身の上話を聞いた。
見るとオグリットはちゃっかり寝間着姿になっていたが、その姿も艶かしかった。
興奮し下半身に力が入るのをおさめながら、真剣に聞いていた。
「いや、そうやって話してもらえるだけでも信用できる。ここの住民はみんなそうさ。
流れ者が多いからな。会話をして人を信用する。良いじゃないか、立派なもんだよ。そのナリで料理ってのも」
リックは笑った。それと同時に先ほどの行為で子供ができてしまわないかも心配したが、その時はその時だ。

「セイルについてか…そうだな」
酒が注がれる。目も真剣なようだ。
リックはセイルについてできる限りのことを、自分の家族の時系列も入れて話した。

自分が知る情報だと、セイルの母親はエルフで、アジンボーン時はユリウスに匿われていたらしいが、
既にそのときは亜人の子を身ごもっていたという。つまり亜人とエルフのハーフだ。
母親はセイルの他に弟と妹を産んだという。三人とも国王になったユリウスの支配する施設に預けられた。
そのときはリックの姪であるセティとも一緒だったため、顔を合わせることがあったという。
五年後、ユリウスが行方不明になり、母親と妹は死体で発見され、弟は教会によって囚われ処刑された。
セイルは教会の組織となった施設から命からがら脱出し、教会を憎むようになった。

これが、彼本人から聞いた話と、リフティス住民たちの噂話をまとめた情報だ。
今、リフティスで「ユリウスチルドレン」と呼ばれている兵士たちは、教会の支配下にある。
今後もセイルは教会への報復を行うだろう。と、リックは話した。

「俺はどうだろう…お前を嵌めたことに関しては許せない。勿論、仮に死んでも構わないと思うが、
不幸の原因を作ったのはユリウスにもある。それはこの街全体に対してだ。セイルの奴を捕まえたら、
勘違いを正して、その憎しみをユリウスに向けさせる方が建設的だと思うな」
つい、自分の感情が入り混じってしまい、熱くなってしまった。

だいぶ夜も遅い。そういえば遊んでばかりで仕事に手を付けていなかったな、とリックは思った。
「ちょっと仕事の準備をしてくる。頭も冷やしたいんでね。これは預かる」
リックはオグリットの武器、防具を預かると、上半身裸のまま離れを出て、店の方に入った。

170 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/08/30(日) 15:14:24.60 0正直、ここまで担いでくるだけでも息が上がった。大剣だけでリックの半分以上の体重がありそうだ。
大体の構想を練る。客の注文を優先するのは当然のことだが、リックの頭にはどうユリウスを殺すか、に拘りがあった。
ユリウスの武器は巨大なハルバードだ。それは自分の目で見たからはっきりと覚えている。
重さは軽くユリウスの体重ぐらいはあるだろう。普通の剣どころか、盾でもその人間の鎧・上半身ごと吹き飛ばしてしまう。
リーチの長さからして、まずは一撃を受ける必要がある。それに耐える耐久力、つまり厚みと魔力が必要だ。
この剣にかかっている魔力を維持しながら、強化をする必要がある。
次に反撃をかます必要がある訳だが、あまり重過ぎると次の一撃までが間に合わない。
ユリウスの鎧もまた、超重量級だ。この剣なら…強い力をかけて振り回せば、斬撃よりも打撃によって相手に致命傷を負わせることに拘る必要がある。
実際、ある程度の刃の角度があれば、並の戦士ならオグリットの力で鎧ごと吹き飛ばせるだろう。
刃の角度は刃こぼれを防ぐために決して鋭すぎてはいけない。そのあたりを念頭に入れた。
投擲武器についても、ユリウスなら恐らく弾き飛ばすだろう。その際に砕けてある程度のダメージが入るぐらいが良い。
そういったものをチョイスしていく。次に鎧だ。リックははじめ、もっと体の多くを覆うことを考えたが、
オグリットの場合、彼女が言うように当たらなければ良いようなもので充分だ。
極力付け心地が良く、軽いビキニアーマーと、頑丈な手甲と、弓矢を防ぐマントがあれば充分だろう。

脇の椅子に腰掛け、一息付く。自分は何というオグリット任せなのだろう。
リックはおもむろに立ち上がると、オグリットの大剣を持ち、素振りを始めた。
「1、2、3、4、5…」
両手で持ち上げるだけでも重い。それを振り回すのだから、相当の筋力が必要だ。
「6、7、8、9、10…!」
リックの上半身が震える。大剣を返すときに来る衝撃で相当の体力を必要とするのだ。
徐々に、腰にも負担が強く圧し掛かってくる。力が入る。
「26、27、28…29…30!!」
30回振り終えたところで、剣を床におろし、ハアハアと息をついた。
これを普段から持ち歩いているオグリットを改めて凄いものだと思った。
武器庫にそれらを大事に仕舞うと、明日の朝の準備をして、離れに戻った。

「遅くなった。大体の案が固まったからとりあえず確認しといてくれ」
汗にまみれたリックは手短に武具の構想について話すと、枕の替わりになりそうな自分の服を掴んだ。
予算は前に話したより若干安く、オグリットの財布にだいぶ余裕を持たせている。
「明日の朝には仕事を始める。店もオープンするつもりだ。お前は気にせずそこで寝てていいよ
俺は店の方で寝てるから」
そう言うと離れの扉をそっと閉めた。

175 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/01(火) 02:13:30.97 0>「いや、そうやって話してもらえるだけでも信用できる。ここの住民はみんなそうさ。
>流れ者が多いからな。会話をして人を信用する。良いじゃないか、立派なもんだよ。そのナリで料理ってのも」

「傭兵としても半端、料理人としても半端、それが今の私さね。傭兵からは足を洗うつもりでいるがね」

傭兵は金になる仕事だ。リスクはあるが、その分リターンも大きい。それがなかなか足を洗えない理由である。
いずれ料理人として大成し店を持つためには金が必要だ。そのためのアルバイト感覚で傭兵をやっているのだ。
特にこういう流れ者の多い街では傭兵の仕事は充実している。金を貯めるには良い機会だろう。
傭兵に必要なのは鍛え上げた己の肉体と、充実した装備だ。ここに来てリックと巡り合えたのは運が良い。
リックは信用の置ける人間だと実感している。武器職人としてもどうやら腕が立つようだ。
新水際亭では仕事が出来そうにないし、しばらくは傭兵稼業になるだろう。装備は生命線だ。
それにぶん殴りたい男もいることだし。と、話題はそのぶん殴りたい男こと、セイルの話になっていた。

リックが酒を酌み交わしながら語ったのは、セイルの生い立ちについてだった。
亜人とエルフの混血、かつてはユリウスの管轄の施設で生活していたらしい。
しかしユリウス蒸発と共に母と妹が死に、弟は教会によって処刑。なるほど、教会を恨む訳だ。
つまりあのごろつきを殺したのは教会の尖兵であるからで、オグリットには何の関係もない訳で。
要するにセイルを捕まえて教会に突き出せば、全ては丸く収まるのではないだろうか?
しかし、この街の教会の動きはあまりにもきな臭い。あんなごろつきを配下にしているのだから。

>「俺はどうだろう…お前を嵌めたことに関しては許せない。勿論、仮に死んでも構わないと思うが、
>不幸の原因を作ったのはユリウスにもある。それはこの街全体に対してだ。セイルの奴を捕まえたら、
>勘違いを正して、その憎しみをユリウスに向けさせる方が建設的だと思うな」

ユリウス、たびたび登場するキーワードだ。かつては王にまで上り詰め、そして蒸発した男。
ひどく享楽的な男で、敵を多く作るタイプだと言う事は分かった。女を大切にしない男は碌なのがいない。
生きているのか、それとも暗殺されたのやら。いくら強靭な男とて、殺す方法はいくらでもある。
もしかしたら純粋な人間ではなく、亜人の血でも混じっている可能性がある。
考えれば考えるほどユリウスという男の影は曖昧で、掴みどころがない。否、考えるだけ無駄かも知れない。
考えるのを諦めたオグリットはコップの酒を飲み干すと、ため息をひとつ吐いた。
同じタイミングでリックは立ち上がると、部屋の隅に置いていたオグリットの装備を手に取った。

>「ちょっと仕事の準備をしてくる。頭も冷やしたいんでね。これは預かる」

「重いから気をつけて運ぶんだよ!」

あの剣は常人に扱える代物ではない。亜人ですら、扱える者はほとんどいないだろう。
それを片手で振り回して己のものにしているオグリットの腕力は尋常ではない。
鬼人の血を色濃く受け継ぎ、その血に慢心することなく己を鍛えていた彼女だけの武器だ。
そう、オグリットは毎日の鍛錬を欠かさない。しかし今日は剣がないので、腕立て伏せだけで済ませることにした。
おもむろに指先だけで逆立ちをすると、そのまま腕を曲げて全身を上下させる。
腕立て以上に負荷がかかり、同時にバランス感覚も鍛えられる運動だ。しかしこの程度の運動では汗ひとつかかない。
すいすいと腕立て伏せ?を続けるオグリット。その数も200を越えた頃、リックの戻ってくる気配がしたので姿勢を戻す。

>「遅くなった。大体の案が固まったからとりあえず確認しといてくれ」

戻って来るなりそう口火を切ったリックは、新しい武具の調整について話した。
特に必要なのは手甲の強度だ。いくら重くなっても構わないから、とりあえず丈夫なものが欲しい。
それをリックに伝えると、少し考えた後に承諾をした。どうやら可能のようだ。
どの装備も重さを度外視して強固に作り上げてくれれば良い訳だから、自ずと注文は簡単になる。
それを安く仕上げてくれるのだから、オグリットはリックには感謝していた。ここに来て良い友を得たものだ。

>「明日の朝には仕事を始める。店もオープンするつもりだ。お前は気にせずそこで寝てていいよ
>俺は店の方で寝てるから」

「ああ、お休みリック」

176 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/01(火) 02:14:03.32 0リックが店に戻る気配を見届けて、オグリットはトレーニングを再開した。
トレーニング姿はあまり人に見られたくないのが本心だ。一日最低一時間は、隠れてトレーニングを欠かしていない。
それに、オグリットは酒を飲むと目が冴える体質である。今夜はしばらく眠れない事だろう。
その後結局二時間ほどトレーニングを続け、絞った布巾で体を清めてから、ようやくオグリットは床に就いた。
傭兵でも料理人でも、体を鈍らせては仕事は出来ないと言うのがオグリットの考えだ。
毎日料理を作り、体を存分に動かすことは、彼女のライフワークなのである。

そして夜明け、オグリットは早々に起き出すと、身支度をしようとして鎧がないことを思い出した。
荷物からあまり着ない洋服を取り出して身に着ける。珍しくちょっとお洒落さんだ。
持っている服は鎧のほかにコック服くらいのものであり、彼女が普通の服を着る事は少ない。
これを見せたらリックは喜んでくれるだろうか? ついそう考えてしまったオグリットは、なんだか気恥ずかしくなった。
とりあえずリックに朝の挨拶をして、それから朝食の材料を朝市に買いに行こう。
そう思ってマントを羽織り、フードをかぶってから店へと移動した。
……そっとドアを開けると、案の定リックは未だ寝ていた。起こさないように気をつけながら、店の入り口から外へ出た。

リフティスの朝市は賑やかだ。一日の食材を求める料理人や奥様方がひしめき合い、縦横無尽に動き回る。
そんな人ごみを難なく横切って移動するオグリットは少し邪魔かも知れないが、ここでは誰も文句は言わない。
賑やかさを楽しみながら買い物を済ませたオグリットは、ついでにギルド管理所にも足を向けた。
外の張り紙には仕事の依頼やお尋ね者の似顔絵なども貼り出している。それを見て仕事を得るのだ。
見たところ、オグリットはまだ指名手配をされていないようだ。現場に残る証拠が不自然だったためだろう。
全員殴り倒されているのに、一人だけ壁に刺さった金属片で殺されているのは誰の目にも不自然に映る。
オグリットは一息吐いて安心すると、今度は仕事依頼の張り紙に目を向けた。

「畑を荒らす大猪退治」「海魔の出る海域横断の随行」「ヤモット組の用心棒求む」

……正直どれもぱっとしない。一番良いのは商船の随行だが、オグリットは泳ぎが得意でないため対海魔戦闘は苦手だ。
もっとも今日様子を見ただけで、仕事を求めに来た訳ではない。武器の整備中は動けないのだ。
傭兵に対する依頼は短期のものが多い。長いものでも商団の護衛任務程度だったりする。
これが戦争でも起これば話は別なのだが……まぁ、この辺りは隣国との境界でもないし、その線は薄いだろう。
旅の中で色んな情報を見聞きするオグリットには、むしろこの国で内紛が起こりそうな気配を察していた。
王国軍と、教会勢力の軋轢。どちらが優位に立つ事が出来るか、睨み合いが続いているらしい。
特に教会の動きは怪しいらしい。勢力を集め、尖兵を鍛えているらしいとの情報もある。
いざ戦いになったときにどちらに付くか、今のうちに決めたほうが良いかも知れない。

そんなこんなで荷物を抱えて戻ってきたオグリット。未だ閉店中の武器屋の入り口から入る。
リックは……まだ眠っているようだ。そろそろ起こしたほうが良いだろう。
荷物を置いたオグリットは、おもむろにリックの両足首を掴むと、そのまま逆さに持ち上げた。

「おーい、おはようリック。もう朝さね、起きんかい?」

そのままぶらんぶらんと揺らすと言う斬新な方法で起こされたリックであった。

177 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/02(水) 07:34:05.62 0リックは夢を見ていた。

オグリットらと共にユリウスを追い詰める夢だった。
リックが鍛えた剣はオグリットの手にあり、一人で油断しているユリウスを背後から襲う。
ユリウスの反撃を寸でのところでかわし、オグリットは大剣で腹に致命傷を与える。
そして命乞いをするユリウスに罵言を浴びせ、止めをリックが刺す。
リックはユリウスの死体から局部を切り取ると、高らかに勝利を宣言するのだ。
周囲がうおおと歓声を上げる。

そこで目が覚めた。
>「おーい、おはようリック。もう朝さね、起きんかい?」
情けない格好で宙吊りにされていた。
「あぁ、オグリット…結局寝ちまってたか」

オグリットの眩しい太股が目に入った。
「何だその服、やけに今どきだな」
ちょっとデザインの入った女モノの布の服を見て、リックは感想を言った。
勿論、彼女の体型に合わせた特注のものだろうが、体の線が美しい。

「さて、仕事だな」
オグリットにしがみついてそのまま体勢を戻すと、保存食を齧りながら
鍛治の仕事に入った。勿論、店はオープンにしてあるが、工房内での仕事だ。

まずは手甲や体防具など、簡単なものから鍛え上げていく。

その準備をしたときだった。セティが店に勝手に入ってきた。
「リックおじさん、相手して」
相手というのは、剣の稽古ということだった。
「その女の人と付き合ってるんでしょ?ママにばらしちゃうから」
「だから想像だけで勝手に話をするな。分かったからそこのでやろう」

たまに剣の稽古をしたが、今回は久しぶりだ。
リックはショートソードが獲物だが、いつも木刀で、セティはいつも使っている訓練用の剣で訓練する。
もう数ヶ月ぶりかもしれない。

工房の広間で訓練が始まった。セティが何度も打ち込みをしてくる。
それをリックはかわし、セティの剣をはじく。いつもこの調子だ。
今回もそのつもりだったが、セティは剣を引くような様子は無い。セティは何度も剣をはじかれそうになり、
体のあちこちに木刀が当たる。胸も膨らみはじめ、尻も大きくなってきたセティは、立派な女ともいえた。
嫌いとはいえ、女の子を傷つけるのは少々心外だ。徐々にイライラしてきた。
そのとき、一瞬の油断をつき、セティの剣がリックの脇に突き刺さった。
「痛え!」
リックの声に驚いたのだろう、セティが剣を緩めたとたん、リックはセティの剣を弾き飛ばし、
右足でセティの腹をを思い切り蹴り上げた。倒れたセティが起き上がり、涙ぐむ。
「あ、すまん… 傷は大丈夫か? 薬を塗っておけよ」
リックがセティに薬を差し出した。セティは、剣を放ったまま、泣き出して店の外に出てしまった。
一瞬のイラつきが感情に出てしまった。ユリウス憎しが娘への八つ当たりになったのかもしれない。
しかし、既に体格も頭一つしか違わないセティの腕は確かに上達してしまった。
ヘタをすれば寝首をかかれるかもしれない、そう思った。

それもつかの間のこと、リックはすぐに鍛錬の作業に入っていた。
客は殆ど来なかった。
鍛え、練成し、つなぎ合わせる。これを繰り返す。
あっという間にその日の夕方には大剣以外ができあがっていた。

しかし、手を休めることなく、大剣の方の作業に入る。
ガチン、ガチンと工房内に絶え間なく音が響く。リックの体はボロボロだったが、
夜まで休みなくこれは続けられた。
日がくれ、明かりが完全に落ちると、リックはそのままへたり込み、寝息を立てはじめた。

178 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/02(水) 23:55:47.23 0>「あぁ、オグリット…結局寝ちまってたか」

リックを起こしたオグリットは、上機嫌な笑顔で挨拶をする。
まだ寝ぼけ眼のリックは、普通の女性のような格好をしたオグリットに少々驚いたようだ。

>「何だその服、やけに今どきだな」

「ほ、褒めても何も出んからな!」

実際のところ、オグリットには女性らしいセンスはほとんどない。
この服とて、酒に酔ったときに勧められるままに仕立てて貰った服だった。
しかし、こうして褒められるなら普通の服も悪くはないな、などと思う。

>「さて、仕事だな」

リックはおもむろに仕事の用意を始めた。どうやら朝食すらいらない様子だ。
店頭のすぐ奥にある工房、そこがリックの仕事部屋だ。ここで武器を鍛えるのだろう。
オグリットにはその仕事は分からないが、工房から職人の気質のようなものを感じた。
仕事の準備を眺めていると、店のほうに来客があった。確かセティという少女だ。

>「リックおじさん、相手して」
>「その女の人と付き合ってるんでしょ?ママにばらしちゃうから」
>「だから想像だけで勝手に話をするな。分かったからそこのでやろう」

リックとセティはその場で剣術の稽古を始めたようだ。面白いのでオグリットは眺めることにする。
腕前はリックのほうが圧倒的に上、おそらく戦士としても十分に戦える腕前なのだろう。
彼の裸を見たときも思ったが、伊達に鍛えている訳ではないようだ。
対するセティはまだまだ拙い剣捌きだ。しかし、動きの端々に冴えたものを感じる。
良い運動神経を持っているのか、おそらくは生まれつきの才覚だろう。
鍛えればまだまだ強くなる。幼いが故に将来性を感じる動きをしていた。

よく見ていると、リックの動きにむらがある。おそらく集中出来ていないのか?
その隙を突いて、セティの剣がリックに当たる。

>「痛え!」

驚いたセティが剣を引くと、リックはそれを弾き飛ばし彼女の腹に蹴りを入れた。
思い切りそれを受けたセティは倒れ込む。オグリットにはそれは少々大人気ない攻撃に見えた。

>「あ、すまん… 傷は大丈夫か? 薬を塗っておけよ」

起き上がったセティに薬を差し出すリックであったが、彼女は薬も剣も拾わず、泣き出して店を出てしまった。

「リック、あとで謝るんだよ? あれは少しばかりやり過ぎさね」

そう声を掛けるオグリットだったが、リックは苛立つような仕草で仕事に戻ってしまった。
リックはセティのことがあまり好きではないのだろう。それはオグリットにも察せられた。

179 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/02(水) 23:56:20.51 0仕事をしばらく眺めていたが、オグリットは退屈していた。
そもそも武器屋には滅多に客など来ない。たまに来ても冷やかしか、簡単な注文しかしない客だ。
オグリットはひらめく。そうだ、掃除をしよう!
料理以外にも、家事全般はオグリットの得意とするところだ。宿屋で働いていれば必要なスキルである。
店先は整理こそされているものの、至るところに埃が目立つ。掃除の必要は十分にありそうだ。
どうせなら徹底的にとエプロンをつけたオグリットは、気合を入れて掃除を始めた。

そして夕刻、徹底的な掃除を終えて店をピカピカにしたオグリットは、ほぅと一息ついた。
掃除は店内のみならず、店先にまで及んでいる。隣人に怪訝に思われたが、臨時のバイトだと名乗った。
リックはまだ作業をしているのかと覗き込むと、彼はちょうど大剣以外の装備の仕上げを終えていた。
すぐに大剣の鍛錬を始めたリックを横目に、オグリットは手入れのなされた装備の具合を確かめる。
サイズ調整は完璧、以前よりはるかに丈夫になり、扱いやすくなっている。
特に手甲の出来栄えは申し分ない。どうしても繊細になりやすい手甲であるが、動きやすく丈夫に仕上がっていた。
オグリットは早速鎧にマント姿に着替えると、店を出て装備を試す事にした。

店を出て路地を抜け、水路の際までやってきたオグリットは、適当な岩を探す。
ここなら人目につかないし問題ないだろうと考えた彼女は、見つけた岩に拳を叩きつけた。
破裂するような音を立て、岩は粉々に砕け散る。対する手甲は故障もなく、問題なく機能したようだ。
この性能は素晴らしいと、オグリットはほくそ笑んだ。これなら防具としてだけでなく、武器としても扱える。
彼女の拳の一撃は、交通事故のそれに匹敵する。その一撃で敵を無力化出来るのだ。
上機嫌のオグリットはその場で鍛錬を始めた。剣がないため重い手甲を付けてのシャドーボクシング中心だ。

完全に日も暮れ辺りが暗くなったため戻ってきたオグリットは、工房で居眠りするリックを見つけた。
一日中仕事をしたから疲れたのだろう。近くに置いてあった毛布をリックの肩にかけると、キッチンに足を運んだ。
今朝も朝市で買い物したため材料は十分にある。何か食べやすいもの、男性が好むものが良いだろう。
悩んだ末に、オグリットは芋を蒸かしコロッケを作る事にした。これならば冷めてもおいしく食べられる。
芋を蒸かしている間に水牛の肉を十分に微塵にする。蒸かした芋の皮を剥き、手ごろなコップの底で潰す。
そして野菜と共に炒めて味をつけた肉を混ぜ込むと、衣をしっかりと塗して揚げる。これで出来上がりだ。
コツはやや高温の油で一気に揚げる事。温度が低いとパンクする事がよくあるのだ。
出来上がったコロッケを器に盛ると工房まで持って行き、眠るリックのそばに置いた。
もし夜目が覚めたり、朝になってもおいしく食べられるだろう。揚げたてでないのが少し残念だが。
一通りの仕事を終えたオグリットは、早めに休む事にした。明日には剣も仕上がるだろう、楽しみだ。

180 :名無しになりきれ:2015/09/05(土) 18:21:21.62 0期待保守

181 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/05(土) 20:29:27.07 0夕暮れ時、起き上がると、工房が綺麗に掃除されていた。
大剣以外の手甲などの装備がない。恐らくオグリットが修行に使ったのだろう。
残るは大剣だけだ。
「掃除もできるとは、完璧だな」

リックはオグリットに最後の仕上げの前の「お礼」をすることにした。
オグリットの横たわるベッドに腰掛けると、オグリットを抱き寄せる。
この晩は激しく交わった。
溜まっていた欲望がいっきに曝け出された感じである。
リックは鍛治の仕事の関係もあるが、この前の行為でオグリットの弱い部分、気持ちの良い部分を熟知していた。
そういった部分を重点的に責める。
オグリットの嬌声が響き、リックの唸り声も響いた。
オグリットは何度も絶頂を迎えた。それに対しリックの腰にも強烈な刺激が入り、
欲望をありったけのままにオグリットの腹に吐き出した。
その後も二人は抱き合った。

オグリットの頭をなで、再び武器屋へと赴く。
「これから最後の仕上げをする」
工房へと向かった。今日は店は休みなので、まずは図書館に向かった。
それはセイルを探る意味も込められていた。

182 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/07(月) 02:27:59.80 0夜、早めに就寝をしていたオグリットは、リックの近づく気配で目が覚めた。
彼はオグリットの寝ているベッドに腰掛けると、その体を優しく抱き寄せる。
それに応えて、彼女はリックの唇を求めた。熱い接吻に、両者の気持ちは高揚する。
その晩は、オグリットは彼の求めるがままに受け入れる事にした。
大剣を仕上げるためにもリックを疲れさせてはいけないという配慮と、彼女自身の好奇心によるものだ。
彼には案外テクニックが備わっているらしいということは察している。
でなければ、オグリットがそう簡単に満足するはずもない。
リックの放つ欲望を、オグリットは嬌声を上げて体の内で受け止めた。

行為を終えたあと、二人は狭いベッドで抱き合うようにして眠った。
こうしたまどろみは心地良いものだ。ぼんやりした意識で、オグリットは暫しそれを楽しむ。
やがて刻が過ぎ、リックは仕事に戻るのかベッドを出て行った。
何とはなしにその足音を聞いていたが、どうやら彼は外に出かけていったらしい。
気分転換だろうか? 彼の後を追うのも気が引けるし、せっかくなのでオグリットは仕事に出掛けることにした。
何のことはない、ギルド組合が提供する傭兵の請負任務を探しに出かけたのである。
未だ武器は仕上がっていないが、丈夫な手甲もあるしサブウェポンもある。戦いには不自由しまい。
オグリットは出掛ける旨を簡単に書置きすると、先日も立ち寄った掲示板を見に行った。

ギルド管理所の周りは、賑やかな空気とは一線を画す。ここにはあまり人は寄り付かないのだ。
建物の中を覗いてみると、数人の男達がサイコロ賭博に興じていた。
そんな連中を無視して、オグリットは貼り出された依頼書に目を向ける。
一人で請け負うにはリスクのある仕事、逆にあまりにぱっとしない仕事が並ぶ中で、ひとつ目に付いたものがあった。

「ヤオリ村を占拠した盗賊団の殲滅」

そう書かれた依頼書を食い入るように見つめる。犯人の生死は問わず、迅速な対応を求めるそうだ。
推定される盗賊団の人数は10人。あまり大規模なものではないらしい。亜人も混ざっているようだ。
ヤオリ村まではここから馬車で二時間ほど。オグリットが走ればもっと早く着くだろう。
早速受付にこの案件を引き受ける旨を伝えると、オグリットは村に向けて駆け出した。

そして一時間後、オグリットは息を切らす事もなく村に辿り着いた。
村の周囲にはまだ新しい簡素な柵が設けられ、鳴子が仕掛けてある様子だ。
物陰から観察した限りでは見張りは二人。30メートルほど距離があるが、問題はない。
オグリットは腰に吊るしている棘付き鉄球を手に取ると、渾身の力を込めてそれを投げる。
8キロ以上の重さのある鉄球を、まるで野球ボールのように投げる事は常人には不可能である。
砲丸投という競技も存在するが、そもそも投げるフォームが違う上、世界記録でも23メートル程度であると追記しておく。
その不可能を可能にしているのは、ひとえに彼女の強靭な肉体だ。特に腕力に勝る者はいないだろう。

183 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/07(月) 02:28:35.44 0投げた鉄球は、逸れることなく見張りの一人に命中した。脳漿を飛び散らし倒れ込む。
それに気付いたもう一人が倒れた男に駆け寄る瞬間、続いて投げられた鉄球が頭を打ち砕いた。
安全を確認し村の入り口に駆ける。見張りを潰されたことに気付かれる前に、全てを制圧する必要がある。
残りは八人、うち二三人は夜の見張りのため寝ている事だろう。だとしたらあと六人。
村を見渡すオグリット。すると彼女は、一軒の家から煙が上がり、そこから料理の匂いがすることに気付いた。

「ほう、ランチ中ってところかね。これはチャンスさね」

その家に忍び寄り、ドアに耳を当てる。中からは陽気な話し声、声を数えたところ六人全員いるようだ。
村人はおそらくどこかに監禁されているか、あるいは殺されているのだろう。
盗賊はおそらく数日をかけて村の金品を集め、ここを拠点に更に勢力を拡大するつもりに違いない。
村が占拠されて既に二日が経過している事を考えると、今を逃せば連中を倒すのは難しくなる。

オグリットはドアではなく、おそらくは敵に最も近いであろう壁の前に立った。
そしてほぅと息を吐くと、板製の目の前の壁を両の拳で文字通り「粉砕」した。
板を突き破るのではなく粉砕、その秘密は彼女の力の込め方にある。
拳を突き入れるのではなく板の中心で止め、衝撃を板全体に伝播させたのだ。
脆くも崩れ去った壁を更に突き破って突入したオグリットは、未だ状況を理解出来ない二人の盗賊の頭を捕まえる。
そして拳を打ち合わせるように両手の頭を打ち据えると、意識を失った二人の体を残りの盗賊に投げつけた。

「やぁ盗賊共、お姉さんが相手しに来てやったさね」

そう声を発するが早いか、更に拳を当てるためオグリットはテーブルを蹴飛ばして前に出た。
そこから先は最早乱闘である。突然の襲撃にナイフ程度しか武装出来ない盗賊達にとって、オグリットはまさに暴風雨だった。
背後からの急襲すら巧みに回避し、重い手甲の一撃で意識どころか命を刈られる盗賊達。
時間にしてほんの数分だったろう。最後まで無傷で立っていたのは、オグリットひとりだった。
彼女には受け継がれた血脈と天性の才能があった。更に経験に勇猛さも加わることで、彼女は比類なき強さを持ったのだ。

一番時間が掛かったのは、残りの眠っている二名を発見することだった。
とりあえず一番大きな家から順に探したのだが、彼らは4軒目の家で寝ていたせいである。
寝ていた彼らがどのような仕打ちを受けたのかは省くが、結局彼らは生き残る事が出来た。
生き残った、否、生き残らせた盗賊は全部で4名。彼らはリフティスまで連れて行くことにした。
村のものか盗賊のものか分からない馬車を借り、簀巻きにした盗賊たちを投げ込む。
正直なところ縄を解いたって動けるような状態ではないのだが、オグリットはそこまで頭は回らない。
とにかくそんな感じでゆっくりと帰路に着いたオグリットであった。

帰ってきたのは既に夕刻。ギルドで煩雑な手続きを終えるのに時間が掛かってしまった。
出掛けていたリックは既に家に戻っているだろうか? 大剣も仕上がったのか気になるところだ。
正直なところ拳での戦闘は今回のような連中相手が限界である。彼女の本領は剣技あってこそなのだから。
怪力故に拳でも十分戦えるのだが、やはり剣がなければ締まらないとオグリットは思う。
とにかく金を稼ぎ揚々と帰ってきた彼女は途中で良い酒を買い込み、にこやかに武器屋に帰って来たのだった。

184 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/07(月) 13:07:53.59 0図書館には案の定、セイルの姿があった。
相変わらず熱心なものだ。恐らく文献を頭の中に叩き込み、自分の解釈を入れて
教会への憎しみを募らせているのだろう。

彼と軽く雑談をすると、リックは少し離れることにした。
この図書館には新聞のコーナーが存在する。
新聞とはいっても現在のリフティスが所属する都市同盟のものと、
教会のものだけだ。しょっちゅう刊行されるものでもなく、しかも内容は当然誇張が含まれ、
同盟と教会寄りになる。両者の書かれている内容が矛盾することなども常だ。

そんな中、興味深い記事が目についた。それも両方の新聞でだ。
『盗賊団、鎧の大男のもとに各地で狼藉』
内容は、大男が団長をしている盗賊団が近年になってから暴れまくり、
近くのトバ、ラタキアの街で大きな被害を出しているということだ。
特に若い女性がさらわれる被害が多発しているらしい。
しかも、最近はどんどん南下し、リフティス付近へと向かっているようだ。
方角的にはヤオリ村の延長線あたりといったところだろう。

そして、同盟の新聞に描かれていた似顔絵を見て驚愕した。
それは紛れもなくユリウスだった。年齢を重ねた後はあるとはいえ、
人相はユリウスそのもの、体格や格好なども一致する。
(この近くにユリウスの奴が来ている…!)
リックはその記事をさらに詳しく読みあさった。

しばらくすると、セイルが近づいてきた。秘密の話があるというのだ。
セイルの話は簡単にいえばこうだ。
現在、リフティスには教会に非常に反発的な地元の勢力が存在している。
その中にはかつての精鋭を含む屈強な戦士たちもいる。
教会支配に対する蜂起は近いうちに行われる予定で、その集会は明日行うから、
ユリウス憎しなら来ないか、という内容だった。

「分かった。喜んで参加する。その前にお前に奴がいるんだが、良いか?」
セイルは突然のことだが、強力な助っ人だと聞くと、喜んで受け入れた。

もう夕方になる。図書館から外に出ると、傭兵に捕まったと言われる盗賊団が
教会に引き渡されていたところだった。
どこの盗賊か、情報も聞きたいところだったが、教会の連中にセイルを連れて行く訳にもいかないだろう。
そのまま店へと帰ろうとすると、丁度教会側からミリアとセティが歩いてこちらに来るところだった。
何やら慌しい表情をしていたが、リックは軽く挨拶だけすると、「用事があるから」と店に向かった。

店に入り、そのまま離れへとセイルを案内する。
扉を開けたらセイルを前に出し、逃げられないよう後ろ手に扉を閉めた。
「よう、オグリット、セイルを連れてきたぞ。ついでにユリウスの情報も仕入れてきた」
セイルの肩をポン、と叩き、テーブルから立ち上がるオグリットへと突き出す。
「セイル、こいつがオグリット、俺の心強い相方だ」

大剣の仕上げもあるというのに、今夜は長くなりそうだ。

185 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/08(火) 01:42:26.13 0オグリットは例によって夕飯の調理をしていた。今回は酒の肴になるものを少々と言ったところだ。
獣肉の干物は炙って柔らかく、チーズも軽く熱する事で柔らかく、また風味豊かになる。
そんな簡単な作業もひと段落付き、あとはリックの帰りを待つばかりとなった頃、店のほうに気配。
リックが帰ったのかと思い立ち上がりかけるオグリットだったが、その動作はすぐに止まった。
微かに聞こえる足音は二つ。ひとつはリックのものだが、もう片方は聞き覚えがない。
足音は個人を特定する上で、非常に有益となる情報だ。それだけ個人差があり、習熟した者にとって雄弁に語るのである。
鍛え上げられた戦士であるオグリットは、それを察知し置いてあった手甲を装備する時間を作る事が出来たのだ。

>「よう、オグリット、セイルを連れてきたぞ。ついでにユリウスの情報も仕入れてきた」

「お帰りリック! おや、会うのは二度目だね、酒場ではずいぶんと『世話になった』さね」

ほんの一瞬、オグリットは凄みを利かせる。たじろがせるには十分だろう。

>「セイル、こいつがオグリット、俺の心強い相方だ」

「あの時は人の喧嘩によくも茶々を入れてくれたね。いけないよ? あーいうことしちゃ」

そう言って、更に一歩詰め寄るオグリット。もちろん後ろに逃げ場などない。
とっさに横に逃げたセイルは、早口で詠唱を開始する。だが、その動きは読まれていた。
オグリットはろくに目で追いもせずに腕を横に振る。その手は、寸分違わずセイルの舌を捕まえていた。

「距離をとって詠唱、距離をとって詠唱。魔術師連中は他に戦法を知らないのかえ?」

舌を掴んだまま、彼女はセイルを引きずるように手繰り寄せる。抵抗など出来ようもないだろう。
魔術師の鍛錬と言えば、もっぱら詠唱の高速化と逃げるための脚力作りだけだ。
戦場では後方支援担当になるだけあって、ろくに己の体を鍛える事をしない。
戦場で鍛えられたオグリットにとって、魔術師の攻略法など腐るほど知っていたのだ。
詠唱を終える前に距離を詰め叩く。それが不可能なら、魔術師の視界に入らなければ良い。
威力こそ馬鹿にならないが、対処としては雨あられと振ってくる矢よりずっと楽なのだ。
詠唱しながら接近戦も出来れば、もっと活躍出来るだろうにとオグリットは思うのだった。

こうしてセイルを捕獲したオグリットは、彼を跪かせ尋問をする事にした。
彼の狙いが教会であることは分かっているので、訊くことは少ない。

「あんた、あちこちで教会の連中を暗殺していたね? それは私怨かい? 他に目的があるのかい?」

答えの代わりに呪文でも唱えようものなら、すぐにでも頭をかち割る用意は出来ている。
もし彼が反教会勢力とパイプがあるのなら、それを吐かさなければならない。
別に反教会勢力と一戦やらかす気は無いが、敵になる可能性は知っておく必要がある。

「私は傭兵さね、金になるのならあんたさんの手駒になっても良い。高くつくけどね」

このあと慰謝料と称して有り金を毟り取ったのだが、それはまた別の話である。


187 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/09(水) 19:39:56.72 0セイルがあっさりとオグリットにより捕まり、金品まで奪われた。
相当に怯えている様子だ。
彼は、泣きながらオグリットに、教会に母親と妹を殺され、弟が捕まり処刑されたことを伝えた。
それで恨んでいる教会を潰そうと躍起になっているようだ。
「だいぶ痛い目に遭ったみたいだな。これでも読んで頭冷やしな。おらよ」

リックはセイルに、今まで長年リフティスの歴史について研究を続けていた成果である大事なノートを、
手渡した。もっとも、オグリット監視の中でこれをじっくりと読むことになるだろうが。
リックは教会の文献で、セイルの家族を殺害したのはユリウスであり、その中には新水際亭(かつての水際亭)の2階
の存在が重要であることを明らかにした。
弟が教会によって捕まり処刑されたのは事実のようであるが、それはユリウスと関わったことが原因だということも判った。

オグリットとセイルを離れに残し、リックは店に入り下着を脱ぐと、
大剣の仕上げに取り掛かった。
今までの経験で鍛え上げられたあらゆる技術・魔法を駆使し、オグリットの大剣は鍛えられていった。
そして耐久力・攻撃力を高めた最後の総仕上げが終わり、出来上がった剣を大事そうに置くと、そのまま朝方まで眠った。

188 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/09(水) 19:55:45.16 0それは昼前ぐらいには起こっていた。
ヤオリ村を襲った盗賊団は、やはりユリウスが関わっていたのだ。
リックの昨日からの胸騒ぎは的中していた。
ユリウスは村から命からがら逃げ帰った部下から、一部始終を聞いていた。
当然、「美しくてスタイルが良く、恐ろしく強い女戦士一人にやられた」と。
これを知ったユリウスが食いつかないはずがなかった。
騒ぎで目を覚ましたリックは、まず急ぎ足で「新水際亭」方面に向かった。
予想通りだった。
鎧ごと真っ二つにされた自警団員の死骸、教会兵士の歯形の残る、脳漿を飛び散らせた死体などが
あちらこちらに転がっていた。まるで竜巻のようなユリウスの戦いぶりがよみがえるようだ。

複数の場所で喧騒がする。それをあらゆる感覚を使って手繰り寄せると、
新水際亭と、教会本部で戦闘が起こっているらしい。
今は丁度セイルが話していた反教会勢力の決起集会の時間になる。
つまり、この混乱に乗じて教会に対する攻撃が行われたといっていいだろう。

リックは考える。(俺が取る行動は一つ…

  ユリウスを討つことだ――!!)

素早く自分の鍛治屋に戻る。まだ布に包まれたオグリットの大剣がそこにはあった。
寝ぼけ眼のオグリットと、碌に寝ていないのか弱り気味のセイルに声をかけ、これからの行動方針と作戦を伝えた。
「ユリウスが新水際亭に来ている。今ならこいつを殺れるチャンスだ。出るぞ」
オグリットにはユリウスを打倒すれば当然、今までの容疑が免除されるだろうことと、
ユリウスを討ち取ったら未だ支払われていない武器代をタダにする、という条件を伝えた。
セイルには、今までの行動を許し、一緒にリフティスの闇を解き明かそう、と語った。

二人とも同意のようだった。
三人ともフル装備だが、新水際亭まではすぐだった。
オグリットは手甲と新防具に布に包まれた大剣と鉄球。リックはショートソードとチェーンメイル。
セイルはエルフの正装とに身を包み、飛び道具を複数持った。

酒場の周りは閑散としていた。あまりにも強い殺気が伝わってくる。
街の兵士は教会に行くかユリウスから逃げるかしているのだろう。

おそらくユリウス側の奴だろう。男二人が外の見張りを整然と行っていた。
その二人はオグリットとセイルの同時攻撃であっさりと殺害され、戦いの舞台は、そう、
新水際亭へと移った。

189 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/09(水) 20:10:48.90 0扉を開けると、そこはあまりにも異世界だった。
こんなところが新水際亭だとは、俄かに信じられなかった。
しかしこれが現実なのだ。

物凄く巨大な敵の気配。それは紛れもなく鎧の大男、ユリウスだった。
予想したよりも体が大きく、リックより頭二つは大きく、体は2回りはでかい、筋肉の塊のようだった。
年齢は40を超えてはいるだろう。深い眼窩はそれまでの犯罪の歴史を物語っているようだ。
酒場は異様な光景だった。
複数の男女が交わっているのだ。
男と女の喘ぎ声が酒場の壁に乱反射している。

ユリウスは腰を振り、リックが良く知っている常連の一人である若い女を犯していた。
他の部下らしき屈強な男たちもそうだった。酒場の従業員や冒険者などの女はことごとく犯されていた。
それどころか、女の中には喜んでいる者もいた。恐らくユリウスの「兵」だろう。
子供のような敵が酒場のマスターを脅し、料理や酒を運ばせている。
あれはユリウスの子で間違いないだろう。どこかの女に産ませ、戦士に育てているのだ。

ユリウスや部下どもは扉から入ってくる3人に気付いたようだ。明らかに部下ではない。
一部の連中が身構える。
ユリウスも女を突き倒すと、こちらを睨み付けた。リックと目が一瞬合ったが、
その後、すぐに別の方に目線を移した。オグリットだ。

リックは作戦通りに動いた。
オグリットの背中をついて跪かせ、四つんばいにさせると、そのまま腰を掴み挿入した。
大して興奮している訳ではないが、徐々にリックは硬さを持ってきた。
「ユリウスの旦那、この女を捕まえてきましたぜ」
セイルも戸惑いながら、ヘコヘコするようにしてリックの子分の振りをする。

グヘヘヘ… と獣のような声を出しながらユリウスが近寄る。
報復もできた上にお目当ての女に逢えて上機嫌のようだった。
しかし、予想外にも、ユリウスの手にはあの巨大なハルバードが握られていた。
オグリットの獲物は布に包まれている。 …勝てるか…?

「いくらぐらいになりますかねぇ、ユリウス様」
リックがモノを引き抜くと、素早くオグリットの装備と自分の装備を正す。
ユリウスがさらに近づいてくる。

「… 今だ…!」

とうとう自分と妹の仇を討てる瞬間が来たのだ。
リックはオグリットとセイルに合図を送った。

190 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/10(木) 00:21:57.96 0セイルに対し鬱憤を晴らすことの出来たオグリットは、その晩は上機嫌で酒と肴を楽しんだ。
リックは仕事、セイルは弱りきっていたためひとりで飲む事になったが、それでも酒は美味しく飲める。
そんな訳で、オグリットは騒ぎにも気付かず昼までぐっすりと眠ったのであった。

まどろみはリックの緊迫した声によって破られた。
彼によると、今リフティスはユリウス率いる盗賊団と反教会勢力による暴動で、未曾有の混乱に陥っているらしい。

>「ユリウスが新水際亭に来ている。今ならこいつを殺れるチャンスだ。出るぞ」

ユリウスを恨むリックにとっては、かつてない好機なのだろう。そして、ユリウスにひとりでは勝ち目はない。
今までの礼と友人としてのよしみで、別に今回ばかりはタダで参加しても良かったのだが、リックは好条件を提示してくれた。
その条件を受け入れ、オグリットは武装を固めた。剣も仕上がっていると聞き、工房に取りに行く。
剣を取り布を払ってみると、大剣は素晴らしい出来に生まれ変わっていた。
頑丈でありながら切れ味も申し分なく、美しく仕上がっている。リックの職人魂が見て取れた。
柄を強く握ると刀身に刻まれた魔導式が起動し、剣に対する強化の魔法が展開する。
魔導式は以前にも増して強化され、それでいて魔力コストは無駄なく削減されている。
この剣さえあればどんな敵にも劣ることはない、そう感じさせる一振りだった。

武装したリックとセイルと共に、混乱する街を抜けて新水際亭までひた走る。
短い道中であったが、辺りには男達の死体が転がり、無残な様をこれでもかと見せ付けられた。
不思議な事に女の死体はほとんど見当たらない。こういう場合、逃げ足の遅い者から死んでいくのだが。
そして新水際亭まで辿り着く。見張りが二人いたが、オグリットの鉄球の投擲とセイルの魔法により一撃で仕留める。
セイルも鍛錬を積んでいるのであろう。魔力で金属片を飛ばし攻撃する魔法はとても洗練されていた。
暗殺に特化されたそれは乱戦ではあまり役に立ちそうもないが、身を守るには十分と思われる。
とにかくそんな訳で新水際亭へと乗り込む三人、そして物語は佳境へと誘われる。

かつてその店がまだ水際亭と呼ばれていた頃、そこの二階にユリウスは寝泊りしていたと言う。
彼がその店に特別な愛着を抱いていたかは謎であるが、奇しくも彼はその店を占拠していた。
酒池肉林を好み英雄として名が知れていた彼は、新水際亭に欲望のままを現していた。
入り乱れる男女。嬌声が響き渡り、女達は蹂躙されている。
まるでどこかの魔境に迷い込んだような光景は、現実感を感じさせないもので。
そしてその魔境の主は、店の中央に君臨していた。女を抱きながら、強烈な気配を放っている。
身長は二メートルを超えているだろうか、強靭な肉体は野生動物というより魔物を連想させた。
間違いなく強敵だ……油断して掛かればこちらの命が危うい。オグリットはそう直感した。

店内に入った三人は、作戦通りに動いた。
まずリックがオグリットを犯して見せて、自分達も仲間であると錯覚させる。
戦闘の規模からして五十人くらいはいるであろう、盗賊たちの顔ぶれに覚えがなくとも不思議はない。
大剣は布に包み隠してある。あまりに巨大なそれは、隠しておけば武器とは認識されない。
オグリットは力なく犯されることに抵抗するそぶりを見せながら、虎視眈々とその機会を狙う。
作戦は成功し、ユリウスはゆっくりとこちらに近付いて来る。手には巨大なハルバードを持って。
武器を持っていることは想定外だが、タイミング良く一撃で仕留めれば問題はない。
オグリットはリックの攻めから開放されてその場に跪いて見せた。剣はいつでも振れる。

>「… 今だ…!」

191 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/10(木) 00:22:30.61 0空気の止まったような一瞬の中で、オグリットと彼女の振るう剣だけが動いてた。
狙うは装甲の薄い首筋の一点、当たれば首が消し飛ぶ事になる必殺の一撃だ。
最高のタイミングと速度で迫るそれは、間違いなくユリウスの首を刎ねるはずだった。

「なっ!? 止めただと……!?」

切っ先は首に届いていた。浅く斬られた首は血を流している。
しかし刃は食い込むことなく、ユリウスの手に握られていたハルバードに食い止められていた。

「セイル!」

オグリットは大剣に渾身の力を込めながら叫ぶ。それが早いか、セイルは行動に移っていた。
目を狙った魔法の一撃。かわせないはずのその攻撃は、ユリウスの左腕の一振りで消し飛ばされた。
しかしそれこそが好機。ハルバードの掴みが片手になって生まれた隙を、オグリットは見逃さない。
鍔迫り合いの剣はそのまま、ユリウスの腹を思い切り蹴飛ばしたのだ。
もんどりうって転げるユリウスに、オグリットの追撃の剣が迫る。
床板が爆発するように消し飛んだ。オグリットの攻撃の余波である。
しかしユリウスはその一撃すら回避してみせた。腕力は拮抗している、おそらくは経験の差だろう。
齢四十を越え未だ衰えを見せないユリウスの化け物じみた戦闘力に、オグリットは戦慄と歓喜を覚えた。


オグリットは姿勢を正し、大剣を大上段の構えで持ち直した。
明らかに振り下ろしの攻撃しか出来ないように見えるその構えは、だからこそ隙がない。
例えるなら、じゃんけんの前に「グーを出すよ」と宣言するようなものだ。
その構えを受けて、立ち上がったユリウスもまたハルバードを体の前に構えた。
ハルバードは槍と斧を組み合わせた武器。斬撃も刺突もこなせるため、次の一手が予想しずらい。
お互いに構え、にらみ合う。先に動いたのはどちらだったろう、両者はほぼ同時に攻撃に移った。
振り下ろされる大剣に対し、それを払おうと動くハルバード。
しかしオグリットが一瞬早く、ユリウスは攻撃を受け止める事になった。
再び鍔迫り合いとなる二人。しかし優勢であるオグリットは、そこから更に力を込めた。
力を込めて握るほどに、オグリットの剣に込められた魔力は強くなる。
より丈夫に、より鋭く。剣が成長していくのだ。

……ピシッ……。そんな破砕音がどこからか聞こえた。
ユリウスのハルバードからだ。オグリットの全力の剣戟にとうとう限界を迎えたのだ。
派手な音を立てて、ハルバードは砕け散った。押し切られたユリウスもまた弾き飛ばされる。

「今だよ、リック!」

オグリットもまた追撃に走りながら、そう叫んだ。

192 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/11(金) 20:10:40.64 0まず、大剣の布が一瞬で外され、堰を切ったようにオグリットの攻撃が入った。
しかし、ユリウスはその外見に見合わぬ素早さで、オグリットの大剣を受けたのだった。
ガキン、という物凄い音が響く。周囲の者たちは一斉にそちらに注目した。
尻餅をつく者も出るぐらいだった。
ユリウスの首には僅かながら傷を与えたが、それは不運にもかすり傷だ。伊達に戦場を多く踏んでいない。
セイルの魔法による刃も、片手であっさりとかき消された。
ギチギチと、巨体と超巨体がぶつかり合う感覚。ユリウスは分厚い鎧と筋肉がこすれ合うような音を立て、
オグリットの豊かな尻も今は筋肉の塊のように盛り上がり、振動していた。

そこにオグリットの蹴りが入る。拮抗は僅かに破られた。
「おおおおおお!!」「ユリウスさまァ!」
部下や女たちがユリウスの不利に動揺する。オグリットの強烈な蹴りにユリウスは壁の方まで引き摺られた。

オグリットが追撃の一撃を放つ。「ユリウス様をお守りしろ!」
部下数人が、武器を抜いてオグリットに飛びかかろうとした。
「ギャァァァア!!」
ユリウスがその重い一撃をかわすと同時に、ユリウスの部下の一人は上半身を吹き飛ばされ、
もう一人は兜ごと頭を吹き飛ばされた。

再び向き合うユリウスとオグリット。無残な二つの死骸を目の当たりにした部下たちは、一度後ずさりする。
あまりの戦闘能力の違いを見せつけられたのだ。
そしてお互いに次の攻撃に入る。オグリットの素早い攻撃に対し、ユリウスは敢えて奇策を練ったのか、
部下を巻き添えにしながらハルバードを振るった。
また一人、上半身を吹き飛ばされ、内臓を撒き散らしながら部下が絶命する。
しかし、その攻撃は逆にユリウスにとって不利になった。

とうとう、ユリウスが鍛え続けながら愛用し、百人、いや千人以上を殺してきたであろうハルバードは、
無残にも砕け散った。破片でユリウスの部下の一人は腕を吹き飛ばされた。
「オォオオオオオオオオオ…!!」
オグリットの打力、スピードとリックの鍛錬が、ついに油断したユリウスを捉えたのだ。

>「今だよ、リック!」

リックの役割は決まっていた。たかが一兵士だった鍛治屋にできることだ。
「ぬおおおお!」
リックは恨みを今にも晴らさんとばかりに、一気に間合いをつめ、
中段から下段の、ユリウスの胴体と脚との境目あたりを狙った、強烈な突きを放った。
この攻撃はただ、ユリウスの視界をさえぎることにあった。
避けられても受けられても良かったが、ユリウスはそれを分厚いガントレットで受け流し、弾き飛ばそうとした。

リックはしゃがんでいる。オグリットが真後ろから同時に攻撃する――!
 ぐおぉぉぉ!!!――
リックの攻撃直後に入ったオグリットの一撃は、まさにユリウスの頭上から振り下ろされ、ユリウスに完全に入った。

193 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/11(金) 20:28:47.26 0とうとうユリウスから血飛沫が上がった。
リックが片手で殴られて吹き飛ばされ、避けると同時にガントレットによる受け流しと回避を
同時に取ったユリウスだったが、その行動は僅かに剣の軌道を変えただけに過ぎなかった。
オグリットの剣はユリウスの特注の分厚い鎧の右腹部を貫通させ、同時に筋肉の塊のような肉体に大きな傷を与えた。
 
あまりの激痛に尻餅をつき、苦痛に顔を歪めるユリウス。
これほどの傷は人生で初めてなのだろう。恐怖というよりも驚きに近い表情をしていた。
ガントレットに包まれた腕を上げ、身を守るのがやっとの状態だ。

  ま、待て…! 俺の話を…

ユリウスから信じられないことに、降伏とも思われる台詞がリックの耳に入った。
リックはまさに今、自分の願いが達せられようとしており、興奮していた。
(もし部下にこの後殺されても、俺が必ずユリウスを討つ…!)

リックの剣は十秒前には信じられないほど、殆ど隙だらけのユリウスの首を狙っていた。
(ここで一突きすれば… ユリウスは死ぬ―!)

先に動いたのはセイルだった。詠唱を早々と済ませ、鋭い金属片を、ユリウスの首めがけて射撃しようとした。
そのときだった…!「グアア…」とうめき声をもらし、セイルの首は剣によって突き刺されていた。それは致命傷になった。
セイルがゆっくりと床に倒れ込むと同時に、金属片が外れてユリウスから離れた酒場の壁に突き刺さる。

「セ、セティ…?!!」
それはまさに姪の姿だった。後ろをつけていたのだろう。
剣と軽鎧で完全武装し、鬼気迫る形相をしていた。

しかしそれも一瞬のこと、リックは衝撃を受けたが、それどころではなかった。
「ぬぉぉおおおお!!」
間髪を入れず、ユリウスの喉下へと強烈な突きを放つ。
同時に、オグリットがユリウスの頭をかち割らんと、一気に間合いを詰めて大剣を振り下ろした。

194 : ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/11(金) 20:46:17.65 0tudukiha asitamadeni

195 :名無しになりきれ:2015/09/11(金) 20:55:36.50 0いいぞ。

196 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/12(土) 09:43:48.41 0  ま、待て…! 俺の話を…

ユリウスから信じられないことに、降伏とも思われる台詞がリックの耳に入った。
リックはまさに今、自分の願いが達せられようとしており、興奮していた。
(もし部下にこの後殺されても、俺が必ずユリウスを討つ…!)

リックの剣は十秒前には信じられないほど、殆ど隙だらけのユリウスの首を狙っていた。
(ここで一突きすれば… ユリウスは死ぬ―!)

先に動いたのはセイルだった。詠唱を早々と済ませ、鋭い金属片を、ユリウスの首めがけて射撃しようとした。
そのときだった…!「グアア…」とうめき声をもらし、セイルの首は剣によって突き刺されていた。それは致命傷になった。
セイルがゆっくりと床に倒れ込むと同時に、金属片が外れてユリウスから離れた酒場の壁に突き刺さる。

「セ、セティ…?!!」
それはまさに姪の姿だった。後ろをつけていたのだろう。
剣と軽鎧で完全武装し、鬼気迫る形相をしていた。

しかしそれも一瞬のこと、リックは衝撃を受けたが、それどころではなかった。
「ぬぉぉおおおお!!」
間髪を入れず、ユリウスの喉下へと強烈な突きを放つ。
同時に、オグリットがユリウスの頭をかち割らんと、一気に間合いを詰めて大剣を振り下ろした。

<「待って ―― 」 >

ミリアだった。
全く武装を身に着けていないと思われるミリアがリック・オグリットの間に割って入り、ユリウスに覆いかぶさる。
リックの剣がミリアの腹を突き刺し、オグリットの大剣の軌道はユリウスの頭とミリアの頭を同時に吹き飛ばしていた。
ユリウスの兜の付いた頭部は大量の血を噴出しながら宙を舞い、テーブルの上へと落ちた。
ミリアの頭は皮肉にも、リックとセティの間に落ちた。二人の体に血液が降りかかる。

目の前には、ユリウスの首無し死体があり、リックの剣が突き刺さったミリアの体が抱きつくようにユリウスに寄りかかっていた。
夫婦というよりも、まるで親子といった体格差だ。
それを見たリックは、やった、というよりも、言いようの無い虚しさだけが広がっていった。

リックが静かにセティの方を振り返る。
「お前ら、何で… こんなことを…!」
セティが感情のこもらない瞳から涙を流しながら、リックへと体を進めた。

  「だって… ユリウスは… パパだもん…!!…」

あぁ、やはりユリウスは、獣なんかではない。奴は、リフティスを狂わせた、バケモノだ。
征服者となったユリウスがここを立ち去るまでに撒いた種は、この街そのものを確実に犯していたのだった。
今でも教会本部の方では、沢山の血が流れ、大勢の人間が憎しみを燃やして命を散らしているに違いない。

腹には、セティの剣が深々と突き刺さっている。薄れゆく意識。「オグリット…! この街を頼む…」
そのままリックは床へと倒れこんだ。目を閉じる前に、そこに落ちていたミリアの頭と、目が合った気がした。

ユリウスという恐怖から開放され、酒場の中は大勢の歓声に包まれた。

197 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/12(土) 10:07:33.59 0ユリウスの部下たちの反応は様々だったが、多くはユリウスという恐怖から開放された喜びからか、
開放感に満たされ、その場で勝利を祝福した。酒場の客の生き残りは全員が喜んでいた。

まず、ユリウスに恨みを持っていると思われる者たちがユリウスの周囲に群がる。
ユリウスの部下だった者、酒場の常連客、そして酒場のマスターらが、ユリウスのほぼ外れた鎧を脱がせ、
次々と武器を突き刺していった。そして露になった下腹部を切り取ったのは、なんと酒場のマスターの牛刀だった。
巨大な竿は子供の腕ぐらい太く長く、睾丸は大人の握り拳ぐらいあり、まさに馬並のものだった。
こんなものが数え切れない数の女を犯し、子種を大量にばら撒き、争いの火を産んでいったのだ。
長い恨みを持つマスターが忌々しそうな表情で、それを酒場のカウンターの上に置いた。

続いてオグリットが祝福された。ユリウスの部下を含む、助かった男や女たちが、
大剣を恐れず、まるで胴上げをするかのようにテーブルへと進め、杯を上げようとした。

そして、酒場の常連客の一人が酒場の二階へと向かうと、そこに詰め込まれていた
女たちを解放した。自分のアジトへと連れ帰ろうとしたのか、ここを拠点にしようとしたのか、
それはいずれ判るだろう。

ほぼ無抵抗のセティは大勢の男(恐らくユリウスの部下だったのだろう)に引き摺られ、
服を引きちぎられていった。これから犯されようとしているのだろう。

他にも、ユリウスの「兵」だった女たちが、床に座り込んで放心していた。
恐らく心底ユリウスに心酔していたのだろう。ある女はテーブルの上にあるユリウスの重い首を
手に取ると、抱きしめて声を上げて泣いた。
勿論、その女たちを狙う男たちもいた。

酒場は血の臭いと歓喜と欲望が渦巻き、非常に混沌としていた。
まるでユリウスを表すかのように。

オグリットの足元は、セティの剣が刺さったまま大量の血を流すリックと、
セイルの死体、ミリアの首、その他先ほどの戦闘で巻き添えになった死骸が転がり、
床は血の水溜りのようになり、それらは交じり合っていた。

豊かな水の街の、陽気な酒場は、またこうして真っ赤な血で満たされたのだった。

198 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/12(土) 10:08:19.80 0【リックの今回のレスは以上です】

199 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/14(月) 01:20:39.01 0武器を失ったユリウスに対して、オグリットとリックのコンビネーション。
リックが視線を逸らすことで生まれた隙にオグリットの攻撃は見事に決まる。
鎧ごと貫いたその一撃は、ユリウスの戦意を奪うに十分なものであった。
痛みより驚きのほうが大きいのであろう。ユリウスは呆然と尻餅をつく。

「ま、待て…! 俺の話を…」

ユリウスの口から思わぬ言葉が漏れる。最早彼は英雄でも悪党でもなく、ただの男に過ぎなかった。
しかしそんな命乞いを聞き届ける者はいない。とどめを刺そうと一番に動いたのはセイルだった。
呪文を唱え、ユリウスの首を狙って金属片が放たれる。しかしその一瞬前に、セイルは崩れ落ちた。
背後からの剣による刺突、それはセイルの命を奪うのに十分な一撃であった。

>「セ、セティ…?!!」

確か武器屋に何度か訪ねていた、リックの姪だとかいう少女だ。
視線だけで人を殺せそうな殺意を放ち、血に濡れた剣を握っている。
しかし、初めての殺しに興奮のあまり意識が朦朧としているのであろう。膝が震えている。
セイルが助からないのは一目瞭然、セティもまた脅威にはならない。
オグリットはそう冷静な判断を下すと、リックと共にユリウスへとどめの一撃を放った。

瞬間、一人の女が割って入った。しかし振るった剣撃はもう止めることは出来ない。
絶大な威力を誇る大剣は、ユリウスと同時に女の首まで刎ねていた。
宙を飛ぶ女の首を目で追いながら、オグリットは彼女がリックの妹であることを思い出した。
オグリットが剣を止められたとしても、同時にリックもまた妹に剣を振るっていた。助かることはなかっただろう。

>「お前ら、何で… こんなことを…!」
>「だって… ユリウスは… パパだもん…!!…」

自分を犯した相手、そしてろくに顔を合わせたことのない父に愛情など抱けるものだろうか?
オグリットには答えが分からない。彼女は家族を愛した事などないのだから。
いずれにせよユリウスは死んだ。この街を混迷させていた元凶はもういないのだ。
すべてが終わった、そう思ったときだった。セティがリックに抱き付くように剣を振るった。
腹に剣を受け、崩れ落ちるリック。

>「オグリット…! この街を頼む…」

最後にそう呟いて、リックは意識を失った。
セティは剣から手を離し膝をついて、ただひたすらに泣いていた。
オグリットはしばらく逡巡した後、ユリウスの首を掲げて派手に雄たけびを上げた。
店内にいたほとんどの者が、それに応えて歓声を上げる。ユリウスの部下たちもまた、彼という恐怖に縛られていたのだろう。

店内は混迷を極めていたが、やがて教会の騎士団が駆けつける事で沈静化を見せた。
盗賊たちと、それにセティもまた囚われの身となり、オグリットは招致されることになった。
敵の親玉を討った功績により莫大な金と騎士団の椅子を授与されたが、彼女は金だけ受け取って立ち去った。

そして数週間後、混乱はあったものの街はとりあえず落ち着き、新水際亭は営業を再開していた。
厨房で鍋を振るうのは店主とオグリットである。死んだ店員の代わりにと、彼女はバイトを始めたのだ。
各国の珍しい料理を作れるオグリットの腕前は重宝され、新水際亭はかつてない賑わいを見せていた。
そんな彼女は現在、かつてユリウスが住んでいたという新水際亭の二階に間を借りている。
リックはあの大怪我から一命を取り止めたものの、未だ目を覚ます兆候はないらしい。
目を覚ましたところで、妹を殺し姪に討たれ、生きる目的も失った彼は生きていけるだろうか?

まぁ何にせよ、この街はようやくユリウスと言う呪縛から解き放たれたのだ。
教会の支配が続くか、それとも反体制派が教会を討ち取るのかは分からない。
それでもこの街は、きっとユリウスが訪れる以前の輝きを取り戻す事だろう。
それまでここに居座るか、それとも再び旅に出るかオグリットは今のところ決めかねている。
風の向くまま気の向くまま、オグリットは何にも縛られず自由に生きるつもりだ。
そして今日もまた、水の街リフティスは未来へと続いていくのだ。

200 :名無しになりきれ:2015/09/14(月) 23:48:04.26 0>>200ならオグリットがリックの子を妊娠

201 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/15(火) 07:36:20.49 0リックは、ユリウスとの決着から一月ほど経ち、意識がわずかながら戻った。
しかし、体は思うように動かない。元のように鍛治の仕事をすることは諦めた方が良いだろう。
手足にまるで力が入らないのだ。
酒場の複数のメンバーの懇願によって、辛うじて治療先の教会施設から、かつてミリアたちが住んでいた実家の方に
引き戻された。今では何人かの住人が手当てや食事の手伝いをしてくれている。
その中には酒場で合わせた人間もいるはずだが、はっきりとは覚えていないのだった。
自分の余計な行動のために数少ない家族を失ってしまった。

あの直後は鎮圧が大変だったらしい。
結局、街での反乱は教会側に軍配が上がり、反教会軍はほぼ表だっての行動はできなくなった。
中心部を鎮圧した教会軍は新水際亭に入ったが、既に悲劇はほぼ終わっていた。
オグリットの姿は既になく、マスターを含む多くのメンバーたちは解散した後だった。
ユリウスの小さい子供たちは全員彼の部下や酒場のメンバーに殺され、「兵」の女たちはことごとく犯されるか殺されるかしていた。
セティも汚された後であり、殆ど目は空ろな状態だった。
教会軍はそこにいたユリウス残党を排除し、男は殺され、最低限の人数を捕らえ、女の生き残りはセティを含め、教会に投獄された。
幸運にもリフティスの女たちは解放された後だった。
酒場やユリウスらの死体からは金目のものが持ち出されたが、重い鎧などはそのままだった。
ユリウスの頭は兜ごと残ってはいたが、局部だけは何者かが持ち出したのか、そこには残っていなかった。
これは後にリフティスの魔術師の間で保存管理され、教会の捜し物となり、新たな争いを生むことになる。
反教会勢力のメンバーとユリウスの部下の男たちは、教会の支部前で公開処刑された。これでリフティスはさらに教会の色が濃くなる。

ユリウスの部下からリフティスから大きく離れたアジトの位置を聞いた教会の行動は徹底していた。
アジトはヤオリ村からかなり離れ、同盟の隣町ほどの距離があったが、速やかに精鋭軍を派遣し、
不意打ちをもって攻撃し、男たちはもちろん、子供までも殺され、女たちは全員が捕まり、リフティスに投獄された。
また、今回の騒動でユリウスの血を引くと思われる犯罪者たちは、男は少なくとも全員が処刑されている。
ユリウスと接した女とその子孫を管理するためだと思われるが、リックが事件の前に知っているだけでも、
薬屋の娘など、ユリウスの血を「引くことと」なった子は、少なくとも3人はいた。完全にユリウスチルドレンとやらを排除するのは
実際には不可能なのだ。
さらに、教会は反教会派の施設を焼き払い、それに加担した兵や自警団員も処刑し、
関係者家族を追放はしたが、もちろん、この複雑化したリフティスの街には教会に面と向かって反抗していない
「サイレントマジョリティ」も多くおり、完全に沈静化するのは不可能だった。

オグリットは後に、教会からユリウス討伐のことで表彰を受け、
その後教会の聖騎士や果てにはリフティス総司教の側室にまで推薦されたが、
それを断り、酒場で働いているようだ。

リックは新水際亭がまた新しい名前で再開したという話を聞いて、「行きたい」と行った。
街の有志たちに連れられ、台車に載った姿で、潮の香りや水路の音を聞きながら街を移動した。
懐かしい風が吹き、懐かしい匂いがした。リックはかつての新水際亭の扉を開けた。

202 :名無しになりきれ:2015/09/17(木) 19:19:32.75 0期待期待

203 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/18(金) 00:25:36.14 0あの戦いから一ヶ月、リックの意識が戻った事を病院の人間から伝え聞いた。
しかし、それから見舞いには行っていない。正直なところ、合わせる顔がないのだ。
オグリットが会いに行っても、嫌な事を思い出すだけだろう。そう考えていた。
手足に麻痺は残ったが、容態は安定し命に別状なし、ならばそれで十分なのだ。

街に平穏が戻っていたが、以前より教会の支配は強くなっていた。
盗賊や反勢力の残党狩りの依頼の仕事はあったが、オグリットはそれに興味を示さない。
教会にこれ以上目を付けられるのも困るし、今は何より料理が楽しかったのだ。
わずか二ヶ月弱で、オグリットはこの街の料理のレシピをほぼ押さえていた。
そこに独自のアレンジを加えることで、リフティスの新名物を作り上げるほどだ。
新水際亭……否、第三水際亭はかつてない賑わいである。あの事件が嘘のようだった。

そんなある日、思わぬ客が第三水際亭を訪れた。リックである。
手足の自由が利かないのか、台車に乗せられて運ばれている。
しかし顔色は悪くないし、声も溌剌として元気そうだ。少し安心した。
オグリットは厨房からカウンター越しに、当たり前のようにリックに声を掛けた。

「元気だったかいリック? 今何か作るから、座って待ってておくれ」

そう言って包丁を振るう。体が弱っているリックの事だ、何か体に優しいものが良いだろう。
そう思いオグリットが作ったのは、柔らかく食べやすい赤棘豆のリゾットだった。
棘を丁寧に取り除き、十分に柔らかくなるまで煮込んだ豆は健康にも良い。
それをリックのテーブルまで運んだオグリットは、そのまま向かいの席に着いた。

「前に言ったとおり、ここの厨房で働かせて貰っているさね。驚いたかい?
これでも腕のいい料理人だからね。まぁ食え、味は保証するよ。
この街は変わったさね、このままじゃ駄目になる気もする。
まぁ、折を見て出て行くけどね。あたしゃ流れ者、どこでだって生きてける」

そこまで一息に喋って、オグリットはため息をついた。
彼女がリックのために出来ることは何一つない。
いっそ彼と結婚し支えて生きていく事も考えた。しかしそれは彼が許さないだろう。
そもそも根無し草のオグリットが、永くこの街で暮らしてゆけるだろうか?

「なぁリック、あたしに頼みはないかい? 世話になったからには礼がしたいんだ。
リックの手足になってやりたいのさ。片腕程度の働きなら出来るはずさね」

204 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/19(土) 15:11:17.90 0教会への反乱軍が鎮圧されると同時にユリウスがオグリットらによって殺害され、
ユリウスの死体晒し、それとユリウスの部下や反乱軍の処刑が教会本部で行われてから一ヶ月が過ぎた。
水の街リフティスは自警団にも教会色が組み込まれ、以前よりも活気がなく、良く言えば整然としている。

あれから一ヶ月が流れた。ここはリフティスのとある教会関係施設の地下にあたる。
あの日大勢が処刑された者たちは悲惨さを極めたが、もっと悲惨な者たちもいた。
教会傘下のユリウス関係者たちだ。主にユリウスの血を引く者は男ならばほぼ無条件で処刑された。
彼らは内々で殺処分され、その骸骨は一角の部屋に詰め込まれた。その事を知るのは一部の教会幹部だけである。
彼らの人生は、わずか10歳を迎える前に終わったのだった。

この施設にはまだ大勢の人間がいた。殆どが女である。
大きく分けてユリウスチルドレンの娘、ユリウスと関係を持った女、反乱に加担した女の三種類。
勿論、「年頃」でない女たちはとっくに処刑されている。
捕まった者もいれば、教会側から呼び出された者もいた。
男も僅かにいた。「種」と言われるユリウスの息子たちで、殆どが亜人だ。
全てが首に導具を付けられ、足に鉄球を付けられている。いつでも「処刑」できるという訳だ。
女たちの中でも既に妊娠している者は別室に送られ、既に少し前にその選別が終わった。
セティは妊娠が確認されているが、ユリウスの娘であるという情報が無いため、そちらに送られた。

今、この檻のついた部屋には、首輪を付けた亜人ハーフと思われる裸の男と、大勢の女たちがいた。
そして女の一人に挿入し、腰を振っていた。
女は割と鍛えられた肉体を持っていた。ここに来る前はユリウスの部下として活躍したのだろうか。
男の方は非常に若いが、その体は平均的な人間の男よりも一回り大きく、筋肉も無駄な肉がなく隆々としていた。
教会幹部と思われるフードを被った男と上層部と思われるその部下たちが、その部屋を眺めている。
この幹部の男にもまた、寄り添う女が一人いた。反乱軍の女だ。

205 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/19(土) 15:11:54.57 0「まだあと10人だ!もっとしっかり腰を振れ!」
幹部の男が、女を抱き寄せ、服を脱がせると、そのまま挿入して腰を振った。
「ほらァ!ワシが手本を見せてやるよ!」
幹部はフンフンと唸りながら、慣れた手つきで女を突いた。反乱軍の女は悦びの表情を見せる。
彼はリフティスを今や牛耳っている。彼の前にいれば権力を得た気分になれるのだった。

「うッ!」
首輪を付けた男、アデルが絶頂に達する。女は腹の中に熱いものを感じた。
女から引き抜くと、アデルはそこに座り込んでしまった。もの体は悲鳴を上げている。
「アデルよ。今日はお前の10歳の誕生日だったな!精のつくご馳走を用意した。それでも食って少し休め!
あと9人だ。精精頑張れよ!」
幹部の男がそう言って目配せすると、檻の中に豪華な料理と飲み物が振舞われた。
勿論、これらは味は良いが精力などを増強させる薬がたっぷりと入っている。

幹部が腰を振りながら、後ろの一人に小声で話しかけた。
「確かこいつらで最後だったな」 「はい」
「『種』もこいつで最後か…あとは処分したな」「はい」
「と、いうことは後は『牧場』を管理する方に専念できるワケだ」「予定通りです」
「今日中に終わるだろう。アデルは責任をもって処分しておけ」「はっ」
「奴は良い『種』だった… だが、教会とこの街の支配のためには仕方のないことだからな」

つまり、教会はユリウスがかつて行っていたことと同じことをする予定なのだ。
ユリウスの遺伝子を持つ優秀な戦士たちと捕虜の女たちを交配させ、彼らを教会専用の戦士として
育てあげる。そうすれば教会に楯突くことのない、屈強で優秀で忠実な戦士ができあがるということだ。
真相を知ってしまった男たちは処分され、女たちは永遠に彼ら教会上層部の奴隷となる。

「ところで『アレ』はどうなった?」「『アレ』…とは?」
「バカもん、ユリウスの男根のことだ。まだ見つかっていないのだろう?」「はぁ…」
「この前捕まったある男から高値で取引が行われたという情報が入っている。金で買い取っても良い。
殺してでもここに取り返せ…あれは『実験』で必要に…うっ!」

そこまで話して幹部の男は絶頂を迎えた。余韻でガクガクと腰を震わせ、女の方は嬌声を上げる。
「ふむ、お前もなかなかの器よ…だが…」
幹部は何かを思い出したようだった。
「そうだ、あの女だ。ワシの側室を断った、あのユリウスを殺ったという女…」「オグリットですか…」
「そう、そいつだ。探して、もう一度読んでこい。アレは欲しい」「はっ」
「では、あとはお前たちに処分は任せる」

そこまで言うと、幹部の男は女を抱えるようにして連れ、その場を去っていった。
しばらく行くと幹部の男は、牢獄のようなところの前で足を止めた。
「うっ…!!?」
女が目を見開いた。幹部の男が剣で首を突き刺したのだ。あっという間に女は絶命した。
「おい」 幹部の男が身を正した格好で見張りの男に近づいていく。
そして、女の死骸を男に引き渡した。

「これを、片付けておいてくれ」
幹部の男は早くも地上の階段へと足を運んでいた。その顔は笑みで歪んでいる。
それは『牧場』に対してか、『実験』に対してか、それともオグリットに対してのものか、それは誰も知らない。

206 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/19(土) 15:56:31.58 0リックは、「第三水際亭」と名前を変えたその馴染みの深い酒場で懐かしい顔ぶれを見た。

>「元気だったかいリック? 今何か作るから、座って待ってておくれ」

妹と姪という少ない家族を失い、体が不自由な中でも生きる希望を失ったリックだったが、
オグリットの声を聞いた途端、不思議と笑顔と安心感が戻り、熱い想いが込み上げてくるのだった。

オグリットはすっかりこの酒場で馴染み、料理人として、希望通り活躍している。
マスターはまるで老人のようにさらに老け込んだが、何とか元気で生きているようだ。
彼女が料理をしている間に、リックは周囲の常連と話をした。
まず、ユリウスと戦ったときに犯されていた若い女、ルミーは、無事に現場から逃げて、
多少の怪我は残ったが今はもうすっかり元気とのことだった。「母子ともに元気」という話だから、
ユリウスの子を身篭ったらしい。ユリウスの子孫を根絶やしにするという教会の方針は、無茶な話だ。
それから、肉屋のホーコンという男とも話をした。彼は教会軍が来るまでに敵が落とした金目のものを
集めていたらしい。「色々あった」らしいが、結構な収入になったそうだ。

そんなことをしている間に、料理が出来上がった。素晴らしい匂いだ。
>「これでも腕のいい料理人だからね。まぁ食え、味は保証するよ」

いつも世話になっている服飾屋の男らに抱えられ、リックは椅子に座った。
オグリットがいるだけで、僅かながら手足の痺れも良くなった気がするのだった。
スプーンを使い、赤棘豆のリゾットを何とかして口に含む。
「これは美味い! 間違いなく元気になれそうだ」

207 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/19(土) 15:57:35.40 0リックはそれから、オグリットと他のメンバーも含めて他愛のない話をした。
オグリットの話、この街は変わったということにも同意だった。教会によって色々な制限がなされている。
しかし、人情はまだ残っている、とリックは語った。実際に自分が生きられたのもこの連中のおかげだ。
毎日水のせせらぎを聞いて、朝昼晩と移り変わる美しいこの水の街を眺めているだけでも癒される。
ミリアが死に、セティは行方不明で今は元の実家で暮らしていて、鍛治屋『クロイドン』は閉店中だ。

「この酒場も、元の活気に戻ってきてるじゃないか」
リックがそう言うも、オグリットはため息をついたりと何か悩みがあるような様子だ。
らしくないな、とリックは思う。
そのとき、オグリットが口を開いた。

>「なぁリック、あたしに頼みはないかい? 世話になったからには礼がしたいんだ。
リックの手足になってやりたいのさ。片腕程度の働きなら出来るはずさね」

「良いんだ、オグリット。だってお前は俺の願いを、叶えて…くれたじゃないか」
確かに願いは叶ったりだった。リックは剣を鍛えることで対価を払い、オグリットとともにユリウスを討った。
しかし、結果としてリックは肉親を失ってしまった。明るい声でそれが言えるはずがない。

リックはある想いが込み上げてくるのを感じた。胸が少し熱くなる。
「礼はもう充分貰ったけどな。俺の手足に…か。オグリット、ちょっと立ってみてくれ」

オグリットが不思議そうな顔をして席を立つ。
リックは、それを確認すると、テーブルを掴んで、何と自力で立ち上がろうとした。周囲の仲間の手も制する。
「くっ… ううっ!」
辛うじて両足を踏み込み、オグリットに近寄ろうとする。手を上げ、オグリットの肩にかけようとするも、
もう少しのところでずるりと膝をつき、そのまま床に倒れこんでしまった。

オグリットが気を使い、しゃがんでリックを立ち上がらせる。リックは、
足を踏ん張り、オグリットの肩を掴むと、唇にキスをした。
そして再び床に倒れこむ。これだけ体が動いたのは初めてだった。

「オグリット、毎日この料理が食べたい。ずっと…一緒にいて、くれないか?!
俺が良くなったら、一緒に、『クロイドン』を開店しよう!そして俺たちで育てよう…この街を!
つまり…け、結婚してくれ!」

そこまで言うと、さすがに恥ずかしくなったのか、リックは体をひっくり返し、
仰向けになって天井を見上げた。顔が熱くなってくるのがわかる。

酒場に歓声と拍手とリックコールが上がった。

213 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/23(水) 01:19:26.71 0>「良いんだ、オグリット。だってお前は俺の願いを、叶えて…くれたじゃないか」

「叶えた、叶えたとも。でもそれは、リックの望んだ形じゃない……」

オグリットは沈んだ声でそう言う。リックの悲しみは十分に理解出来た。だからこそ負い目を感じるのだ。
オグリットに肉親と呼べる存在はいない。だからこそ失う悲しみを、その辛さを誰より汲む。汲んでしまう。
あの戦いで得たものはあっただろうか? 否、あったとしても失うもののほうが遥かに多かったに違いない。

>「礼はもう充分貰ったけどな。俺の手足に…か。オグリット、ちょっと立ってみてくれ」

オグリットは不審に思いつつ席を立つ。リックの姿が、前より小さく見えた。
目を合わせたリックは少しだけ微笑むと、自力で立ち上がろうとテーブルに手をついた。
手足の力を失ってしまったリックには無理だ。そう思い手を貸そうとするが、リックは身振りだけでそれを制した。
何とか立ち上がったリックはオグリットにすがり付こうとするが、すんでのところで崩れ落ちる。

「無理するなし、リック……」

そう言ってオグリットは、リックに手を貸し立ち上がらせる。
オグリットの肩に掴まってようやく立ち上がったリックは、彼女にキスをした。
オグリットは驚く。彼がそんな衆目の中そんな行動に出るとは思いもしなかったのだ。
それでもオグリットは嬉しかった。リックは彼女をまだ愛していたのだから。
それだけで精一杯だったのか、リックは再び崩れ落ちた。そして床に伏したまま言葉を紡ぐ。

>「オグリット、毎日この料理が食べたい。ずっと…一緒にいて、くれないか?!
>俺が良くなったら、一緒に、『クロイドン』を開店しよう!そして俺たちで育てよう…この街を!
>つまり…け、結婚してくれ!」

「……ああ、いいよリック。あたしはリックと結婚する。よろしくな」

嬉しさのあまりこみ上げる涙をこらえながら、オグリットは感極まってリックを抱き上げた。
そして軽々と肩でリックを担ぐと、歓声を上げる周囲に手を振って見せた。
ふと見ると、店主も厨房からそっと手を振って祝ってくれていた。

「ありがとうリック。ありがとう皆。よし、今日はあたしのおごりさね! 皆存分に飲んでおくんなし!」

オグリットはそう宣言すると、再びリックを抱き上げてキスをした。
その夜は第三水際亭から歓声が止むことはなく、長い夜になったのだった。

214 :オグリット ◆Owx4kcfRuw :2015/09/23(水) 01:20:02.14 0翌日から、リックとオグリット……オグリット・クロイドンは、かつての鍛冶屋に二人で住むことになった。
彼女は彼のリハビリを手伝いながら、夜は第三水際亭で働くという生活を始めた。
変わったことと言えば、オグリットが薬膳の研究を始めたことだろうか。
薬膳とは遥か西の地を発祥とする医学と料理を掛け合わせたもので、食養法の一種である。
それはもちろんリックのためである。彼の体が少しでも良くなるようにとの、彼女なりの気遣いなのだ。
精のつくもの、薬効のあるものを食材とし、それでいて料理として成立させるのはとても難しい。
肝心なのはバランスだ。より多くの食材を組み合わせ、体の精気を養うのが大切なのだ。
時には失敗する事もあったが(それでも十分美味しい)、リックは喜んで食べてくれた。
これで少しは元気になってくれれば良いのだが……と心配をするオグリットであった。

そんな忙しさに街の様子を気にする余裕のなかったオグリットであったが、街は確実に変貌を遂げていた。
教会の取り締まりはより厳しくなり、反乱分子の芽は確実に摘まれ、街に暗い影を落とす。
オグリットに監視の目が付いたのもその頃からである。彼女はそれを不快に思っていた。
オグリットは普段から護身用にと籠手の装備だけはしている。襲われても反撃は可能だ。
だが教会側も彼女の強さを知っているのだろう。無闇に手を出すことはしなかった。

ある日、街のギルドからオグリットに対し直々の依頼が届いた。
題目はユリウス盗賊団の残党狩りである。未だ二十名余りの残党がヤオリ村近郊で燻っているらしい。
ギルドは度々残党狩りのパーティーを組ませては出撃させているが、成果はいまひとつだという。
そこでかつて単騎で村にいた盗賊団の一部を滅殺したオグリットの手腕が求められている、ということだ。
これに対し彼女は参加を渋った。新婚生活を邪魔されたくもなかったが、この依頼そのものが胡散臭いのだ。
それでもギルドは独立した組織である。教会とは直接の繋がりはないため、信用は出来る……はずである。
オグリットが目の色を変えたのは、その報酬だった。これだけあれば、リックに薬と車椅子を買ってやれる。
かく言う経緯があって、オグリットは残党狩りのパーティーに組み込まれることとなったのである。

残党狩りのパーティーは二十名余り。街で確保出来る精鋭を出来る限り揃えたという話だった。
メンバー構成は、索敵部隊に実動部隊、後方支援の三組に大別される。
オグリットが組み込まれたのは実動部隊の中心核だ。前線を切り開き、敵を制圧するのが目的である。
索敵部隊は嗅覚の鋭い亜人や経験を積んだレンジャーなどで構成され、その名の通り索敵を行う。
後方支援は魔術師や弓使いを中心として集められ、実動部隊の援護を主とする。

今回残党狩りを行うに当たって組まれた作戦はとてもシンプルなものだった。
日中のうちに索敵部隊により敵のアジトを発見し、夜になるまで監視する。
夜、一番油断しやすいとされる丑三つ時になるのを待ち、実動部隊等主力部隊が制圧する、というものだ。
シンプルではあるが隙のない作戦、敵を殲滅を目的とするなら問題はないだろう。
かくして、作戦は決行された。しかし、この時オグリットにとって真の敵は味方側にいることに気付かなかった。

215 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/23(水) 11:28:09.72 0かくして、リックはオグリットと結婚した。
それからしばらくの月日が経ち、やがてオグリットからリックの子を妊娠したことを告げられた。
オグリットは今、薬膳料理の研究をしている。そのお陰か、体が回復されるのも早い。
リックはセティによって刺された傷が内臓に達していたこともあるが、その前にユリウスに殴られたのも痛手だった。
しかし、今は下半身の調子が良いのは勿論のこと、手もある程度動くようになり、両足で立ち上がることも可能になった。
オグリットは妻としてはかなり優秀だといえる。

『クロイドン』の再開までの時間ももう長くないだろう、とリックは思う。
今日は珍しく、戦士の血が騒いだのか、オグリットが残党狩りの依頼を受け、久々に傭兵としての仕事に出かけた。
泊りがけになるらしい。オグリットの腹にはまだ小さいとはいえ、リックの子がいる。
「くれぐれも気をつけろよ」とだけ言って、リックは今日も家でリハビリをすることにした。

今日は話をつけていることもあって、車椅子を持ったお手伝いが来た。
今回は幼馴染でユリウスの子を産んだイリアという薬屋の女だった。
子供は教会には狙われず、今でも無事に暮らしているという。
彼女の家には死んだイリアの祖父が使っていたという、高価な車椅子があるのだ。
以前は2人以上が手伝いに来ることが多かったが、最近は1人がいれば充分介助が可能だ。
「図書館まで頼む。あそこ、最近変わったらしいな」

メリビア通りを横切ると、水路のせせらぎの音が聞こえてくる。このまま広場へと抜ける。
人の賑わいが前よりも落ち着いたせいか、水や波の音が良く聞こえてくるようになった。
広場にはかなり前からあるというここの名物である噴水が音を立てていた。
リックは専門ではないので噴水の仕掛けが分からないが、水の豊かな地域だからこそできるものだ。
そして水路を横切る。熱いリフティスで、このあたりから緑や建物の影が多く、涼しくなってくる。
「お、交易船かな?最近はどんなものが動いてるんだろう」
水路を荷物を積んだ船が横切っていくのが見えた。その向こうは湖になっている。さらに向こうは海だ。
水路で水浴びをしている住民の姿も見られる。いつものリフティスだ。
かつて領主時代に支部だった古い教会の横を通り、図書館に入った。

「何だ、ここは…!」
教会によってだいぶ改築されたようで、レイアウトがところどころ変わっていた。
リックは教会のヘビーユーザーなので、無くなっている蔵書も確認できる。
教会による検閲が行われたのだ。
奥には何と、ユリウスを討ったという記念展示が行われていた。

216 :リック ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/23(水) 11:29:17.82 0死体となっても尚も住人を震え上がらせたというユリウスの肉体が像となって展示されていた。
それはまさに筋肉の塊で、晒された死体が処分されるまでにどう再現されたのか、見事な巨体だった。
兜や鎧などの装備、ハルバードの破片から復元された武器まで置いてある。
ユリウスの悪事の歴史は、誇張され、それはそれは邪悪なないようの文章となって
あちらこちらに散りばめられていた。そしてオグリットという女によって殺された、と締めくくられている。
よく見るとギャラリーには女性も多い。教会はユリウスの悪魔具合を強調して正義を振りかざすためにここを作ったのだが、
もしかすると、新たにユリウスのファンを作ってしまっているのでは、とリックは思った。
一番奥にあるものは、ユリウスの男根の像だった。それは睾丸部分から生々しく作られており、まるで馬のそれだった。
《10000人の女を犯したユリウスの邪悪な陰茎》と書かれている。
アイリの顔を見た。何かを思い出しているのだろう。その顔はどこか興奮しているようでもあった。

その後、リックはしばらく懐かしい本を読み、イリアはユリウスコーナーで時間を潰すと、
そのままイリアはリックを引き連れて、薬屋へと入った。
リックは高価な薬を紹介された。奥に大事そうに貯蔵されていたそれは、
ドラゴンの眼、絶壁燕の巣、マーメイドの心臓など、貴重な素材でできたという幻の品だった。
身体の欠損している機能が、たちまち回復するという。値札を見てますます驚いた。
「こんなにするのか…!」
イリアから貰ったお茶を飲みながら、リックはその薬をまじまじと眺めた。
そして、それをオグリットが密かに金を貯めてリックの治療のために買おうとしているとは彼もつゆ知らず、
彼はイリアによって奥の部屋に案内された。

「今日は子供が仕事に出てしまって帰ってこないから」と言うイリアは、
薬と車椅子を安く譲るからと言って、自分を抱いて欲しい、と言った。
きっとユリウスの男根像を見た頃から考えていたのだろう。イリアの眼はリックの股間を凝視していた。
リックは先ほど盛られた催淫薬と精力増強剤が効いてくるのを確認しながら、運命に身を任せた。
彼もまた、そのような流れをどこかで期待していたに違いないのだ。
イリアが服を脱ぎ、リックも床に押し倒され服を脱がされた。
リックはとうとうユリウスの穴兄弟になり、イリアの腹に放った大量の精からは、また新たな命が芽生えることとなった。

イリアは腰が動かなくなるほどになり、また今度来ることを条件に車椅子をリックに貸した。
リックは途中何度も住人に支えてもらったり押してもらったりしながら、何とか噴水広場へと到着した。
手が痛い。少し休むことにした。
西の空は綺麗な夕焼けだった。不気味なぐらいに美しい夕焼けは、何か不吉なものを感じ取らせた。
海鳥の泣き声、水路のせせらぎの音は、まるでこの街が泣いているようにも聞こえた。
ゆっくりとメリビア通りを進み、行き交う住人たちに挨拶をしながら押してもらう。

店に入り、車椅子を置いて閉めると、リックはそのまま離れへと這っていき、広いベッドに横になった。
横を見るとオグリットの所持品と思われる料理の本や、最近図書館から借りてきたらしき子育ての本があった。
「オグリット… 無事帰ってきてくれ」
リックはため息をつくと、保存食を軽くとり、眠りについた。
外はもう暗く、鳥の鳴き声は完全に水の流れる音へと変わっていった。

豊かな水の街、リフティス。
きっとここは明日も明後日も、同じように時がこの街の水のように流れていくだろう。
しかし、リック――人間の明日というのは、そうは行かないものなのかもしれない。

人間には欲望がある。欲望は流れを変え、崩し、壊してしまう。
リックも、オグリットも、ユリウスも…そしてこの街の人々もきっとそうなのだ。
明日もきっと、リフティスには美しくも、水と欲望が渦巻くのだろう。それがリフティスなのだから。

217 : ◆ZpoIFlsQRI :2015/09/23(水) 11:33:36.85 0【以上、リックのレスはこれで最後になります】
【◆Owx4kcfRuwさん、可能ならここから締めをよろしくお願いします】
【締めが無理そうでしたら、そのまま続けていただいても結構です】
【◆Owx4kcfRuwさん、愛読してくれたファンの皆さんありがとうございました】

234 :カマンベール侯爵 ◆JCYETEc/hc :2015/09/29(火) 20:10:17.11 0オグリットの体がリフティスに戻ってきた。
辛うじて息はあるが、腕を斬られ犯され、さらに薬漬けにされ、
もはやオグリットは生ける屍も同然だった。

「閉じ込めておけ」

男の声が響き、オグリットは牢獄へとぶち込まれた。
今後はどうなるか分からない。

リックは鍛治屋で待っていたが、3日待っても、10日待っても、オグリットは帰って来なかった。
オグリットの妊娠がバレ、近いうちに相手の男もばれるだろう。
そうなればリックは一巻の終わりだ。

ちなみにオグリットは抵抗して5人ほどを殺した。
このヤオリ村での偽奇襲作戦は一夜で闇に葬られることになった。

リフティスに今日も夜が訪れる。その闇は深い。


  【二期終了。
           三期へ…】

リフティス編 第三部

248 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/05(月) 12:35:36.23 0(三期)


大きな魔術錬金釜の中で、何かがコポコポと音を立てて動いていた。
それはユリウスの男根だった。
ユリウス殺害事件の後、肉屋が回収した男根は、裏取引商人を通じて、
リフティスでも一番の錬金術組織によって買い取られ、長い間保存されてきていた。

ついに材料が揃い、それらを合わせて回収する。
あれから実に三月が経っていた。
「おぉ! これは…!」
錬金術師は全員で3名。この3人による秘密結社、それがリフティスを支配する会であった。
彼らは裏でリフティスを操り、教会の裏でさらに支配を行うことをもくろんでいた。

錬金釜の中、徐々に肉体が形づくられていく。
男根の周囲に下腹部が作られ、徐々に鍛錬された男の上半身と下半身が形作られていった。
「おぉ、良いぞ!種が良いから良いものが完成しそうだ!」

錬金術の男たちの目的は、自分にとって都合の良い生物兵器、つまり意思を持たない奴隷。
無敵の殺人マシーンを作り出し、武力行使を行うということだった。
ユリウスの肉体は実に魅力的で、教会の力に対抗し得た。
何より、そのカリスマ性もある。暗殺に利用するだけではなく、いずれは魔術師側の兵器として、
外部にその存在を明るみに出そうとも考えていた。

形づくられた肉体はユリウスのものと体格は似通っているものの、肌は浅黒く、ずっと毛深いものだった。
筋肉もユリウスのそれを遥かに凌ぐ隆々としたもので、不気味なぐらい鍛えあげられていた。
頭部が露になっていく。髪は長く、髭も長い。全体的に馬を思わせるストレートの毛並みに覆われており、
下半身も馬のような男根を覆うような長い陰毛によって隠されていた。

「これは怪物だ」
その中の一人が興奮するような声で言った。もちろん歓喜の意味である。
男根から形成されたその巨大な肉体は、ゆっくりと頭をもたげた。
「…!」
錬金術師たちが驚き、釜から一歩下がる。
ユリウスはかくして、この暗い地下室にて復活した。

249 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/05(月) 12:52:50.06 0<目覚めたか? ユリウス・ヘルヘイム>

ユリウスは、徐々に明瞭になっていく意識の中で、その声を聞いた。
前世の記憶が一瞬でよみがえる。俺は何をしているのか。

そうだ、オグリットとかいう女によって殺されたのだった。
部下を引き連れて水際亭を占領し、教会を陥落させる準備中に
オグリットとリックに襲われ、そこで首を斬られた…?
では、今聞こえている複数の男の声は何か…?

<-止まれ!>
何者かがユリウスに命令している。

 「止まれ、ユリウス・ヘルヘイム!!」
ユリウス・ヘルヘイム、それが俺の名前なんだろうか。
ヘルヘイムという邪悪な魔物のことはうっすらと聞いている。
錬金釜から出ようとするユリウスを制止しようと、男の手が触れた。
「俺に触るんじゃねえ!!」
気がつくとユリウスは自らの腕でその一人の錬金術師の首を絞めていた。
否、締めるというよりは一瞬で胴体と頭を切り離した。

 「おのれ!」
錬金術師の2人が抵抗しようとするものの、ユリウスの腕が壁に穴を開けると、
すっかりおののき、そそくさと部屋から逃げようとする。
残りの一人は頭を潰され、もう一人は上半身を素手で吹き飛ばして殺害した。

三人の術師の死骸が転がり、その空間は再び静寂に包まれた。
ユリウスは自分の姿を見た。
肉体はさらに鍛えあげられ、一切の無駄がない。しかし、驚くべきはその白銀ともいえる肉体の色だった。
そして毛は深く、陰茎が陰毛によって覆われてしまうほどだ。
そこには何故か、ユリウスが生前に使っていたと思われる、ハルバード以外の
鎧や兜などが復元されていた。
それらを身につけると、ぴったりと身体にフィットした。

股間は開閉が自由にできる特注のものだ。これは明らかに別の材質だが、誰が作ったのだろう。
既に賢人たちは無残な肉の塊となっている。
鏡があったので見てみると、顔こそは今までとは変わっていないものの、輪郭がやや獣じみて見えた。
一体俺は何を元に復活させられたのだろう。どちらにせよ、運命は俺を選んだということだろう。

ユリウスはほくそ笑み、とりあえず周囲の実験器具のようなものを全て豪腕をもって破壊し、
ただの瓦礫の山とすると、扉を破って外へ出た。

このあたりは図書館の近くのはずだ。股間が酷く疼く。
しばらく女を抱いていない時のような禁断症状だ。

250 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/05(月) 12:53:49.78 0(ユリウス復活しました。あれから三ヵ月後の世界です。誰でもどうぞ。)

251 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/05(月) 14:34:47.35 0布で身体を拭いたユリウスは、まず図書館を目指すことにした。
まずは拠点が欲しい。
現在は夕方だ。
無駄な血は流したくない。以前のリフティスに比べ、明らかに空気が震撼している。
これは治安が良くなった、つまり兵がすぐに駆けつける証拠だ。

早足で向かうユリウス。肉体の重みで僅かに石畳が軋んだりするが、
道行く人間は大して気に留めなかったようだ。
リフティスの街の配置は知り尽くしている自負があった。

ユリウスは図書館に入ると、人数を確認し、まず入り口の兵士から血祭りにしていった。
一撃のもとに上半身を吹き飛ばし、剣を奪うと、そのまま次の兵士を切り裂く。
「命が惜しかったら大人しくここまで来い」
ユリウスは図書館の入り口が一つしかないことを知っていた。鍵を内側から閉める。
既に夕暮れであり、客と図書館の運営を入れて5人だった。そのうち若い女は2人。
客と思われる若い女と、図書館の館員の眼鏡をかけた女だった。

まずは男3人を血祭りに上げる。
残りの男、女たちも武器を取って抵抗するも、ユリウスはかすり傷すら負わない。
あっという間に残り2人の男が首を飛ばされ、女たちが残った。
客の女は命乞いをしたが、眼鏡の女は杖を振るい、電撃を放ってきた。
ビリリ、とユリウスの筋肉が収縮するのが分かる。そこらの兵士ならこれで感電死していてもおかしくはない。
振り向いたユリウスを見た女はすっかり萎縮してしまった。
軽いボディブローが入ると、女は地面に倒れる。手加減ができたか、それとも女が丈夫なのか、
死んではいないだろう。
残る女からナイフを落とすと、服を破り行為にかかった。

252 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/05(月) 14:37:31.72 0怯える女は命さえ助かれば何でもする様子だったので、まずは乳房を揉み、
秘部に指を入れ具合を確認すると、そのまま鎧を外して挿入する。
予想以上にこの肉体の陰茎は頑丈なようだ。
「おぉ…う」
腰を動かしていくと女は悲鳴を上げるも、やはり大きさや硬さ、パワーは圧倒的なようであり、
数回往復すると一瞬締め付けるも、締りが悪くなりそのまま「壊れて」しまった。
ユリウスは精を放ち、女から引き抜くと、地面に放り投げた。女は柱に頭を打ち、脳漿を撒き散らした。

「ぬぅ…」
ユリウスは仕方なく倒れた眼鏡の女を起こし、服を脱がせて行為に移った。
服を破ると意外にも豊満な乳房をしており、再びユリウスを興奮させた。
鎧を脱ぐと、全裸になったユリウスは女を持ち上げ、乳房や尻などを愛撫すると、
長い陰毛の下から持ち上げる子供の腕ほどもある雁首を掴んだ。それは実に獣のようだ、と自分で思った。
そして、正面からそのまま挿入した。
「おぉぉ…」
久しぶりに下腹部から脳にまで快感が回る。結構な締め付けだ。その器はユリウスのモノを深くまで受け入れた。
女は大柄な方だが、やはりサイズが大きすぎるようで、腹にユリウスのモノが浮き出る。
しばらく腰を振っていると、やがて女の嬌声が搾り出されてきた。
 「ユリウス、様ァ…」
ユリウスは目を見開いた。自分の名前が知れ渡っている?この姿でもユリウスが分かる?
奥を見ると「ユリウス特設コーナー」とあった。向こうには良く見知った鎧が展示されている。
「お前、どこまで俺を知っている…?」

どうやら女はユリウスの研究を密かに行っており、ユリウスの隠れファンだったらしい。
女がユリウスの首に手を巻きつけてきた。それに呼応してユリウスは女に口付けをする。
「うぉぉおおおお!!」
ユリウスの腰に力が入る。この女は俺のものにする。一刻も早く俺の兵にしなくてはならない。
女の声は徐々に歓喜に変わり、ユリウスの唸り声とともにハーモニーを奏でていた。
アァァァ… 「うっ!!」
女が絶頂を迎えるとともにユリウスは射精した。
その快感はヘルヘイムの肉体と鳴動し、欲望は睾丸の底から濁流となって具現化していく。
次々と放たれる精は、あっという間に女の胎内を満たした。
窮屈になったユリウスは陰茎を引き抜くと、女とユリウスの先端から大量の欲望が漏れ、
図書館の床にドロドロした溜まりを作っていった。
既にユリウスの精力は人間のそれを遥かに超えていた。

眼鏡の女はユリウスの欲望を全て受け入れるも生存し、その間に何度も絶頂を迎えた。
「お前、俺の兵になってくれるか?」
女は歓喜の表情で頷いた。

ユリウスは図書館を拠点<ねぐら>とすることに成功した。これでオグリットやリックの位置も掴めるだろう。
女は図書館を無期限で閉館にすると誓い、彼女が死体の処理をしている間に次の目的を遂行する。

閉館し、明かりを消した図書館、ユリウスの欲望のプールに横たわる「兵」を尻目に、
剣や最低限のアイテムを装着したユリウスは、次の標的である「第三水際亭」へと向かっていた。

253 :名無しになりきれ:2015/10/05(月) 16:42:28.10 0来た!待ってた!おかえりなさい、我らが王ユリウス!

260 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/10(土) 16:21:34.07 0ユリウスは腰を振っていた。
二回は相手を絶頂させたが、まだ息がある。つまりこの女は「アタリ」という訳だ。

結局、一人で水際亭に向かうのが得策ではないと考えたユリウスは、遊郭へと目をつけた。
このあたりなら人が一人や二人いなくなっても誰も何も言うまい。
先ほどからの殺しで獲得していった金を入り口のチンピラに渡し、まずは女を案内してもらった。
女は二人いたが、二人目は見るからに戦闘の経験がありそうな女だった。
「こいつだ」とユリウスは思った。まずは女に金を渡してその場に居てもらうと、
下に降りて受付の男を脅し、用心棒をわざと出して大男の用心棒もろとも音を立てずに刺殺した。
さらに鍵をかけ、別の部屋に女も口を塞ぎ犯しながら殺害した。やはりこの女は脆かった。

そして今、頑丈な女を抱いている。女はシーフの出で、人を殺したこともあるらしい。
ユリウスのような腕っ節自慢の男とは気が合うようだった。
「ほら、出すから飲め」
これ以上腰を振れば女の体力が持たないと思ったユリウスは、女にモノを咥えさせ、残りの精を吐き出した。
ぐぼっ、と女が精を少し零したが、命令するとそれをごくごくと音を立てて飲み干した。
甘い…と女が言った。「甘い…だと?」ユリウスは自分の精を舐めてみた。
確かに甘い、というよりこれは特殊なものだ。女を見ると、目をとろんとさせている。
催淫、催眠、もしくは従順にさせる何かの効果を持つに違いない。
半萎えになった真っ黒なペニスを見ながら思った。

「お前、俺の兵になれ」
うん、と女はうなずいた。こいつにならある程度の仕事を任せられるかもしれない。

そして次に来たのはリックの鍛治屋『クロイドン』の前だった。
シーフの女はリックと地元の知り合いだという。鍵が閉まっていた。
実家の方も同等のようだ。捕まったのか?あるいは逃げたか?
女に『クロイドン』の解錠を頼む。しばらくして開けられそうになったが、
我慢できなくなったユリウスは、勢い良く力を加え、音を抑えながら無理やりこじ開けた。
扉が壊れ、二人はなだれ込んだ。

261 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/10(土) 16:23:04.01 0そこは奥の寝室も含めてもぬけの殻だった。
トイレには何かがいるような気配がしたが、気のせいのようだった。
剣を一振りすると、その気配も一瞬で消えてしまった。

ただし、物は置きっぱなしになっていた。
女ものの下着などもある。恐らくオグリットだろう。
やがて書類の中から恐ろしいものを発見した。ユリウスの殺害計画書だった。
「チッ!」
オグリットと、リック、そしてセイルという人物の書き込みがある。
おそらく酒場で襲われた時のあらすじ通りだ。
一通りの本を読み、リックの知識を探り終えると、それを破り捨て、
そのままシーフの女ともう一度ベッドで性行為に耽った。

『クロイドン』の武具は予想以上に頑丈なものが多かった。
少なくとも今付けているレプリカのものよりは材質が良い。
しかし、残念ながら人間離れした巨体のユリウスに会うものはせいぜい篭手程度だった。
シーフ女のコーディネートを考えても、女物はオグリットのものしかなく、サイズが合わない。
とりあえず武器として一番大きな大剣を装備した。充分に鍛えられている。
他に鉄球といった簡単なもの、シーフ女にはナイフと剣を与え、装備もベルトで補強した。
(ここにはリックはもう来ない。来たら殺すだけだが)

どちらにせよ、ここは拠点になる。女を置くか連れて行くか考えたが、
結局二人がかりで乗り込むことにし、扉を閉めた。
こうして第三水際亭は再び危機に晒されることとなる。

262 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/10(土) 16:41:49.29 0ユリウスを見たマスターは、沈黙していた。
勿論、酒場の他の客たちもだが、マスターにとってはユリウスの存在はトラウマだった。
その男が、今まるでけむくじゃらの獣のような浅黒い姿で、目の前にいる。
奴は確かに殺したはずだ。
  「そ、そうか… お前、人間辞めたのか…」
「そうだ。命が惜しかったら、俺に従え。今までもそれで助かってきたんだろ?」

シーフの女に目配せする。入り口を塞いでもらうのだ。
「俺を攻撃した奴は全員殺す。もちろん、こいつにもだ。
関わりたくない奴は全員黙って出ていけ。ただし男だけな」
ゾロゾロと、怯えた顔つきの人間が出ていく。しかし、例外として若い夫婦がいた。
女の方は男に先に出て行くのを拒むが、男の方も女に一緒に出ようと言う。

グェ…と男から声が漏れ、口から血を吐いて絶命した。喉にはナイフが貫通している。ユリウスだ。
「おう、チンタラすんなや」
女の方を捕まえると、服を破って犯した。三度目の往復あたりで気絶してしまった。
女が倒れると、正面に向かって精が飛ぶ。それは壁まで達した。

「ん?知ってる顔ぶれじゃねえか」
ユリウスは残ったメンツを見回した。やつれてすっかり老人となったマスター、
そして肉屋に鍛治屋の姿があった。かつてのメンバーだ。
しかし、驚いたのはもう一人だ。あのオグリットに襲われた日に犯した女がいた。
腹には子がいるようだ。
「お前、まさか…」
ユリウス様ぁ…と女が近づいてくる。敵意はない。ユリウスは浅黒い手で女を抱き寄せた。
モニカ、とマスターが止めようとした。名前をモニカというらしい。
「どうやら協力してくれる、ということで良さそうだな」
モニカとシーフ女を両肩に抱き寄せると、ユリウスは男根を出したまま問いかけた。

マスターは怯えた表情ながら「仕方あるまい」と答えた。
鍛治屋は「変わっちまったが、ユリウスの旦那が言うなら仕方ねえな」と少々怯えながら言った。
もっとも驚いていたのは肉屋だった。ユリウスの男根を指差して言う。

  「なんで…なんでソレが…ソレがそこに付いてるんだ?お前は一体何者なんだ…?」

263 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/10(土) 23:48:11.94 0ユリウスは自分が男根から復活したことを知らない。
しかし、肉屋は確かにユリウスの男根を持っていた。そして、高値で売りつけ、
大変な利益を得た。はっきり言って金は相当ある。だからこそ、形や大きさをはっきりと覚えている。
今すぐここから逃げてしまいたい。しかしながら、それを見た時、恐ろしすぎて体が動かなくなっていた。
今からではもう遅い。

ユリウスは倒れた女…人妻を椅子に座らせると、今後の作戦について語った。
ユリウス、モニカ、シーフ、人妻、マスター、鍛治屋、肉屋の7人が集まった。
「まあ、落ち着いて聞けや」
ユリウスの声が響く。椅子は筋肉の塊であるユリウスを乗せ、窮屈そうにギチギチと歪んでいる。
窮屈なのはそれだけではなく、上にモニカも乗っているからだった。勿論、挿入されている。

腰を振りながらユリウスが話を続けた。
「簡単に言う。教会が憎い…いや嫌いな奴はいるか?」
ユリウスが手を挙げると、皆が手を挙げた。やはり教会の弾圧は結構なものだったようだ。
「俺は教会を潰したいと思っている。そしてこの街を開放する」
開放する、と言うのは厳密には嘘だ。ユリウスが目指すのはリフティスの再支配。征服である。

周囲が頷くと、まずは本題に入った。
「オグリットとリックの居場所を知っている奴はいるか?正直に答えてくれ」
ゴクリ、と周囲が唾を飲む。ユリウスは相変わらず腰を振ったままだ。モニカの嬌声が小さく漏れる。
 「オグリットをどうするつもりだ?お前さんは恨んでいるんだろう?」マスターが勇気を出して口を挟んだ。
「答えたくなければ答えなくてもいい。ちなみに俺は助けるつもりだ」
また周囲が緊張で満ちる。何人かが口を空けようとしている。周囲と顔を見合わせると、マスターは口を開いた。
 「リックはつい一昨日までは居たが行方不明。オグリットは教会に捕まった。今は牢獄だろう」
ユリウスは考える。牢獄の位置は彼が良く知っていた。

なぜなら、教会の現施設は、彼が王だった時期に今の形の殆どが出来あがっていたからだ。、

「救助に出る。俺は牢獄への裏道を知っている。オグリットやリックを助けたければ付いてこい」
鍛治屋が手を挙げた。「俺はいざとなったらここを守るぜ」
マスターも残ると言い、肉屋は恐る恐る手を挙げた。「俺が行こう」
これでユリウスと肉屋、そして人妻、シーフの2人の女たちが出発することとなった。

「祝杯の準備をしろ、マスター。  おっ、おっ、おぉ…」
立ち上がり、腹に子を宿したモニカを抱きすくめると、一気に腰を進め、
胎内に大量の精をぶちまけた。
アァァ…とモニカの歓喜の喘ぎが上がり、彼女は床へと倒れ伏した。
残りの精をぶちまけると、鎧を戻し、乾杯した。
抱きつくモニカに別れを告げる。

そして、暗くなって時間が経った頃、4人は闇に紛れて秘密の入り口に向かった。
人妻にはナイフで武装させ、肉屋もまた、剣で武装している。
基本はユリウスとシーフの女、そして肉屋と人妻は盾のような役割となった。
いよいよ侵入の時だ。

264 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/12(月) 11:54:51.24 0酒場。
マスターと鍛治屋は酒を飲みながら語らい、モニカは帰らずに、ユリウスの帰りを待っていた。
モニカが突っ伏して寝息をかきはじめる。当然、酒場は閉店だ。
男の死骸は水路の方に投げ込まれ処分された。

「アレが何で生きてるんだ…確かにこいつで斬ったはずなのに…」
「ああは言ったが、俺もユリウスには賛成できねえ…また暴れるはずだ」
「オグリットが…オグリットが助かれば、いつかは始末できる」
「…そうだな…それまで待つしかねえか」

一方、ユリウスたち4人は、リフティスの街から一旦出て、北門のあたりで足を止めた。
周囲には草むらや石垣の跡があり、荒涼としているが、僅かに漏れる明かりの中、兵士が1人立っているのが分かる。
隠し出入り口だ。教会側はそこにも警備をつけているということだ。一見歩哨の一人にしか見えない。

ユリウスは人妻に命じ、言われた通りのことをするように話す。
人妻は兵士の男に無防備にも近づいていった。兵士はすぐに武器を構え、人妻に尋問するが、
人妻は何やら話すと兵士から金を受け取り、服を脱いだ。
ユリウスらが潜む中で兵士と人妻は行為を始めた。ユリウスの種の影響か人妻は乱れやすくなっており、
兵士もいよいよ興奮し、絶頂した。息を潜めた唸り声と嬌声が上がる。

ユリウスが待ってましたとばかりに出現する。
「お前俺の女に何しとんだコラ!お前それ殺すぞコラ!」
兵士は抵抗しようとするも、百倍はあろうかという腕力差に驚き、剣を取り上げられ
素手でへし折られると、殺されると思い従わざるを得なくなった。
当然、教会の不埒な行動としてユリウスは教会全体のモラル云々の話も入れて脅した。
もはやユリウスには逆らえない!

ユリウスは人妻と肉屋に、街に帰るように伝えた。
人妻がユリウスについていくと懇願するが、無理やり帰らせた。
ここからは殺しも厭わない必要がある。ユリウスとシーフの女は、兵士を脅し、まずは案内をさせた。

茂みの中に隠し階段があった。ユリウスが王を辞した際はここを使って脱出したのだ。
「牢獄に案内しろ。まずはこの下にいる奴と交代する振りをしろ。お前の命は保証する
ヘタなことをしたらこの投げナイフで殺す。交代した後は動くなよ」
兵士はただただ命が惜しかった。ユリウスらは上から後を付けた。奥には教会の重武装をした男がおり、
ここからは警備が厳重だということをにおわせた。

代わりの男はかなりの重装備で、ヘタをすると音が漏れてしまう。
ユリウスは鎧の隙間の首のあたりにナイフを投げて突き刺すと、倒れこむ前に支え、
そのまま首を兜ごとへし折って床に倒した。グッ、程度の音しか出なかったはずだ。
その間にシーフの女が兵士を確保する。交代の際に鍵を預かったようだ。

「それで牢獄の扉を開けろ」
兵士は「何でそんなことを知っているのか?」という顔をしながらも従った。
ユリウスはここの配置を粗方知り尽くしているのだ。シーフの女が抱きついてきた。先が怖いのだろう。
扉が開くと兵士を先に行かせた。予想通り、扉のすぐ向こうに一人いたようだ。
まさか敵がいるとは思ってもいない向こう側の兵士は「誰だ?」と軽く発しただけで
ユリウスの剣の餌食になった。それは臓腑を散らして真っ二つになり、兵士に血飛沫が飛び散り、すぐさま怯えの表情になった。
「おい、ここの見張りの兵はあと何人だ?」
ユリウスがそっと問いかける。「一人…」と兵士が声を漏らした途端、ユリウスが羽交い絞めにし、
そのまま首を絞めて殺害してしまった。約束はあっさりと破られた。
「こいつは用済みだ…あと一人を探して殺そう。お前の実力が見たい」
シーフの女は地面にあった汚れていない兵士のナイフを拾うと、それを壁際に投げつけた。
その音を聞いて一人の足音が駆け寄ってきた。
シーフ女は絶妙な角度に潜み、兵士が角を通りすぎたあたりで後ろに回りこみ、
脚を絡ませ重装備の兵士にしがみつくと、首をかき切った。「ぐぉっ!」
すぐに絶命には至らず、結局ユリウスによって口をふさがれて首を圧し折られる。
「まだまだだな。後でじっくり指導してやる」
シーフの女が済まなそうな顔をするのもよそに、ユリウスは先へと歩き出した。奥から人の声のようなものがする。
ここの状況はあの時とは大きく変わっている。先に待ち受けるものが何か気になっているのだ。

265 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/12(月) 12:17:07.20 0しばらく行くと、ある牢獄が右側に見えた。
何者かの気配がする。そこにはおぞましいほどの骸骨が積み上げられており、
グール(屍食鬼)が2匹ほどいた。ユリウスたちの姿を見るとケケケ、と声を上げて
檻を叩きはじめた。シーフ女が声を上げそうになり、それをユリウスが抑える。
「ここは死体の処理場か…?こんなものを教会が?」
骸骨は恐らくグールの趣味ともいえる独特の積み上げられ方をしており、
周囲には人の服と思われるものが散乱している。よく見ると教会の模様らしきものもある。
関係者も何かをして殺されたか、ここにぶち込まれたのだろう。
グールは死肉しか食べない。ただしそれを食べるために人を殺すこともある。
そもそも、教会では教義でこういった魔物は見つけ次第排除ということになっているはずだ。
教会が腐敗しているのは確実だ。

先に行くと、食料庫のような場所がある。乾燥したパンや干し肉、聖水やワインなどが残っていた。
囚人に与えられるというよりは、おそらく見張りが食料とするものだろう。
ユリウスは空腹に耐えられず、素早くシーフ女とともに食事を取ることにした。
ワインを大量に飲んだが、生身のときよりはアルコールが回りにくいようだ。
腹ごしらえが終わると、性の欲望が鎌首をもたげたが我慢した。
いくつかの食料と聖水を確保すると、奥へとさらに進んでいった。

そこは小さな個室といった牢獄だった。
繋がれているのは女のようだった。目隠しをされ、脚には鎖が繋がれ錘によって檻にすら近づけないようになっていた。
よく見ると右腕が無いようだった。その傷口もすっかり癒えている。女にしてはかなり大柄だ。
その裸の肉体はパパイヤのような大きな乳房を持ち、体つきは鍛えられている。そして腹は妊娠しているのか、僅かに膨れていた。
額には角が生えていた跡があるようだが、何者かによって折られているようだった。
そうだ、間違いない、こいつは俺を殺した女…
「オグリットだ…こいつがオグリットだ」

266 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/12(月) 13:13:14.38 0後ろを振り返る。先ほど扉は内側から閉めたので、外からは音は聞こえないはずだ。
兵士たちの死骸も全てこちら側にあるが、血痕は残っており、いずれは不審に思った教会の人間が来るはずだ。
ユリウスは力を加えると、牢獄の扉に衝撃を加えて最低限の音でこじ開け、中に入る。
「お前はここで待て。見張りを頼む」
シーフの女を待たせ、ユリウスはオグリットに接近すると、目隠しを外した。
オグリットの双眸がこちらを見据える。目は無事なようだが、しばらくこの状態だったのだろう。
状況を把握するまで時間がかかったようだ。その目にも前のような突き刺すような勢いはない。
「俺が分かるか?」
オグリットは驚愕したようだ。自分が殺した男が目の前にいる。しかも朝黒く、明らかに肉体は人間のそれを離れている。
そして、「お前は…」と口を発するや否や、ユリウスの拳がオグリットの顔面に入った。
「『今は』これ一発で許してやる。目を覚まして俺の手伝いをしろ。俺がお前を解放する」
オグリットの顔は内出血で痣になり、歯が数本折れた。「リックは…」
口を開くや否や、ユリウスはオグリットの髪を掴み、上に引っ張った。
「そいつも後で助ける予定だ。お前、教会が憎いだろ?俺らと来い。
これよりお前は俺の「兵」にする。殺してやりたいぐらいお前が憎いが、教会はもっと嫌いなんでね」

ユリウスが太い鎖を、大剣で引き千切った。オグリットが開放される。
そしてユリウスに噛み付こうとするオグリットの顔面に軽く蹴りを入れると、
首を掴んで持ち上げる。オグリットが左腕で握り拳を作り、ユリウスを殴るも、
その強化された肉体はビクともしなかった。蹴りをしようにも薬で毒されている身体には力が予想以上に入らない。
「オラァ!」
壁にたたきつけられ、鳩尾のあたりに一撃が入る。勿論、わざと腹を外した。
オグリットは懇願した。腹の中の子供だけはやめてくれ、と。
「じゃあ言う通りにしろや。四つんばいになれ」
厳密には三つんばいだが、オグリットは悔しそうな顔をしながら従った。
ユリウスはこれ以上ないぐらい下卑た表情をした。この時を待っていたのだ。恐らく男根だったときも。
入り口のシーフ女に目配せすると、全ての装備を脱いだ。
その肉体はあらゆるものが黒光りしており、長い陰毛から聳え立つように勃起した男根がまるで悪魔のようだった。
それはまさに、獣というよりもバケモノと言った方が良いだろう。

267 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/12(月) 13:14:33.69 0ユリウスが、その肉体からは信じられないほど繊細な手つきでオグリットの秘部を愛撫する。
元々性欲の強いオグリットは声を漏らし、その声はさらにユリウスを興奮させた。
男根が深深とオグリットに突き刺さっていく。一番奥に達したとき、ユリウスは全てを挿入したことを実感した。
(この女は名器だ!)
腰を動かすとオグリットは口を開けて舌を出し、信じられないような嬌声を上げた。ユリウスも唸る。
掘りの深い獣のような顔だちは快感によりさらに掘りを深くさせていく。快感で苦悶が高まっていくのだ。
「ヴヴン、ヴン…オォォ…オォォォォ!」「アァァ…アァァァ!!」
まるで二頭の獣が交尾するかのごとく、快楽の合奏が響いた。
鍛えられた大きな肉体同士が、ガツン、ガツンと交わり、そこには野生の快楽のみが存在していた。
それを見たシーフの女はまるでそこに呑み込まれていくかのように股間に手を這わせ、性欲に溺れる感覚を楽しんでいた。

オグリットが先に果てた。舌からは涎が止め処なく溢れ、がくりと左腕を倒し伏せた。物凄い締め付けがユリウスを襲う。
それを抱きすくめるようにして、ユリウスは獅子のような声とともにオグリットの胎内に射精する。
ゴクン、ゴクンという音とともに子種が注がれていき、オグリットの胎を満たした。
オグリットは快感の余韻に浸り、オグリットから引き抜いたユリウスは尚もそそり立つ男根を、
オグリットの顔を持ち上げるとそこに挿し、残りの種をぶちまけた。
「飲め。全部だ」
目を閉じ、享楽の表情でそれを飲み干すオグリット。リックにもこうした「奉仕」をしていたのだろうか?と
一瞬思ったが、ユリウスはとりあえず一人の女を制圧することに成功したことを実感した。
「お前はこれから俺の「兵」だ。お前は俺を守れ。その代わり俺もお前を守る…」
オグリットとユリウスは熱く口付けをかわした。

ユリウスはまだ興奮が冷めなかった。戦地を何度も経験した彼は、「良い女は抱けるうちに抱く」をモットーとしていた。
その後も何度にもわたって犯し続け、オグリットの腰が立たなくなったところでようやく行為を止めた。
シーフの女がついに痺れを切らして入ってきた。我慢できなくなったらしい。
ユリウスが仕方なく既に服を脱いだシーフ女を抱きすくめると、彼女は最高に幸福そうな表情をした。
そのまま精のプールに横たわるオグリットを放置し、挿入した。
シーフ女は男根だけではなく、ユリウスの愛にも飢えていた。
求められるがままにキスをすると、ユリウスは一発ぐらいはと思い、腰を振り始めた。そのときだった。

オグリットが身体を捻り、苦しみだした。何と、オグリットの腹が胎動している。
オグリットの臍の周囲に謎の紋章が赤く浮き上がり、ドクン、ドクンと音を立ててそれは揺り動く。

そして、それは遠く離れたリフティスの街の入り口で、人妻にも起こっていた。

268 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/12(月) 13:48:04.02 0オグリットの腹はいよいよ不自然なほど大きく膨らみ、彼女はうめき声を上げ始めた。
そして、ついに秘部から何かが出てきている。「出産」しているのだ。
それを見たとき、あらゆるおぞましいものを見てきたユリウスでさえも、一瞬恐怖に顔を歪めた。
自分の肉体よりも黒く、さらに緑色の姿をしたそれは、「這い出て」きた。
ただの赤ん坊ではない。大きな頭部、そして内臓のような肉体に細い鍵爪のようになった手足。
良く見ると顔は何者かにそっくりだった。そう、リックだ。

それはギャアアと悪魔のような声を上げると、勢い良くオグリットに噛み付いた。
苦悶の表情をうかべるオグリット。ユリウスは、シーフ女から引き抜くと、大剣を持って素早くそれを分断した。
下半身を吹き飛ばされても尚も頭部はオグリットの腹に噛み付いて離れない。「やめて」とユリウスを止めるオグリット。
リックに似ている顔の怪物と化した胎児を見て、母性が爆発しているのだろう。
自分を殺そうとしているそれを庇おうとした。ユリウスはその頭部をもぎ取ると、勢い良く握りつぶした。
下半身がカサカサと動いていたが、しばらくするとそれも動きを止めた。
オグリットはうな垂れ、痛みと悲しみに泣き出して、倒れこんでしまった。

「はぁ…助けてやったのになんだ?俺は奥を調べたら戻る。お前は後で合流しろ」
牢獄で悲嘆にくれるオグリットを置き去りにし、ユリウスは先に進んだ。

その頃、人妻の身体に異変が起こり、やはり同じような胎児の魔物を生み、殺害された。
肉屋は逃亡し、魔物は人妻を喰らい尽くすと、森の方へと向かっていった。
ユリウスの精が受精卵、もしくは胎児と交じることでこの現象が起こることを、未だに彼は考えもしなかった。
勿論、ユリウスが受精させた卵に他の男の精が混じってもこれは起こる。ユリウスは邪悪な魔術師たちに練成された悪魔の睾丸を持っていた。

シーフの女とともに残りの牢獄を見ていく。かつては女たちを閉じ込めていたと思われる跡があちこちに残る。
壁に描かれた文字がそれを物語っていた。彼らは城の方にいるのだろうか?それとも…?
様々な想像が張り巡らされる中で、ユリウスたちは一番奥の牢獄にたどり着いた。
そこには十数人の妊婦たちが閉じ込められていた。
その中にはユリウスの娘にあたる、セティの姿もある。

悲劇が今、始まろうとしていた。

269 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/12(月) 14:16:41.24 0「これより、お前たちを解放する!」
ユリウスは歓喜に満ちた目で若い裸の妊婦たちに目配せした。
妊婦たちも突然の救世主の登場に沸きあがっている様子である。
「ただし、お前ら、俺に抱かれろ。満足するまでだ」
妊婦たちは武器を一切持っていない。それを見て安心したユリウスは、入り口に武器防具を置き、
全裸になって彼女たちに進み出た。
「お前も混ざるか?まぁ脱げ」
シーフの女も脱がせると、その一団に混ぜた。その表情は歓喜に満ちている。
外に出られないように扉側にシーフの女を立たせる。そして食料やワインをかっ食らうと、その間に
女たちを順番に並ばせた。怖がる者もいるが、勿論ユリウスの肉体の余りの凄さに期待の目を向ける者もいた。

「一発やったら休んでもよし、俺に絡んでもよしだ」
かくして行為が始まった。開放されるという条件から、積極的に腰を振るものもおり、自らユリウスのモノをしゃぶる者もいた。
勿論、ユリウスのモノは特大で、あまりの快楽に気絶する者も出た。
終わりの方になると、ユリウスの行為中にその鋼のような身体に擦り寄ったり、
手で性器や乳房を触ってもらおうとするもの、口付けをかわすものなども出た。まさに酒池肉林だった。

そして最後の女が現れた。セティだった。「パパ…」と顔を良く見てから呟いた。
ユリウスはうっすらと思い出してはいた。しかし、認知していないのと、充分に育った身体から特に何とも思わなかった。
乳房は並以上に大きく、腹は誰の子かは知らないが、大きく膨らんでいた。
ユリウスはセティを愛撫し抱き寄せると、座った自分の上に座らせるような体勢で挿入し、腰を振った。
「おぉ…お前で最後か…」「ぱぱ…」
セティはまるでこれが運命とも思わんばかりの達観した表情でユリウスを受け入れ、
一方ユリウスはセティを愛撫しながら、この違和感が何なのかを思い出そうとしていた。
セティがやがて絶頂を迎える。「アァァ…パパ、来てぇ!」
「ヴォ、ヴン、オォォ…」
ゴクゴクと精がセティの膣に吸い込まれていく。セティが後ろ向きになり、キスをする。そのときだった。
「な…!」ユリウスはセティの顔に、自分がかつて鏡で見た自分の姿を感じた。生前の彼に良く似ていた。
「お、お前…俺のむすめ、娘だったのか…!」
ユリウスは自分のモノがすっかり萎えていくのを感じた。何と、あの時期の子がここにいるとは…!

身体を愛撫されただけで終わったシーフ女は実に不満げだったが、それからは
とりあえず全員が立ち直るまでの算段を立て、しばらく休憩をしていた。
さっさと鎧を着たユリウスに、セティが抱きつく。「パパ」と言って。
複雑だが、これも悪くないとユリウスは終わった。しかし、それは唐突に起こった。

セティが苦しみだした。腹には例の紋章、刻印が浮き上がっていた。
そして他の妊婦たちの殆ども一斉に苦しみだす。快楽の声で一杯だったこの部屋は、
苦悶の声で一杯の部屋になった。刻印の出ない一部の妊婦はユリウスに以前犯された者だ。
「あぁ…」
ユリウスはようやく気付いた。そしてとんでもないことをしてしまったと悟った。やはり自分は悪魔の肉体を授かったのだ。
「原因は、俺の…種なのか…」
セティは早くも胎児の魔物を産み、それによって腹を食い破られていた。
「セティ…!」
慌てて大剣を振るい、その魔物を斬り潰すユリウスだが、ただでさえ致命傷のセティに、
誤って刃を入れてしまった。気の乱れのせいだ。

270 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/12(月) 14:29:24.09 0「ウォォォォォオオオオオ!!!!」
胎児とともに真っ二つになったセティの死骸を見て、ユリウスは発狂した。
大剣を持って暴れ、黒々とした胎児の魔物を妊婦ごと引き裂いていく。
絶望の悲鳴が上がる。

その獲物はかつての巨大なハルバードに比べれば幾分小さいとはいえ、破壊力は当時より増している。
胎児を屠った剣風は妊婦の上半身を吹き飛ばし、臓物を撒き散らす。
さらに被害の無かった妊婦の身体をも切り裂き、吹き飛ばしてしまった。
牢獄の中に次々血飛沫が上がっていく。精のプールは次第に血糊によって
不気味な桃色に変わっていった。
慌てて止めに入ったシーフ女も剣風に巻き込まれ、腰から下を吹き飛ばされた。
しがみついた上半身は臓腑を落としながら崩れ落ちていく。
まだ動く魔物の頭を踏み潰し、同時に女たちの頭も踏み潰した。
動く者全てが殺害されていった。つまり辛うじて角に逃げた女も無残な肉片となった。
ようやく周囲が動きを止めたとき、ユリウスは意識を取り戻した。

「はぁ…はぁ…」
血まみれになったユリウスは、これまでに無い疲労感に襲われていた。
やはりこの肉体も完全ではない。身体は疲れなくとも、心は傷つくようだ。
ユリウスはその場を素早く離れると、ようやく立ち上がったオグリットに剣を持たせ、
この地下室を脱出することになった。グールの牢を開放すると、二匹のグールは
血の匂いをかぎつけ、素早く奥へと這い出していく。

「曲者だ! まずは牢を調べろ!」
ガチャガチャと鈍い金属音が多数響いた。
どうやら一戦交えないと外へは出してはもらえないようだ。

271 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/12(月) 14:30:13.55 0ユリウスのメモ:

 つ<とりあえずここまで。乱入歓迎します。遠慮なくどぞ!>

272 :名無しになりきれ:2015/10/12(月) 16:08:19.92 0狂王ユリウスにもはや敵う者など存在はさしない。

299 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/17(土) 18:38:15.63 0はやるオグリットを、ユリウスは手で制した。
扉がハンマーのようなもので破壊され、割れた部分がギィ…と開く。
(でかい敵がいるのか?)

ユリウスが大剣を一振りすると、ギャァァ!という声が響き、吹き飛ばされた扉ともに
鎖帷子の兵士が分断され宙を舞った。
 「動くな!武器を捨てれば命は助けてやる」
やはり今殺害した兵は囮だった。敵は皆階段の上にいた。
揃いも揃って重装備で教会の紋章を付けている。精鋭で間違いない。
弓を構える者5名以上、法術を唱える者3名以上、後ろにいる連中も合わせれば
20人はくだらないだろう。一斉にこちらに武器を向けて構えている。
城の方は煌々と明かりが灯っていた。

「オグリット!俺から離れてついてこい!脱出するぞ!」
ユリウスが足を踏み出した。「何?!この人数を相手にするつもりか?」と
敵の隊長らしき老人が言った瞬間、ユリウスは階段を上っていた。
一斉に矢が放たれる。
「ぬおぉぉおおお!!」
マントすらない。大剣を縦に構え、矢をはじき落とすと、まずは目の前の弓兵が餌食になった。
当然、いくつかの矢はユリウスの肉体に刺さり、法撃もユリウスの身体を痛めつける。
「ギャアアアアア!!!!」「アァァー!!」「うわぁぁ!!!」「オォォ…」
ユリウスの一振りは重く、ほぼ衝撃波の塊のようになって、兵士たちを飲み込んでいった。
次々に相手が二つ、三つの肉の塊になっていき、脳漿や臓腑を撒き散らしていく。
あまりの恐怖に無言のまま膝をつく兵もいた。
誰かがユリウスの姿を見て「あいつはまるで獣、いや…竜巻だ…!」と呟いた。
彼が階段を上りきると、既に十数個の死骸が散乱し、血の海となっていた。
 「誰か!誰かこいつを殺せる奴はいないのか?二人、いや三人以上でかかれ!」
たまにユリウスの肉体に剣や矢が刺さるも、致命傷を与えるには至らず、まるで
金属のような筋肉に阻まれてしまう。ユリウスの動きが素早く、急所が外れているのもある。
一方でユリウスの獲物は金属を断ち切り、そのまま肉と臓腑、骨を抜けて再び金属を断ち切るまでが一瞬だ。
身を守るものは一切意味を成さない。次々に死骸が増えた。

300 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/17(土) 18:39:19.34 0 「俺が…殺る…ゥ…」
ユリウスと背格好が同じぐらいと思われる大男が現れた。巨大な斧を持っており、それは
ゆうにユリウスの体重ほどあると思われた。本人も重そうだ。
 「オォォ…」と静まり返り、「そうだ、コイツがいた…」と老いた指揮官も呟いた。
明らかに雰囲気が通常ではない。
オグリットが抜け道側にようやく上がったのを確認すると、ユリウスは敵に向き直った。
大男が意外な素早さで間合いを詰め、傷ついたユリウスへと斧を振り下ろす。
ガツン!!ギリリリ…
圧倒的なパワー同士がぶつかる金属音。しかし頭はユリウスの方が回転していた。
ユリウスは不意をつき、大剣を落とすと、一気に跳躍し、大男の斧を奪いに行った。
 「うてぇ!!」
一斉に矢が放たれるも、ユリウスは大男を盾にし、一切の傷を負担してもらった。
「ふん!」バキリ、という音とともに大男の腕の骨が折れ、痛みで呻かせると、
次の瞬間、巨大な斧は上から振り下ろされ、大男の首が宙を舞っていた。おびただしい血が噴き出す。
「うぉおおおおおお!!!!」「ヒィィイイイイイ!!!」「逃げろ!あれは無理だァ!」
斧を奪ったユリウスが勝利の雄たけびをあげると、兵たちは次々に逃げ出していった。
年老いた指揮官は周囲を鼓舞しようとするも無駄だと悟ると、増援と守りのために城へと駆け出していた。

一方で、オグリットは苦戦していた。ロングソードで二人の兵を屠ったが、
なおも三人ほどがオグリットを追っており、剣が折れてしまったのだ。
ユリウスが今まで使っていた大剣を投げる。
「受け取れ!これはお前のものだ!」

残りの兵はユリウスとオグリットによって片付いた。負傷したユリウスとオグリットを第二陣の兵たちが追う。
直線の抜け道に矢が次々と飛び、ユリウスとオグリットはさらに傷を負った。
「ぬおぉぉぉぉおおお!!!!」
出口まで行くと、ユリウスは勢い良く大斧を振り下ろし、トンネルのようになっていた
隠し入り口を破壊した。ガラガラと、音を立ててそれは完全に塞がる。
「今夜は引き返すぞ」
ユリウスとオグリットは血を流しながら、酒場を目指した。

301 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/17(土) 19:03:01.37 0男の名をダムと言った。かつてアジンボーンとの戦いで功績を挙げた男。
その男は肉屋と知り合いで、今回は「商売」を中断して特別に来てもらった。
かつて強力な毒を持った爆薬を用意してくれたが、今回は破壊力を重視した。
「それは本当なのかい?」
「あぁ、これだけの量があれば確実だな。眠っていなくてもいける。
それにこれは隠すのも簡単といったスグレモノって訳だ」
「前金は払った。あとは事が終わったら全部払ってやる」
「有り難く思うぜ。『俺たちの』リフティスを作るにはどれだけ掛かってもやらにゃダメだ」


街に入る前に、お互いの血を拭いた。
オグリットがキスをしてくる。一応お礼のつもりらしい。
だが、あくまでリックを探すために協力するとの姿勢は崩れはしなかった。

酒場が見えてきた。もう既に夜中ではあるが、そこはまるでユリウスたちを待ち構えていたかのように、
明かりが灯っており、彼らにはそれがとてもありがたく見えた。

酒場に入ると、そこには見知った顔ぶれがあった。
 「おぉ!オグリット!お前さんならきっとやってくれると思った…!」
マスター、モニカ、肉屋、鍛治屋、そしてなんと、ダムの姿がそこにはあった。
オグリットが他の仲間たちに抱きつく。徐々に明るい感情も戻ってきたようだ。
「俺は後回しでいいから、そいつの傷を何とかしてやってくれ」
周囲はユリウスの男らしさに沸き立った。酒とご馳走が大量に用意され、
その場はあっという間に宴会になった。オグリットの矢が抜かれ、溢れる血は
回復薬などによって癒されていく。薬はすぐに尽きた。

宴会が始まって少しすると、モニカが突然ユリウスを呼び、酒場の外へと連れ出した。
オグリットもその後をついていく。
「どうしたんだ?寂しかったのか?」
モニカは口元にそっと指を当て、今から『クロイドン』に向かおうと言った。
ユリウスとオグリットがゆっくりと通りを渡ったとき、モニカが何かを酒場の方に投げた。
(あれは『炎のジェム』だ!)

次の瞬間、信じられないことが起きていた。
何と扉のあたりから第三水際亭が出火すると、あっという間に炎は全体に燃え上がり、
物凄い火柱を上げて爆発炎上した。

三人は急いでクロイドンへと向かい、真っ暗な店内へと入った。
自警団や教会の兵たちが慌しく消化を行おうとしている。

ユリウスは、徐々に意識がぼうっとしてくるのを感じた。
オグリットは既にぐっすりと眠っている。睡眠薬だ。
ユリウスはモニカから、彼らが秘密兵器を使い、ユリウスを殺害しようとしていた、と
打ち明けた。つまりモニカは協力している振りをしながら裏切ったのだ。
全ては主人であるユリウスのために。

ちなみに、オグリットはユリウスが寝てから酒場から避難させる予定だったという。
皮肉にも、助けるつもりのなかったオグリットが助かってしまったのだが。
徐々に意識が戻り、ユリウスはモニカを抱き寄せた。

焼け跡からは、マスター、鍛治屋、肉屋、そしてダムの黒焦げの遺体が発見された。

302 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/17(土) 19:24:46.70 0ユリウスはオグリットとモニカに矢を抜いてもらうと、
リックの家にある最低限の常備薬で身体を治療し合い、
さらに窮屈な装備を脱いで裸になると、モニカも交えて愛し合った。

逃げ惑う人々、交差する悲鳴、前後する腰、そして揺れる乳房。
外の慌しさとはまた別の慌しさで、ユリウスたちは快楽を貪った。
二人とはいえ抱き応えのある相手に、ユリウスは次々精を放っていった。

朝、オグリットは早起きし自分がかつて着ていた下着や装備を着用すると、
リックを想っているのか物思いに耽った。しかし、前ほどではない。
やはりユリウスに徐々に惹かれていっているのだ。

ユリウスは抱きつくモニカを再びベッドに寝かせると、砥石を使って
オグリットとともに斧を磨き始めた。同時にモニカの装備も探す。武器はショートソードに決めた。
いずれ戦いに巻き込まれたら身重の彼女も戦うことになる。訓練もいるだろう。

突然、オグリットが苦しみ出した。どうやら矢の一部に毒が塗られていたらしい。
教会の連中はこういうのも使うのか、と関心しながらユリウスは、自分にも僅かに毒が回っていることを感じた。
このまま悪化するかもしれない。


リックは薬屋にいた。
ここの女の家に匿ってもらっている。勿論、肉体関係から発展したものだが。
女は生前のユリウスによって強姦され、娘を産んでいたが、もう10歳になる娘にも、
リックのことは認めてもらっていた。勿論、ユリウスの血を引くだけに身体は大きい。
既に身体は動くようになっていた。オグリットの安否が気にはならないではないが、
ここならそれなりの仕事ができ、溜まった性欲のはけ口もある。

朝、女が店先に出ると、何やら黒い大きな男がこちらに向かってくるところだった。
横には右腕の無い大柄な女がいる。近づいてくるにつれ、それが何だか分かった。
あれはユリウス、かつて私を犯し、娘を産ませた男だ。生きていたのだ!何の用か分からないが、
家を踏み荒らされる訳にはいかない、いかないのだけれど…
教会は嘘つきだ。気のせいか、女はユリウスに何かを期待していた。

303 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/17(土) 19:27:39.54 0【今回はここまでです】
【途中参加、キャラのイラスト化など大歓迎です】

304 :名無しになりきれ:2015/10/17(土) 20:29:39.31 0良いね!王の中の王ユリウスはどこまで行くのか?!
是非最後まで読みたい。

305 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/18(日) 14:41:27.77 0薬屋の中。5人はテーブルを囲んで座った。
ユリウス、オグリット、リック、薬屋のイリア、そしてその娘のアリア。
何故こういう形になったかは、必然的な事情があった。

イリアは「客」を迎えると、リックを呼んだ。オグリットの姿を確認し、それは歓喜に沸いた。
彼らの目的は解毒らしい。当然薬師の彼女が行う治療行為だ。
しかし、リックは知っていた。イリアもユリウスに犯された過去があり、
ユリウスの「ファン」だということを。
あろうことか、リックはイリアのみならず、娘のアリアにも既に手を出していた。
戦闘の方は決して宜しくはないが、昔から女に関しては器用な男、それがリックだった。
(このまま毒薬でも出され、オグリットが殺されでもしたらどうしよう…)
この不安が強かった。また、リックが毒薬と解毒薬を知っていたら、当然ユリウスに毒を入れる。
もはや逃げ道は無かった。

リックはオグリットと再会し、抱き合った。オグリットから一歩前に出て、それを
ユリウスも止めはしなかった。
オグリットは自分がリックの生き別れた妻であることをはっきりと話した。
しばらく二人は喜び合っていたが、ユリウスとイリアは特に止めはしなかった。
やがてリックはアリアを呼びに行き、話し合いの場を設けることにした。

その場は物凄い緊張感に包まれていた。
イリアはオグリットを警戒し、同じくオグリットもそうだった。
リックはユリウスに驚愕しつつも怯え、ユリウスも殺意を簡単には隠せなかった。
アリアはというと、自分の父親であるユリウスに興味深々なようである。
しかし、オグリットの身体は徐々に弱っており、ユリウスも身体の痺れが消えない。
イリアはその毒が「西キルギ草」という限られた地域で作られる毒だと伝えた。
かなり高位ランクの特効薬か、教会の高位の僧侶でもなければ治療は難しい。

ユリウスが口を開く。
「まずだが余計な事をする奴は殺す。それだけは言っておく」
少し、その場の緊張感が高まる。
「取引だ。リック、お前がイリアから薬を買い取れ。そして毒見をして、
それからオグリットと俺に与えろ。当然、俺はお前から薬を買い取る。金はあるからな」
オグリットを愛してるんだろ?と付け加える。
「オグリットは今は俺の「兵」だが、いずれは解放する。教会を潰してからだがな。
さらにユリウスは付け加える。
「俺にはいずれ毒が回る。その間にイリア、リックの順で殺していく」

アリアが「ママを殺すのはやめて」とユリウスに縋り、イリアはすぐに薬の準備にかかった。
リックも慌てて持ち金や財産を用意した。
「アリア、お前は俺の娘だ。俺に娘は殺せん。母親が助かるように協力してやってくれ」
ユリウスは面影や当時の記憶から、アリアが自分の娘であることを見抜いた。
以前のセティの印象が強かったため、心に焼き付けられたのだ。

リックは持ち金全額をイリアに支払い、イリアが特効薬を出すと、
リックはそれを舐めてみせた。しばらく緊張が続いたが、リックが無事なのを見て、
ユリウスはその半分を買い取り、その分の金額を支払った。
そしてオグリットとユリウスは薬を飲み干す。
オグリットの身体の痙攣が徐々に落ち着いてきた。ユリウスの身体も元に戻りつつある。

緊張感がほぐれ、ユリウスやオグリットは重い防具を脱いだ。
開放的な気分になるユリウス。股間が疼きはじめる。
イリアを犯したい気分になったが、極力我慢したいところだった。
寝床が欲しい。

306 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/18(日) 15:08:24.33 0この家は、イリアの両親も既に亡くなっており、比較的広かった。
早くもやることが終わり、既に夕方近くになっているが、このまま戻るか、
もしくはモニカの待つ『クロイドン』に戻るか、どちらかだ。
リックはもはやこちらに住み着いているといっても過言ではないのは明らかだ。

リックがオグリットと二人にさせて欲しい、とユリウスやイリアに懇願したことにより、
一晩泊めてもらうことになった。二人は屋敷の反対側の部屋に入り、
イリアは工房に戻り、アリアは自室へと戻っていった。
ユリウスには部屋が宛がわれた。

ユリウスはイリアから情報を聞き出すことにした。
最初はナイフで脅すつもりだったが、何とイリアは自分からユリウスの待つ部屋へと向かった。
イリアはユリウスに抱きつき、まずは本来の自分の伴侶で、アリアの父親と再会できたことを喜んだ。
ユリウスがイリアを抱き寄せていると、当時と変わらず官能的な肉体にすっかり魅了され、
股間は反り返っていた。
「リックの奴とはもう出来ていたのか?それと、コイツを処理してくれ」
イリアはそれを否定しなかった。既に子を身ごもっている可能性が高い。
ユリウスが下を脱ぐと、イリアは長い陰毛からそそり立つソレを大事に掴み、丁寧にしゃぶった。
興奮が大人の拳ほどもある睾丸から昇り、勢いでイリアの服を破り全裸にした。
「ぬぉぉぉ…! 全部飲め!」
精がイリアの口に勢い良く出され、次々溢れたが、ゴク、ゴクとイリアの喉は音を立てていた。
何も知らないイリアは、今度は尻をユリウスの方に突き出した。
「おぉぉ… ヌゥン… オォォォ…!」
ユリウスは欲望に敗れ、陰茎を突き入れると、そのまま持ち上げてベッドの上に座り、腰を振った。
「オォォ!!」「アァァァーーー!!」
本物の愛が欲しかったのだろう。イリアは満たされた表情で嬌声を上げた。
イリアは何度も絶頂を迎え、やがてユリウスも睾丸から来る欲望に耐え切れず、
それを長く太い陰茎を通してイリアの中へと注ぎ込んだ。
ゴクリ、ゴクリ…とそれは確実に中へと入っていった。巨大なモノと子種に満たされ、
少しイリアの腹が膨れた。気を失ったイリアを床へと倒すと、その胎内からは射精のように勢い良く
欲望交じりの液体が飛び出していった。

次に起こる出来事を、ユリウスは予測していた。刻印を発行させながら苦しくイリアの胎内から出てくる「ソレ」を、
ユリウスは勢い良くひきずり出し、握り潰して汚いペーストへと変えてしまった。
「お前も俺の「兵」だ… とりあえずここを拠点にするぞ」
アリアもあの様子を見る限りそうだろう。「開放」してやろうかと考えたが、実の娘だと思うとモノが勃起しなかった。

そのとき、廊下の向こうで悲鳴が上がった。あいつらも欲望には勝てなかったということか、とユリウスは悟った。

307 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/18(日) 15:23:47.75 0オグリットと熱い夜を過ごそうとしたリックは、オグリットの腹から突然現れた怪物に
驚愕した。重傷を負いながらも、ほぼ動けないオグリットと協力して何とか胎児を殺害したが、

ユリウスが外に出ると、リックが剣を持ち勢い良くこちらに向かい、アリアも剣を差して
部屋を出たところだった。
「アリア!そいつだ!ユリウスを殺せェ!!あいつがオグリットをバケモノにした!」
ユリウスは動かなかった。ここでリックを処分する意味はない。
「ぐっ…」「ぐぉっ…!」
ユリウスの腹にリックの剣が突き刺さった。それは確実にユリウスの肉体に食い込んでいたが、
筋肉を破ることはできず、致命傷には至らない。引き抜いて、もう一度心臓のあたりを狙おうとしたときだった。

リックの首に剣が深深と刺さっていた。リックは言葉が声にならず、
差した相手のことを見据えた。それはリックが肉体関係を持ったイリアの娘だった。
「ア…リ……ア?!」「パパを…殺さないで!」
アリアがリックと肉体関係を持つようになったのはほぼ無理やりだった。
リックは従順そうなアリアが当然動いてくれると思ったのだが、やはり血縁には敵わなかった。

ユリウスたちは悲しみに打ちひしがれるオグリットに、いきさつを説明した。
オグリットは部屋に戻ると、泣いていたようだった。
夜も遅く、ユリウスも明日のことを鑑みて、寝床についた。


明け方前に、アリアのバラバラになった死骸が発見された。
アリアの部屋のドアは力づくで外されており、オグリットは既に姿を消していた。

308 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/18(日) 15:25:00.45 0【次は週末以降になると思います、お楽しみに♪】
【新規歓迎します】


313 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/24(土) 12:10:01.83 0明け方。
この間に教会の兵たちが街の中を集団で移動していたが、その動きは明らかに分かり、
彼らにユリウスたちの消息を探すことはできなかった。

ユリウスはイリアの上で腰を振っていた。
二つの遺体は既に裏の水路に処分し、惨劇の痕跡は一通り片付けた。
気になったのは、せいぜいリックの男根が切り取られていたことぐらいだろう。
オグリットの仕業だ、とユリウスは思った。
精を一度吐き出す頃にはイリアはぐったりとしており、ユリウスはイリアの部屋を出ると、
そのまま大斧を持って屋敷を抜け出した。

オグリットは『クロイドン』に向かった。待っているはずのモニカの姿はそこには無かった。
工房の方に行くと、ある本が目についた。
リックが通っていたと思われる、図書館についての情報だ。イベントが行われていたらしく、
地図も載っている。
そのとき、オグリットは空腹を感じ、懐からリックの男根を取り出すと、それを懐かしそうに眺め、喰らった。
嗚咽が漏れ、涙が溢れ出した。リックの男根を食いつくすと、そのまま図書館へと突っ込んだ。
図書館の中には眼鏡の女がただ一人、ユリウスの男根のレプリカで、行為に耽っているところだった。

ユリウスが続いて『クロイドン』に入る。モニカとオグリットを呼ぶもおらず、
外の騒がしさだけがただユリウスの耳に入った。兵士たちだ。
ユリウスが慌てて駆け出す。おそらく図書館の方だろうことは想像できた。
教会が近づいてきたあたりで、「ユリウス発見!ただちに殺せ!」という声が聞こえた。
ユリウスに向かう教会兵士たちをドッ、ドッと分断していく。
殆ど駆け足のままで、ユリウスに向かっていく兵たちは次々と臓腑を撒き散らして両断されていった。
10人ほど屠ったところで、図書館へと着いた。
そこでは「足をやったぞ!もう終わりだ!」といった兵たちの声が響いていた。
多数の兵士の死体と、既に重症を負って何とか立っているオグリットの姿があった。

314 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/24(土) 12:47:42.81 0ユリウスはただただ、どう兵たちを殺すかを考え、大斧を振るった。
片手で重傷とはいえ並外れた戦士であるオグリットとユリウスに挟まれた兵たちは、
次々と無残な遺体となり、合流する頃には既に兵士側が怯えで震える始末だった。
矢傷にも痛めつけられた二人は、何とか三十人以上を殺害して図書館の内部に入り、
眼鏡女の死体を確認した。殺した理由は「単に邪魔だったから」だった。
血糊や焦げ目の数から、かなり抵抗したものと思われる。

ここはもう拠点としては使えない。死体の山を掻き分けて図書館を出ると、
オグリットを支えながら、辛うじて『クロイドン』へと辿りついた。
クロイドンの近くで流れ落ちる血はふき取ってある。ここを発見するのは難しいだろう。
まずは矢を抜き、治療を行うことにした。布で最低限の手当てをお互いに施す。
特にオグリットの傷は深いものが多く、痛そうに唸った。

ユリウスはオグリットの出血がある程度止まったのを確認すると、彼女を抱き寄せた。
「怖かっただろう。お前はもう俺のものだ。それにリフティスは、俺が頂く」
ギラギラした眼でオグリットを見つめ、そのまま押し倒す。
口付けから愛撫に入り、挿入した。痛いのならせめて快楽を与えなくてはならない。
ユリウスの使命感のようなものだった。ユリウスの巨大な掌に収まるかどうかの巨大な乳房が捏ねられ、
さらに舌であちこちのオグリットの傷を舐めた。ユリウスが腰を振るたびにオグリットの乳房や尻肉が揺れ、
その勢いはさらに増していく。鬼人族の血が騒ぎ、絶頂を迎えるオグリットに、ユリウスは応え、種汁を吐き出す。
3度目の射精のあたりでユリウスが気付いた。部屋には薬が置いてあった。
(イリアが来ていたのだろうか…?)

行為を中断し、その薬を全裸のオグリットに塗りこんでいく。おそらく特効薬のはずだ。
傷口に染みる薬に、オグリットは声をあげた。ユリウスが丁寧に摺りこんでいく。
反対にオグリットも全裸のユリウスに薬を塗っていった。塗り始めのそのときである。
 アァァ… グァガガ、ガガ…!!
「オグリット!」
オグリットが急に苦しみ出した。しばらくしてユリウスの肩も痛みだす。
彼女の傷は化膿し、血を吐き出した。慌ててユリウスが自分の肩に塗られた薬を拭き、掻き出すユリウス。
「やられた…!」
何者かが毒物を入れたのだ。オグリットの血は止め処なくあふれ出し、
やがて血は泡となり、眼を見開いたままだ。絶命を確認した。
「オグリットォォオオオオ…!!!!」
ユリウスは一度オグリットを抱きしめ、瞼を閉じさせてそのまま横たえた。
剣だけはユリウスが預かることにした。
「必ず教会を潰す…」
ユリウスはそう呟くと、薬屋の屋敷へと向かっていた。

315 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/24(土) 13:28:31.49 0薬屋に着いたユリウスは、真っ先にイリアの姿を探すが、彼女の姿はない。
水路の方に向かうと、何かが落ちているのに気付いた。
それは、紛れもなくイリアの死体だった。
「なん…だ…と?」
何者かがこの屋敷に侵入し、イリアを殺害したということだ。
(教会の連中に居場所がバレたか…そうなると決行は今しかないな)

ユリウスは教会の裏口を他にも知っている。それは王時代に最も外へ出るのに近い
ショートカットルートだった。東側の斜め裏へと回り込む。
潜入に成功すると、「曲者だ!」という声が聞こえた。
見ると、モニカが教会の見張りと思われる兵士2名に引き摺られ、こちらに向かってくるところだった。
「モニカ!」
ユリウスはまず一人の脇腹を切り裂き、そのまま後ろから回り込んで抵抗するもう一人の首をへし折った。
モニカを抱きしめる。「ユリウス様!」
話を聞くと、うっかり教会に近づきすぎて捕まってしまったという。
ユリウスは見張りのいなくなった裏門を破壊すると、そのまま中に入った。

モニカはユリウスの子で腹をわずかに膨らませながらも、ショートソードで武装していた。
聞けば訓練を受けたこともあるという。もう拠点もない。このままパートナーとして侵入することにした。

一階は牢獄のようになっていた。その変容ぶりにユリウスも驚きを隠せない。
兵を一人、また一人と殺し、見張りがいなくなったのを確認すると、牢の様子を見ていった。
奥から声が聞こえる。その声の主は、みな同じように妊娠した女たちだった。
腹は小さく、同じような白い法衣を身につけている。

「ここは俺に任せろ」ユリウスがモニカに言う。
「よし、お前ら、みんなとりあえず服を脱げ。助けてやるぞ」
女たちが服を脱ぐと、ユリウスも鎧を脱ぐ。既に女たちを見て反り返っていた。
「お前は良い、見張っててくれ」 自分も脱ごうとしたモニカに命令した。

ユリウスが牢を力ずくでこじあけて中に入り、再び閉める。
「一発ずつだ。ヤった奴から開放してやる。尻をこっちに突き出せ」
女の準備ができると、ユリウスは凄い速さで女の秘部に指を入れて確認し、
そのまま陰茎を突き入れ、腰を1回振って種を吐き出し、首を軽く叩いて気絶させ、
これを凄い速さで繰り返した。最後の女が倒れたのを確認すると、
素早く外へ出て檻を破壊し、鎧を着た上で女の一人を二階への階段方向に放り投げ、
そのままモニカを連れて入り口へと戻った。そのとき、二階から兵たちが降りてきた。予想外だ。

 「あいつだ!ユリウスだ!」
ゾロゾロと現れる兵たち。それと同時に女たちからも悲鳴が上がった。
女の腹に宿る『優秀な子種』は、ユリウスのヘルヘイムの種と配合され、
恐ろしく強力な『仔』を生み出した。
ユリウスが入り口まで戻り、門を破壊しようとするのをモニカが止めた。
モニカに連れられ、門から離れると、モニカは例のジェムを投げる。
迫る兵士たち。そこを恐ろしく大きな爆発が襲った。
兵士の首、歯、腕、内臓などの肉片、そして剣や槍の欠片などが石片とともに飛び散り、
ユリウスは思わずあまりの光景に目を見開いた。
モニカの方を見ると、モニカの口元が僅かに緩むのが分かった。

 …爆薬を仕掛けたのは彼女なのだ!

一方、城の中では生き残った兵たちと強力な胎児、いや怪物との死闘が繰り広げられ、
悲鳴が瓦礫を通してでも聞こえた。兵力と士気を充分に下げたらそのタイミングで突入する。
ユリウスは決戦の時を迎えていた。

316 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/24(土) 14:15:03.94 0モニカから渡された鼻と口を覆う独特の面をつけ、ユリウスたちは突入した。
敵はあっけないほど弱かった。
爆発の影響で毒が発生したようで、毒で弱った兵士と毒の効かない怪物は拮抗したようで、
辛うじて生き残った兵たちも身体に力が入らず、ユリウスに膾斬りにされていった。
腹を食い破られた女たちの死骸は食い荒らされ、その近くには兵士と怪物が争った形跡があり、
一部の兵士たちも食われていた。二階まで上がると怪物の残骸もあちこちに転がっていた。
三階ではほぼ抵抗は無いに等しかった。モニカはユリウスが漏らした瀕死の兵にも剣を突き立てていった。

最上階。かつてユリウスの玉座があった場所は、大聖堂へと変貌を遂げていた。
そこは阿鼻叫喚の地獄で、兵たちは毒で息絶えようとしていた。
ユリウスたちと同じようにマスクをした男が、唯一立っている老人を刺し殺したところだった。
周囲には彼らの性欲処理をしていたと思われる半裸の若い女たちがいたが、全て息絶えていると思われる。
男は初老で背は高く、教会とは違う紋章を付け、手には錫杖とオーブのようなものを持っている。

 「モニカか…これができるのはお前ぐらいだと思ったよ、やはりその男も一緒か」
 「お父様…」

どうやら教会の黒幕はモニカの父親のようだ。
「お前がリフティスを滅茶苦茶にしたのか…?俺の「兵」どもをよく可愛がってくれたな…
今ここでぶっ殺してやる!!」
ユリウスが大斧を構え、男に向かって突っ込もうとする手を、モニカは握った。同時に男の声。

 「悪いが、お前を『造った』のはこの私だ… 動くな!!
  コレを爆発させれば、その光でお前は元の陰茎に戻る…
  ここは教会ではない。支配者はこの魔術師アルキンのみ」

動けないユリウス相手にモニカの父、アルキンは語った。
彼はリフティスが独立した頃から、都市同盟の魔術師組合に所属し、たまたまリフティスに滞在していた。
そこで支配者不在のリフティスに注目し、錬金術(死霊術)や毒を研究しながら
教会に関わった。そこでアジンボーンが侵入し、ユリウスが登場した。そこで特殊部隊としてダムらを送り込み、
支配者不在を確たるものにしようとした。ユリウス失脚後は教会のメンバーとともにリフティス入りし、
ライバルを蹴落としリフティス司教を暗殺、実験を握ったという訳だ。そして絶対的兵力としてユリウスの肉体を
手に入れようとした。彼の死後は男根だけでも欲しかったとのことだ。ちなみに教会の司教というのは表の顔で、
一切信仰心などは無いらしい。

 「武器を置き、装備を全て置け。命は私が保証する。それどころか言う事を聞けば
  元の人間にもどしてやらんでもないぞ」

「くそ…」
ユリウスはアルキンを睨み付けると大斧を置き、武器を全て置いて鎧を脱いだ。
暗い聖堂に金属音が鳴り響いた。垂れ下がった男根がむき出しになる。

 「良いぞ、では少しの間だけ、眠らせて差し上げよう…」
アルキンが錫杖を振り上げた。

317 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/24(土) 14:27:36.77 0モニカから後手に受け渡された『それ』は、一瞬の隙をついてユリウスの手に渡った。
そしてさらに一瞬でユリウスの手から離れる。
アルキンが睡眠呪文の詠唱を完了しようとしたときだった。「グォ…」

アルキンの喉元に刃物が刺さる。先ほどモニカによって密かに渡された東方伝来の小さな刃は、
ユリウスの後ろから弧を描いて回り込み、アルキンへと突き刺さった。
ユリウスが大斧を持ってそれをアルキンへと投げ込む。オーブを外すようにして…
「マカベウスクラッシャ…!!」
大斧が黒々と輝き、軌道はアルキンの腹を下の角度から真っ二つに寸断し、そのまま彼の上半身を乗せて
聖堂の天井を破壊し、そこからはおびただしい血飛沫とともにあらゆる破片とともに、朝の光が差し込んできた。
毒のガスは高いほうへと逃げるため、穴からはどんどん毒が抜けていく。まるで光に浄化されるように。

ユリウスは滑り込むと、オーブを床上ぎりぎりのラインで受け止めた。
同時にアルキンの下半身が大量の血飛沫や臓腑を撒き散らしながら崩れ落ちるところだった。
ユリウスはアルキンのローブを破り、彼のように多くの女たちを汚していった男根を切り取ると、
高らかにそれを掲げて雄叫びを上げた。
「ウオォォォォォオオオオオオ!!!!」
ユリウスが再び王になる機会が到来したのだ。
駆け寄ってくるモニカを、ユリウスは抱き寄せた。

318 :ユリウス・ヘルヘイム ◆d3VqGbsUac :2015/10/24(土) 15:17:17.73 0ユリウスはオーブを祭壇に置き、モニカをもう一度抱き寄せてキスをすると、
巨大な斧を両手で抱え、今後の展望について熱く語り出した。

「まずは教会から脱却する。元国王ユリウスの名前で王朝を復古させる。
そしたら兵士を集めよう。ここの人間どもは腐って死んだが、書類は残ってるだろ。
これで教会の腐敗と不正をあばき、リフティスの連中は俺の側に付くはずだ。
兵は教会の外にいた連中を集めて鍛える。冒険者からもだな。
これからは傭兵が兵力の中心でもいいはずだ。対外侵攻も予定している。
でだ、女どもも集めよう。ここには女が足りん。リフティス中の女を…」

    「だめ」

プスリ、と何かが何本も背中から入ってくる感覚があった。誰がやったかは言うまでもない。
気が付くと、モニカは祭壇にあるオーブを手に取っていた。

 「王妃はこのモニカ。他に女は一人も要らない。そしてここに二代目が…フフフ…!!」

モニカの眼は邪悪に濁っていた。片手でオーブを握り、もう片方の手で腹を愛おしそうに撫でている。
モニカはユリウスを愛しすぎたために、独占欲と愛欲に狂っていた。
彼女は全ての事の流れを独白した。
元々は父アルキンに派遣され、リフティスで流通を握っている人間の一人だった。
そしてダムに毒や爆薬を流し、ユリウスには自ら接近して惚れ、わざと犯されて身ごもり、
あとは酒場の常連の振りをして肉屋を傀儡とし、情報を流通させた。
マスターらは最後まで騙されていた。ユリウスがやたら注目するオグリットを殺したいほど嫉妬し、
爆破の際は巻き添えにして殺すつもりだったのが失敗し、後をつけて何度も通ったことの薬屋敷に忍び込み、
出てきたオグリットを図書館で暴れさせ、兵士に通報してオグリットを傷つけ、
さらに忍び込んでイリアを殺して主要な薬全てを奪うと、『クロイドン』に毒薬をしかけた。
そしてオグリットが死ぬと留めを刺し、恐らくユリウスが来るだろう教会に先回りしてわざと捕まった演技をし、
ユリウスが兵士たちが声を上げる前に殺すことまで見越していた。ユリウスを完全に自分のものにするには
父親の存在自体も邪魔だった。全てが片付いて清々している。と。

ユリウスは毒の痛みに膝を付きながら、このモニカという女が今まで自分を慕い
犯罪を犯してきたどの女よりも恐ろしい人物であることを悟った。こいつは獣やバケモノを超えている。悪魔だ。
ヘルヘイムの魔物が宿ったユリウスですら恐怖した。

 「動けばコレを壊してあなたをオチンチンにして食べます。解毒薬はここにあります。
  私だけを、モニカだけを愛すると誓ってザンゲしなさい!そしてこのまま
  王と王妃の格好でリフティス中を凱旋して、見せ付けてあげるの。あははははは!!」

そこまでモニカが言ったところで、ユリウスは飛びかかっていた。慌ててモニカはオーブを地面に叩きつける。
オーブが割れ、黄色い光が放たれた。しかし、その光はユリウスを包み込むと、ヘルヘイムの魂を解放し、
肌色の皮膚に戻っていっただけだった。モニカが驚愕で目を見開いたときには遅かった。
解毒薬は奪われユリウスの胃袋へと入り、彼は剣で抵抗するモニカを押し倒すと馬乗りになっていた。

服を破って脱がせると、中からは沢山の袋や暗器が出てきた。
まずは剣を持っている腕をへし折り、腹を殴ると、ペニスを突き入れて犯した。
乳房や首を握りながら勢いよく射精すると引き抜き、残りの精を顔めがけでドバドバとかけた。
そして次にぐったりとしたモニカの口にあらゆる全ての粉を詰め込んだ。毒薬か、爆薬かはさだかではない。
行為が終わったユリウスは、鎧を付け、大斧を回収すると、離れて一つだけ残った炎のジェムを白目を剥いたモニカに投げつけた。
大きな爆発が起こり、教会の建物が崩壊していった。

319 :ユリウス ◆p3umDHpHY. :2015/10/24(土) 15:30:54.93 0二度目にリフティスに戻ったユリウスは、数百人を殺し、多くの女を犯してまた行方をくらました。
今回の事件でユリウスの血縁者の多くが犠牲になった。
『教会』の悪事については、断片的にだが、解明されてきているはずである。
オグリットの死体が発見された『クロイドン』では、特に多くのユリウスの文献が見つかっている。

歴史的にはリフティスは「ユリウスの反乱により教会の勢力は全て撤退した」ということになっている。
しかし再びただの自治都市となったリフティスは、権力の弱い領主と自警団によって成り立っており、
周囲の勢力から再び狙われやすくなった。しかしながら、教会とユリウスが消えたことでかつての長閑な雰囲気は戻ってきたようだ。

ユリウスは結果として、また女に溺れて失敗したのだった。
その後もユリウスは存命していたとして、あちこちの歴史で伝説となるが、それはまた後の話。

水の街リフティスには今日も時間が流れている。


     E・N・D


【ご愛読ありがとうございました。多少バッドですがこれでエンディングです。
応援してくれた皆さんありがとう!】


【第三期】ダークファンタジーTRPGスレ【新規始動】

http://kanae.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1401017341/

世界制覇編 第一部

277 :ユリウス王 ◆uz4Pq9DihA :2015/10/31(土) 13:50:59.73 0名前: リフティス王ユリウス・マカベウス
年齢:53
性別:男!
身長:206
体重:111
スリーサイズ:教えない!
種族:かろうじて人間!
職業:国王
属性:なし!
性格:剛毅で大胆で卑猥で残虐、しかし優しい部分あり
利き手:右
魔法:使えんが武器が魔法武器!
特技:マカベウスクラッシャ
装備品:巨大な大剣
所持品:王冠風の兜などさまざま
髪の毛の色、長さ:白髪交じりの茶色で癖がある
容姿の特徴・風貌:筋肉の塊のような鋼の肉体
趣味:体の鍛錬、配下の鍛錬、女遊び
将来の夢(目標):リフティスを強国にして後継者を育成
簡単なキャラ解説:巨体を持つ国王。 リフティス周辺を統一したが、国力・人材・将来に悩んでいる。

42 :ハンス ◆LXkv5cXmPyY/ :2014/05/25(日) 23:44:09.15 0名前:ハンス・レイク・トールヴ
年齢:23
性別:男
身長:201cm
体重:75kg
スリーサイズ:
種族:人間
職業:放浪騎士
性格: 義を重んじるが目的のためなら悪も辞さない矛盾を抱えている。
    自己を殺してでも全体を生かす傾向がある。
    親切で紳士ではあるが中立であることに拘る。
    が、お人よしのため大抵うまくいかない。
特技:水泳、格闘
所持品:斧、短剣、錆止めの塗られた黒い甲冑。
容姿の特徴・風貌: 肩幅は広く、顔が角ばったしかめつらの巨人。お世辞にも美形とは言えない。
            髪をほとんど剃っており、黒髪の短いモヒカン。
簡単なキャラ解説:パトロンを失ったため放浪する騎士。傭兵のように雇われで戦場へ赴き、小銭を稼ぐ。
            魔法はからきしだが常軌を逸した腕力を持つ。
            体格のせいもあり老けて見えるため40代に見られることを珍しくない。

名前:ミラ・ヴィジテイル
年齢:17
性別:女
身長:164cm
体重:55kg
スリーサイズ:92/64/93
種族:人間
職業:冒険者
性格:血気盛んで無邪気で酒好き
能力:剣術
所持品:ロングソード、ブレストアーマー
容姿の特徴・風貌:あどけなさが残る傭兵風の少女。金髪と気品は父親譲り
簡単なキャラ解説:
ミカエルの次女。血縁については一部では有名である。しかし、冒険者としても名前を上げつつある。
父親にはかなり将来を心配されている。魔術の才能もあり、剣術では父親以上と思われる。


278 :ユリウス王 ◆uz4Pq9DihA :2015/10/31(土) 14:17:18.60 0ユリウスは行方不明になってから8年、リフティスへと凱旋した。

リフティス教会の崩壊後、ユリウスは類稀なる生命力により生きていた。
教会の瓦礫の中に到着したのは、リフティスの繁栄を求める組織の一員であり、
彼らは瀕死のユリウスを、ヤオリ村へと搬送した。
その中にはラクチュウという東方系の少年もいた。彼はユリウスの子である。
ユリウスが犯した東方系の女の子孫なのだ。
彼を中心とした勢力によってユリウスは世話を受け、着々と勢力を伸ばしていた。
既にリフティスから移った難民がヤオリの開拓をはじめており、
3年後にはユリウスが傭兵団を束ね、既にリフティスを大きく上回る戦力となっていた。
ヤオリは街になった。兵は正規兵として鍛えられた。
殺戮をやめたユリウスはすっかり村に馴染み、多くの女と子をもうけた。

そして今から2年前、ヤオリから出たユリウスの兵団は、リフティスへと侵入、
ユリウスがいることを知ると、ほぼ戦力を持たないリフティスは領主が降伏に応じ、
金品を差し出してほぼ無血で開城した。ユリウスは金品を拒み、演説を行った。
これによって統一リフティスが完成した。

以前の経験で懲りたのか、女の配下を重要な位置に置かないユリウスは、
「息子」と言われる18歳のラクチュウを「養子」として重用し、さらに配下を多く置いた。
リフティスの建て直しはあっという間に完成した。
さらにリフティス軍はトバを攻め、海女を中心とする精鋭「アマ・チャン」を破り、
彼女たちを手篭めにして「兵」とした。そのままラタキアへと侵攻し、陥落させる。
これによってリフティス王国は港を持ち、王都から湖、海への交易ルートを手に入れた。
しかし、勢力拡大はこれ以上は困難を極めた。現在の版図は海に面しており、
守り難い領土になりつつある。東にはスグァ諸島があり、タヌアからスグァに向けて都市が存在するが、
周囲の脅威を考えると遠征をするメリットは無いようだ。

ただでさえ異種族勢力との関係が悪化しつつあるリフティスの最大の脅威は教会であり、
破門されている以上、北の教皇庁の勢力圏エリアに狙われる可能性が充分にあった。
特に、つい去年統一を果たしたミカエル4世率いるヴィジテイル朝メリヴィア王国は脅威だった。
教会に影響力を持ち、メリヴィア単体でも実に10000程度の兵力を出すことができる。
対してこちらは常備軍がせいぜい1000、緊急徴兵をしても2000が限度だ。
さらに、身の潔白は晴れたものの、教皇庁が援軍を出せばその限りではない。
南にはファーデル帝国の領土が徐々に拡大し、海軍兵力が接するのも時間の問題と思われる。

「うーむ…」
玉座の周囲には世話役の女たちが半裸でユリウスの慰安をしている。
その中の一人を膝の上に座らせ、腰を振りながら、ユリウスは決断の時を迫られていた。

279 :ユリウス王 ◆uz4Pq9DihA :2015/10/31(土) 14:35:44.08 0「父上、我が国には既に周辺の強国と戦うだけの戦力がありません。
どこかの大国と不戦同盟を結ぶしかないかと」
ラクチュウがユリウスの前に現れ、恭しく頭を下げた。

リフティス・マカベウス城の玉座の前に立つユリウスは、鎧の乱れを直しながら息子に向き直った。
以前に比べるとだらしなさもようやく無くなりつつあった。
扉がノックされている間に、侍女たちとの行為も無事に終え、彼女たちもユリウスから離れるなり、
汚れた床を掃除するなりしている。
ラクチュウ…この男は20歳になるという。年齢的には確かに、ユリウスが侵入して略奪をした時と合う。
血を分けた息子とはいえ、顔が似ているとはいえ、東方系の人間を母親に持つ彼は、信用して良いのかと未だに思うが、
信頼できることは確かだった。配下としても指示が出しやすい。
偏にこの男のお陰で、ユリウスは王としての自負を持ったともいえる。
こいつは俺に恨みを持っているのだろうか?既に病死したという母親については…
既に軍師となりつつあるラクチュウに対してそこまで熟考するのも馬鹿馬鹿しいと思った。

そこに伝令が現れた。ラクチュウがメリヴィアに向けて放ったと言われている偵察だ。
「ミカエル王の次女についての情報が… 国境近くの街まで来ていると思われます」
情報をラクチュウを経てユリウスは耳に入れた。
ミカエルの次女、ミラ・ヴィジテイルは今年で18歳になるという。
放蕩癖があり、それを父王も諦めているようだ。
そして、好奇心旺盛で、戦好きでもあり、傭兵としても活躍しているらしい。

「それだ」
ユリウスは頷くと、指示を出した。
「ミラという娘をつかまえて伝令を。リフティスのユリウス王から直々に招待状が出ていると伝えておけ。
『楽しい武闘会』も用意している、とな。あとは奴の自由に任せる。腕前を披露したくなるように上手くやれよ」
ラクチュウは文章を認める準備をした。リフティスの正印はユリウスが来る前からあるものが残っている。
良く残っていたものだと感心するが。

そして、およそ半月後…ミラ・ヴィジテイルが配下たちを連れてリフティスを訪れた。

280 :ユリウス王 ◆uz4Pq9DihA :2015/10/31(土) 14:59:39.88 0玉座の二つ下のフロアにいる「敵」を全て打ち負かし、ミラは現れた。
ここまで予想通り、そして玉座の一つ下の特設フロアにてユリウスとミラは対面する。
ユリウスは王様仕様の豪華絢爛な鎧で登場だ。

「ようこそリフティスへ。俺がリフティス王のユリウスだ。催し物はいかがだったか?」
ミラに訊ねる。「凄く楽しかった!」と、汚れたブレストアーマーを着たミラが、汗を流しながら無邪気に応える。
「貴女はお父上、つまりミカエル王に、許可は取られたのかな?」
「親父?いや、取ってないよ。取る訳ないじゃん。楽しそうだから来ただけだし」
予想以上に破天荒で頭が弱いことに、ユリウスはほくそ笑んだ。
「そうかそうか、では…もっと強い敵をお望みかな?」
「もっちろん!全然歯ごたえなかったし、もうちょっと強い人と戦いたいかな!」
ここまで予想通りだ。

「では、この俺が相手しよう。武器は貴女が持っているものと同じものだ」
「喜んで!」
ミラの武器は訓練用の剣、つまり鉄の板のようなものだが、ユリウスにも同じものが渡された。
部下たちが完全にフロアから出て、扉が閉められる。

「では、来なさい」「はい!はああああ!!」
最初は激しい剣と剣のぶつかり合いになる。しかし、かなり器用なミラは、
フェイントを駆使してユリウスの剣の内側へ徐々に当てこんできた。
そこでユリウスはわざと、大きくタイミングをずらし、ユリウスの鎧に打ち込ませた。
「ぐっ…!」
ユリウスは当てられたまま勢い良くミラの腕を捕まえると、なるべく一瞬で済ませるように、剣を握る腕を曲げた。
あっという間に剣が床へと落ちる。それを蹴り、そのままユリウス本人も剣を壁へと放り投げた。

「ふぅん…」
ユリウスがさらに鎧を脱ぎ、ほぼ下着で軽いパンチを繰り出すと、ミラもそれを受ける。
痛みをこらえながらも、ミラはユリウスの意図を掴み、笑みを浮かべると、ユリウスの格闘戦に応じる。それが罠だと知らず。
ミラは格闘も結構いけるようだった。しかし…!

「…あっ」
ユリウスは強烈な突きや蹴りを何発浴びても平気そうだった。それどころか徐々に笑顔から真顔になっていく。
そしてついにミラの身体がユリウスによって捕らえられた。

まさか、とミラは思った。「そのようなこと」は今まで一度もなかったのだ。
しかしブレストプレートなどの装備はユリウスに力を加えられ破壊され、痛みとともに飛び散った。
ミラは下着でほぼ裸の姿となった。その背中にユリウスのモノが押し当てられる。
不安は恐怖に。疑いは確信に変わった。ミラの顔がどんどん曇り歪んでいく。

「ミラよ、お前はもっと人を疑った方がいい」
腹に一撃が入り、ミラはユリウスによって犯された。
ミラの股間は鮮血を流し、この日ミラは女となった。

281 :ユリウス王 ◆uz4Pq9DihA :2015/10/31(土) 15:17:06.69 0ラクチュウは下のフロアで、父王の唸り声が聞こえ、やがてそれは
男女の獣のような唸り声となっていることを知った。
もちろんこの男にも女は宛がわれており、既に子、つまりユリウスにとっての孫がいる。
しかし、ユリウスのように性欲が特別に強い訳ではない。父はやはり異常だ、と彼は思った。

ミラは何度も絶頂を迎えた。既に焦点が定まっていない。
「おぉぉ… ミラ、もう俺もそろそろ出す、抜くぞ」
ユリウスは本能の中で、既に目的が達せられたことを知り、行為を切り上げようとした。
手篭めにできれば充分なのだ。種を植え付ける必要はない。
しかし、ミラはその意思に反して、足を絡めようとしてきた。ユリウスはその気持ちを受け入れることにした。
「おぉぉ…」
ゴクリ、ゴクリ…と男根が脈打ち、ヴィジテイル家の器へと、マカベウスの子種が流入していった。
この種が後に大きな波乱を引き起こすことも知らずに…
欲をくすぐられたユリウスは、さらに腰を突き上げるようにして、獣のような雄叫びを上げながら欲望を吐き出していった。

このまま適当にリフティス見物をして帰ってもらうつもりだったが、
予定に反してミラは一晩泊まることを望んだ。
そして、次の日にはラクチュウらに用意させた大量のリフティス土産、
ー宝石・薬や海産物の干物などー がミラや部下に手渡され、リフティス・メリヴィア間の友好の証とした。
相手は大国、一応下手に出るのだ。
ミラは出ることを拒んだが、また会おうというユリウスの約束を受け入れ、
大勢のリフティス民によって何事もなかったかのようにリフティス領を去った。

この一月後、リフティスはメリヴィアと不戦・友好の同盟条約を取り交わす。
教会にも口利きをし、今後関係を回復をしていき、いずれはリフティスに支部ができる運びとなった。
これによって小国リフティスは北側の脅威をほぼ克服した。

そして、次に注目したのは、もう一つの脅威である南のファーデル帝国である。
ここは数万という兵力を動因でき、その気になれば1年もあればリフティス全域を支配できるだろう。
幸運はまだリフティスが攻略目標に入っていないことであった。

ラクチュウが度々放った伝令による報告で最も注目したのは、皇帝の娘、皇太子の妹となる
ウルスラ第一皇女の存在であった。ウルスラは特に皇族内部でも武闘派で知られ、
白翼騎士団という無敵の騎士団を率い、反乱軍などを容赦なく殺戮しているという。

「帝国も、なかなか美味そうな弱点を持ってるじゃねえか」
まだ24歳という彼女にユリウスは着目し、舌なめずりをした。

282 :ユリウス王 ◆uz4Pq9DihA :2015/10/31(土) 15:17:58.01 0【ユリウス王の野望に付き合ってくれる方、敵も味方も募集します】
【楽しくやりましょう!】

298 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/14(土) 17:16:19.64 0その日、リフティスの王城は突如現れた集団によって混乱した。
全ての混乱が収拾したとき、国王ユリウスは玉座で思案に耽りながら腰を振っていた。

暗殺部隊。
それがついに現れたのだ。「偉くなったものだ」とユリウスは思った。
初め、侍女の悲鳴からそれは顕現化した。侍女の中に敵が紛れ込んでいたのだ。
ユリウスが不特定多数の女を侍らせていたことの欠点が明るみに出た。
そして、同時に多くの男たちがユリウスの王室になだれ込み、ユリウスを襲った。

ユリウスはその人並み外れた運動能力を持つ敵を自慢の大剣で次々撃退していった。
暗殺部隊はその全員が、黒髪に独特の顔つきをした東方の民族で構成されていた。
東方の暗器が次々投入され、それを避けたり剣ではじいたりしながら、
一人、また一人と暗殺部隊を分断していった。
目を見開いた黒装束の東方人の亡骸はある意味で恐怖であった。
侍女たちが武装して駆けつけ、次に城兵たちが駆けつけた頃、既にユリウスは暗殺部隊の多くを屠っていた。
玉座付近のカーぺットは瞬く間に血や脳漿や臓腑に塗れてしまった。

男が十数人、女が二人が敵だったが、ユリウスらは男を皆殺しにし、女二人を捕縛すると、
拷問を開始した。しかし、片方の女は舌を噛み切って死亡したため、
もう一人に猿轡を噛ませ、城兵たちに犯させた。
驚いたことに、その女は秘所に暗器を忍ばせており、城兵の男はその犠牲になり股間は二度と使えなくなった。
ユリウスは女の身体からそれを取り除くと、ゆっくりと犯し始めた。

「怪我人の手当てをしろ。おぉぉ…」
腰を振れば振るほど締め付けは強くなっていく。やはりそういった「技術」を持った女なのだろう。
この戦いで侍女3名と城兵2名が犠牲になった。
こういった襲撃を起こさないためにも、守備体制を万全にしなくてはならない。
(タヌアなどのスグァ諸島に進出し、東方とも交流を取る必要があるか…)

女は快楽のためか、それとも苦痛のためか、何度も身体を仰け反らせているが、
ユリウスはいよいよ絶頂を迎えた。「ウッ…!」
その瞬間、ラクチュウの母親だった女を犯したことを思い出した。
リフティスは国際的な街で、様々な地方から人間が入り込んでいたのだ。
市街地の整備はラクチュウらに任せよう。

精を女の胎内に注ぐと、引き抜いて残りの飛沫を掃除中の侍女の顔面めがけて飛ばした。
そして、短刀をうつ伏せになった女の背中から心臓に向けて突き刺すと、死体を侍女に放り投げた。
「おい、これも一緒に片付けておいてくれ」

ユリウスは残りの侍女を呼び、受けた傷の手当をさせると、再び思案に耽った。
まずは近年になって「ファーデル帝国」を自称しているイル帝国に少しでも打撃を与えることを考える必要があった。
勿論、標的はウルスラ第一皇女だ。

299 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/14(土) 17:37:07.53 010倍、いや20倍以上の兵力を動員できるというイル帝国に対し、
「リフティス軍」として動くことはもはや自殺行為だ。
少しの敵対行為も帝国は見逃さないだろう。

ファーデル教の聖地があるというピラコーナという帝国領の街は、
つい20年ほど前までは独立した自治領として栄えていた。
「湖の街」と呼ばれている。
ラクチュウらが放った偵察部隊によれば、この街には今でも帝国に対抗する「反乱軍」がいるという。
その名も「アールヴ隊」といい、ピラコーナ元来の地形を利用した戦い方で知られている。
湖と森の街には、これらの同盟に加入する「有志」が500人以上はいる。
組織の代表であるグレイという男と、この付近の生まれで現在、「湖の騎士」と呼ばれている流れ者がいた。
名を、ハンス・レイク・トールヴという。細身ながら背丈はユリウスにも引けを取らず、肩幅もしっかりとしている。
こいつらに反乱を引き起こしてもらう戦術だ。

ユリウスは少数の馬と物資、そして金目のものを密かに提携を結んだ帝国領付近の自治都市、カピタに運びいれ、
ピラコーナへと少しずつ援助を行っていった。
ユリウスはカピタにいる間、極力紳士を装った。領主など一部の者にだけ自分の身分を伝える。
勿論、女遊びも自前の女たち以外には手を出さない訳だから、なかなかに苦痛だった。

グレイ、ハンスらは泳法や独自の武器を駆使し、湖の街ピラコーナから次々と帝国兵を抹殺していった。
地元の鎮圧部隊が集まったところにさらに組織的な攻撃が加えられ、アールヴ隊率いる反乱軍はあっさりと帝国の駐留部隊を駆逐した。
その軍は1500人程度にまで膨れ上がり、街も彼らを受け入れた。
敵を撃退したという報告が、カピタの宿で腰を振る真夜中のユリウスに報告された。
白翼騎士団はこの近くまで来ている。真っ先に報告が入るはずだ。

ユリウスの性欲の高ぶりは異状を極め、既にユリウスの腰の上で一人の女が犠牲になった。
彼の欲望はウルスラへと向けられており、射精しながらも頭の中では彼女のことを考えていた。

300 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/14(土) 18:14:31.03 0翌朝、ユリウスは数十騎の部下を連れてカピタを出、一気にピラコーナへと向かった。

ピラコーナでは前夜は勝利を祝福するお祭りムードだったが、
偵察が帝国の精鋭の接近を報告すると、一気に厳戒態勢へと入った。
アールヴ隊やハンスら傭兵部隊は、満場一致で市街戦を避けた。
ユリウスらによって提唱されたように、湖と森に挟まれた小高い丘に陣取り、
敵を迎え撃つ構えを見せた。
「…敵を発見! 敵は帝国のウルスラ率いる白翼騎士団だ!」「何だと?!」
帝国でも特に好戦的で強いと知られるウルスラの部隊がいることに驚き、ピラコーナ軍は浮き足たった。
「迎え撃つ!得意の先方を見せてやれ!」帝国軍はおよそ騎兵5000、それに対しピラコーナ側は歩兵を中心とした1500程度だ。
今までは寡兵で大軍を破ってきた。今回もできるとグレイは思った。
その頃、ユリウスがピラコーナを出発し、顔に笑みを浮かべていた。

強力な南方馬に跨り、馬にも白銀の鎧を纏わせた白翼騎士団は、物凄い機動力で現れた。
純白と白銀の全身鎧に身を包んだウルスラは、その最前線で指揮を執っていた。
大柄な体格は男たちに混じっても尚目立ち、ボディラインに合わせた特注の鎧は湖畔の光を浴びて輝いていた。
しかし、その鎧の無数の傷は前線で戦ってきた証でもある。
ウルスラは、兜から流れるように出た金髪を靡かせ、凛々しく美しい顔で周囲に号令を飛ばす。
「突撃!敵の罠に注意しろ!」

かくして戦闘が始まった。ウルスラの槍部隊をピラコーナの重装歩兵が受け流し、そこを遊撃隊や猟兵などで押し返す作戦だ。
戦いは拮抗した。勿論、ウルスラは槍で次々とピラコーナの歩兵をなぎ倒していった。
「ウルスラなんて怖くないぜ!」「まだ互角だ!このまま森に誘い込め!」
徐々に帝国軍が森へと入っていき、一部の騎兵が湖へと転落した。グレイやハンスが叫ぶ。
戦いは一見、ピラコーナ有利になるかに見えた。

「今だ!」
ウルスラが号令をかけると、火薬の音が鳴り響き、同時に帝国騎兵が後退を始めた。
そしてウルスラを含む多くの騎兵の槍から黄色い光が放たれ、それが森の内外にいるピラコーナ軍に降り注いだ。
 ギャァァァ!!
魔法部隊だった。一瞬でピラコーナの軍勢は吹き飛ばされる。グレイは脳天を二つに割られて即死、
さらに重装歩兵も落雷が連鎖していくかのように金属と血の破片へと変わっていった。
そして、湖付近の森がまたたく間に焼け焦げ、焦土と化していった。これによって
数百人が犠牲になり、森の仕掛けも全て無意味になった。

「行け!殺せ!」
ウルスラが血走った目で騎兵に号令をかける。いわゆる全軍突撃だ。
よろけたピラコーナ軍は士気も下がっており、逃げるのが精一杯である。
ウルスラや彼女の部下によって次々殺害されていった。
半数近くが戦闘不能と思われ、既に魔法や矢で重傷を負ったハンスは撤退を指示した。
「-さぁ防衛線だ、生きて帰るぞピラコーナに。グレイたちには悪いがプライドに意味はないんだ。
 俺たちの闘志はまだ湖の底に眠っている。これまでも、これからも…グァっ…!!」

「これから、ってのはねえんだよ、ゴミが」
仲間を率先してピラコーナに逃そうと先陣を切っていたハンスは、目の前から来た騎馬隊の一番先頭の男の
巨大な武器によって、上半身を吹き飛ばされていた。
丁度ハンスの心臓は黒い甲冑ごと真っ二つになり、大量の血飛沫を花火のように上げながら、
上半身は木の幹に直撃し脳漿をぶちまけ、下半身はしばらく馬とともに走っていたが、ズルリと崩れ落ちて臓腑とともに湖に落下していった。
これが放浪騎士ハンス・レイク・トールヴの最期の姿だった。

ユリウスはそのまま数十騎の部下とともに突撃し、ハンスの後ろにいる反乱軍も切り伏せていった。
追撃中の白翼騎士団は突然の新手に困惑している。
高速と高速のぶつかり合いはあまりにも早く、帝国兵の死骸が宙に舞うまでそう時間はなかった。
「おのれ!あの男が新手のリーダーだ。殺せ!」
その声とともにユリウスは森の方へと向かっていった。

301 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/14(土) 18:52:29.43 0予想通り、最初にユリウスに追いついたのはウルスラだった。
馬も特別に速いのだろう。魔法馬の可能性もある。
「よし、作戦Bだ!予定通り合流しろ」

勢いづいたウルスラは余裕の笑みさえ浮かべていた。
「作戦も予定もない。我々が踏み潰すまでだ!」
ウルスラの後ろには白翼騎士団のメンバーが当然大勢いるはずだが、
森ともなれば、付いていける者は決して多くはない。そこにユリウスの部下たちが割りいった。
同時に遊撃隊がこちらが本隊だとばかりに湖のすれすれの場所を走る。

ユリウスは死をも恐れず森の中を突っ切った。ユリウスの馬もまた、特殊な魔法馬なのだ。
しかしいずれは限界が来る。激突が確定したと見たユリウスは、馬を乗り捨てて飛び上がり、
勢い良くウルスラの馬のへと騎乗しに行った。大槍と大剣が一度ぶつかり合い、音を立てる。
ユリウスがウルスラの後ろに乗り込んだ。一瞬、ユリウスの腕がウルスラの鎧の腰に触れる。
勿論鎧であるから硬い訳だが、それでもユリウスはウルスラに触れたことを実感した。
二人は馬から崩れ落ち、森の中で孤立する。
「おのれ!父上以外で私の腰に手を触れたのは、貴様が初めてだ」
ウルスラは槍を構えた。ユリウスも大剣を構える。
「皇帝ヴィクトールの娘か。お前、親父を愛しているのか?」
「当たり前だ」とウルスラは答えた。

「お前の親父のペニスと、俺のペニス、どっちがでかいと思う?」
「ふざけるな!」
ユリウスの質問に、ウルスラは激高し、鋭い突きを放ってきた。
すぐにユリウスが受け流すも、すぐに次の攻撃が入る。根本的にユリウスよりも動きが速いのだ。
これだけの重装備でこのスピードだ。恐らく100人の武装した男でも敵うまい。
攻撃が当たれば勿論一撃であの世行きだ。

ついにユリウスの鎧に一撃が入り、痛みとともに仰け反った瞬間だった。
ウルスラは槍から光を放ち、それはユリウスの顔面を襲った。
(魔法か!)
目を奪われまいと顔を背けると、背後に激しい痛みが入り、それが全身を襲う。
さらに槍による一撃が背中から入るのが分かった。
血を流し倒れるユリウスに間髪を入れずウルスラが乗り、大剣ごと組み伏せると腰から剣を抜いてユリウスの首に当てた。

「貴様を殺すのは惜しい。名前だけ聞いておこう」
十中八九ウルスラはユリウスを殺すつもりだったが、一瞬これだけの男を殺すのは惜しい、という気の迷いがあったのも事実だった。
ユリウスから返答は3秒は待つつもりだった。しかし…
「グッ…!」
ウルスラの頭に衝撃が走る。それは兜と鎧の間のあたりに落ちた。ユリウスが魔法が放たれた瞬間投げた鉄球だった。
慌てて剣を握ろうにもユリウスに奪われ、さらにユリウスのガントレットによる一撃が脳天を襲った。

「お馬鹿だね~ よく言われない? しかし頑丈だってのも困りモンだよな
一思いに死ねねえんだからよ!」
ユリウスはさらに、ウルスラの槍をも奪うと、柄で腹のあたりを殴り突き倒した。
「俺はユリウス。リフティスで国王をしている」
「貴様が、あの、ユリウスだと…?!」
あぁ、とその顔と見上げる巨大な鎧に包まれた肉体で確信した。
噂には聞いていた。悪魔のような筋肉と性欲の塊のような男があのリフティスの王になったと。

「ぐぁ!ぐぁ!グッ…」
拷問のようにユリウスは鎧の上からウルスラを何度も殴る。
「皇帝に、パパに、会いたいか…?」
ウルスラはただ、自分が人生で初めての敗北を味わっていることで、既に心はそこに無かった。
鎧を粉々に粉砕され、裸にされて、ユリウスが鎧を脱ぎ、馬のようなペニスを露出してもまだ呆然としていた。
そして、帝国第一皇女ウルスラはついに、ユリウスによって犯された。

302 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/14(土) 19:19:38.21 0ユリウスはウルスラの全てを犯した。優しく、そして執拗に。
無抵抗の唇を奪われ、ユリウスの巨大な手で握ってもなお余る巨大な乳房を揉みしだかれ、
その下の鍛え上げられた腹筋や臍を撫でられ、舐められた。
そして鎧からは想像もできないような果実のような尻を撫で尽くされ、
獣のように胎内を掻き回されて溢れるほどのマカベウスの子種を、イル・ファーデルの器へと注がれた。
胎内を犯し尽くしたユリウスは口を犯した。ユリウスの濃厚な精はなおも勢いを止めず、
僅かに甘いそれをウルスラがゴク、ゴクと嚥下すると、今度は尻を掴み、
肛門にもペニスを突き入れた。そしてユリウスの精はウルスラの直腸内をも汚した。
再び上に跨り、もう一度秘部に突き入れる。そして二人の最高の肉体は森の中で獣のような声を上げながら
交わり続けた。そしてもう一度精を放つと、引き抜いて残りの全てを腹や胸にぶちまける。

白翼騎士団長ならぬ白濁騎士団長となったウルスラを抱きすくめたユリウスは彼女の耳元で囁く。
「これでお前を解放する。ちなみに、 俺には王妃がいない… 」
最期の部分を強調し、倒れたウルスラに槍を返しマントを裸体に被せると、
ユリウスは馬に跨り颯爽とその場を去っていった。

その後、捜索に来た白翼騎士団員をすれ違いざまに殺害していき、その日の夜にはピラコーナへと到着した。
部下の半数が戦死したとのことだった。それに対し追悼の意を簡単に話すと、一泊してピラコーナの領主に例を言ってリフティス領に引き上げた。

この戦いは「ピラコーナ湖畔の戦い」と言われ、合計帝国軍に1500、ピラコーナ側に1000の被害を出し、
ピラコーナの英雄死亡と反乱失敗という形に終わった。
しかし、イル・ファーデル帝国はその後、リフティスに友好使節を送ったという。

303 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/14(土) 19:29:15.98 0「タヌア…ですか…?」
リフティスの城内、ユリウスは腰を振りながら息子のラクチュウと話をした。
「うむ、東方の動きを探る。その上で『戦華祭』とやらの様子を見るとしよう」

その次の月、タヌア侵攻へ向けてトバへとユリウスは軍を進めた。
再びトバ在留の海女部隊がユリウスによって汚されることとなったが、
トバは国王ユリウスを快く受け入れた。交易がより活発になりそうだからだ。

3000の兵をもってタヌアを攻めようとしたユリウスだったが、
その結果はタヌアの降伏と従属という形であっさりと幕を下ろした。
タヌア領主との間で文書のやり取りが成され、タヌアはリフティス領土ではないが、
リフティスの支配下という扱いになる。

北と南の脅威が無くなったユリウス国王は、これより再び一人の冒険者として
一部の部下を連れて旅に出ることとなった。
ラクチュウは優れた行政手腕を発揮し、これにてリフティスは交易と平和の街となった。
「さて、どうしたものか」
ユリウスは次の目的へと思いを馳せていた。



【ダークファンタジー 第四期   完】

【ユリウスの世界制覇への冒険はまだまだ続く…?】
【ありがとうございました!】


306 : ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/17(火) 07:56:34.74 0その頃、リフティス周辺諸国では「魔物」によって人が襲われる事件が相次いだ。
人の顔をした虫のようなそれは、「リフティスの悪魔」と呼ばれた。
辛うじて兵たちによって退治されているものの、徐々にそれは人間に近い姿となっている。
以前よりも苦戦しているという話も入っている。

リフティスから離れた森の中で…

女がその「魔物」たちによって服を引き千切られていた。
顔は人間のようだが鋭い歯を持ち、胎児のように膨れた感じで、上半身には鍵爪がつき、
肉体は人間の男そのものだが、両脇からは節足動物のような脚が生えている。
下半身には二本の後ろ足があり、以外に貧弱だが、股間部分には人間そっくりのペニスが隆々と生えていた。

既に「魔物」たちによって彼女の冒険者仲間と思われる二人の男は鍵爪と歯によって殺害されている。
脇のあたりから出てきた触手が彼女を絡め取る。武器を落とした彼女は抵抗を諦めた。
まるで人間のように乳房と股間を愛撫していくそれらは、ペニスを突きたて、腰を振ってきた。
一体が射精すると、残りの「魔物」が順番待ちをはじめた。
それはまさに性欲の…ユリウスの権化のようだった。
「あの日」、リフティスの城門から逃げた「胎児」は、次々と女を襲って子孫を増やし、既に大陸に散らばっていた。


ある施設で、この魔物が捕らえられていた。何かの実験をするところだろうか?
複数の男たちが語る。
「我々と、『これ』と『器』があれば、国を統一することなど容易いだろう」
「いや、目的はそれだけではないだろう」
「そして正当な種も再び我が手にできれば」
「獲れるか…? 世界を…」
「うむ、頂く…、世界を…!」
極寒の地で、笑い声が蠢いていた。

307 : ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/17(火) 07:58:05.44 0【次へのちょっとした伏線です。勿論途中乱入、勝手に開始も可。
再開時期は未定です。】

【ファンタジー】花の街タヌア 日常TRPG

http://kanae.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1443866583/

タヌア編

90 :ユリウス・マカベウス ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/14(土) 19:32:25.76 0名前:ユリウス・マカベウス
年齢:54
性別:男!
身長:206
体重:112
スリーサイズ:教えない!
種族:かろうじて人間!
職業:リフティス国王
属性:なし!
性格:剛毅で大胆で卑猥で残虐、しかし優しい部分あり
利き手:右
魔法:使えんが武器が魔法武器!
特技:マカベウスクラッシャ
装備品:巨大な大剣
所持品:兜などさまざま
髪の毛の色、長さ:白髪交じりの茶色で癖がある
容姿の特徴・風貌:筋肉の塊のような鋼の肉体
趣味:体の鍛錬、配下の鍛錬、女遊び、決闘
将来の夢(目標):リフティスを強国にして世界征服
簡単なキャラ解説:巨体を持つ国王。自国を統一し平和にしたため。
タヌアに僅かな部下とともに屋敷を譲り受けて移り住む。
お忍びでタヌアを楽しむ予定。「闘華祭」に注目している。

8 :ティア ◆fv3r4ajwpo :2015/10/04(日) 07:41:53.33 0名前:ティアーズ・イシュト
年齢:16
性別:女
身長:157
体重:48
スリーサイズ:85/59/90
種族:人間
職業:花売り
属性:なし
性格:穏やかでほんわか
利き手:右
魔法:不可
特技:笑顔で花を売ること
装備品:はさみ
所持品:花
髪の毛の色、長さ:濃いブルーでロング
容姿の特徴・風貌:いつも穏やかでニコニコしている花売りの少女。
趣味:ガーデニング
将来の夢(目標):タヌア一の花売り
簡単なキャラ解説:街の入り口付近で花を売る少女。いわゆるモブキャラに近い。


21 :ニタ ◆GTQmEAr/XU :2015/10/07(水) 10:09:18.74 0名前:ニタリア・セリ・モルダバイト
年齢:18
性別:女
身長:177
体重:58
スリーサイズ:89/57/91
種族:人間
職業:花使い
属性:土
性格:自他共に厳しい
利き手:両利き
魔法:魔法花と宝石の混合
守護花:アカシア
特技:剣術
装備品:ライトシールド・ レイピア・形見のレイピア
ショートソード複数
所持品:魔法花・香水・魔宝石・アカシアのドライフラワー
髪の毛の色、長さ:暗黒緑でロング
容姿の特徴・風貌:鋭利な褐色の瞳。右目から右頬にかけて鋭い切り傷
趣味:ピアノ
将来の夢(目標):姉の仇討ち
簡単なキャラ解説:かつて大陸の没落した公爵家の令嬢。幼少期に父母と死別し
姉と仲睦まじい生活をしてたものの、花使いであった姉が何者かによって殺害
されたのを契機に、自分自身も花使いとなり姉の無念を晴らす為に生きている。


91 :ユリウス・マカベウス ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/14(土) 19:38:27.30 0ユリウスはタヌアの街中に領主から譲り受けた古い屋敷を確保した。
お供はタヌアに駐留する十数人の兵士、トバの海女部隊数人、侍女数人である。
尚、屋敷には女だけを置き、タヌアのリフティス出張所に兵を置く形を取った。
伝令などのシステムも完璧である。

領主側も女を用意していた。ポーレットとジョゼットという二人の侍女で、
戦闘力もそれなりだという。彼女たちがユリウスの下の世話もできるということで、
リフティス側の侍女からは不評だった。

ユリウスはまず部下に頼み込み、「エンデ」という部下の名前で闘華祭への申し込みを済ませた。
あとは視察だ。
「酒でも飲みに行くか」
ジョゼットを引きつれ、ユリウスは地味な格好で酒場に入った。
勿論、大剣は担いだままだが。

【こんにちは。よろしくお願いします。】

28 :トラッシュ ◆o0jv9vCVwU :2015/10/07(水) 20:48:59.18 0名前:トラッシュ・アマクニ
年齢:25
性別:男
身長:180
体重:60
スリーサイズ:不明
種族:人間
職業:花使い・花農家
属性:風
性格:厄介ごとを抱え込んではため息を吐くタイプ
利き手:右
魔法:刃を散らせた風魔法
守護花:刃桜
特技:アマクニ流剣術
装備品:刃桜の太刀「西風」・左手に籠手・革鎧・ロングコート
所持品:カルセオラリアなどを主体とした魔法花、植物採集セット
髪の毛の色、長さ:黒髪の短髪
容姿の特徴・風貌:東洋人風の精悍な顔立ち
趣味:魔法花の栽培
将来の夢(目標):一人前の花農家として大成すること
簡単なキャラ解説:名門刀鍛冶「アマクニ」の生まれ、しかし家業は継いでいない。アマクニの名で呼ばれることを嫌う。
自立心が高く、家を出てタヌアで花農家の道を歩んでいる。花使いはあくまでバイト感覚。

39 :ピエール ◆J6W1MirLcc :2015/10/09(金) 20:04:29.12 0名前:ピエール・マーシュブルボン
年齢:不明
性別:男
身長:186
体重:64
スリーサイズ:不明
種族:人間
職業:花の品評家、花導師
属性:樹
性格:ひたすらにナルシスト
利き手:左
魔法:花魔法の他に時間魔法も行使する
守護花:リコリス(ヒガンバナ)
特技:空間を使い生け花をする
装備品:ラヴニール(剣)、ジュストコール、キュロット、ハット、マント
所持品:沢山の花、書物、(主にポエムを書く)メモ
髪の毛の色、長さ:金髪で巻き髪
容姿の特徴・風貌:髭を生やした細身の紳士。
趣味:ポエム、生け花
将来の夢(目標):東方の文化を取り入れてマーシュブルボン流を確立させる
簡単なキャラ解説:元々はタヌアを治めていた貴族の一族。王政からの脱却にともない没落するが、
それなりの屋敷に住み、それなりに高い資質を備えている。身内は他界したと本人は語る。
タヌアのどこかにあるという「七色の谷」を探している。

102 : ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/17(火) 08:05:03.88 0名前:ジョゼット・アンヌ・トール
年齢:23
性別:女
身長:166
体重:52
スリーサイズ:85/58/89
種族:人間
職業:メイド戦士
属性:
性格:控えめだが好奇心旺盛
利き手:左
魔法:回復魔法
特技:居合い
装備品:仕込み杖のような両刃剣、メイド服
所持品:色々
髪の毛の色、長さ:茶色のポニーテール
容姿の特徴・風貌:比較的スタイルの良い落ち着いたメイド
趣味:掃除
将来の夢(目標):タヌアを平和にする
簡単なキャラ解説:タヌア側から宗主国リフティスのユリウスに付けられたメイド。
かつてはモルダバイト家に仕えていたこともある。

103 : ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/17(火) 08:06:58.31 0【ここからジョゼット視点でユリウスらを描く予定です】
【新規、出戻り歓迎します】

104 :名無しになりきれ:2015/11/17(火) 09:15:33.13 0よしっ、
(グググ、とジョゼットのおまんこにペニス)を入れる
ふん、ふん、ふん(乳房を揉みながら腰を振る)

おぉぉ…
ドピュッ、ビューッ、ビューッ…(大量に精液を中出しする)

ふぅ…

105 :名無しになりきれ:2015/11/17(火) 16:00:21.61 0タヌア第二章

悪化する治安

106 :名無しになりきれ:2015/11/18(水) 18:35:13.65 0ちょっと待ったよく考えてみよう
日常ものTRPGなのに流血ありなのか?
ユリウス絶対人殺すだろ?

107 :名無しになりきれ:2015/11/18(水) 20:52:39.61 0ラウネ殺す気満々だったやん。
あとニタリアも割と復讐の鬼だぜ?

108 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/21(土) 15:37:55.75 0モルダバイト家。それがジョゼットがかつて仕えていた家だった。
シャルル・カマンベール・モルダバイト公。そう呼ばれていたはずだ。
―タヌアがメリヴィアから独立し、没落するまでは。

幼い頃から武術を学び、13歳の頃から仕え、17歳のときに公爵(当時は侯爵)を失った。
その後はタヌア領主の家でポーレットらとともに領主に仕え、殆ど無為な生活を送っていた。
メイドとはいっても主人の身の回りの世話をし、不妊の術式を施され、性の処理まで行った。
ジョゼットはスタイルが良いこともあって散々に汚され、かつてのモルダバイト家で仕えた頃をよく思い出した。
(あの時、襲撃から公爵様を守れていれば…)
故・カマンベール公爵には実の娘のように可愛がってもらっており、メイドとしての誇りを全うすることができた。

大陸で急速に勢力を拡大した新たな宗主国・リフティス王国のユリウス王が現れるという話が流れると、
<あの野蛮で下品な王が>とか<街が汚される>などと散々な言葉があちこちで噂されたが、
ジョゼットは内心浮き立つ気分だった。今までのただの便所掃除から解放されるのだ。

ユリウスの女好きは予想以上だった。屋敷で出迎えると、周囲は大勢の若い女たちがいた。
皆一様にユリウスに忠誠を誓っているようだ。それも50過ぎと聞いていたが、40歳程度に見えるほど若い。
トバの民族衣装と思われる女数人、大陸の侍女の格好をした女数人、そして、まだ子供と思われる少年だった。
侍女の仕事だとは聞いたが、夜、ポーレットと二人だけでユリウスの部屋に呼ばれたときは胸が高鳴った。
(これで真の侍女としての仕事ができる…)

ユリウスがジョゼットとポーレットに頼んだ仕事は、
ユリウスの寝室の警護と身の回りの世話、そして、息子クロードの教育だった。
11歳になるというあどけない顔だちの息子は、母親がタヌアの系統だという。
何故母親がここに居ないのかについては敢えて聞かないことにしたが、ユリウスがジョゼットたちの全身を嘗め回すように
見ていることから、間違いなく次に行われることは予想できた。きっとポーレットもそう思ったに違いない。

「お前たちをこれより「兵」にする…服を脱げ。もっとも脱がなくても俺が脱がせるがな」
ニヤリと笑い、重い鎧をユリウスは易々と脱ぎ捨てる。重厚な音が響き、フロアが揺れた。

ユリウスの圧倒的な肉体が露になる。

(凄い…どうやって鍛えたらこんな体に…そもそもこの人は人間なの…?)
鍛えに鍛え上げられた肉体には無数の傷跡があり、黒光りしていた。
胸板は分厚く、ジョゼットの剣術をもっても刃を突き通せるかは怪しい。
50過ぎとは思えないほどの腹筋に、陰茎は馬のそれのようであり、睾丸はココナッツのように
膨れ上がっていた。「ユリウスがタヌア犯せば島孕む」という悪口でも冗談で済まされないレヴェルだ。

ジョゼットは既に服を全て脱いでいたが、自分の体が貧相に見えるほどだった。
手招きされ、ポーレットとともに愛撫を受ける。自己紹介をしながらだが、なんという手つき。
一体何百人、いや何千人の女を虜にしてきたのだろう。巨大な掌で首、乳房、股間を愛撫されると、自然と声が漏れてしまう。
ユリウスのモノが膣内に入っていく。あまりの大きさに濡れていたとはいえ、「痛い」と言ってしまった。
ユリウスは「すぐに慣れる」とばかりに腰をゆっくりと動かし、頭を撫でた。
痛みは快感に変わり、気が付くとそれは嬌声になっていた。意識がなくなる頃、胎内へと熱い液体が注がれた。
その後、ユリウスの膝の上で精を飲まされたのまで覚えている。
今までの主人の10倍以上は出ているのではないだろうか。薄れる意識の中で、精の水溜りを掃除しようとしたら、「今はいい」と止められた。

「…!?」
腹の中で何かが蠢く感覚を覚える。不妊の身体になっているはずなのに…?
ポーレットとともに両側から抱きつかされる形になりながら、ユリウスから
明日からタヌアの文化や知識について教えてほしいこと、息子を教育し、いずれは筆卸をしてほしいことを聞いた。
そして朝になった。

109 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/21(土) 16:20:51.06 0次の日、街の見物をと言ってユリウスの付き添いを任されたのは、ジョゼットだった。
ポーレットは息子であるクロードの世話を任されている。

周囲の目線が痛い。「結局私たちは何だったのか」「タヌアの人間を優遇するのか」といった目で
女たちは特にジョゼットを睨んでいた。戦闘能力もあるのだろう。単純に怖いと感じた。
ますますもってユリウスから離れることは危険になるのだ。
ユリウスと二人で屋敷を出る。入り口の海女兵たちが恭しく例をするとともに、ジョゼットに鋭い視線を送った。
多少は彼女たちと仲良くしなくてはならないのかもしれない。
ユリウスは散歩なのに鎧と大剣と重武装だ。

歩きながらジョゼットは、「闘華祭」についての話をした。内容は知っているようだが、
「花使い」「花との契約」「散花」については知らないようだった。
ときおり唸り声のように頷いて、何か物思いに耽っているようだった。

街の入り口の近く、広場の奥まったあたりでユリウスは突然早歩きになった。
若い花売りの少女、確かティア>>8といったはずだ。
「ちょっと、お伺いしますヨ、ネーチャン」「はいー、何でしょうか?」
今までとはうって変わった軽い口調でユリウスはティアを狭い通路の奥へ奥へと誘う。
ティアは全く疑ってもいないようだ。ユリウスが比較的紳士的だからだろうか。

突如、ユリウスがティアの口を塞ぐと、ジョゼットの方を見て言った。
「ちょっとそこで人が来ないように見張っててくれ!すぐ終わるから」
まさかと思ったが、やはりそのようだった。ティアがユリウスによって犯されようとしていた。
ティアは知り合いという訳でもないが、主人の行動を咎めようとは思ったが諦めた。
ジョゼットはなるべくその行為が視界に入らないよう、荷物を置いて影にかくれた位置についた。

110 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/21(土) 16:26:16.72 0ユリウスは器用にも鎧の一部を外し、片手でティアの口を塞いだまま下着を脱がせ、
そのまま愛撫して棍棒のようなモノを突き入れた。
「ヌゥ…あぁォ…」
無事に挿入できた余韻のような声がユリウスから漏れる。同時に結合部分から愛液交じりの血がこぼれた。
確かティアは近所の少年と仲が良かった気がしたが、処女を散らされ壊され、気の毒である。

僅かに漏れる唸り声と嬌声が響くなか、次第にジョゼットの中で気の毒だと思う気持ちよりも
昨日の夜を思い出し、羨ましいと思う気持ちが昂ぶってきた。秘所が疼くのが分かる。
その余所見をしていたのが命取りとなった。

後ろから一撃が加えられた。フラリとすると既に羽交い絞めにされた後だった。
必死に抵抗し、地面にある仕込み杖へと手を伸ばすも、持っていた棍棒で腕を殴られる。
予想以上に手練れなのだろう。次には喉元にナイフが突きつけられていた。
「そのまま四つんばいになれ。抵抗したら殺す」低い男の声だ。>>104
ナイフの角度が変わり、刃によってジョゼットは四つんばいの格好にされた。
そこには、今まさに絶頂を迎えんとする表情の主人の姿があった。

「ユリウス様…」
最近のタヌアは治安が悪い。叫ぼうとするも声にならず、口を塞がれたまま衣服を脱がされる。
あろうことかジョゼットは主人の前で男>>104に犯されてしまった。

>よしっ、
>(グググ、とジョゼットのおまんこにペニス)を入れる
>ふん、ふん、ふん(乳房を揉みながら腰を振る)
>おぉぉ…
>ドピュッ、ビューッ、ビューッ…(大量に精液を中出しする)
>ふぅ…

衣服を脱がせ乳房を揉まれるも男の手は不快感でしかなかったが、
陰茎は奥までは届かないものの濡れた秘所には多少のバイヴレーションにはなった。
その上でユリウスには遥かに及ばない量だが生ぬるい精を受けてしまった。
男の吐息が余韻に浸っていることを伝える。
続いて体位を変え、男は男性上位に持ち込もうとする。その一瞬だ。
「ユリウス様…!!」

次の瞬間、ペニスから精を垂らしたままのユリウスが大剣を振り下ろす姿が見えた。
男は一瞬で頭と尻を真っ二つにされ、頭から脳漿を撒き散らして絶命した。
ユリウスは鎧を直し、ジョゼットの衣服の乱れを直すと、キスをしてその分厚い胸板に抱きしめ、
衛兵を呼びつけると、>>104の死体を指して、>>8とジョゼットが強姦されたということを訴えた。
衛兵は>>104が普段から結構な荒くれ者で手を焼いていたことをすぐに伝え、ユリウスらに感謝した。

(ユリウス様…モルダバイトの領主様よりも偉大な方。私はこの方の侍女になるために生まれてきたんだわ)
ジョゼットはすっかりユリウスの虜になっていた。
「「闘華祭」にはもう申し込んだ…あとは花との契約か…」
ユリウスはマントをジョゼットに貸し、服屋でジョゼットの服を買ってやると、
そのまま引き連れて、酒場に向かっていた。

酒場の近くで、ジョゼットは男女三人とすれ違った。
若い黒髪の男、紳士風の男、若い緑黒髪の女。
三人がそれぞれ武器を持っている。その中の一人の女は懐かしい香りを放っていた。
(この香りは、トラトリア様か、ニタリア様の…!)
ジョゼットが振り向くと、既にその姿は無かった。(散花の魔法…?)
そして、酒場では異変が起こっていた。

111 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/21(土) 16:53:05.57 0「お、何だこれ落ちてんじゃん」
ユリウスが拾い上げたのは、<七色の谷を越えて>という妙な本だった。
(七色の谷…!)
<エンポリオ山脈の麓、七色の花咲き乱れる谷あり>これは有名な伝説の書物の一節だった。
そしてエンポリオ山脈とは危険な魔物がうようよする場所である。
(ユリウス様なら…あの方ならエンポリオ山脈を越えることができる…!)
書物を放り投げようとするユリウスを止め、自ら預かると、酒場の方を指差した。

女だった。背格好は高く、すらっとしているが明らかに人間として不自然な部分がある。
頭にある花飾り。どこかで見たことがある。衛兵の死体を貪り食っているところのようだ。
しばらくは増援も望めないだろう。
「―アルラウネ!あれはアルラウネという魔物です、ユリウス様!」
「お腹…空いた…」耳障りな声が響いてくる。

ユリウスはジョゼットが言い終わる前には駆け出していた。そして…

数分後のこと。
酒場の屋内にて、戦いは終了していた。
無数の緑色の触手の破片が飛び散り、青緑の体液があちこちに散っていた。
ユリウスはなんと、アルラウネ―ラウネを犯していた。
潰れた酒場の屋内、周囲には客や衛兵の死体が転がる中、傷だらけのユリウスが腰を振っていた。
まさか狂王と言われるユリウスが、異種間でも性欲の権化であることまでは、ジョゼットは想像もつかなかった。

自由自在に姿を変えられるというアルラウネのラウネだがやはり女は女だった。
ユリウスに犯され、精を授かっているうちに次第にその肉体には快感が宿っていった。
胎内に注ぐと、次は口だ。種の力で忠誠心を植え付ける。一度魔物と一体化したユリウスには、魔物を従わせるの能力も身につけていた。
「全部飲め」
ドクン、ドクンとラウネの喉が膨らんでは凹む。ココナッツのような精嚢が揺れ、ありったけの精を吐き出した。
全てを出し切ると、ユリウスは術式のように契約の言葉を唱えた。

「<ユリウス・マカベウス。ここにアルラウネを守護花として契約する>」
ユリウスとラウネの肉体が光に満ち溢れ、同時にユリウスの陰茎とラウネの秘所がまばゆい輝きに包まれた。
雄蕊と雌蕊という訳である。ユリウスはアルラウネを守護花とし、ラウネを完全に傘下に入れたのだ。

「闘華祭は明後日だったな」
ユリウスはラウネにフードをかぶせ、そのままジョゼットを連れて立ち去った。
ジョゼットはユリウスに心酔しつつも、ラウネに対し嫉妬の感情を抱いたことを認めた。

112 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/21(土) 17:21:52.66 0その日、精力を消耗したためか、大量のタヌア料理を食べたユリウスは、
急いでラウネの檻を最上階に作った。
ラウネの理解は得られたが、いつ人間を食べるか分からない。
ジョゼットだけを残し、ポーレットは下のフロアに移動することになった。
「さて、困ったな。こいつの食料をどうするか…」
アルラウネは人間の肉を最も好む。殺しても良い人間がどれだけいるのか、それが悩みどころだった。
ユリウスの精を吸っていれば、多少の空腹は癒されるらしい。だが他の女どもが不満がる。そうユリウスは考えていたようだ。

勿論、ジョゼットとしてもラウネの存在は邪魔なだけだった。
ますます屋敷内で孤立してしまう上、ユリウスはラウネに付きっ切りに近い。
(早く闘華祭なんて終わればいいのに…)

次の日、ラウネに精を分け与えたユリウスは、ジョゼットと寝ることになった。
ユリウスからはついに息子のクロードが、ポーレットによって無事に筆卸しされたことを嬉々として語った。
ジョゼットは、<七色の谷を越えて>を持ってくると、ユリウスにエンポリオ山脈について語った。
明日が楽しみなユリウスも、さすがに冒険心をくすぐられたらしく、嬉々として質問を投げかけてきた。
ジョゼットはその日、再びユリウスと交わった。
(いつか、ユリウス様と、エンポリオを旅してみたい…)

そして夜が明け、闘華祭の日になった。
闘華祭は、街の中央にある闘技場で行われる。
大勢の観衆が街中どころかスグァ諸島、および大陸からも現れる。
屋敷からはラウネ、ジョゼットの他に数人の海女部隊がユリウスらの護衛として付いた。
もしかすると大規模なテロのようなものが行われるかもしれない。

闘華祭はくじ引きからトーナメントのような形で行われる。
今回は210人ほどが参加した。毎年死人が出るということで、決して数は多くない。
ユリウス(エンデ)の位置は、シードではないので8回勝てば優勝という訳だ。
どうやら来賓席にはタヌア領主の姿もある。リフティスの衛兵も数人同席していた。
ジョゼットはその姿を見て吐き気がしていた。あのような薄汚い男の性の捌け口にされていたのだから。
近くにはかつての仲間だった侍女もいる。ジョゼットよりも遥かに強いヒルダという女もいた。

ユリウスの1回戦が始まる。審判がまずユリウスを見て疑問を口にした。
「ちょっと待った、エンデ選手、その女は何だ?参加人数は一人だぞ」
「っるッせーな!じゃあそこのラインよりも後ろに置いときゃ良いだろ?」
しぶしぶラウネをラインの後ろに下がらせ、大剣を構えた。

相手はキキョウの花をまるで手裏剣のように操る「花使い」の男だったが、
ユリウスはそれを鎧で全て受け、素手で殴って吹き飛ばした。
男は壁に頭をぶつけ、口から血を吐いていたが、命に別状は無いようだ。

オォォオオオオオォォ!!!!!!
観客が沸く一方で、「何だありゃ!普通に強いだけじゃねえか!」と野次も飛んだ。
無事に2回戦へと進めそうだ。ジョゼットはユリウスに拍手を送った。

113 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/21(土) 17:44:06.85 02回戦。このあたりで他の対戦では既に最初の死者が出ていた。
徐々に会場が熱狂で白熱してくる。

今回のユリウスの相手は接近戦を得意とする男。散々ユリウスを挑発し、
食虫植物でユリウスに噛み付き、そのまま溶解しようとした。
ユリウスはそれを僅かにラウネの力を借りて振り払うと、大剣を植物に突き刺し、
男ごとラウネが立っている場所に放り投げた。
ラウネが男を空中でキャッチする。…その巨大な口で。
咀嚼する音と共に、男の臓腑、骨、血肉などの雑多な部分が撒き散らされた。
男が死亡したのは確実だった。
審判はあまりの事態に驚愕し、腰を落としている。
オォォォォ… という戦慄に似た声が会場内に沸き起こった。
今までの死者が出た戦闘のどれよりも残虐だったのだろう。
「勝者、エンデ」が告げられ、ユリウスは3回戦に進んだ。彼を見る観客の目は既に恐怖の目に変わっていた。

3回戦の椰子の実使いにはKO勝ちした。既に相手は先の戦闘でビビっていたようだ。
4回戦は若い女だった。騎士をしているという、薔薇を魔法花とした魔法剣士で、
比較的素早い攻撃でユリウスを追い込むも、ラウネの力を借りた触手とユリウスのパワーの前に圧倒され、
早くも膝をついた。
ヘタに戦えば殺される、と先の2回戦で思ったのだろう。しかし、ユリウスは止まらなかった。
「ラウネ!」
無数の触手が飛び出すと、ユリウスの大剣を巻き込み、剣風を起こしてユリウスと相手を包む風のバリアを起こした。
そしてユリウスはその中で、女の鎧を両腕でがっちりと掴み破壊すると、女を犯した。
物凄い速さでピストンを行い、女が気を失うとフィニッシュで胎内射精と同時に女を放り投げた。
残りの精が勢い良く迸った。剣風が止む前にユリウスは鎧を直す。

ワァァァァア…!!!!
その光景は異様だった。鎧を着込んだユリウスから離れた位置に気絶した全裸の女が白濁液まみれで倒れており、
その液をラウネの触手が勿体無いとばかりに舐めていった。
ユリウスはラウネを引き揚げると、何事も無かったかのように去っていった。
女はそのまま舞台から救護班によって下ろされていった。

ユリウスに対して野次を送る者は少なくなった。恐怖と大物が来たという驚愕に満ちていた。
勿論、女を裸にしたことで下品な笑い声も響いた。ここはタヌア、治安は悪い。
ジョゼットは少し羨ましいと思いながらも、その異様な光景を注視して見ていた。

114 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/21(土) 18:10:39.04 05回戦。タンポポの模様をした拳法着を着た拳法家の男。
ユリウスに負けずとも劣らない恰幅と背丈を持っていた。
「俺はこれまでにこの大会で10人以上殺してる」そう男は語った。
ユリウスから出た言葉は簡潔だった。「俺は今まで1000人以上殺してるが?」

男は今までのユリウスの言葉と行動を見ており、狼狽したが、ならば手加減は要らないとばかりに飛び掛った。
否、それは囮であり、男が先ほど吹いたタンポポの実から飛び散った大量の種から男が次々と現れた。
俗にいう「分身の術」である。
さらに男は膨れあがり、身体を三倍ほどの大きさにすると、あちこちから火を吐き始めた。
ユリウスはあまりの熱さに飛び上がりそうになったが、剣で全ての攻撃をいなすと、叫んだ。良いアイデアが浮かんだのだ。
「ラウネ!!」
ユリウスは勢い良く跳躍すると、ラウネが出した触手のドームから外に出た。
男「たち」はユリウスに丁度迫ってきている。男は有燃物を使っているのが分かったのだ。あれは魔法ではない。
突如、爆発が起き、ラウネの触手が一部飛ぶも、男が大爆発を起こした。
先ほど、ユリウスが炎のジェムを忍ばせ、ガスに誘爆するように仕込んだのだ。
「ラウネ、ご馳走だ」
分身は全て消え、散らばった男の死骸だけが残った。それをラウネは美味そうに咀嚼する。
オォォォ…
ユリウスは観客から恐怖の的となっていた。

6回戦。相手を見てジョゼットは驚いた。何とあの時にすれ違った3人組の一人の紳士だった。
ピエールという男だということが対戦前に分かる。
ユリウスはこの男が不自然な動きをした後、突然消えたことを思い出した。
しかし何のことはない。もうやることは決まっていた。
ピエールが一礼し、ヒガンバナを気取ったポーズで複数取り出した。
しかし、ユリウスがそれを見せると、ピエールは途端に青ざめた。「オゥ、シット!」
「おいロウソク野郎。これをバラバラにされたくなかったら、負けを認めろ」
こいつとやり合うのは宜しくないと見たユリウスは、交渉を迫った。
「それをこちらに。紳士は嘘をつかない」
ユリウスが<七色の谷を越えて>を投げると、ピエールはマヌケな格好でそれに飛びつき、埃を払った。
「今回はこれで負けを認めよう。アデュー」審判がユリウスの勝利を認める。
ピエールがポーズを取ってユリウスに背を向けた途端のことだった。
ユリウスが触手で足払いをし、前のめりになったところの尻に、ユリウスの蹴りが入った。
「グォァ!!」
紳士とは思えない情けない叫び声とともにピエールは舞台から落ちて倒れた。
恐らく骨の一本は折れただろう。情けない格好のまま担架で舞台を退場していった。

115 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/21(土) 19:12:58.83 0準決勝。既に決勝戦の相手は壁の向こうで控えており、連戦になる予定だ。
ユリウスが反応する前に、観客席にいたジョゼットが目を見開いていた。
「ニタリア様…!」
それは紛れもなくモルダバイト家の次女、ニタリアだった。
すっかりと立派な淑女となったことに、ジョゼットは感動すると同時に、
その表情の暗さに疑問を持っていた。
一方で舞台のユリウスは、ニタリアという女のスタイルの良さに注目していた。
三人組の一人だということよりも、そちらが勝っている感じだ。

恐らく脱げば、花売りの女やジョゼットよりも凄い肉体が拝めるはずだ。
鋭い切り傷のある顔や、憂いを含んだ目から非常に嗜虐心を煽られた。

「先に選んでおけ。殺されるのと、犯されるのの、どっちが良いか…」
ニタリアにだけ聞こえるように言う。
「下種め!姉さん、この男は許さない…!」
ニタリアが素早く打ち込んできた。アカシア、と思われる花が散花している。
もっと派手な技を使ってくるかと思いきや、これには拍子抜けした。

ユリウスはラウネの力を使い、触手でニタリアを翻弄し、その間に一撃を決めようとかかるも、
物凄いスピードで触手を斬られ、全く隙がない。
「なるほど…!」
相手は小剣。それもユリウスの攻撃を受ければ壊れるような、だ。
しかし攻撃の速さがあれば話は違う。どこかの皇女を超える素早い突きと斬撃に、
ユリウスは完全に受け身になっていた。飛びつこうにもアカシアの散華が常時起こっており、
スピードも速い。ユリウスの360度の角度からの攻撃に、次の手を考える間を奪われていた。
ついにユリウスの鎧に傷が入った。兜の顔の部分を守らないと大変なことになる。

遅いかかるニタリアを見て、ユリウスは考えた。あらゆる攻撃が計算され尽くされている中で何か方法はないか?
ニタリアが下から攻撃をしてくるタイミングを待った。
そして、勢い良く捨て身の攻撃を行い、同時に散花を利用する。
「ラウネ!!」
ニタリアに飛びつき、迫り来るユリウスに対し、跳躍してそれをかわすニタリアだったが、
ここでラウネの秘所が輝き、同時にユリウスの陰茎も輝いた。
それは物凄い勢いでユリウスの鎧を内部から曲げ、鎧の形状を変えてしまった。
ペニスによって突き出た部分にニタリアの頭がヒットし、脳を震盪させる。
そこに大剣で勢いよくニタリアの腕を狙うと、小剣は勢い良く折れ、その上柄の部分ごと吹っ飛んでいった。
そして前と同じように剣風で隠し、ニタリアの服を破ると、ゆっくりと犯していった。

116 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/21(土) 19:14:23.57 0大柄で細身だが乳房はココナッツ実のように瑞々しく、尻も桃のようだった。
ユリウスはその手でじっくりと焦らすように愛撫し、秘所に指を入れ、具合を確認した。
そのまま四つんばいにさせると、まだ輝きを持ち、ただでさえ大きいのが更に大きくなった陰茎がニタリアの身体を貫く。
「オォォォ…」「ハァァァン!!」
ニタリアの身体に痛みが走る。処女を散らされた上に、ただでさえモノが大きい。
しかしながら、ラウネから出る粘液などが交じり合って比較的潤滑になった結合部は
いとも簡単にニタリアを快感にいざなった。
ユリウスが腰を振ればニタリアから嬌声が上がる。結合部の尻がバウンドし、その度に大きな乳房が揺れた。
やがてニタリアの声が獣のようになり、それに合わせてユリウスは絶頂を迎えた。
「おぉ…」「アァァア!!!」
ゴクゴクと胎内に子種が注がれていき、ユリウスはそれを引き抜くと、ニタリアの口の中にもぶちまけた。

行為を止めて元の場所に戻ろうとしたが、困ったことにラウネも共鳴し快感を受けていたため、触手の幕がなくなり、
ラウネが触手で自癒行為を行うのとユリウスがニタリアの口腔内に精を放つのが観客に見られてしまった。
キャァァァァアァアア!!!!
勝負の行方に歓声が上がったというよりも、破廉恥な行為に対する興奮と非難だった。
「ニタリア、様…」
ジョゼットはニタリアの悲惨な姿にというよりもユリウスの強さと狂気にすっかり惚れており、手が秘所へと伸びていた。

ユリウスの勝利が告げられた。
ニタリアがようやく腰を起こし、救護班から服を渡され着替えようとしたそのとき、
決勝戦の相手が出てきた。
「決勝戦、西、エンデ!東、トラッシュ!…ん?!」

決勝戦の相手はトラッシュという男のはずだった。
男はやはり、三人組の一人の東方系の剣士だった。しかし、、!!
明らかに様子が違った。何か薬のようなもので頭をやられている顔だ。焦点が定まっていない。
闘華祭のスタッフ数人の死体が後ろに転がっている。トラッシュにやられたのだろう。

「トラッシュ殿!」ニタリアがトラッシュの姿を見て叫んだ。
「ニタリア…助けて…くれ…!」この二人は恋人か何かなのだろうか?
その言葉とは裏腹に、トラッシュはその禍々しい刃に散花の力を纏っていた。ユリウスを殺そうとしている。

キャアアア!!
観客席で悲鳴が上がった。複数の黒頭巾の男たちが、領主たちに襲い掛かっているのだ。
あっという間に領主は何本もの刃を突き立てられた。殺されたと思われる。
普通の武器ではない。東方の流派で、かつタヌアの散花技術が秘められた強力なものだ。
領主の親族・部下、ユリウスの部下にも襲い掛かる。その中にはジョゼットのかつての仲間もいた。

慌ててユリウスの部下の兵士・海女部隊は武器を抜いて対応する。
黒頭巾の男たちは十数人おり、既に一般客を含む10人以上が東方風の刃物で殺害された。
タヌアの中心が、今阿鼻叫喚の地獄絵図と化そうとしている。
「あれは…殺しのプロだわ」
ジョゼットは呟き、ユリウスの下へと走った。

【いつもご愛読ありがとうございます】
【あと2回ほどでタヌア編を締められればな、と思っています】
【乱入・出戻り歓迎します】


119 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/24(火) 10:41:05.02 0【今日は時間が取れたのでここから一気に進める予定です。
愛読者の方には急展開で申し訳ありません】

東方の黒頭巾たちが次々タヌアの要人やリフティス兵たち、観客たちを襲っている。
空にはワイバーンの姿もあった。どうやら空から奴らは来たらしい。
明らかに国レベルの攻撃だ。

ジョゼットがユリウスとニタリアの元へ辿りついたとき、既にユリウスとトラッシュが剣を交えていた。
まだ地面に手を付いているニタリアを抱き起こす。
「ニタリア様!ジョゼットでございます。お怪我は…」
ニタリアは朦朧とした目でジョゼットを確認する。
「ジョゼット!お久し振りね… もっと早く会えれば良かった。
ジョゼット、ユリウス殿…! どうかトラッシュ殿を元に戻してくださりませんか…?!」

ユリウスはその声が届くか届かないか、手で「下がっていろ」とポーズを取る。
「トラッシュ殿を助けたいんです!ユリウス殿!!」
ユリウスの前に縋りつくニタリアを、ユリウスは仕方なく抱き寄せた。トラッシュの表情が変わる。
「やめろ!」
「分かった、お前らを助けてやるから、ちょっと痛いが覚悟しろ。ニタリア、トラッシュに抱きつけ」

「…!」
驚くニタリアだったが、仕方なく、隙をついてアカシアの散花を利用し、素早く移動する。
あっという間にトラッシュがニタリアにしがみつかれる。
「やれ、ラウネ!」

今までで一番強く、「散花」の力をユリウスは行使した。
ラウネの触手が二重、三重にもなり、ニタリアとトラッシュの身体を覆う。
物凄い力が加わり、あたりを衝撃波が走った。

「異常事態です!領主が殺されました!ユリウス様、いかがしましょうか?!」
領主側のリフティス兵が現れる。忙しくなりそうだ。
「トバに戻る船を準備しろ。できるだけ多くだ。ここは引き揚げるぞ」

「おい、お前ら散花を存分に使え。憑依されたトラッシュを助けるぞ!」
ラウネが苦しそうにもがいている。既に限界が来たようだ。
トラッシュがニタリアの手を取り、一気に散花させる。
蔦の檻は光り輝き、それは爆発へと変わった。
吹き飛ばされたジョゼットをユリウスが支える。

そこに残ったのは、ぐったりとしたトラッシュと、それを支える半裸のニタリア、そして、

一輪のアルラウネの花弁だけが残された。


リフティス兵による誘導が始まった。敵はコロシアムの中にも入ってきている。
「おい、逃げろ!」
ジョゼットを庇うユリウスの丸太のような腕に東方の婉曲した刃物が突き刺さる。
そのままユリウスは三角にステップすると、剣を振り回し、黒頭巾の男二名を真っ二つにした。
東方軍は脚が速く、切り裂かれた肉片の回転具合からもそれが伺われる。血飛沫が周囲に舞った。

「ユリウス様、私などをどうして…」
ユリウスはジョゼットに語りかけた。
「俺は今までに何千人も殺してきた。女も何百人と殺したし、見殺しにもした。
でもその度に俺の心は痛む。俺を愛してくれる女一人を守れずして、何が国王か」
ジョゼットは嗚咽を漏らし、ユリウスに抱きついた。

まだコロシアムで抱き合うニタリアとトラッシュを一瞥すると、ユリウスは部下を引き連れて
闘技場の出口へと急いだ。
よく見るとワイバーンたちの上の兵から矢が放たれている。顔はよく見ると北方系のようだ。
「東方と、北方が…?! 何故?」どうやら今回の侵略は東方と北方の共同作戦のようだ。

120 :ジョゼット ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/24(火) 11:10:46.48 0活路を開きながらようやく北タヌアの港へと着く。
ここまでにリフティス・タヌアの要人部隊は50人程度まで減っており、
特に逃げ遅れた屋敷の侍女たちの半数は犠牲になるか、倒れて東方軍の慰み者になった。

ユリウスはここまでに武器を持ち替えながら単身で東方、北方軍、ワイバーンを計100人は屠った。
既にアルラウネとの契約は消えており、散花の力はないとはいえ、その強さは圧倒的だった。
「まるで嵐のようだ…」
タヌアの兵たちはユリウスを見てあまりの強さに恐れた。
船に乗り込み、無事を確認すると早くも大陸のリフティス領トバに出航する。
タヌア領主の息子らは、タヌアの残存部隊に「徹底抗戦をして、無理そうなら降伏するべし」と伝えた。
船の中でタヌアが完全にリフティス領になることを、タヌア領主の息子、アパパが承諾し調印した。

東方の毒矢や毒武器にやられ、瀕死の重傷を負ったポーレットは、クロードの元で息を引き取った。
クロードはユリウスの息子、タヌアの領主として恥ずることもなく、泣き腫らした。ポーレットは彼にとって初恋の人のようなものだ。

さて、トバへの帰途の途中、敵の追撃部隊が迫ってきていた。
その規模から、狙いは領主やユリウスではなく、タヌアの侵略と思われる。
恐らくはスグァなども東方軍によって攻撃を受けたのだろう。

ユリウスは傷ついた兵たちを休ませ、残りの部下とともに船の武装であるアルヴァレスタのカタパルトに立った。
血まみれになった筋肉が躍動し、強力な矢、火矢、火薬が次々と北方のワイバーン兵、東方の武装船を打ち抜き、敵の追撃はぴたりと止んだ。
こちらも船にそれなりの被害を受け、ユリウスは部下に任せると、自分の手当てをお願いした。

ユリウスの肉体は無数の生傷や毒で傷ついており、手当てには時間を要した。
しかし、ある程度の治療が済むと、タヌアの女官たちを個室に呼んで抱きはじめた。
それだけに飽き足らず、船を漕ぐトバの海女に対しても手を出し始めた。
海女を膝に抱え、全裸にすると、他の海女たちとともに船を漕ぐ。
船の揺れと共にユリウスの腰と海女の乳房がバウンドし、より強力な刺激は嬌声となり、
海鳥の鳴き声とともに海原へと響きわたった。
トバに着く直前には、領主の一族以外の女は全てユリウスに手篭めにされていたという。

その数日後、ユリウスらはリフティス入りした。
闘華祭で優勝したのは、ユリウスであると、タヌア新領主アパパから認められ、
ユリウスは拍手喝采で迎えられた。

ジョゼットはどんな形であれユリウスに愛され幸せだった。
しかし、短い間ではあったが、花の咲き乱れるタヌアの街が恋しく、
高い空と青い海に思いを馳せた。

121 : ◆L3xI4/6Yuw :2015/11/24(火) 11:23:20.65 0~エンディング~


タヌアは東方の侵略に対して降伏し、リフティス大使館は東方の軍による詰所となった。
この戦いでタヌア側は民間人も含めて1500人以上が死亡し、東方側も1000人以上の戦死者を出した。
これにより一時的にとはいえ、タヌアは大陸などの情報が絶たれた。
すぐに統治がなされ、東方人と一部のタヌアの豪族が各地を治めることになった。
東方の文化は比較的タヌアで馴染みがあったため、猛反発というほどには至っていないが、混乱はしばらく続くようだ。

ニタリアとトラッシュは小さな集落の廃屋の中で、これからについて語り合っていた。
大怪我をしたピエールはまだ自力で歩くことができず、馬小屋の跡地で二人の世話になりながら、山脈への夢を語っている。
実は二人のみならず、ピエールも「散花」の力を失っており、ラヴニルはすっかりお飾りになっていた。
「きっと何とかなるはずだ」
トラッシュがそう呟くと、ニタリアはトラッシュの胸に寄りかかった。
高い椰子の木と丸々と実るココナッツを、強い光が照らしていた。


……
エンド


【タヌアを稚拙な文章ながら締めさせていただきました。
今後、続き・もしくは新規プレイを書きたい人がいたらどうぞ。これでユリウスのタヌアでの冒険は終了です】

【第三期】ダークファンタジーTRPGスレ【新規始動】

http://kanae.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1401017341/

世界制覇編 第二部

308 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 11:55:08.57 0タヌアという島国より大陸に戻り、リフティスの城に戻ったユリウス王は、
息子のラクチュウから不吉な話を知らされた。

城はあれからさらに強固になり、かなりリフティスの軍事力が高まったのが分かる。
ユリウスは全裸になり、半裸の侍女たちに薬を塗られていた。
巨大な肩や鋼のような胸板、腹筋は無数の傷ができており、塗られると浸みて痛む。
しかし、女たちのうっとりした表情に囲まれて手当てをされるのも、ユリウスには至福の時間だった。
膝の上にはトバの海女の一人で、船の上でお気に入りになったレナという女が腰を振っている。
まだあどけない顔だちに対し、その乳房は大きく、何より性欲が旺盛である。

「うぉ…、手短に頼む」
ユリウスの声よりもレナの嬌声の方が大きかったりするが、息子の報告を聞くユリウス。
「はい、父上… それが例の「魔物」による軍の被害が増大しています。
若い婦女子が襲われるとの被害も…」

(あぁ、アレが残っていたのか…)
ユリウスは自分の「子孫」があちこちで種をばら撒き、大きな被害を与えていることを心苦しく思った。
「討伐隊は?」
「討伐隊の被害は抑えていますが、徐々に北へと向かって逃げているとのこと…
一部の民が「ユリウス王に似た顔」と言いふらしているのも聞き捨てなりません
また、最近の奴らは集団行動を取り、手に負えないのが実情です」

「何だと…?!」
確かにその通りだった。彼らはユリウスの血を確実に引いているのだから。
しかし、集団行動とは、彼らはそんなに知能の低い連中なのだろうか?

「国境付近に砦を立て、奴らを領内からとりあえず追い出せ…うっ!!」
指示を出すと同時にレナが絶頂を迎え、ユリウスは唸り声とともに精を吐き出した。
ジョゼットのような不妊の術式を受けている者は少なく、既にユリウスの子孫は100人を超えているとの話だ。
女として使えないほど腹が大きくなったら子を産ませ、次の女を補充する、それが大王となったユリウスの日常だった。

そのとき、伝令が現れた。侍女のジョゼットだった。顔色は悪い。
「ユリウス様、東の海岸に東方の軍が攻め込んだとのことです」
ジョゼットはそう言いながら、周囲の侍女たちを睨んだ。戦闘能力が高い自分が逆に性の相手にされないのが腹だたしいのが悔しいのだろうか。

「分かった。ラクチュウ、お前ならどう対応する?」
「はっ、敵は大軍。まずは有利な地上を固め、海側の敵になるべく被害を与え、
近くに増援を置き、陥落の危険があれば支援に向かい挟み撃ちにするのが良いかと」
「俺もそう思う。ラクチュウ、お前に前線の指揮は任せる。それとお前の部下を念のため
帝国とメリヴィアに送っておいてくれ。援軍を要請する」
「ははっ」

「お前は城の侍女部隊を率いてリフティスの警備に当たってくれ、ジョゼット」
「はいっ」
ジョゼットのタヌアでの活躍はめざましく、彼女のおかげで多くの兵が助かった。
そういう意味で女とではなく、部下としてユリウスは彼女に信頼を置いた。

ユリウスは再び玉座へと戻り、女を次々と抱きながら、次の作戦を練っていた。
彼には秘策があったのだ。そのために他の都市を放置してまで、リフティスを徹底して発展させてきた。

大陸を股にかけた決戦の日が迫っていた。

309 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 12:28:44.70 0戦いはリフティス有利で始まった。

東方軍はおよそ8000、スグァ・タヌア植民地軍を中心とした海軍部隊が、トバに上陸しようと攻撃を仕掛けたところ、
ラクチュウの弓を中心とする部隊2000、トバの漁師部隊アマーダ率いる1000程度の地元軍、
そしてラタキアからの援軍1000程度の戦いは、ラクチュウの陽動戦術により、
東方の部隊は矢や爆薬の雨を受けて大きな被害を受け、わずかに残った上陸部隊がアマーダらによって
討ち取られ、東方軍は一時撤退を余儀なくされた。

さらに、夜のうちに停泊していた東方軍は夜襲を受け、瞬く間に混乱に陥り、
壊滅した上にアマーダらによって追撃すら受けた。

これで東方軍はほぼ侵攻ができないと思った矢先のことである。
嫌な知らせが二つ入った。

まず、リフティスに戻った伝令のうち、メリヴィアのミカエル4世からだった。
伝令は青ざめながらこう伝えた。拷問の跡が生々しく残る。
「ミカエル王は第二王女のミラが妊娠したことに腹を立て、「ユリウスによってミラは犯された。同盟を近いうちに
破棄し、軍事制裁を行う」とのことです」
ユリウスは驚愕し、汗をかいた。
「なんということだ…よりによって、あの「種」が… あの時、我慢さえしていれば」

さらに帝国に向かった伝令の死体が帝国側の傭兵によって送り返され、
爆発した死体や毒によってリフティス兵10人ほどが死亡した、とのことだ。
捕まった傭兵によると、「帝国の第一皇女ウルスラがユリウスによって汚され、
屈辱を受けた。不戦条約は破棄とする。ただしユリウスの男根を切り落とせば不問とする」
これがヴィクトール皇帝からの通達だった。
ユリウスは震え上がった。周囲を一気に敵に回してしまった。

信じられないことに、次の侵攻はリフティス領北東部の海沿いから陸周りに行われた。
東方軍は20000人はいるものと思われる。つまり、メリヴィア領を抜けることをミカエルが許可したということだ。
海軍の援護を受けられず、早くもトバが降伏し、その南の海洋都市ラタキアが包囲された。ヤオリも激しい攻撃を受け、陥落した。
リフティス軍は内陸部へと部隊を撤退させ、王都リフティス周辺の砦へと軍事力を割いた。

ラクチュウは他都市とリフティスの大半の部隊を出し、計10000の部隊で、
東方の連合軍25000以上を迎え撃った。ユリウスも前線に馬で出陣し、緻密な戦術と罠で敵を圧倒した。
一日でリフティスの損害1000に対し東方側に5000以上もの損害を出し、会戦は勝ったものと思われた。

――しかし、その流れは変わった。
多数の北方の有翼部隊が現れ、北方軍は本隊である陸軍と合わせて40000にも膨れ上がった。
ここには東西メデリオト軍、北方四旗軍などの精鋭も加えられている。
(これだけの部隊がいるということは、つまりは総力戦、リフティスを滅ぼすつもりだ。)

ユリウスは250人程度を屠りながら傷だらけになり、
4000以上もの被害を受けて、要塞化したリフティスの街へと撤退していった。
リフティス最後の作戦を発動させるために。

「ユリウス様!大変ですっ!」
ジョゼットからの伝令だった。南のドクーラ城塞付近に20000程度の帝国軍が駐留し、
リフティス軍の退路を絶っているとのこと、それと、北からはさらにメリヴィアの軍隊が10000以上の援軍を出したとのこと。
リフティスは退路を絶たれ、東方・北方・メリヴィアの計7万以上の軍勢に包囲されてしまったのだ。

ラタキアが降伏した、との情報が入った。これでリフティスは完全に孤立してしまった。

310 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 13:46:41.45 0北に7万、南に2万の連合軍に囲まれた水の都は、いよいよ窮地に陥った。
東方の将軍タイ・シン率いる軍と北方四旗の一人で、ファーデル教会の枢機卿である
ギョルギヨスが攻撃を開始し、そして南からは帝国第三皇子のルカが封鎖を続けている。

いよいよ攻撃が始まった。東方は忍術兵という隠密兵が先行し、さらに重装備の鎧武者が突撃を開始した。
さらに北方のグレイトホーン騎兵隊、ファーデル教会の魔法部隊にワイバーン、龍騎士などが空から襲った。
既に住民は遠く離れた村々に避難しており、残るは多くが戦闘のできる者だ。

忍術には魔法部隊が対抗し、隠密兵にも機動力のある漁師部隊、海女部隊が対抗するが、
徐々に押されていく。城壁は堅く、なかなか突破できずに連合軍は被害を出したが、
北方軍の空中からの攻撃が相次ぐと、徐々に士気を落として屋根にいる兵たちは姿を消していった。
屋根の弓やバリスタ、投石器などが次々破壊され、夜は夜で重爆撃が続けられた。
ユリウスは既に曳いてから時間が経っており、降伏の時は真近と思われた。
連合軍では既に宴会が開かれていた。

いよいよ無抵抗の城壁に大きな梯子が取り付けられ、突入が行われた。一気にリフティス城を陥落させ、ユリウスを討つ。
「俺たちと戦うリフティス軍は果たして残っているのか?」こういう噂話が連合軍に飛び交った。
しかし、その目論見は誤っていたということを、突入後に連合軍は大いに知ることとなる。

311 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 14:12:22.09 0「かかれ!」というタイ・シン将軍の声が響く。
まず東方の地上部隊が一斉になだれ込んだ。多少の弓兵や爆薬などものともしない屈強な制圧部隊だ。
さらに、隠密、魔法部隊の順に入り、北方の占領部隊がまるで東方軍と競走するかのように侵入する。そのときだった。

一斉に地下から現れたと思われるマスクをしたリフティス軍が、毒薬を仕掛け、街に火をつけた。
真っ暗になった市街は入り組んでおり、連合軍は分断され、次々爆薬や毒薬の餌食になっていった。
毒を吸い込むと皮膚はどんどん剥がれ、苦痛が襲う。そこを水路に隠れていたリフティス兵が槍や弓で次々止めを刺していった。
水路は東方兵や北方兵の死体で埋め尽くされていき、青い水はどんどん紫に、そして血の赤になっていった。
ワイバーン兵たちも無理に救援を行った結果蜂の巣にされ、さらに毒の混乱で落ちていった。
マスクをしたユリウスとその配下の兵たちは次々生き残った敵兵をなます斬りにしていった。
この日だけで連合軍側の死者は8000人を数え、ユリウスは300人ほどの敵を殺害した。

これだけではなかった。連合軍が撤退して再度の侵攻の準備をすると、ユリウスはまずラクチュウらの遊撃隊に背後を突かせ、
驚いたところにユリウス率いる3000の精鋭が地下の隠し通路を使って、一気に敵陣へと夜襲、突撃を行った。
ここはユリウスが初めて王となり、立ち去ったときに使った思い出の場所だった。

ただでさえ敗戦の責任を押し付け合い、士気の下がっていた東方・北方の連合軍はいよいよ総崩れになり、
この夜だけで5000人以上が討ち取られていった。
リフティス側も500人程度の被害を出したが、東方の将軍、タイ・シンの首をついにユリウスが取った。
だが、まだまだリフティス側の不利は覆りはしない。

このときだった。
北からミラ・ヴィジテイル率いる傭兵部隊5000がリフティスの援護を行い、様子を見ていたミカエルは
メリヴィア軍を撤退させた。これにてメリヴィアは完全にリフティス寄りとなり、連合軍の退路を絶った。
さらに、南からはウルスラ率いる白翼騎士団を中心とする帝国の援軍が10000ほど現れ、ルカの駐留部隊を奇襲した。
これにより帝国は内乱になり、軍をリフティス側から引かざるを得なくなった。

結果的にユリウスはミラ、ウルスラという二人の女の心を掴み、それによって完全に世界を股にかける王として君臨することとなったのだ。
東方軍はさらに10000人ほどの戦死者を出して壊滅し、多くがリフティス・メリヴィアの捕虜となっていった。
北方軍は今回の敗北を「東方軍の責任にある」とし、早くも同盟を破棄したギョルギヨスは東方軍を適度に蹴散らし、
そのままメリヴィアの西側を通って本国へと帰っていった。

「追撃の指示を。好機です、父上」
このラクチュウの進言に乗ったユリウスは、リフティス諸国軍15000、リフティスについた東方軍5000、
ミラ率いるメリヴィア軍5000、ウルスラの白翼騎士団の一部である5000の計およそ3万の軍を、
北方軍の追撃に当たらせた。ラタキア、トバ、ヤオリはあっさりと解放された。


ある遺跡にて――

「リフティスが、勝ったようだな。大勢の手駒が死んだ」
「うむ…どうやら我らの計算が謝っていたようだ。ユリウスはまだ生きておる」
「ギョルギヨスは…どうする?」
「処分だ」
「うむ、処分だな」
「近いうちに【あやつ】が来るだろう」
「うむ、利用してやろう。今のうちには」
「今のうちには、な」
「フフフ、世界は、まだ…我らのものか?!」
「そうだ。頂く、世界を…!

312 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 14:45:57.12 0「寒いな…」
ユリウスの軍がギョル河を超えようとする時だった。
このあたりは緯度でいえばメデリオト、つまりメリヴィアの最北のあたりになる。
完全に北方の地ということだ。

30000ほどいるユリウスの軍は、目の前に妙なものを見た。
――それは紛れも無くあの「胎児」たちだった! それも武装しており、5000体はいる。
「胎児」たちの先頭にはあのギョルギヨスがいた。鎧兜に身をまとっているが、彼の顔や腕からは
妙な触覚や角や触手のようなものが大量に生え、既に人ではなくなっていた。
寒気がした。しかし、ここで曳くわけにはいかない。
(俺はユリウス大王、全ては世界を獲るためだ…!)

戦いが始まった。ユリウスは最前線に立って大剣を振るい、見方を奮い立たせた。
緑色の液体のようなものや茶色の臓腑のようなものをぶちまけながら、彼ら「ユリウスの仔」は
首を斬られてもかぶりついた。兵がどんどん食われていく。
あまりの壮絶さに失禁する者、逃亡する者もいたが、何とか切り裂き、半数ほどを屠ると彼らはまるで
船蟲のように逃亡していった。ギョルギヨスは奮戦したが、5人ほどを巻き添えにして爆発四散した。
この戦いで5000人ほどが殺され、逃亡するなどして失った。兵の士気も大分危険だ。

ユリウスは慰安のために全ての戦闘ができる侍女たちを連れてきていた。
キャンプで腰を振りながら、ユリウスは遠くに見える丘と塔について語った。
「この奥にティンダ・ノラという北方軍の聖地がある。詳しい話は分からんが、
そこはファーデル教の連中もいるらしい。あそこが全ての元凶だろうな…おぉ…」
ユリウスは精を放つと、次の女を抱きはじめた。こうしていると身体が温まる。
昼は敵を殺し、夜は女を抱く。これがユリウスのいつものサイクルだ。もう止められない。
最後にユリウスはジョゼットを抱いた。ジョゼットは顔色が優れなかったが、腰を振っているうちに
徐々に回復しているような気がした。
「ユリウス様、私、赤ちゃんができたみたいなんです」そう途中まで言ったところでだった。
「お前に敵の霍乱・篭絡を任せる。お前はできる「兵」だ」
そう言うとユリウスはジョゼットから陰茎を引き抜き、ホースのようにテントの内側に精を放った。

予想以上にティンダ・ノラは大きく、そしてこちらの動きも完全に監視されているようだった。
正面に見えるのは体長10mほどの獅子の魔物、それが10体ほどだった。鼻息は炎になっている。
ガーゴイルだろうか、と話すと、ラクチュウは「「トウテツ」という向こうの魔物です」と語った。
その後ろにワーバーン隊、フードを付けた魔法兵が1000人程度控える。

予定通りにユリウスはラクチュウやジョゼット、ウルスラ、ミラなどを率い、
およそ100名の少数精鋭部隊で後方から不意打ちをする算段を取った。
残りの20000人程度は正面から防御をしながら接近する。最低限の時間稼ぎだ。

ユリウスらは塔の裏口から衛兵たちを殺し、足早に登った。
途中、「胎児」の強化されたものや罠などが足を阻み、半数の50人程度が犠牲になった。
しかし、ユリウスはその進軍をやめない。世界を取るためだ。
この先には「全てを手に入れるための何か」があり、今まで自分の人生に立ちふさがってきた「何者か」がいる。
その存在が、自分を苦しめ、そして大きくしていった。
今は王であるが、あまりにも大きな重責と後悔の念に苦しめられている。
それを紛らわすため、ユリウスは殺し、犯し、支配した。
(本当は俺だって平穏に生きたい。だが「奴」がいる間は平穏は絶対に戻らぬ)

最後の扉を開けると、そこは黄金の間だった。
天井は高く、あらゆる金銀装飾が散りばめられ、世界の摂理などがそこかしこの壁に描かれていた。
奥のかなり高い祭壇の上に、因縁の人物がいたのだ。

ユリウスと、後ろから彼の「兵たち」やウルスラ、ミラ、そしてアマーダら精鋭が続いた。

313 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 15:07:09.27 0―「我は世界の王」
その人物は言った。高い位置にいるが、顔がはっきりと見える。赤い巨大な宝珠を首にぶら下げ、脇には二名の人物が控えている。
年齢は自分と同じぐらいに見えた。しかし、遥かに威圧感と、聞いたことのある声質だ。
―「我が名はシメオン。シメオン1世。メリヴィアの創始者で王の中の王。そして、」
左脇の人物がまるで茶番のように言葉を発する―「私はファーデル。ファーデル教会の創始者そしてイル帝国の支配者」
ウルスラが目を見開いた。続いて右側の人物が言葉を発する。―「余はシュレン。北方民族の永遠の長にして支配者…」

「分からぬか、ユリウスよ」
ユリウスは頭を痛めた。物凄い耳鳴りがユリウスを襲う。
この人物が何者なのか…知っている。
知りえない情報が頭の中を交錯した。それはシメオンが女を襲い、犯しているところだった。
次に、女が処刑され、女の腹の中から赤子が生まれるシーンが蘇った。
それはユリウスだった。「胎児」にも似ているため、ユリウスはさらにトラウマに陥った。
ユリウスはメリヴィア王朝の創始者の息子だったのだ。それも強姦により生まれている。
彼は、自分が女を犯すことに理由はないと思っていたが、そんなことは無かったのだ…!

「…お前が俺の親父か…で、だからってどうしたってんだ」
シメオンが応える
―「お前をいつも見ていたが、お前はどうやら失敗作だったようだ。何故なら、
私の思い通りにお前は動いてくれない」
良く響く声、しかし確実にイカれていた。とても正常な神経を持った人物の発する台詞ではない。
この男が横の二人の男とともに世界情勢を国家・宗教・軍事力をもって操り、弄んでいたのだ。
ユリウスは自分が中心に世界が回っていたと思っていたが、心の奥底にあった疑問がようやく解けた。

―「まあいい。私は世界の支配者となって永遠の命を得たが、お前はいずれは死ぬ。愚かな息子よ。
このまま帰してやってもいいが、とりあえずお前の軍隊には滅んでもらう。
そして、お前にはこいつらと戦ってもらおうか…?」

シメオンが両手を挙げると、宝珠が光り、ユリウスらに異変が起こった。
まず、ユリウスはかつてのヘルヘイムの魔物に取り付かれ、毛が深くなり、頭は狂気で満たされた。
そしてウルスラとミラに異変が起こった。苦しみ出したと思えば、突如「胎児」の姿になった。
そう、教会の力を受け、この二人には既にギョルギヨスと同じ力が宿っていたのだ。

人間ではなくなったウルスラとミラによって早くもアマーダは殺され、他の兵たちも太刀打ちしたがとてもかなわない。
「ふざけやがって!」
ユリウスは叫んだ。外では相当に激しい殺し合いがこんな奴らのために行われ、大勢の命が失われているのだろう。
―「さぁ、殺しあえユリウス。殺すのは好きなのだろう?」

そのときだった。

314 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 15:35:29.11 0ー「お前たちか、良くやってくれた」しかし、次の瞬間、シメオンの言葉は悲鳴に変わった。
ー「おい、やめろ!」
ガシャーン、と大きな音が上で響いた。
高い舞台の横に取り付けられた古代のものと思われる装置が突如破壊され、
頭を抑えてうずくまったシメオン、ファーデル、シュレンが倒れこんだ。
そこにラクチュウ、ジョゼットから容赦ない突きが浴びせられる。

「アァァーー!!」「ギャアアア!!」「助けて…くれェェ!!!」
ピラミッドを鋭くしたような舞台の上から力をうしなったシュレンが首から血を流して
滑り落ち、頭から脳漿を垂らして絶命した。そして、次にファーデルが帽子を落とし、次に血飛沫を上げながら
真っ逆さまに床に投げ捨てられ、即死した。最後に命ごいをしたシメオンだったが、
宝珠をラクチュウに奪われると、早くも用済みとばかりに首を深々と刺され、死体はそのまま三度ほどバウンドして
下に落ちて潰れた。
その三つの死体は落ちた後、一気にシワに包まれて最後は砂になった。
延命術の結果だろう。

「ラクチュウ!それにジョゼットか…!」
既に下では全ての兵が無残な死骸となっており、ユリウスがミラとウルスラの攻撃を避けながら
剣で確実にダメージを与えていた。
「よくやった。すぐにそれをこっちに渡してくれ」
まるでシメオンと同じような台詞だが、そう言う以外になかった。

「嫌ですね」
「何故だ?」
「あなたは父、つまり私の祖父を憎んでいた。しかし、私も同じく父であるあなたを
憎んでいます。同じことですよ…
だから、ジョゼットと一緒にこの方々と組む振りをして利用してあげたんです。
全ての世界情勢は筒抜け、という訳ですね。タヌアもいずれ私が支配し、七色の谷の財宝もいただきます。
これから私が「調停者」となって世界を支配します。もう暴力的な王は必要ない。
ユリウスよ、あなたはもう必要とされていないのだよ」

そこまで言ったところだった。
「グォッ…」
首に鋭い剣が突き立てられた。何かを発しようとするも、再び引き抜いて、
もう一撃が首に入り、ラクチュウはそれで息絶えた。ジョゼットだ。

「ジョゼット…お前…」
「ユリウス様…!」
「それを渡すんだ、さぁ」
「私はユリウス様のためなら命をも捧げます。このような男には協力しません。
どうか私を唯一絶対の后に。それを約束してくれればこれはお渡しします」

 「断 る」

ユリウスのその声にジョゼットは目を見開き、真っ赤な宝珠を地面に叩きつけた。
ジョゼットの肉体が光り、みるみるうちに舞台を衝撃波で破壊していった。
ジョゼットは真っ赤な鎧を身に付けた女神のような姿になり、その身体は今までの5倍、
体重にして125倍の大きさになっていた。
巨大な剣と盾を持ち、実に剣は長さ5メートル、盾は50cm以上の厚さがあると思われる。

「さぁ、ユリウス様、遊びましょう」
身体そのものも以前より強化されているようだ。
ビキニアーマーに覆われた乳房は張り詰め、片方だけでユリウスの体重ほどありそうだ。
腹筋も鍛え上げられている。尻から伸びるすらりとした脚は頑丈で片方でユリウスの身長の倍ほどある。
剣が禍々しいオーラとともに振り下ろされ、まず目の前にいた「胎児」化していたウルスラとミラが犠牲になり、上半身を鎧ごと吹き飛ばされた。
同時に地響きが起こる。 ユリウスは震えていた。

315 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 16:08:11.86 0建物の中では不利すぎる、と思ったユリウスは塔から降りた。
暴れるジョゼットが塔を破壊していくようだが、脱出は何とかいった。

「ユリウス様…」
後ろを振り返ると、驚いたワイバーンを突き刺して踏みつけ、殺しているところだった。
外の戦闘が気になり、トウテツがいるあたりを見ると、既にトウテツが粉々になり、
多数の犠牲者を出して、リフティス軍は撤退し始めた頃のようだった。

魔法兵の生き残りがジョゼットの姿を見て狼狽する。「バケモノだ!」
魔法を放つも、ジョゼットにとっては蝿のようなものだった。
「ちょっと熱いかも」
そう言うと剣の衝撃波と盾であっという間に兵たちを粉砕し、生き残った者は
容赦なく踏み潰していった。
兵たちも逃げ、文字通り「二人きり」の状態になった。

「ユリウス様、逃がさない」
狂気に似た目線でユリウスを追うジョゼット。歩くだけで地面がゆれ、まともに逃げることもできない。
(殺される…!)
ユリウスは恐怖した。とりあえず一気に間合いを詰めないと衝撃波だけで粉々だ。

316 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 16:09:06.26 0突如引き返すと、間合いをつめ、ユリウスは巨大な左脚に一撃を放った。
「マカベウスクラッシャ…」
膝下あたりの皮膚を切り裂き、血が流れた。
「くっ、はあっ!」
ジョゼットの一撃が入る。辛うじて避けるも、衝撃波が当たり、かなりの痛みが伝わった。
かつてドラゴンと戦い勝利したこともあったが、これほど恐ろしくはなかった。
よろめいたユリウスに、今度は盾の一撃が入った。
鎧がひしゃげ、とうとうユリウスは地面に倒れた。

「つーかまーえた!」
何かが上から来る。それはジョゼットの尻だった。
「グォォォ…!」
心臓は免れたが、下半身をジョゼットのヒップに巻き込まれ、鎧を砕かれた。
「くそっ!」
ジョゼットが体勢を立て直す前に尻に大剣を突き刺したが、大きな傷にはならなかったようだ。
「ユリウス様、抵抗はやめまちょうね~」

尻と脚から血を流しながらも、ジョゼットは文字通り赤子を捻るかのように、
ユリウスを捕まえようとした。持ち上がったところで剣で抵抗する。
「この…!」
掌から血を流しながら、ユリウスを地面に叩きつける。

再び腕でつかまれると、既にユリウスに抵抗の手段は無かった。
抵抗するも、手足を捻られて間接を折られてしまう。
そこからはジョゼットのされるがままだった。
ジョゼットはユリウスをぐったりさせると、剣を置き、鎧兜を脱いで、
まずは巨大な乳房でユリウスを挟んだ。
それはあまりにも大きく、乳首でも小さな蜜柑の実ぐらいはある。
片方でユリウスの体重を超えるようなそれで、ユリウスはしごかれた。
「おぉ…う…」

不覚にも、それでユリウスは勃起した。我慢できなくなったジョゼットは、
赤い光を纏った手でユリウスのそれをしごくと、さらにそれは大きくなった。
ヘタな短小の男よりもジョゼットにとっては大きい。
ジョゼットはユリウスに挿入させると、自ら身体を掴んでいわゆる「逆駅弁」で強制ピストンをした。
ビク、ビクとジョゼットが痙攣する。
「こういうのイイわぁ…新しい。ユリウス様が、私のしもべ…」
肛門まで弄られたユリウスがやがて絶頂を迎え、巨大な穴にビュービューと精を流し込んでいく。

それだけでは満足はいなかかったようだ。今度は再び手で扱き、勃起させると
ユリウスに覆いかぶさり腰を振った。
「グァ!グァ!ぐぁぁ…」
ユリウスはあまりの重みに苦しんだ。瀕死になったユリウスだが、何とかジョゼットが絶頂を迎えることで解放された。
ジョゼットはユリウスを巨大な秘所から引き抜くと、放り投げた。

「ぐぁ、あぁぁ…」
ユリウスはあまりの痛みに気を失いそうになった。
もう何本骨が折れているか分からない。
ジョゼットに犯しつくされてしまったのだ。

「あれは…」
倒れるユリウスの視界に入ったのは、味方が置いていったと思われる火薬の塊と、
ジョゼットが落とした剣だった。
ジョゼットは行為の余韻に浸り、うつ伏せになっている。

317 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 16:31:14.71 0「あぁぁ…」
ジョゼットは恍惚とした表情でユリウスの方を見た。
ユリウスは完全に自分の支配下にある。これでもう一生自分のものだ。
邪魔する者は殺せばいい。

だが、そこに目に入ったものは…
「…!」
ドォーン!!
ユリウスはありったけの火薬に火をつけた。それも5mにもなる巨大な魔剣の真横で。

剣は勢いよく直進し、そのままジョゼットの左目を貫いた。

「ギャァァァ!!!!」
ジョゼットがのた打ちまわる。横たえたままだから全体が的のようなものだ。
全裸のユリウスは、大剣を持ち、気を取り直すと、まずは巨大な剣の柄を打ちつけ、ジョゼットに大きな衝撃を与える。
そして倒れたまま朦朧としたジョゼットに大剣を次々突き刺した。
まずは両の手足に思い切り剣を振り下ろし、大きな傷を与える。
大量の血液が溢れ、失血によりさらにジョゼットは動きを弱めた。
そして首に剣を突きつける。一撃が入れば巨大なジョゼットの命も無くなるだろう。

観念したジョゼットは目を閉じた。
「やっぱり、貴方は強い…」

弱っていくジョゼットを、ユリウスは犯した。やられたらやり返すのは義務だろう。
うつ伏せに近い今の状態でもやりたいが、いかんせん巨大過ぎて挿入が難しい。
そこで力を振り絞り、仰向けにした上で上からいきり立ったモノを挿入した。
「おぉ、入っていくぞ、ジョゼット…!」「アァ、アァァ…!」
分厚い腰に跨るユリウスはまるで赤ん坊のようだったが、そのピストンは力強かった。
ジョゼットの大きな声が耳をつんざくように響く。
「うぉぉぉぉ…」「アァァァ…!」
雪原の中を男と巨大な女の嬌声が響きわたった。まるで新しい時代の再来でもあるかのごとく。

一度射精すると、ユリウスは乳房のところまで這い、巨大な乳房を弄り回した。
そのボリュームは凄く、しかしユリウスが乳首を舐めるとジョゼットは喘ぐのだった。
「…んん」
ジョゼットがもう片方の乳房を顎で指差す、もう片方も舐めてということだろう。
ユリウスはそれを蹂躙すると、そのまま乳肉に腰を打ちつけ、精を吐き出した。
そしてもう一度秘所に腰を据えると、再びピストンを開始した。
三度目の絶頂を迎えたあたりで、ジョゼットは声を出さなくなった。

「ジョゼット…ありがとな」
ユリウスはジョゼットの巨大な手を取った。まだ暖かかった気がした。
ユリウスはそれを、ジョゼットの肉体が冷たくなるまで握っていた。
ジョゼットの死体が降雪で覆われていった。
せめてということで、近くにあった布で乳房と股間を覆ってあげた。
そして、ユリウスは大剣を墓石代わりに近くに突き立てた。勿論ジョゼット以外に父親や息子への墓標でもある。

適当な大き目の武器と食料を拾い、ユリウスは北方の地を立ち去った。
例の「胎児」の化け物には、二度と会うことはなくなった。
そしてユリウスは、リフティスに帰ってきた。

318 :ユリウス ◆ZoJjQX8PBM :2015/11/24(火) 16:42:34.86 0ユリウスは「大王」になった。
北はメリヴィアと国境を接し、南は帝国と国境を接し、
東はタヌア島までを領土としている。

後継者がはっきり決まらないのがやや問題だが、
侍女の生き残りを鍛え、海女部隊やメリヴィア出身の傭兵、東方の特殊部隊などを
「兵」として、今日も王政と子作りに励んでいる。
以前のような「虚しさ」や「迷い」はもう無い。
世界を揺るがす黒幕たちとの因縁を断ち切ったユリウス大王は、今後の動向が期待されている。

「おぉ…」
今日もユリウスは朝から腰を振っていた。
黒光りする体は無数の傷跡があり、女たちはユリウスを慕っている。
今朝2度目の絶頂を迎え、女からモノを引き抜くと、ユリウスはいつもの鎧と大剣を持ち、
街へと繰り出した。

「さて、今日は何をしよう…」
街の酒場にお忍びで入るも良し、街の外にちょっとした冒険に行くも良しだ。
無数の人間を殺し、大勢の女を犯したこの男は、この頃はちょっとばかり表情が穏やかだ。

ユリウスは世界の闇と戦い、とりあえずは勝利を収めた。

交易が発展しており軍事力もあり、偉大な王を持つリフティス王国。
物語は、まだまだ始まったばかりだ。



~fin~


【ありがとうございました。】
【一緒にプレイしてくれた方には感謝です。】
【ユリウスはこれでTRPGのキャラとしては卒業します。】
【また別のスレでご一緒する機会があればよろしくです。】

【ではではノシ】

おまけ(ユリウス王伝説)

326 :名無しになりきれ:2015/10/26(月) 13:43:08.16 0

ユリウスの記録

一期
殺した人数 少なくとも115人
犯した女 10人以上

三期
殺した人数 少なくとも118人
犯した女 30人以上

合計
殺した人数 少なくとも233人
犯した女 40人以上

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